2018年09月03日

素晴らしき日々~不連続存在~ 正史考察・解説

※以下、『素晴らしき日々~不連続存在~』のネタバレに一切考慮していない。
 この作品の正史(メインルート)における、主人公らを中心とした登場人物の行動をまとめている。

素晴らしき日々 ビックハザードこっちくんな

 人格間には認識のズレがあり、新しい由岐は記憶を捏造しているので怪しいところもちらほらある。
 佐奈実の血に死者の魂を吸い寄せる能力があることを前提とする。

 沢衣村の近隣にある村が廃村になる。村には死者の魂が集まるという佐奈伎神社があり、そこの娘である佐奈実琴美が、神道系古流柔術の流れを汲む間宮の家に引き取られる。
 琴美は古い価値観の残る村で気味悪がれ迫害されるが、間宮浩夫だけがそれをかばう。二人は次第に愛し合うようになり、東京に駆け落ちして結婚する。やがて二人の間に皆守が誕生する。

 浩夫が癌を患う。元々の持病のせいで病気が進んで衰弱する。
 琴美は浩夫を救いたい一心でカルト宗教「白蓮華協会」に入信する。教祖の白連太郎は琴美の持つ佐奈実の血と美貌に目をつけ、甘言で誑かす。救世主の話を真に受けた琴美は教祖と性交渉し、羽咲と卓司が生まれる。琴美に飽きた教祖は、子どもが双子だったので救世主の資格を失ったと言いがかりをつけ、琴美を捨てる。
 琴美は次第に精神を病んでいく。卓司と琴美による羽咲への虐待が続く。それを許せない皆守は二人に暴力を振るう。ある日、皆守が錯乱した母親に刃物で襲われるが、逆に負傷させてしまう。皆守は父親の実家がある沢衣村に移される。
 琴美は卓司を救世主として育てるべく英才教育を施し、2012年7月20日に世界は滅亡するので世界を空に還さなければならないと吹き込む。一方で躾として熱湯をかけたり風呂に沈めたりして虐待する。

 三年後、浩夫の癌が悪化し、検査入院のために羽咲も沢衣村に預けることに。
 間宮兄妹と由岐の交流。しばらくして浩夫が息を引き取る。
 浩夫の一年祭に琴美と卓司が村を訪れる。二人は羽咲たちを夜の山で襲う。由岐は突き飛ばされた羽咲をかばって墜落死。皆守はナイフを持った卓司ともみ合いになり、拍子で卓司の胸にナイフが付き刺さる。しかし、皆守は死の間際の卓司に取り憑かれてしまう。同時に由岐も皆守の身体に取り憑く。羽咲は身体と心に深い傷を負う。
 皆守は以後、自分を間宮卓司だと認識するようになってしまう。卓司の死が受けいれられない琴美も、皆守の学校関連の書類を間宮卓司の名前で提出する。

 由岐が目を覚ます。

 卓司は北校に入学した当初から城山、西村たちにいじめられる。その憂さ晴らしに北校SAWAYAKA掲示板を設立する。

 一年ほど前、卓司は城山たちに罰ゲームとしてざくろの制服を盗むよう命令される。それを着せられて嬲られているときに皆守が目を覚まし、城山たちを叩きのめして制服をざくろに返す。その一時間ほど後に由岐が現れ、自分内格闘で皆守をしごいた後に、自分たちの状況について説明する。
 皆守は不良たちから麻薬をカツアゲするが、そのことで卓司の名前が裏社会に知れわたる。

 ざくろが北校に編入してくる。めぐと聡子がいじめの標的を希実香から空気の読めないざくろに変える。
 めぐたちはC棟の屋上を彼氏との逢い引きといじめに使うために美術部を設立し、四人の数合わせのために希実香とざくろを入れて、瀬名川を名前だけの顧問にする。誰も来ない屋上でざくろへのいじめが続けられていたが、瀬名川は見て見ぬふりをする。
 ある時、聡子たちがざくろの希実香からもらった黒い人形を奪って投げ合い、それを取り戻そうとしたざくろが屋上から落ちる事故が起こる。ざくろは運良く三階のひさしにぶつかって体育館の屋根に落ち、軽傷で済む。瀬名川と学校は事故として処理してもみ消し、C棟は閉鎖される。

□2012/7/02
 卓司が秘密基地に漫画を持ち込もうとするが、旧プールの前で皆守に絡まれ自分内喧嘩で痛めつけられる。漫画を皆守に燃やされる。
 ざくろが城山たちから逃げている時に、火が上がっているのを見かけて旧プール前に来る。出会った卓司に匿ってもらい、現実逃避のために誘いに乗り、秘密基地も見せてもらう。秘密基地で割れの話を聞かされている時に我に返り、早々と帰る。眠気が襲ってきて皆守に交代。
【18:30過ぎ】
 皆守がバーでアルバイト。
【18:58】
 羽咲がバーに来店。

□2012/7/03
 卓司が一限から出席し、サボりで二限から秘密基地に篭もる。秘密基地のパソコンで、裏掲示板を瀬名川に紹介してもらった清川を承認する。眠気が襲ってきて皆守に交代。
 B棟屋上でさぼっているところに由岐が現れる。由岐は自分が切り離されつつあり、記憶の断片化が進んで羽咲や皆守を認識できなくなってきていることを語る。
 昼休みにざくろが屋上に来る。由岐が応対する。知的で人当たりがいい由岐に惹かれるざくろ。羽咲が弁当を届けに来る。
 卓司に交替。食糧の買い出しに行こうとして学校にいた羽咲(司と鏡)に話しかけられ、繁華街まで付いてこられるが冷たくあしらう。兄からうさぎの人形を貰った思い出話をされるが聞き流す。
 夕方、買い出し帰りの卓司が秘密基地の前でざくろに会うが、ざくろは由岐との雰囲気の違いに戸惑いすぐに帰ってしまう。
 秘密基地のソファに座ったところで眠気に襲われ由岐に交替、帰宅。
 家で皆守が目を覚ます。隠れていた羽咲が顔を出し、由岐と三人で談話する。温めなおしたご飯を食べる。
【22:01】
 ざくろの携帯に、いじめコミュニティーへの書き込みを見た宇佐見から意味深なメールが届く。「はじめまして……と言った方がいいでしょうか?」「たぶんあなたに大きな変化があると思います。それはたぶん良い事です。」

□2012/7/04
 ざくろが屋上で由岐と会話する。ますます彼女に惹かれる。
 ざくろが帰ったあとに皆守が目を覚ます。羽咲が弁当を届けに来る。由岐がうさぎのほつれを直す。
 羽咲はバーに出勤、皆守はそのまま授業を消化する。放課後に校舎裏で沼田たちから覚醒剤をカツアゲする。
 皆守はカツアゲの成果を公園の公衆便所に流したあとに、誰かに尾行されていることに気付き、横道で捕まえる。詰問するが、途中で腕時計に仕込まれたフラッシュを喰らい逃げられる。
 帰宅。羽咲のいないうちに思いっきりゲームをする予定だったが、ゲームを起動した直後にマスターの誕生日の準備が終わった(?)羽咲が帰宅する。下ネタで追い返そうとするが食いつかれ、結局ゲームには集中できずじまい。

□2012/7/05
 ざくろ、電車の中で由岐と出逢い、遊園地でデートすることに。その後バーで食事をし、ピアノも聞かせてもらう。
 演奏中に皆守が目を覚まし自分内会話。その後もざくろと軽妙な会話をしつつも、皆守とエロトークを繰り広げる由岐さん。
 デート後にそのままバイト。羽咲とマスターと四人でオナヌーや萌えについて語る。
 三人で帰路につく。由岐は自分内会話で、記憶の連続性を保ち、意識が途切れないよう、出来事を明確に記憶できるよう努力していることを語る。
 三人で川の字になって眠る。誰に欲情するかしないかで揉める。

□2012/7/06
 皆守が授業を受けるが、羽咲が弁当を届けにきて慌てる。言い争っているところに美羽が話に入ってくる。皆守は羽咲が教室に入れるように、美羽がドアを開けてくれていたことを知る。また間宮卓司がクラスで意外に受けいれられていることに驚く。
 皆守は杉ノ宮までの道で尾行者に気付き、再び路地裏で待ち受ける。あっさり捕まってカメラを粉砕される木村。卓司の身辺を洗い、白蓮華協会教祖の隠し子であることをつきとめたと白状する。木村は前回と同じく目を眩ませて皆守を振り切る。
 皆守がバーに出勤。マスターの策略にはまって女装させられる。
 帰宅。身体を洗いながら、卓司の存在感が強くなっているのを考えている時に由岐が出現。無意識にいるときや人格として存在しないときに、皆守や卓司の考えが聞こえるようになったと語る。その後羽咲が乱入してきてカオス空間に。
 のぼせた羽咲をベッドに運ぶ。皆守はその後四日間の眠りにつく。

□2012/7/08
 めぐたちが小遣い稼ぎにざくろと希実香でAVを撮るとする。希実香はざくろを助けようと立ち向かうも、城山たちに囲まれて敗北。ざくろは騙されてクスリを使ってしまい、気分がよくなっているところを撮られてしまう。
【23:10】
 ざくろは途方に暮れ、宇佐美をうさんくさく思いつつもメールに返信する。「はじめまして、私はチェシャ猫です。」「少し気になったんですが……私に起こる大きな変化とはなんでしょうか?」

□2012/7/09
 希実香は怪我で欠席。
 ざくろへのいじめが続く。ざくろは帰り道にめぐたちに集団で襲われ、ホテルで輪姦された後放置される。
【23:01】
 ざくろの携帯に宇佐見からの返信が届く。「間違いなくあなたはわたしたちの仲間です。」「近いうちにあなたを悩ましていた問題が一つ消え去ります。」
 深夜に聡子とめぐみが壊れはじめたざくろについて掲示板の「めぐとさとこの仲良しスレ」スレッドに書き込む。「なんか壊れたんじゃないの」「マジバレたら、停学とかじゃすまないかも」

□2012/7/10
 ざくろがドラッグの影響とレイプのショックから幻覚を見はじめる。秘密基地で「ビッチ死ね」という落書きを見たときのショックがフラッシュバックする。
 卓司は秘密基地に顔を出さないざくろのことが気になり、北校裏掲示板で「めぐとさとこの仲良しスレ」スレッドを調べる。
 ざくろに何かがあったのを知った卓司は教室に向かう。ちょうど皆守が目を覚まし、強くなる卓司の存在を消そうと必死に痛めつける。(意識が途切れるときに聞いた「また……殺す気なの?」は無意識にいた由岐のつぶやき)
 卓司は授業が始まったので秘密基地に戻るが、屋上で神の幻覚を見ているざくろの姿を見る。屋上に向かうがざくろとは入れ違いになり、代わりに城山たちがフェンスを乗り越えてクスリを使っている姿を目撃する。引き返す途中で羽咲(鏡と司)に出会うが、冷たくスルーする。
 城山はハイになって屋上のふちでけんすいしているときに手を滑らせて転落死する。卓司はそれを知ることなく秘密基地に戻り、誰かと交替する。
【12:52】
 ざくろが宇佐美からメールを受信。「あなたが苦しいのは、あなたの存在が正しいからにすぎません。」「近いうちにあなたを悩ましていた問題が一つ消え去ります。」 ※あとで時系列を修正
 卓司が秘密基地のソファで就寝。
 ざくろは城山が死んだことで宇佐見のメールを信用し、返信をする。

□2012/7/11
【00:20】
 ざくろが裏掲示板の「転落事故について語るスレ」にコテハンで書き込む。「彼が死ぬのは必然。」
 名無したちから総スカンを食らう。「マジお前自重。」「てめぇが殺したんだろ」
【01:50】
 ざくろが同スレッドに書き込み。「彼が死ぬのは始まりでしかない。」
【02:00】
 ざくろが同様に書き込み。「だって……これって予言通りなのだから……。」
 ざくろ、駅前で宇佐見と亜由美に会う。完全に正常な判断力を失っていたざくろは、二人を前世の仲間だと信じ切り、彼女らと力を取りもどすための儀式「スパイラルマタイ」を行うことを決心する。
【22:02】
 ざくろが裏掲示板に「ビックハザードが来ます。」のスレッドを立てる。「なぜならば、アザはもうすぐに目覚めるからです。ビックハザードが来るんです。」
 しばらくビックハザードをバカにするやりとりが続く。「ビックハザードこっちくんな」「ワロタ」「こ っ ち く んな」
【22:17】
 ざくろが書き込み。「ふざけないでください!」

□2012/7/12
【00:01】
 ざくろが宇佐美からメールを受信。「水臭いですよ、前世からの仲間に対して!」「明日は6時半に杉ノ宮駅の西口改札口としましょう。」
【08:01】
 ざくろが宇佐美からメールを受信。「今日ですね。スパイラルマタイ!」「がんばりましょう。世界の命運は私たちに掛かっているのですから!」
【09:02】
 ざくろが「ビックハザードが来ます。」のスレッドに最後の書き込みをする。「もうすぐにビックハザードが来ます!」
 卓司が杉ノ宮駅前でアニメ声優のCDと本を買う。デパートの屋上で眠ったところで新しい由岐と交替する。新しい由岐はタワレコファンでお気に入りのバンドの新譜を買ったと認識しているが、これは由岐が後で記憶に不整合が起きるようにわざとCDを買った記憶を残しておいたため。
 夕方、新しい由岐は駅前でスパイラルマタイ決行前のざくろに出会い、話をしたあとにキスをされる。意識が残っていて、それを俯瞰視点で見ていた卓司は嫌な予感がして、一度電車に乗るも駅前に引き返す。
【18:42】
 ざくろと宇佐美と亜由美が駅前で落ち合い、駅近くのマンションの屋上からスパイラルマタイという名の集団飛び降り自殺をする。ざくろを追ってきていた卓司は自殺の現場に鉢合わせし、ざくろの霊が皆守たちの身体に取り憑いてしまう。(ここでざくろが皆守たちの身体と激突した場合はDown the Rabbit-HoleⅠに分岐)
 卓司はざくろの携帯で救急車を呼び、現場の写真を撮ったあと、混乱して携帯を持ったまま逃げ出してしまう。
 卓司は秘密基地に籠もり、気持ちを落ち着けるために『魔法少女リルル』の漫画とアニメを見るが、ざくろの霊の影響で彼女が最後に見た映像とごっちゃになった幻覚に襲われる。ざくろの死体に絡みつかれたところで意識を失う。
【19:02】
 瀬名川が高島メールに返信。「なんのいたずらですか? 高島さんのメールを装って不謹慎すぎます」 ※Down the Rabbit-Holeより、まだ高島メールが始まっていないので日付誤り?
【22:30】
 皆守が二日ぶりに目を覚ます。秘密基地を出たところで声優のCDを持っていることに気付きぞっとするが、由岐の物であることを考えて捨てずに持ちかえる。
【22:44】(Down the Rabbit-Holeでざくろがこの時間にメールを送信している)
 皆守の身体に取り憑いていたざくろの霊が、学校裏掲示板の登録情報を使って、自分の携帯でメールを死体の画像付きで一斉送信する。「わたしはしぬ事によりせんしとしてうまれかわりました のはずですが いたいです みんなしにます 8にちごにしにます ぜんいんかならずしにます」(ざくろが戦士に生まれかわるために飛び降りたことを知っているのは本人だけ)
【22:52】
 ざくろのメールを受信した誰かが裏掲示板に「なんかキタんですけど(lll▽ ̄)」コワヒ~」スレッドを立てる。スレは自分にもメールが来たという書き込みであふれかえる。
 新しい由岐が帰宅。買ってきた新譜を聴こうとしてアニメのCDであることに驚く。皆守は自分を認識できない新しい由岐の姿に涙を流す。
 由岐は記憶の不整合で存在に亀裂が入り、かろうじて連続性を取りもどす。皆守を抱きしめる。
 皆守と由岐で作戦会議を行う。由岐は切り離されている間も、卓司に衝撃を与えた事件についての調査を出来るよう心構えをする。お互いに情報交換できるように、自室のノートにメモを取ることを決める。

□2012/7/13
【01:40】
 聡子が「なんかキタんですけど(lll▽ ̄)」コワヒ~」スレッドに書き込む。「あのメール本当に高島ざくろのものだと思う……。アドレスが携帯に入ってるから分かる」
【01:42】
 めぐがスレッドに返信する。「あれ間違いなく高島のメールだよ。あの子が持っていた携帯のカメラの写りと同じだもん。」

 自室で卓司が目を覚ます。皆守が羽咲に起こされる。羽咲が持ったお盆で朝食を食べながら登校する。「俺が嘘言ったことがあるか? でも、この約束は絶対だ」
 羽咲と別れて校門をくぐろうとしたところで意識下に引っ張られそうになる。由岐に話を聞いてた皆守はすんでの所で踏みとどまるが、新しい由岐の認識に支配されかけて混乱する。
 教室に入るとクラスが異様にざわついている。美羽に「今日も可愛い二人連れてるね」と褒められる。クラスメイトの女子からざくろの自殺について聞かされる。
 HRが始まり、清川からもざくろの自殺を告げられたところで、今度は卓司の認識に襲われる。皆守は卓司の世界にチューニングを合わせて、彼を消滅させようと徹底的にいたぶる。蹴り飛ばそうとしたところで完全に意識化に引き込まれ、その際に封印した記憶の一部を見る。
 卓司に交替し、物理の授業を受ける。混乱した精神状態からざくろは自分に助けを求めていたというメッセージを受け取る。休み時間に羽咲と出会ったところで意識が途切れて新しい由岐に交替。※時系列があいまい
 一限の終了後、新しい由岐は屋上でサボうろうとして彩名と出逢う。『空飛ぶ二十面相』と『純粋理性批判』を読んで雑談。
 何の気無しに3組の教室に入ると、瀬名川に声を掛けられる。瀬名川は由岐(卓司)から自殺する直前のざくろと会ったことを伝えられて取り乱す。(死の直前に自分の名前を出していなかったかびびっていた)
 卓司に交替。3組の教室でざくろの机を見つけ、机を彼女に見立ててセックスする。射精後に机を調べて、落書きの中に「2012年7月20日……世界が終わる」を見つけて衝撃を受ける(琴美に刷り込まれてた予言の内容と一致していたため)。「スパイラルマタイ」「アタマリバース」
 卓司は混乱しながら秘密基地に行き、入り口で頭痛を堪えながら新しい由岐と会話する。「というか……どこから出てきたのかね……」
 由岐から逃げて地下に入るが、貯水タンクで彩名に出会して会話する。「人は……誰一人として、経験としての死を迎える事は出来ない」「死を想像しないものは、永遠の相を生きる」
 彩名が消えた後、拾って放置していたテレビにざくろたちの幻覚が映り、さらに壁に描いたリルルの落書きに話しかけられる。校外で怪物(ショゴス)やざくろの死体に襲われるビジョンや、胎児の夢を見せられる。「卓司くんは救世主になるため生まれてきたんじゃないのかな?」「卓司くんの兆しを……」「至らせるために……」「終ノ空」「それは……世界が空に還る時」
 由岐に交替し、羽咲と一緒に帰宅する。家の前で卓司と会話。
 希実香が多くの人間に償いをさせるために、掲示板にざくろのメールに関するスレッドを立てて恐怖を煽る。一連の事件はざくろの呪いで、全ての人間がざくろの呪いで死ぬと主張する。

□2012/7/14
 卓司が新校舎の下で目を覚まし、ポケットにざくろの携帯が入っていることに気付く。ざくろのことを知るためにメールをチェックし、宇佐美たちとのやりとりを知る。秘密基地のパソコンで聡子とめぐのスレッドをさらに調べ、ざくろが屋上から転落した事件の詳細や瀬名川がいじめを黙認していたことを知る。携帯に付いたストラップの紐を調べようとして、髪の毛と肉片であることに気付いて回収する。
 卓司は取り憑いたざくろの霊と琴美の狂信的な教育のフラッシュバックが影響して精神を病んでいく。母と世界の石を曲解して救世主としての使命に目覚める。世界が自分の思い通りになると強く信じることで、由岐や皆守に対しての支配力が強くなる。
 卓司がざくろの携帯を使い、前回送ったメールと同じ文面で裏掲示板の登録者宛に15:33に予約送信する。「わたしはしぬ事によりせんしとしてうまれかわりました のはずですが いたいです みんなしにます 6にちごにしにます ぜんいんかならずしにます」
 ※この後に授業に出席するのでたぶん予約送信
 めぐ、聡子、瀬名川にメールを18:01に予約送信する。「いたいいたい いたい いたいいたいいたいいたい」
以後一時間ごとに同様のメールを送信するよう設定する。
 卓司がクラスに行くと、裏掲示板から伝播したWeb Bot Projectや七月二十日に世界が終わるという不穏な噂で盛り上がっている。
 丸一日意識が飛んでいた皆守が目を覚ます。皆守は卓司に必死で絡んで二十万を請求するが卓司は動じない。西村たちは卓司に二十万あげると言われたかと思えば独り占めすると凄まれたりで混乱する。
 卓司は皆守を屋上へ連れ出す。皆守は自信に満ちた卓司、死と隣り合わせの場所という沢衣村の時と似たシチュエーションに不安を感じる。屋上での自分内喧嘩。皆守は不安を隠すために大見得を切るが、皆守の合気道の経験を使った卓司に返り討ちにされてしまう。
 新しい由岐に交替し、羽咲(鏡と司)と屋上で弁当を食べる。学校の裏掲示板や、ざくろが死んだのは7月20日の世界滅亡に備えるためという話を聞く。ざくろや城山の死について調査を開始する。
 新しい由岐が教室で潔にフリーメールのアドレスを渡し、裏掲示板のアドレスなどを教えることと紹介者になることを頼む。代わりに合コンに参加ことを承諾。
 ざくろのことを調べるために3組の教室に向かう途中でやす子に会う。世界が今月の20日に滅びるのか、世界の終わりが近付いているのは本当なのか聞かれ、携帯に届いたざくろのメールを見せられる。メールは撮影者の影が映っていることなどからいたずらだと説明し、近い将来に滅びることもあり得ないと言う。
 3組の教室で、探偵セットを使ってざくろの机を調べる。「アタマリバース」「ハル・メキド」
 かすれた部分を微細アルミニウムで浮き上がらせて「間宮くん」を解読し、ついでに机に付いていた指紋(昨日自分が付けた間宮皆守の指紋)を採取しておく。その様子を意識が残っている卓司が目撃する。(机の中にあったぬるぬるしたものは、昨日射精した自分の精液)
 卓司を探しに屋上へ行き、彩名と会う。「ご精が出ますねぇ」「はい、精液出しまくりです。水上さんに合わせてみました」
 旧プールに向かい、卓司と新しい由岐が会話する。新しい由岐は卓司に心を読まれたと思って恐怖を感じる。卓司は救世主の能力だと勘違いする。
 卓司、旧プールの下で音無と会話中に気を失う。リルルちゃんとの会話。
 新しい由岐に交替して帰宅。家の前で卓司と自分内会話。「君は体の人なんだ。ボクみたいに理を学ばなければならない。高次元の認識に向かい! 上りたまえ!」
 自宅のパソコンで潔からのメールを受け取り、裏掲示板への参加を申請する。しばたかついえ、生年月日は大永2年の487歳。

□2012/7/15
 SAWAYAKA掲示板の登録者にメールが届く。「あたまからちをながします ひとがまたあたまからちをながしてたおれます」※
 卓司が家のパソコンでSAWAYAKA掲示板を見る。新しい由岐の申請を承認する(自分が出した申請を自分で承認している)。
 卓司はざくろ事件の責任者である瀬名川を救世主のための生け贄にすることを考える。ざくろの携帯を使って予言のメールを出す。あたまがちだらけになります。きょうまたちがとびちります。
 卓司が登校。新しい由岐は遅刻して三限の終わりに登校したと認識。
 クラスでは昨日と打って変わって、誰もざくろの自殺や世界の終わりを話題にしない。羽咲が学校に来る。
 卓司がクラスの皆が不安になるような発言をする。4限の授業で、卓司が自分を注意した世界史の飯田を花瓶で殴り、予定とは違うが予言を成立させる。
 卓司が演説する。城山と高島は自分が救世主に生まれかわるために神が生け贄にした。世界はあと五日で終わる。救われない者は永遠に地獄の業火で焼かれる。次いで三つの予言をする。もう一つの死によって死の濃度はさらに明言される。多くの者がその死をもう一度目撃する。死者はすべての終局を語る。隣のクラスでは希実香と清川がその演説を聞いている。
 卓司は教室を飛びだし、秘密基地の前で希実香に出くわす。希実香は卓司がざくろの呪いを終わらせるつもりなら、ナイフで殺す算段だったが、瀬名川が死ぬ運命にあることを聞いて思い留める。その後も希実香の演技を交えた瀬踏みは続き、聡子とめぐのことは承伏しかねるが結局卓司の手下になる。
 希実香が瀬名川の監視を開始する。
【11:23】
 卓司がめぐと聡子を釣るために、本名で裏掲示板に「救われる者と救われない者」というスレッドを立てる。「私は、今ここに立っている。救世主として。」「今こそ、救われる者と救われない者はふるいにかけられるであろう。」
 屋上でリルル大戦を目撃する。
【15:30】
 新しい由岐が屋上で彩名と会話。「人はなぜ……いろんなものを隠そうとするんだろう……」「……世界には何人の魂があれば足りるか……」
 帰宅してメールをチェックし、北校SAWAYAKA掲示板の会員登録完了メールを受信する。掲示板で「救われる者と救われない者」スレッドを開き、卓司がバカにされているのを見てほっとする。「警察に通報しまつた。」
 新しい由岐は古いスレッドを探り、「ビックハザードが来ます。」「なんかキタんですけど(lll▽ ̄)」コワヒ~」を読む。「なんかキタんですけど」のレスに張られていたURLをクリックして、新白蓮華教会Webbot研究所(羽咲と琴美の家)のサイトにアクセスする。所在地をプリントアウトしておく。
【21:01】※送信者は希実香?
 瀬名川宛に高島メール。「あのときちゃんとみてたのに なにもしなかった」
【21:06】
 瀬名川が高島メールに返信。「違います。私は本当に知らなかったんです 赤坂さんと北見さんが部活で写生のため屋上使うから 私は鍵を用務員さんからあずかっていただけなんです」
【22:01】
 瀬名川宛に高島メール。「しーとうでいつもいじめられてたのを しってたはず」
【22:08】
 瀬名川が高島メールに返信。「そこでイジメが行われたなんて本当に知らなかったんです。ごめんなさい高島さん」
【23:01】
 瀬名川宛に高島メール。「おくじょうからわたしのにんぎようすてられた あれがないとわたし じょうぶつできない」
【23:09】
 瀬名川が高島メールに返信。「本当に先生は知らなかったんです。人形は明日必ず先生が調べますから。」
【23:13】
 めぐと聡子が、裏掲示板の「救われる者と救われない者」スレッドで卓司に対してざくろの呪いを止めるよう書き込む。
 卓司が意識を失っている間に、由岐が皆守を意識化から引っ張り出す。皆守は卓司に勝って羽咲を守るために、明晰夢についての訓練を受けることに。結果、世界が思い通りになることを疑わない卓司から、イニシアチブを奪う力を身につける。由岐は目が覚めたら最終決戦の場になっていると予言したが、皆守は強い意志で、その前に羽咲に会うと宣言する。※

□2012/7/16
【01:01】
 瀬名川宛に高島メール。「くろいにんぎょう わたしのくろいにんぎょう」
【01:37】
 卓司はめぐと聡子に、ざくろの自殺現場に髪の毛の束が落ちているはずだ、それを持ち帰れと命令し、自転車で先回りして携帯にへばり付いていたざくろの遺髪を置く。
【02:01】
 瀬名川宛に高島メール。「すてられたにんぎょうがさむいっていってる わたしといっしょにかえるの」
【02:16】
 二人がざくろの髪の毛の束を拾う。
 意識が途切れた卓司に変わり、希実香が遺髪を焼くように指示を出し、それから呪いのメールの配信を止める。
【03:01】
 瀬名川宛に高島メール。「わたしはにんぎょうをつれいか おまえつれいく」【05:01】「いっしょにきて」
【05:05】
 めぐと聡子がスレッドにメールが止まったことを書き込む。多くの人間が卓司の能力を信じるようになる。
【06:01】
 瀬名川宛に高島メール。「いっしょにいきたいのでこれからいきます」
【06:06】
 瀬名川が高島メールに返信。「だめ部屋にはこないで、お願い。すぐに人形さがしにいくから。」
【07:00】
 瀬名川宛に高島メール。「せっかくあなたのへやにきたのに なんでいない?」
【07:09】
 瀬名川が高島メールに返信。「忘れ物箱探したけどなかったみたい。でも、もう少ししたら用務員さんが来るから、そしたら人形の事きいてあげるから」
【08:03】
 瀬名川宛に高島メール。「わたしからだない からだこわれた にんぎょうか あなたがひつよう」【09:02】「からだないからだない からだこわれた」
【09:20】
 新しい高島メール。「またしにます おくじょうからなかにわです あとすこしでほんとうにおわりです」
 卓司が登校すると、秘密基地の前に人だかりができている。卓司は信じる者は救われる、救いたい者は誰でもここに連れてきていい、ただし一人でも自分を信じないなら誰も助からないと伝える。(やす子が「卓司が予言なんて成立しないと言っていた」と語るが、そう言っていたのは新しい由岐)
 希実香がホワイトマターで出来た服を卓司に渡す(卓司はリルルちゃんだと認識)。
【10:02】
 瀬名川宛に高島メール。「どこにいるの? わたしはおまえひつよう いっしょいけ」【11:01】「いたい」【12:04】「いたいからだいたい」【13:01】「わたししっぱい うでおれて のうでて いたい」
【12時過ぎ】
 新しい由岐に交替。電車で新白蓮華教会Webbot研究所に行き、アパートの部屋の入り口で羽咲と鉢合わせる。「今……誰ですかっ」
 部屋に招かれて、新白蓮華教会と白蓮華教会の関係や家族に起きた不幸について聞く。この時、木村は押入れに隠れている。
 胸騒ぎがして学校に帰ると、生徒の気配がしない。教室で自分の机を調べる希実香と出会し、捕まえようとするがナイフとフラッシュを使われて取り逃がす。
【14:03】
 瀬名川宛に高島メール。「ちがあるくとでて さむい さむいよ」
【15:01】
「ろうかですがたみた? すぐにいくよ」
【16:02】
「ろうかですがたみた? すぐにいくよ」
【17:01】
「いましょくいんしつでしゃがんでる あなたみてる」
【17:08】
 瀬名川が高島メールに返信。「もしかしたらまだC棟の屋上に残ってるかもあそこのひさしとかに引っかかってるかもしれないから先生見てきてあげるから」
 瀬名川は用務員室に行き、鍵を借りてC棟に向かう。
【17:58】(Down the Rabbit-Holeでざくろがこの時間にぬいぐるみを落としている)
 瀬名川は屋上のフェンスの向こうに置かれた人形を拾おうとするが、そこで高島メールを受信。「あなたのうしろ ほらつかまえた」
 瀬名川は恐怖で屋上から墜落する。新しい由岐がちょうど墜落した彼女と鉢合わせる。(瀬名川が「ま、まみぃ」と呟いたのは、まさに目の前に間宮卓司がいたから)
 新しい由岐が瀬名川の携帯を使って救急車を呼ぶが、いつの間にか近付いていた希実香に携帯を奪われる。
 職員室に向かおうとしたところで卓司に交替。気付くと既に瀬名川が死んでいる。
 卓司はヤクザから麻薬を強奪するよう生徒たちに命令する。(めぐたちが城山と3Pしたことを知っていたのは、城山の死の直前に屋上でその話を聞いていたから)
 希実香はやす子がリルルちゃんのポスターを買いに行くのに同行する。
 希実香らが清川を連れて帰ってくる。めぐたちが収穫のクスリとヤクザに刺された西村を連れてくる。
 卓司が西村に施したいんちき治療と演説で、信者がさらにエキサイトする(おそらくこの時既に希実香がクスリをばらまいている)。
 新しい由岐に交替して帰宅。パソコンに高島メールが届いている。「またしにます おくじょうからなかにわです あとすこしでほんとうにおわりです」
 北校SAWAYAKA掲示板で「高島メール総合」「救われる者と救われない者3」スレッドをチェック。

□2012/7/17
 新しい由岐が登校して教室で清川に会う。「あ、あの……名前確認して良いかしら?」
 清川が職員室に呼び出された際に、彼女の鞄の中に希実香に奪われた瀬名川の携帯があることに気付き、奪って帰宅する。
 瀬名川の携帯に入っているメールをチェック。彼女が高島メールに誘導されてC棟の屋上から落ちたことを知る。アドレス帳にざくろが登録されているので、試しに電話を掛けると、机の引き出しの中にあるざくろの携帯が震える。驚いた新しい由岐は、机の上にあった探偵セットの微細アルミニウムをこぼす。ざくろの机にあった指紋(卓司が付けたもの)と部屋中にある間宮皆守の指紋が同一であることに気付き、ざくろかその関係者が部屋に入って携帯を置いたと勘違いして動転する。
 部屋に入ってきた羽咲のことを黒い影と認識し、意識を失う。 ※羽咲であってる?

□2012/7/18
 早朝、新しい由岐が羽咲から逃げるように屋上に行き、彩名と会話する。「人は隠したものをすぐにまた掘り返す」「逃れるために隠すのではなく……その甘美なものとより深く戯れるために隠す……」「最後に見たものを……次に会った時に……教えて……」
 卓司がふたなりの彩名をレイプする夢を見る。彩名の魂に触れようとした卓司は同一性にひびが入ってしまう。
 新しい由岐が目を覚まし、気力を取り戻す。財布がないため教室の自分の机に仕込んだ五百円玉を回収しようとするが、若槻姉妹の机に一昨日の教科書が入れっぱなしであることに気付く。 ※本当は誰の机だ
 帰宅途中に若槻家(長谷川さん家)の部屋にカーテンが掛かったままなことに気付く。自室でざくろの携帯に指紋が残っているのに思い至り、指紋の採集セットを使って、五つの指紋のうち二つはざくろの机で採取したものと一致するのを確認する。※ざくろ、清川、希実香、間宮皆守であと一つは?
 新しい由岐が、卓司が姿を消していた旧プールに向かう。マンホールから下水と排水タンクを経由して新校舎の土台のスペースに着き、切り刻まれた鏡(うさぎのぬいぐるみ)と羽咲を発見する。羽咲と共にぬいぐるみを背負って長谷川さん家に届けるが、困惑される。

【22:30】
 皆守が強い意志で身体の主導権を奪い返す。

□2012/7/18
【00:00】
 新しい由岐が校門前で彩名と会う。彩名に新プールの土台下スペースに連れられ、ぬいぐるみの綿と卓司が柱に描いたリルルちゃんの絵を目にする。
 建築時に使われたハシゴからC棟の屋上に出る。 ※本当にあったことか?
 希実香が屋上から飛び降りる。

□メモ
 卓司は父は胃ガンで死に、母親も死んだと認識している。親戚のおじさんが癌で死んだ時に立ち会ったと言っているが、父親である浩夫の死の記憶を改変している?

2010/03/30
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2018/09/03
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tags: 考察 
2018年03月03日

咲-Saki- 考察・解説・レビューまとめ Ver.1.1c

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公式
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特殊ルール・コラボレーション
nix in desertis:『咲-Saki-』の登場人物が宇宙麻雀を打ったらどうなるか
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もしインターハイのルールが鷲巣麻雀だったら - Danas je lep dan.
中国麻将で一番強いのは誰だ?【イントロダクション&~長野合宿編】 : ぐりーん哩
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麻雀雑記あれこれ : 【考察】大会ルールに十三不塔が採用されていたら大星淡は弱くなる?
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麻雀雑記あれこれ : 【検証】咲-Saki-のチップ収支を調べてみた -阿知賀編-

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水面日和 : 咲日和には食べ物が必ず登場するって本当ですか?
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【咲-saki-】咲与太話:FATALIZER | 左を向いて

実写版
麻雀雑記あれこれ : 【考察】ドラマ版の宮永咲はネット麻雀でどれほどの成績を残したのか?

阿知賀女子学院
コラム(咲阿知賀編その1)(憧・穏乃・玄と「阿知賀こども麻雀クラブ」の子どもたち)
コラム(咲阿知賀編その7)(「あこちゃーは心配性」ほか)
阿知賀メンバーの能力連鎖についての一考察: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ
阿知賀実写を見てきました。(ネタバレが多いです) : さくやこのはな(しずと憧の誕生日)
阿知賀女子学院のIH準決勝における見事なリレー とっぽいとっぽい。
望と晴絵の再会の裏事情: あっちが変

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有珠山高校考察小ネタ - 私的素敵ジャンク
第132局[恩義]のあのやりとりの元ネタとそれにまつわるあれこれ : さくやこのはな

永水女子高校
永水女子のキャラクターの名前の謎に関する新説 - 私的素敵ジャンク
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永水の六女仙の元ネタである『霧島山幽境真語』のご紹介 - 私的素敵ジャンク
隠れ念仏から永水女子の設定の根源を探る - 私的素敵ジャンク

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清澄高校

劔谷高校
世界的大ヒットの鬼ごっこゲーム?劔谷高校のモチーフとは-アルカ茄子

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豊饒神と天空神と海の神 白糸台のモチーフとは?-アルカ茄子

新道寺女子高校
新道寺の方言を標準語にしてみました : 咲グラフ

千里山女子高校
何の変哲もない咲の地名紹介 : 北大阪代表・千里山女子高校と南大阪代表・姫松高校(ちょっとした考察?というか妄想も)

鶴賀学園

姫松高校

宮守女子高校
【咲-Saki-謎】 宮守女子と遠野物語 - 咲-Saki-ほんだし -
咲-Saki- 宮守女子元ネタ自分用まとめ - ロクシン

湯町小学校
さくやこのはな :: 『シノハユ』と一索の鳥、あと『万葉集』とか。
朝酌あさくみと言う地名 私説『出雲国風土記』参究 青山富士夫

龍門渕高校

臨海女子高校

荒川軍団元ネタ探し①-アルカ茄子
荒川軍団元ネタ探し②-アルカ茄子


登場人物(名前順)
 

赤土晴絵
麻雀雑記あれこれ : 【咲-Saki-】赤土さんの着ていた浴衣

愛宕絹恵

愛宕洋榎
「愛宕」という名字に隠された意味について考えてみます - 私的素敵ジャンク
「榎」から考える愛宕洋榎 (愛宕洋榎考・前編)-アルカ茄子

愛宕雅枝

新子憧
憧の体温はあったかい?――高鴨穏乃の平熱と,新子憧の温度 - Danas je lep dan.
新子憧は変態淑女にあらず、いとけない少女なり とっぽいとっぽい。

新子望
近代麻雀漫画生活:3月14日は阿知賀編を影から支えた新子望さんの誕生日!\のぞたんイェイ?/

天江衣
天江衣とは (アマエコロモとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
「海底撈月」という役から生まれる様々なイメージを組み合わせて産み出された天江衣というキャラクター - 私的素敵ジャンク
咲-Saki-の天江衣が使う難解な言葉を調べてみた。 - 一切余計
ころたんの名前の呼び方について - 私的素敵ジャンク

荒川憩
荒川さん元ネタ探し-アルカ茄子

姉帯豊音
姉帯豊音とは (アネタイトヨネとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
姉帯豊音と山女について - 私的素敵ジャンク
かんむりとかげ : 姉帯さんの村と糠部、また遠野との繋がりについて
姉帯豊音は恐ろしくも悲しい境遇から生まれたのではないかという仮説: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ
姉帯豊音の能力考察―暦占という仮説― - 考える凡人
「姉帯さんが九戸村出身である」という、ひとつの仮説① : LAT. 39°20' N
「姉帯さんが九戸村出身である」という、ひとつの仮説② ~ 電子の海を遡る ~ : LAT. 39°20' N
アネタイ村 ヲ 封鎖セヨ!(前編) - 「岩手の北の方」についての いち考察 - : LAT. 39°20' N
アネタイ村 ヲ 封鎖セヨ!(後編) - 「岩手の北の方」についての いち考察 - : LAT. 39°20' N
家紋から紐解く、姉帯姓と六曜の関係 - 前編 - : LAT. 39°20' N
家紋から紐解く、姉帯姓と六曜の関係 - 後編 - : LAT. 39°20' N

池田華菜
近代麻雀漫画生活:池田の成長を表現する麻雀牌を使った演出
池田とコーチと7ピンと(池田華菜のシナリオ考察その2): 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ
咲-Saki- 第16話における池田を擁護してみる - 半端は駄目だ
池田と笑顔と泣き顔と(池田華菜にまつわるシナリオ考察): 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ

石飛閑無

稲村杏果

井上純

岩館揺杏

石戸霞
石戸霞と鬼八伝説の繋がりに関して - 私的素敵ジャンク
M1,2,4,8,17,34,68 : 永水女子・石戸霞の能力のモデルは死体だった - livedoor Blog(ブログ)

エイスリン・ウィッシュアート
咲-Saki-のエイスリン・ウィッシュアートの名前と能力に隠された意味とは - 私的素敵ジャンク
【咲-Saki-謎】 エイスリンの描く「理想の牌譜」とは? - 咲-Saki-ほんだし -
咲-Saki-で宮守女子のエイスリンがニュージーランド人である理由 : さざなみ壊変
かんむりとかげ : エイたん
エイスリンの理想の牌譜を補完してみた その1 ‐ ニコニコ動画:GINZA

ネリー・ヴィルサラーゼ
第152局 素数を数えるんだ: あっちが変(エルティ、オリ、サミ)
ネリー・ヴィルサラーゼさんと祖国サカルトヴェロについて|マンガソムリエ兎来栄寿のブログ 先刻の箚記(さっきのさっき)

上重漫
[名は体を表す――上重漫・徹底解剖!] by Cat in the box - キャットインザボックス

臼沢塞
臼沢塞と塞の神、そして咲"Saki"の中に隠された柳田国男の初期の著作へのリスペクトについて - 私的素敵ジャンク
盛岡にある三ツ石神社から臼沢塞と薄墨初美について読み解いてみる - 私的素敵ジャンク
塞さんの髪の色について考えてみるよ - 私的素敵ジャンク

薄墨初美
【咲-Saki-謎】 はっちゃんがボゼを付ける理由 - 咲-Saki-ほんだし -

江口セーラ

江崎 仁美

大星淡
大星淡の能力考察 どのへんがルシファーなのか?-アルカ茄子
淡穏とまどほむには声優以外にも繋がりがあるのかも - 私的素敵ジャンク

岡橋初瀬
岡橋初瀬を再評価する 阿知賀編に見る友人関係のもどかしさ とっぽいとっぽい。

園城寺怜
園城寺怜の一順先を読む能力について・その2: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ
コラム(咲阿知賀編その3)(怜は一体何を「改変完了」したのか?)
「ここから先は……、皆がくれた一順先や」にまつわる演出とカメラワークの凄さ: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ
Ethanの色々ゆるじゃん不敗神話 : 哲学的に考えてみる園城寺怜さんの能力
園城寺怜の能力はもっと生きたいという願いから生まれた: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ
園城寺怜の能力はどれくらい強いのか?: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ


 

戒能良子
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戒能プロ考察まとめ - 私的素敵ジャンク
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鹿倉胡桃
胡桃ちゃんは実はザシキワラシだった? - 私的素敵ジャンク
続・胡桃ちゃんの正体はタヌキだよ説~狸憑きとヒダル神 : おもちもちもち
鹿倉胡桃はツッコミではなかった!?① : LAT. 39°20' N
鹿倉胡桃はツッコミではなかった!?② ~甘えたがりの一人娘~ : LAT. 39°20' N
鹿倉胡桃はツッコミではなかった!?③ ~ 愛のある、やさしいツッコミ ~ : LAT. 39°20' N
鹿倉胡桃はツッコミではなかった!?④ ~ おねえちゃんだもん! ~ : LAT. 39°20' N

加治木ゆみ
咲-Saki- 第15話・加治木ゆみの槍槓(チャンカン)についてのまとめ - 半端は駄目だ
近代麻雀漫画生活:「咲-Saki-」加治木先輩は特殊な打ち手だというのが一目で分かる麻雀漫画独特の表現
ゆみちんの闘牌スタイルは愛宕洋榎に近いんだなー:咲グラフ
近代麻雀漫画生活:12月21日は加治木先輩の誕生日なんで魅力を語り尽くすっすよ!
「私は君が欲しい!!」だけじゃないっすよ - 私的素敵ジャンク

片岡優希
「咲-Saki-」片岡優希がタコスだけじゃなくタコでもパワーアップする理由について - karimikarimi

狩宿巴

蒲原智美
Creative Factory 03#2 咲17局・妹尾の闘牌が「教え」を守りすぎ
「咲-Saki-阿知賀編」アニメ第8話のワハハ単独カットに見る、「次の試合」に臨む阿知賀女子と「次の試合」が無い鶴賀学園の対比という演出 - Togetter

国広一
[国広一の私服について] by Cat in the box - キャットインザボックス

小鍛治健夜
すこやん元ネタ探し-アルカ茄子
すこやんの時事系列を調べたら寝不足スパイラルだった: あっちが変

小瀬川白望
迷い家 - Wikipedia
何の変哲もない咲の地名紹介 : 岩手県代表・宮守女子高校と小瀬川さんの髪の色とか塞さんの苗字とか
小瀬川白望とマヨヒガについて - 私的素敵ジャンク
特に掘りさがらない、白望にまつわるあれやこれ。 : 木と木と木
小瀬川白望とヒダル神 エイスリンの憑神退治? とっぽいとっぽい。
東風吹かば姫が目醒める東一局――宮守ファン大歓喜だった『咲-Saki-全国編』第4話「東風」感想 - Danas je lep dan.(マヨヒガと波紋の描写)

小走やえ
小走やえとは (コバシリヤエとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
小走先輩の名前について - 私的素敵ジャンク


 

鷺森灼
ゲーム紹介:能力紹介 | 咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A Portable(灼の待ちの詳細)
灼の「ボーリング打法」を予想する - ちゃすります
何故鷺森灼は英語と生物が好きなのか - Danas je lep dan.

佐々野いちご
ちゃちゃのん敗退,その裏側に隠された悲しい現実を妄想してみる - Danas je lep dan.
M1,2,4,8,17,34,68 : 鹿老渡高校の「名前のない怪物」 - livedoor Blog(ブログ)

沢村智紀

獅子原爽
パウチカムイ - Wikipedia
麻雀雑記あれこれ : 【考察】獅子原爽の「赤い雲」に関する諸考察
『咲―Saki―』第144局[烈火]関係の元ネタメモ : さくやこのはな(五色の雲とカムイ)
さくやこのはな :: 獅子抜きで「ししはらさわや」を考える
爽くんのモデルとか自宅の位置について考えた : さくやこのはな
野の百合を見よ | 紫の衣
『咲―Saki―』152局[一片]備忘録(セルフまとめ) - Togetterまとめ
爽の「野の百合を見よ」は何が「微妙に間違えて」いたのか とっぽいとっぽい。

渋谷尭深
渋谷尭深さんの能力で打ってみた|マンガソムリエ兎来栄寿のブログ 先刻の箚記(さっきのさっき)
麻雀雑記あれこれ : 【考察】ハーベストタイムの必勝戦略
ハーベストタイムシミュレータ α版を公開してみます。:咲グラフ

清水谷竜華
咲-saki- 阿知賀編 16話 [軌跡] 竜華の真の実力が開放される。その名も「無極点竜華」 [ 麻雀漫画まとめ ]
さくやこのはな :: 清水谷竜華さんについて考える。

白築慕
シノ観察日記(2日目)『慕、母を想う』
【シノハユ】白築慕=小泉八雲説 - 週刊話半分

白水 哩
松浦佐用姫 - Wikipedia
麻雀雑記あれこれ : 【考察】白水哩の和了は普通の期待値では測れないそうなので計算してみた

神代小蒔
【咲-Saki-謎】 神代小蒔は何者なのか - 咲-Saki-ほんだし -
神代小蒔の神降ろしについての考察 - 私的素敵ジャンク
かんむりとかげ : 神境の姫はなぜ鬼になるのか?

末原恭子

妹尾佳織

染谷まこ
今度こそ本当にカタキとっちゃるけえのう - 迷子の坊やのみちくさ日記


 

メガン・ダヴァン
メガン・ダヴァン 龍からの逃走が暗示する元ネタとは?-アルカ茄子

高鴨穏乃
【バレアリ】咲-Saki-阿知賀編最終話「軌跡」穏乃、権現様を感得する。: つれづれなるままに
さくやこのはな :: 深山幽谷の化身って?
元ネタから見る穏乃と怜=竜華のライバル関係(※4月8日は園城寺で竜華会が執り行われる日です) - 私的素敵ジャンク
[高鴨穏乃に関する考察] by Cat in the box - キャットインザボックス
穏憧と魔物の数字(100速の穏、高校100年生の淡、100巡先を視る怜)について真面目に語る とっぽいとっぽい。

滝見春
考える咲 : 第三十六回「ピシッ」(滝見春)

竹井久
「咲-Saki- 阿知賀編」のアイディア――“竹井久メソッド” - subculic
長野県大会の回想から見る部長とキャプテンの共通点 - 私的素敵ジャンク
「自分の意志で」待つことを決める物語――松実玄と竹井久をめぐって - Danas je lep dan.

雀明華
サ・イラ - Wikipedia(らっさいらっさい)
nix in desertis:雀明華の元ネタについて判明していることまとめ
「風神」雀明華の風牌を集める能力はどれくらい強いのか?: 麻雀アニメ&麻雀ゲームあれこれ

辻垣内智葉
辻垣内智葉と火消しの血 - 私的素敵ジャンク
辻垣内智葉 日出づる処の皇子?-アルカ茄子

鶴田 姫子

津山睦月

東横桃子
近代麻雀漫画生活:漫画における「あえてキャラの顔を出さない」という演出


 

二条泉
さくやこのはな :: 泉ちゃんについていい加減本気出して考えてみた

野依理沙

 
ハオ慧宇
ハオ慧宇とは (ハオホェイユーとは) [単語記事] - ニコニコ大百科(中国麻将の和了形の解説)
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花田煌
花田煌 トバない牛は神の牛?-アルカ茄子
麻雀雑記あれこれ : 【考察】すばら先輩がトバないのは能力なのか?
麻雀雑記あれこれ : 【検証】すばら先輩のセリフの何割が『すばら』だったのか

原村和
麻雀雑記あれこれ : 【考察】のどっちのレート2300とはどれほど強いのか
咲-Saki-ブログ!~麻雀下手でも咲が好き~ : 平和の作り手
麻雀雑記あれこれ : 【考察】たとえ宇宙が滅んでも和はオカルトを信じない!!
オカルトは,自分がオカルトであることに気付かない――原村和と涼宮ハルヒ,「そんなオカルトありえません」とSOS団を繋ぐもの - Danas je lep dan.
和の右手打ちは最速・最善手へのロジックか? とっぽいとっぽい。

桧森誓子
第131局 週に一度、機嫌をそこねる子: あっちが変

弘世菫

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シャンテン数とホーラ率から分かる亦野がレギュラーに
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龍門渕透華 龍神の荒魂と和魂 とっぽいとっぽい。
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tags: 咲-Saki- 考察 
2016年09月03日

小瀬川白望とヒダル神 エイスリンの憑神退治?

イエ~イ 宇夫方葵さん見てる~?

 『咲-Saki-』実写化プロジェクトッテェェーッッ!!!! ナンヤァァアァァーーッ!!!(時事ネタ)

 シロこと小瀬川白望は『咲-Saki-』でもっとも好きなキャラの一人なのですが、ようやく個別記事が書けました。
 シロの人物造形・能力の元ネタが迷い家(マヨイガ)があることは、劇中での描写やアニメオリジナルの戒能プロおよび永水女子による解説からほぼ確定しています。ひょっとすると、それに加えて「ヒダル神(がみ)」もモチーフの一つになっているのではないか、という説を打ち立ててみます。

 ヒダル神とは、このような妖怪です。

ヒダル神(ヒダルがみ)は、人間に空腹感をもたらす憑き物で、行逢神または餓鬼憑きの一種。主に西日本に伝わっている[2]。北九州一帯ではダラシと呼ばれ、三重県宇治山田や和歌山県日高や高知県ではダリ、徳島県那賀郡や奈良県十津川地方ではダルなどと呼ばれる[3]。

山道などを歩いている人間に空腹感をもたらす悪霊の類をいう。これに憑かれると、歩いている最中に突然にして激しい空腹感、飢餓感、疲労を覚え、手足が痺れたり体の自由を奪われたりし、その場から一歩も進めなくなり、ひどいときにはそのまま死んでしまうこともあるという[2]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%80%E3%83%AB%E7%A5%9E


 私がヒダル神のことを知ったのはたまたま――某古株メーカーの巫女さんが妖怪にやられちゃうゲーム最新作に出てきた――で、そのゲームのスレッドで「怠い(ダルい)というの語源になった妖怪だな」という書き込みを見つけて、はっとしたんですよ。なぜなら全国1000万の『咲-Saki-』ファンにとって、シロと言ったら「ダルい……」であり、その逆もまたしかりだからです! (なお、だるいの語源には諸説あります
 ヒダル神に興味が湧いたので、少し調べてみたのですが、何とまぁ、それが起こすとされる怪奇現象が、『咲-Saki-』本編のシロのあれこれを思い起こさせるじゃあありませんか。

山道などを歩いている人間に空腹感をもたらす悪霊の類をいう。これに憑かれると、歩いている最中に突然にして激しい空腹感、飢餓感、疲労を覚え、手足が痺れたり体の自由を奪われたりし、その場から一歩も進めなくなり、ひどいときにはそのまま死んでしまうこともあるという[2]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%80%E3%83%AB%E7%A5%9E


 その場から一歩も進めなくなる……これはもうシロそのものですね。一歩も進もうとしないのは本人ですが。
 思えば、小瀬川白望のキャラクターについて考える上で、幽玄でつかみ所がない、関わる人に図らずも幸運をもたらすという部分は、マヨイガのイメージであるとわかります。しかし、いつも気だるげでダルいダルいつぶやいてばかりいるところは、それの要素があまり感じられなかったんですよね。そこにヒダル神のイメージを付加すると、個人的にはしっくり来ました。
 さて、ここから話がさらにこじつけ臭くなってきます。このwikipediaのページには、ヒダル神に対処する方法も載っていたのですが……。

ヒダル神に憑かれたときには、すぐに何かを食べ物を食べれば身動きできなくなることはないとされ、ヒダル神を防ぐためには前もって十分な量の食糧を持ち歩くと良いという。そのために弁当を持って山道を行く際には、その弁当を食べ尽さずに一口分は残すという心得が伝わっている。僅かの食べ物の持ち合わせもないときには、道端に生えている草を口にすればどうにか助かることができるといい、草すら無いときには掌に指で「米」と書いて舐めても良いという[4]。また土地によっては、食べ物を近くの藪に捨てる、身につけている衣類を後ろに投げるという方法も伝わっている[2][8]。愛知県や和歌山県では、木の葉でもいいから口に含むと助かるともいう[5]。

(引用者省略)

現代においても主に山間部で、稀にヒダル神に憑かれたという話が伝わっている。一説によると、急激な血糖値の低下や二酸化炭素中毒がヒダル神に憑かれたときと同じ状態をもたらすといい、植物の腐敗で発生する二酸化炭素[2]、または食事をとらずに山中を長時間歩いたことによる低血糖状態をヒダル神の正体とする説もある[10]。 ハンガーノックを参照

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%80%E3%83%AB%E7%A5%9E


 要するに、ヒダル神は「山越えをする時には、すぐにエネルギーになる食糧を用意しておかないといけない」という知恵から生まれた妖怪なんでしょうね。
 シロに話を戻しましょう。食べ物を用意しておくことで対処する、と聞いて、第92局「奇怪」の名エピソード「オナカスイタ?」「パンタベル?」「一緒にくる?」を思い浮かべたのは私だけではないでしょう。ヒダル神たるシロの方がパンをもぐもぐ食べてますし、エイスリンはシロを追っ払うどころか餌付けで仲良くなってしまいましたが。ここで出てきた食べ物が、炭水化物の代表格たるパンというところも面白いですね。

 ヒダル神の伝承は主に西日本で残っていて、東北地方にはあまり分布がないのは残念でしたが、山に現れる怪異ということで、山の妖怪という宮守女子高校のコンセプトとも合致しています。偶然の一致だったとしても面白いので、紹介してみた次第です。
 他に「シロのアンニュイな要素はこの妖怪が出典だ!」という意見がありましたら、教えてください。

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tags: 咲-Saki- 考察 
2016年01月17日

爽の「野の百合を見よ」は何が「微妙に間違えて」いたのか

フリカムイの効果は出ていて手牌も良かった
先にカンして嶺上牌もひとつ潰した
それでも関係なく和了ってくるのか

嶺上開花――

(峰の上に花が咲く――)
いい名前の役だ

「ロン 2600」
「!」
「はい」

「カン!!」
(花…)

(野の百合を見よ)
労せず紡がざるなり
かつて栄華を極めたるソロモンだに――
その花の一片にしかざりき…!!

「ツモ」
「嶺上開花 3000・6000!!」

(また微妙に間違えてるってチカに怒られるかな)

(第152局「一片」)


 爽がやにわに聖書を引っぱってくるが、順序や解釈を微妙に間違っているらしい……という流れは、副将戦開始前に続いてこれが二度目になる。はたして今回の引用は何が微妙にずれていたのだろうか。
 爽が引用していた新約聖書の該当箇所を以下に引用する。私の手元にある新共同訳の聖書では、野の百合に当たる箇所を「野の花」と訳している。

「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。
 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。
 あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。
 しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
 今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。
 だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。」
 
(マタイによる福音書「思い悩むな」 新共同訳)


 劇中での爽の引用は、話の展開や直前の台詞から、咲さんの窮地における攻勢を賞賛するニュアンスが強いと思われる。アバターバトルで百合の花が咲き誇っていることも相まって、この引用で強く印象づけられるのは、栄華を誇った大都市のバビロンにも勝るという「野の百合の美しさ、力強さ」である。
 しかし、原典をよく読み返すと、イエスの話の主眼は花や鳥獣にはなさそうである。むしろ、爽の引用箇所の続きを読む限りでは、野の百合は明日には炉に投げ込まれていそうだ……。話の本筋は、バベルの塔に象徴される人間の欲望、驕りに対する警鐘にあり、野の花は鳥と同様に、偉大な神の「創造物」の一例としてを取り上げられている。イエスがあくまでも強調しているのは、人間の英知や発展の象徴である大都市など及ぶべくもない「父なる神の創造の偉大さ」なのである。
 爽が「微妙に間違えて」いると思ったのは、こういった「話の主眼」だったのではないだろうか。

 余談だが、この「思い悩むな」の説話全体を、神の存在に目をつぶって解釈するならば、「やくざな欲望に惑わされるな。清貧に、隣人と助け合って生きろ」となる(こう書けばテストで60点はもらえる)。イエスさんは「後にいる者が先になり、先にいる者が後になる」だの「不正にまみれた富で友達を作りなさい」だの「わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ」だのと、どうにも理解しがたいことをのたまって今日のわれわれを悩ませているが、この説話は比較的、現代的価値観からも理解しやすい部類ではないだろうか。同様のメッセージが込められた説話に「金持ちの青年」(「金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい」のあれ)などがある。
 爽の引用の意図は、この現代的な解釈からも、ちとずれている。

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tags: 咲-Saki- 考察 
2014年11月12日

「四角い宇宙」とは 咲-Saki-楽曲に登場するキーフレーズについて

 アニメ『咲-Saki-』の楽曲はファンの間でも概ね評価が高いように思う。橋本みゆきの歌う「Glossy:MMM」「Futuristic Player」などは迷いなく名曲だと言える。しかし、原作厨の私が特に気に入っているのは、本編への言及が多いSDキャラバージョンのエンディングだ。ところで、私は最近いくつかの楽曲に共通するキーフレーズを発見した。それは「四角い宇宙(Square Space)」である。

わたしもしたいよ ココロは正直ドキツモ快感
手加減しないで 四角い宇宙でテンパイすちゃらか

(「四角い宇宙で待ってるよ」作詞:畑亜貴)


あの舞台を転げ回って 奏でちゃってよMyセレナーデ
星屑みたいキラキラって 四角い箱の中 夢いっぱい
四角の空を自由にさ 飛び回ろうよ一緒にね
笑って怒って明日へと繋いで 一歩ずつ駆け上ろう

(「Square Panic Serenade」作詞:ZAQ)


まじかるまーじゃんわんだーらんど この大きな宇宙
大好き 大好き 喜怒哀楽の繰り返し(ポン)
ロジックも直観も天才も凡人も 受け入れてくれるこの空
大好き 大好き

(「まじかる☆まーじゃん☆ワールド」作詞:ZAQ)


四角い宇宙に“努力賞”はない
四角い宇宙に“もしかして”はない
四角い宇宙に“完璧”はないの

(「この手が奇跡を選んでる」作詞:ZAQ)


底抜けポジティヴで宇宙を走るよ
予想を越えてくる君に会いにきた(牌を感じて)
和了らずにいられないほどまっしぐらだよ
撃ち落としたい(みんな勝ちたい)
勝負で語ろう雀! 雀!
All for square space stars

(「この手が奇跡を選んでる」作詞:ZAQ)


 さて、この「四角い宇宙」という言葉が指しているものは何だろうか。まず思いつくのは四角い「雀卓」のことであり、ひいては「麻雀」そのもののことだろう。『咲-Saki-』は本格美少女麻雀物語(ストーリー)であり、言うまでもなく、麻雀というゲームの宇宙的な奥深さ、底の知れなさはこの作品が表現しようとしているものの一つである。私はそれに加えて、この言葉は物語の主な舞台であるインターハイ団体戦のトーナメント(「運命のラダー」BYこーこちゃん)のことも表しているのではないかと思っている。
 その論拠はというと、一つ目は単純に「Square Panic Serenade」に「頂点まであと一息」「レジェンドもう一度」「駆け引き勝ち負けあの子に繋いで この草原駆け抜けよう」など、阿知賀女子が参加しているトーナメントについて言及しているとおぼしき箇所があるからだ(彼女たちは個人戦にエントリーしていない)。また、「まじかる☆まーじゃん☆ワールド」に「ロジックも直観も天才も凡人も 受け入れてくれるこの空」というフレーズがある。ここを聞くと、私の頭には自然と「嬉しいことです 私には誰かから必要とされている力がある それはエースになれる力じゃないけど 必要とされてる そんなすばらなことはない」という煌の言葉がリピートされる。劇中において、煌の一試合単位でトップに立つには全く役に立たない能力が真価を発揮したのは、彼女が参加しているのが個人の収支ではなくチームの総得点で勝利が決まる団体戦だからである。煌のように「捨てゴマ」を自称する選手でも「受け入れてくれる」「活躍できる」面白さ、先の読めなさが「宇宙」という広範な言葉にフィットすると私は感じるが、皆さんはどうでっしゃろか。

【関連記事】
咲-Saki-能力バトル講座 第4回 適材適所とジャイアントキリング

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tags: 咲-Saki- 考察 
2014年05月24日

新子憧は変態淑女にあらず、いとけない少女なり

 まじめな『咲-Saki-』考察記事を書くのは久しぶりだ。今回の記事では、アニメオリジナルならぬ原作漫画にしか存在しないエピソードを紹介しつつ、阿知賀女子中堅の新子憧に対する「変人揃いの咲-Saki-キャラでも屈指の淑女」という偏見を払拭したいと思う。
 一般的に、アニメ『咲-Saki-(通称一期)』『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』『咲-Saki- 全国編』は原作に忠実なメディアミックスだと言われている。かく言う私も、原作をほぼほぼ踏襲した脚本に、りつべが紙面や体力の都合、展開などを優先して削ったとおぼしき要素、説明が極力省かれている原作の脚注代わりにアニメスタッフが補完した要素を加えたのがアニメ『咲-Saki-』の基本スタイルだと思っている。原作から削られている展開はおろか、台詞すらほとんどない。基本的にはアニメ『咲-Saki-』の方が情報力が多い、ということで見解の一致を見るだろう。ときどき、親切心から付け加えたであろうアニオリ要素が原作のリズム感や情緒を損ねていて残念に思うこともあるのだが、今回の趣旨には関係ないのでまた次回にでも。
 『咲-Saki-』のアニメオリジナル要素で興味深いものを挙げればきりがない。一期アニメから例を挙げれば、県予選前日の部長とまこのやりとりだ。二人っきりで歩く夜道というシチュエーションと、気の置けなさが伺える会話が久まこ派のハートを熱くするぜ。あの熟年夫婦感は部キャプや久かじゅにはない魅力だ。『阿知賀編』なら、例えば憧の阿太中時代の友人である初瀬に関するエピソード追加だ。原作の初瀬は小走先輩の試合中にメガホンを落としてからぱったりと姿を消し、本編に再登場するのは準決勝中堅戦のオーラスになってからだ(いちおう、過去編である番外編には登場している)。しかし、アニメでは早くも阿知賀女子がインターハイへ出立する際に見送りに来るのである。あそこでの憧の手を取りつつ真摯に語りかける様子や、ちゃっかり憧の家にお邪魔している様子からは、初瀬が憧のことを強く意識していただろうこと、そして憧が新天地でも持ち前の対人スキルを発揮していたことが読み取れる。初瀬は単体でもなかなか面白いキャラだし、この人を通して憧ちゃーの資質や辿ってきた軌跡が透けて見えるので、この描写追加は大正解だったと思う。『全国編』なら、例えばシロやエイスリンのアバター(能力ビジュアル)追加だ。エイスリンについては思い描く理想が具体的に描写されたことで支配の範囲が判明したし、鬼姫様と同じタッチの可愛らしいビジュアルが加わったことで能力の凶悪さがより強く印象づけられた。シロは波紋のエフェクトが彼女の幽玄さと底知れなさを演出していたし、和了に向かって展開されていく霞さんの解説も場を盛り上げてくれた。特に「私たちが山から下りてきたこの時に、同じく山の中から下りてきた彼女たちがいたのはただの偶然なのかしらね?」の部分、シンクロニシティと言う現象が好きな人間にはたまらなかった。それにしても、シロは対局中の描写が格好良ければ良いほど、だらけている時とのギャップが活きてくるよね。つくづくおいしいキャラだ。
 ことほどさように、アニメオリジナルの魅力的な要素は枚挙に暇がない。しかし、それらに比べたら数が少ないが、逆に原作にしか存在しない面白エピソードもちらほら存在するのである。その内、今回研究対象にするのは『阿知賀編』の単行本カバー下に掲載されているおまけ漫画の、憧と穏乃と和と衣装交換をめぐる二本のエピソードだ。
 この新子憧はいわゆる変態淑女のレッテルをはられている……。憧ちゃーは物語のかなり早い段階から、しずへの愛が重い人だと見なされていた。曰く、しずの電話一本で順風満帆だった進学コースを蹴って阿知賀に進学を決めたのは、友達思いで頼りになると思う一方で、駆けつけるタイミングが良すぎるのも相まって微妙に怖い。曰く、インターハイ二回戦後、晴絵に突き放されたことで暗くなりかけたチームのムードを打破すべく「ラーメン食べたい!」と切り出したシズを見守る、涅槃に達したかのような慈しみの微笑みが逆に怖い。曰く、キャラクターソング「Live A-Life」の歌詞にあるシズトークがちょっと重い。そして、憧ちゃー淑女説の決定打になったのが、インターハイAブロック準決勝大将戦前に、なんだかよくわからないロジック(NYL)を展開してしずからジャージを剥ぎ取った一件だ。
新子憧 偏差値70は余裕系女子のロジック

「待った」
「え?」
「千里山の江口セーラ……
 浜名湖で見たときの格好おぼえてる?」
「全然!!」
「あの人 普段とかインタビューでは学ランなのに
 試合ではちゃんと制服なんだよね」
「………」

「??」

「だからシズも制服を着て試合しなさいってコト!」ぽんっ
「えー」(汗)

(『阿知賀編』第17局「大将」)


>「あの人 普段とかインタビューでは学ランなのに試合ではちゃんと制服なんだよね」
 うん、それは知っている。
>「だからシズも制服を着て試合しなさいってコト!」
 うん、強引ではあるがいちおう筋は通っている。
>「だからあたしが今着ている制服とシズのジャージを交換しなさい」
 これが偏差値70は余裕系女子のロジックだ!

穏憧と魔物の数字(100速の穏、高校100年生の淡、100巡先を視る怜)について真面目に語る


 以前の記事で語った通り、突っ込み所が満載である。三段論法の三段目が完全に明後日の方向に飛んじゃっている。そしてしずのジャージを着込んで超! エキサイティングするならまだしも、静かにアルカイックスマイルを浮かべていて、傍目には……何というか、その……そら恐ろしい。
 このシーンにおける憧の思考回路がさっぱり分からず、憧をサイコ淑女に認定してしまった人も多いのではないかと思う。しかし、実はこの場面において憧が何を思っていたのか明らかにするエビデンスが存在するのだ! それがさんざん前振りしてきた、単行本にしか存在しない要素の一つ、カバー裏のおまけ漫画だ。

(※憧、しずのジャージを着用しつつアンニュイな表情
 和がしずのジャージを着て、ファスナーが壊れかけたことを思い出しつつ)

(きつくない)

(『阿知賀編』6巻カバー裏漫画)


 ここで憧が回想しているのが、これまた『阿知賀編』1巻のカバー裏漫画の件である。

(※小学生時代のしず、憧、和)
ぜーはー ぜーはー
「早い…」
「フフフ あたしらの足に付いてくるとは
 やるね和!」
「健闘をたたえてユニフォーム交換だ和!」
「!? なんでですかっ」
「まあまあ」「まあまあ」

ど お ん っ
(※しずのジャージを来た和、和のふりふりな服を着た穏乃)

(すごい!! おそろしく似合わない!!!
 特にしず)

「ム…ムネがきつい…!」みしみし…
「ファスナーが!!」

(『阿知賀編』1巻カバー裏漫画「咲阿知賀編残念物語」)


 もし憧が性的なあれやこれやを主目的にしていたなら、衣服に残るしずのフェチなあれやこれやで頭がいっぱいでないとおかしいだろう。しかし、なりふり構わずしずの衣服を身に纏った彼女の頭に浮かんでいたのは、幼き日にしずと和と遊んだ記憶だったのである。ここを一般的な作劇の作法で読み解けば、憧が凶行に及んだ動機はこの小学生時代のユニフォーム交換遊びにある、ということだ。
 三人組、ことに腐れ縁の二人に後から一人が加わった形態のそれにおけるパワーバランスは、なかなかどうして難しい。加えてその一人が綺麗な上になかなかのものをおもちで、彼女らの共通の価値観である麻雀がべらぼうに強いときたもんだ。憧は三人で遊んでいた当時、自覚していたかどうかは分からないが、和を強く意識していて、対抗意識めいたものを持っていたと私は思う。それが最も強く表れているのが、麻雀で強くなりたい子が選ぶ阿太峯、インターハイに出れば三人で遊ぶことが出来る阿知賀、という彼女の進学先ではないだろうか。進学という将来の選択肢に関わってくる重大イベントの指標になるというのは生なかではない。また、速度重視のデジタルという闘牌スタイル、髪型などのファッションからもそれとなく伝わってくる。思えば「憧」という彼女の名前も象徴的である。和は自分にとっても、そして何よりしずにとっても親友で、だからこそ負けたくない。憧がそんな想いを抱いていたのは想像に難くない。ああ、甘酸っぱい青春の匂い。
 こうした三人の関係性を鑑みて、導き出される結論は一つ。憧はあの時、和としずのちぐはぐな服装にあきれた風でいながら、内心では「あたしたちはなかよし三人組のはずなのに、しずと和だけ特別な遊びをしていてずるい! あたしも同じ遊びがしたい!」と子どもらしい嫉妬をしていたのだ! 他人からすればどうでもよく思えることも、三人組の当事者で、ちょっぴりおませな憧にとっては重大事だったわけである。それは長年彼女の心に引っかかったままで、あのような絶好のシチュエーションが整った結果、想いが噴出してしまったというわけだ。なんとも微笑ましいではないか。しかし、何年も引きずるような想いをその場で口に出せず、後でこっそり実行してしまうところがいじらしいねぇ。憧ちゃーヘタレかわいい。
 もう一つ、憧ちゃー変態説を覆す証拠を提示しよう。今一度、しずのジャージを着込んだときの表情をご覧いただきたい。
うむ
 この澄み切った表情のどこに性的なニュアンスがあるというのだ?(反語) 私はそれとは真逆の、あどけない少女の笑みという印象を受けた。
 上述の動機に関する推理と、この満面の笑みを見ても、皆さんはまだ憧のことを「変態! 変態!」と言えるだろうか? 私は口が裂けても言えないな。……。いや、ひょっとすると……どうかすると……千に一つ、万に一つの可能性で……憧ちゃーも年ごろの女の子だから、相棒の脱ぎたてホカホカな着衣を着込むことで一体感を得ると同時にぬくもりとかほりを全身で感じ取ったり、相棒に自分の服を着せて自分色に染め上げたりすることで性的昂揚を得ようという目論見もなきにしもあらずだったかもしれない。衣装を交換した様子を全国放送のカメラに映すことで穏憧ジャスティスを世に知らしめようという魂胆も、雀の泪ほどはあったのかもしれない(初瀬は泡を吹いて倒れたかもしれない)。しかし、それらはあくまで本来の目的に付随するおまけ……もののついででしかなかったのだ! たぶんそうだ。きっとそうだ。十中八九そうだ。そうに決まっておろう。よし、決まり。……え゛っ? 「うむ。のところは一瞬でヘブン状態に到達して速やかに賢者モードへシフトしたのでは?」「試合後に服を再交換して『憧の体温であったかい!』『何言ってるの』のところの表情はどうなんですか?」だって? 言い掛かりはやめるのですボクたち!
 以上を以て、新子憧は決して変態淑女ではないこと、むしろ頑是無い少女であることの証明が終了した。QED。

 やくたいもない冗談はさておき、今回紹介したエピソードは物語内の歴史を感じさせるものだし、憧の中でしず、和と遊んだ時間が大きなウェイトを占めていることが分かる点も面白いと思う。カバー下漫画の原案が、りつべだったら流石だと、あぐりだったらタヌキGJと言わざるを得ない。
 このような原作限定の愉快な要素はまだまだ存在するので、折に触れて紹介していきたいと思う。

【関連記事】
穏憧と魔物の数字(100速の穏、高校100年生の淡、100巡先を視る怜)について真面目に語る
岡橋初瀬を再評価する 阿知賀編に見る友人関係のもどかしさ

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tags: 咲-Saki- 考察 
2014年05月04日

阿知賀のドラゴンロードの『阿知賀編Portable』での仕様について

松実玄の支配は裏ドラまで届くのか(Cat in the box,ミスタさん)
松実玄がリーチをかけられない,もう1つの理由(Danas je lep dan.,Mukkeさん)
【考察】松実玄は裏ドラを支配しているのか?について考えてみる(麻雀雑記あれこれ,しののぬさん)
松実玄は裏ドラにまで能力を及ぼしているのか議論について(nix in desertis,DG-Lawさん)
松実玄の槓ドラ支配&リーチについて便乗 燃え余ドラゴンロード とっぽい。

 遅きに失したという言葉すら生ぬるいが、上掲した松実玄の能力「阿知賀のドラゴンロード」に関する議論の一資料として、『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A Portable』における仕様を確認したので報告する。

基本的な仕様は原作と同じ
 すべてのドラ(赤ドラ含め)は玄に集まる……! 玄の手には配牌時点でほとんどのドラが積み込まれていて、以降のツモでも他家にドラが渡ることはない。また、彼女がドラを切ると「いったんお別れ……」という専用のボイスが流れて、次の局からドラが一切来なくなる。
阿知賀のドラゴンロード
 阿知賀のドラゴンロードの図。
玄が誓約を破ったあと
 玄が誓約を破ったあとの王者の手牌。

裏ドラに支配は作用しない
 「阿知賀のドラゴンロード」の支配力は裏ドラまで及ばない。玄がリーチを掛けて和了っても裏ドラが乗ることは保証されないし(既に他家の手、河、表示牌に出現している牌からも裏ドラが選ばれる)、裏ドラになる牌が予め手牌に集まることもない。なので他家はリーチして和了った時は通常通り裏ドラが乗る可能性がある。
ドラゴンロードは裏ドラまでは支配できない
 ドラゴンロードは裏ドラまでは支配できない。
玄のいる卓でも裏ドラは乗る
 玄のいる卓でも裏ドラは乗る(画像は玄ちゃーと並ぶ阿知ポ最強キャラ候補)。

槓ドラは確定した瞬間から支配され、制約の対象になる
 槓ドラは槓が宣言されて表示牌が捲られた時点から、玄の手に集まるようになる。玄が完全に支配しうる牌以外もドラに選ばれること、他家にドラが乗る可能性があることは裏ドラと同様。また、制約と誓約についても同じタイミングで適用される。既に玄が捨てていた牌が新ドラに選ばれた場合は誓約違反にならないが、確定後に捨てた場合は違反でドラが来なくなる。
ドラ表示牌、他家が捨てた牌も槓ドラになる
 ドラ表示牌、既に捨てられた牌も槓ドラになる。
支配を発揮するのは槓の後から
 支配を発揮するのは槓の後から。

リーチ・槓についても制限無し。自動でドラを切っても誓約違反になる
 玄がリーチを掛けられるか、他家が槓できるかについては、いくつか予定説・遡及的過去形成説に立脚した学説が展開されていたが、このゲームにおいては、玄は面前でテンパイしていて1000点持ってさえいればリーチできるし、他家も自由に槓を行える。なお、リーチ後のツモ切りでドラを捨てた場合も、制約を破ったと見なされてしまう。
「いったんお別れ……」
 「いったんお別れ……」

 以上のように、『阿知ポ』における松実玄の能力は「現在目視で確認できるドラを支配する。制約(誓約)に関しても波動が収束しているドラが対象になる」と言える。繰り返しになるが、これはゲームにおいての仕様であり、それもプログラミングで再現できることに限界がある以上、制作者(りつべしかりアニメスタッフしかり)の意向に100%沿っているかは分からない。あくまで参考資料ということで。
 ふんふむ、自分が資料として提示した「Square Panic Serenade」アニメーションの描写(槓ドラ候補は既に玄の手に集まっている)とは異なる動きやね。あと、仮に本編での制約もこの仕様だとすれば、玄は(Aブロック準決勝先鋒戦オーラスまでは)リーチを自分の意思で封印していたんじゃあないだろうか。
 余談だが、『阿知ポ』で我らが王者・小走やえを使用可能にするにはチャレンジモードをクリアしないといけないのだが、その条件が「プレイヤーはやえ、相手は京太郎1号・京太郎2号・玄、半荘戦、東1局1本場の持ち点91000点からスタート(原作でドラローの初撃を喰らった直後と同じ状況である)、110000点以上で終局しろ!」というもの。この課題に挑戦すると、同様のシチュエーションから115400点まで盛り返したおうじゃに畏敬の念が沸いてくるぞ。玄ちゃーの能力がいかに凶悪か、ドラを独占する奴を相手に二万点を稼ぐのがいかに骨が折れるか身に沁みて分かる。なお、CPUの玄ちゃーは無計画にリーチするので、気長に自滅を待ったり槓ドラを増やして妨害したりするのも手だ。

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tags: 咲-Saki- 考察 
2014年02月15日

咲-Saki-能力バトル講座 第4回 適材適所とジャイアントキリング

 みなさまこんにちは。『咲-Saki-』を能力バトル漫画の観点から解説していく記事の4回目になります。私は個人的に、『咲-Saki-』はその道でも『ジョジョの奇妙な冒険』や『HUNTER×HUNTER』に比肩する傑作だと思っているのですが、評価の底上げに少しでも貢献できればと思います。バックナンバーはこちら。
第1回 宮永咲の「嶺に咲く花(仮)」は能力バトル漫画の主人公にふさわしい能力だ
第2回 『咲-Saki-』と『ジョジョの奇妙な冒険』 能力バトルとパーソナリティ
第3回 『咲-Saki-』能力バトル解説 制約と誓約、ロジックとカタルシス
 能力バトルの面白さは多岐に渡ります。優れた作品においては、能力の由来や性質からその人の信念・思想・哲学といったパーソナリティが透けて見えるところが面白い。キャラクターの人間性が能力を、能力が人間性を引き立てる! 「ハーモニー」っつーんでしょうか。また、能力者が闘いに次ぐ闘いの中で、拡大解釈などによって能力を発展させていく成長の要素が面白い。能力を攻撃面だけでなく防御や補助にも応用させていく変幻自在さも面白い。『咲-Saki-』におけるこういった点の魅力については、過去の記事で拙いなりに解説できたかと思います。
 今回の記事では、能力バトルの、物理的なパワーや特殊能力の強弱以上に勝負を作用するファクターが複数存在することから生まれる面白さについて語っていきたいです。具体的には、一見何の役にも立たなそうな能力が、機転・知力や相手の能力との相性、あるいはシチュエーションによって輝けるところや、圧倒的な戦力差があろうとも自分のストロングポイントで相手のウィークポイントを突くことで善戦することが(どうかすると一点突破すら)可能なところなどです。

宮永咲の「プラスマイナス0」
 『咲-Saki-』本編のエピソード0と言える「出会い」「再戦」「勝負」の三話は、連載の試金石としてヤングガンガンに掲載されたものだそうです。掲載号の読者アンケートで数字が取れたことで、めでたく長期連載が決定したと聞いています。この短期集中掲載分は、連載の可否が掛かっていることもあってか、りつべもいつも以上に気合いを入れてネームを切っているのが伝わってきます。見せ場がこれでもかと詰め込まれていて、凄まじい密度があります。そして、このエピソードを限りなくドラマティックにしているのは、王道のジャイアントキリングの構図だと私は思っています。
 このエピソードにおける主役はわれらが主人公、宮永咲さんです。咲さんといえば最近では「牌に愛された子」(藤田)「すっげーモンスター」(戒能)などの言葉に代表される圧倒的強者のイメージが強いですが、この短期集中掲載分では「一芸で以て強者を出し抜く」キャラクターの側面が強かったように思います。エピソード0におけるハイライトの、部長の手回しによって実現した、咲さんと和のリターンマッチ。双方の戦力分析をすると、和は前年度のインターミドルチャンピオンであり、文字通りの王者です。前日に行われた前哨戦においても、咲さんに一位を取る気がなかったとはいえ大差で連続トップを取り、肩書き通りの強さを見せつけます。対する咲さんの切り札……もとい現時点で提示されている唯一の武器は、負けたらお年玉を巻き上げられて勝っても怒られるという理不尽きわまりない家族麻雀を戦い抜くために嫌々習得した、点数を調節して最終的に自分の収支をプラスマイナス0にするスキルです。このスキルの効力は、前日に行われた前哨戦の結果と、リターンマッチの前半戦で、他家が全力で妨害に掛かる中、咲さんが点数をプラマイゼロにするという勝利条件を奇跡に近い確率をくぐって満たしてみせたことで示されます。作者のりつべは読者に対して、咲さんは点数をプラスマイナス0にする技術の一点においては和の上を行くことをわかりやすく説明したわけですね。いわゆる手持ちのカードの開示です。
 これは余談ですが、私が以前提言した固有結界説に当てはめれば、ここで咲さんの点数調整スキルは奇跡の目撃者たちによって「能力」として観測、固定化されたわけですね。
照や衣や怜や淡は固有結界の術者だった……?
 しかし、この保守的な能力は、麻雀の本質を一試合の中でゼロサムな点数を他家と奪い合って一位を目指すことだと定義するならば、無用の長物とすら言えてしまうでしょう。話は単純で、一位を取るとオカの二万点が入るわけですが、その分を考慮したマイナス二万点で一位になるのは絶対に不可能だからです。そんな咲さんの人畜無害だった能力が、名伯楽(部長)によってもたらされた「自分は1000点、他の三人は33000点持っていると考える」という奇想天外な発想一つで、研ぎ澄まされた牙に変わり、王者である和の喉元を食い破る。この「逆転の発想による逆転劇」にゾクゾクさせられました。繰り返しになりますが、このような発想の転換一つが勝敗を分ける先の読めなさが、能力バトルの魅力の一つではないでしょうか。そして、話が進むに連れてプラマイゼロ能力が及ぼす支配のベクトルが攻撃へ変化していくのが、咲さん自身の「勝ちたくも負けたくもない」という消極的なスタンスが「勝ちたい、原村さんに勝てて楽しかった」という楽しむ態勢へと変わっていくこととリンクしているのも素晴らしいですね。作者の並々ならぬネーム力を感じました。
 もはや耳タコかもしれませんが、『咲-Saki-』の能力バトルは人間ドラマと密接に関わっているからこそ灼アツなのだと私は思っています。

染谷まこの「卓上記憶(仮称)」と妹尾佳織のビギナーズラック、エイスリン・ウィッシュアートの「ウィッシュアート(仮称)」、ハオ慧宇の中国麻将
 突然ですが、まこの能力によい愛称はないでしょうか。「まこンピュータ」とか「卓上福笑い」とか、Bブロック準決勝の内容を取り入れて「見たことのある景色」とかいろいろ考えたのですが、しっくりきません。
 思えば、この人ほど能力の相性差が激しくて、人によって評価が分かれる人もいないですね。ポケモンで言うなら、四倍含む弱点が多いかわりに耐性・無効が多くて、対戦考察WIKIなら「得意不得意がはっきりしていて相手を流しやすく流されやすい」とか書かれそうな感じ。まこの武器は、子供の頃から雀荘の手伝いをしているうちに目に焼き付いた、麻雀のいわゆる「定石」のイメージ映像です。その膨大なインプットを基に、卓全体を人の顔に見立てて有利不利を判断し、攻め時や他家を妨害するタイミングを計っていることが劇中で語られています。私はそれに加えて「見知ったイメージの場に対して、見知った結果を重ねたり、歪ませるイメージを重ねたりしてコントロールする」能力を有していうと思うのですが、この辺の話は「キャプテンや部長は能力者なのか?」という議論と同様に終わりがないので、ほどほどにしておきましょう。
 さて、まこはこの擬似的な予知能力のおかげで、癖がなくてオーソドックスな打ち筋を得意とする打ち手には無類の強さを発揮します。「オカルトにしろ何にしろ 相手がまこの見知った顔しか作れないのなら…… まこはそう簡単に負けないのよね」とは部長の弁。例えば、彼女はインターハイ二回戦で、全国でも上位レベルの能力者であろう宮守女子のエイスリン・ウィッシュアートをチンチンにしています。彼女の実力は「千里山に荒川憩と愛宕洋榎でもいれば(白糸台と)いい勝負ができたかも」とまで言われる愛宕洋榎お姉ちゃんが「だからこそ強い」と太鼓判を押す末原恭子先輩が「こいつが永水で一番ヤバい」とカタカタしつつ恐れた石戸霞さんが宮守で唯一警戒していた「マヨイガの子」小瀬川シロが「どうせエイスリンが勝つしなぁ…」と全幅の信頼を寄せるほどです。麻雀を始めて数ヶ月のエイスリンを強者たらしめているのは、卓上に理想の牌譜を描く、というとんでもない能力の存在です。末原さんによると、地区予選のエイスリンは、和了の形こそ普通なれど、面前で13順目までに聴牌する確率が統計からかけ離れて高く、ほとんどの局を和了ったそうです。そんなオカルトを可能にする能力の支配圏は、先日放映された『全国編』6話のアニメオリジナル描写で、自分の手だけでなく卓全体まで及ぶことが確定しました。あな恐ろしや。その支配力の広範囲さと安定感は、地区大会通算での和了率全国1位という実績からも伺えます。しかし、これだけ強いエイスリンの能力も、相性によってまこには敵いません。エイスリンが「理想」を投影しつづける限り、自動的にまこの(『咲-Saki-』世界においては比較的)射程範囲が狭い代わりにより強い能力の発動条件を満たしてしまうわけですから、結果は推して知るべしですね。「常識の範囲内においてなら」最善の展開を続けられるぶっ飛んだ能力は、その緩やかな制限故に「常識」のパターンを崩す相手に滅多打ちにされてしまうのです。こういった、総合力が圧倒的に高い能力を一部が尖った能力が相性で打ち破る、というのも燃える展開の一つですよね。
 一方で、まこにイメージの蓄積がない打ち筋、佳織の初心者ゆえの不可解なそれや、ハオの点効率何のそので自分のスタイルを貫き通すそれには、この能力はまったく役に立ちません。むしろイメージの先入観がマイナスに働きかねません。話が遡って、まこは長野県予選決勝において、佳織の意味不明な河から顔が見えない=予知能力がうまく働かないことで呼吸を乱してしまい、そのまま体勢を立て直せずに終わってしまいました(おそらく)。今まで当然のように見えていたものが突然見えなくなる困惑はわれわれには窺い知れません。インターハイ準決勝で一時、一巡先すら見えなくなった怜の絶望に近いでしょうか。
 ときに、多くの人が指摘していましたが、まこの不可解な鳴きに翻弄されても能力の一転張りを続けるエイスリンの姿は、県予選では翻弄される側だったまこの姿に重なります。チェス盤がひっくり返ったのごとくですね。
 話はまた進んで、インターハイ準決勝。まこは再び、イメージの蓄積がないハオの中国麻将スタイルに苦戦します。しかし、今回は回想と部長との絆を再認識することによって精神を落ち着けて、普通の経験と知識の蓄積で戦うようスムーズに切り替えることに成功します。結果、失点を最小限に抑えつつ久に繋げることが出来ました。同じ憂き目にあえど同じ失敗は繰り返さない、というのは単純で大事なことですが、なかなかどうして難しいものです。自分が慣れしたんだスタイルに係わっていることならばなおさら。それを可能にしたのは、部長の的確な指導・アドバイスと、県予選で優希の仇をとれなかったことをふがいなく思う、先輩としての矜持だったのではないでしょうか。

ポン
「今度こそ本当に カタキとっちゃるけえのう」
「…! うん…っ」

(第75局「奪回」)


 まこはもともと好きなキャラだったのですが、全国編では人間的な深みがさらに増して、ますます高感度が上がりました。

宮永咲の「嶺に咲く花(仮称)」と天江衣の「イーシャンテン地獄」
 魔境長野の竜虎相搏つ決戦については以前の記事に詳しいので割愛します。咲さんは前段で解説した和との対決においては、プラスマイナス0の能力を主たる武器にしていましたが、この試合では嶺上開花に関する能力がクローズアップされています。この漫画は衣のような一見無敵に思える能力者にも、咲さんや「深山幽谷の化身」の穏乃のような「天敵」が存在するのがとてもよいです。強さ議論やドリームマッチの妄想がより一層盛り上がります。

花田煌の「すばら(仮称)」
 花田煌の絶対にトバされない能力「すばら(仮称)」は、インターハイが団体戦の形式であり、彼女が新道寺女子のメンバーであり、そして先鋒戦で対する相手が「高校生一万人の頂点」宮永照だからこそ輝いたのでしょう。
 ときに、煌が配置されていたのが先鋒ではなく、次鋒や中堅だったらどうなっていたでしょうか。私には白糸台のNo2である「シャープシューター」弘世菫に蜂の巣にされたり、「千里山の元エース」江口セーラの火力に沈み、「阿知賀はこの子が一番上手い」新子憧のスピードに翻弄され、渋谷尭深の「ハーヴェストタイム」に大きいのを貰う未来しか見えません。少なくとも、新道寺の中堅レギュラーである安河内や江崎以上の働きが出来たとは思えないです。また、先鋒戦での回想で、白水哩と鶴田姫子が煌の代わりにレギュラーを外された友清なる人物について言及しています。煌は一個人の戦力としては、他校のレギュラーはおろか自チームの控えにすら劣ると推察されます。そして、いくらトバないとは言っても、咲さんの項と同様に、麻雀の勝利条件を「一試合中に相手より多く点数を奪う」ことだと定義すれば、火力やスピードの補強、そして防御においても虫の息になるまで効力を発揮しない能力は、存在意義を疑われても仕方ないでしょう。しかし、この能力は、ことインターハイAブロック準決勝先鋒戦、ガン首を並べた各校のエースを蹂躙するほどの怪物である照がいる卓においては、最強の加護になるのです。面白いことに、照と他の選手の間に試合の成立すら危ぶまれるほどの実力差があるからこそ、煌の「試合の終了だけは防ぐ」という極めて局所的な能力が意味を為すわけですね。
 煌の準決勝先鋒戦の成績は、収支だけで考えるなら惨敗に近いでしょう。しかし、忘れてはなりませんが、これは団体戦です。最初の一人がどれだけ削られようが、後ろの四人がそれ以上に稼ぐことができればチーム全員の勝利になります。そう、最初の一人が「トバされて」試合が終わらない限りは、厚い薄いはともかく勝ちの目は残っているのです。そして、煌の所属する新道寺女子は、薄い勝ち目さえあれば逆転が可能なほどの圧倒的エース、鶴姫とシローズを擁します。このダブルエースの存在によって、煌の仕事が値千金の価値を持つわけですね。じっさい、新道寺は副将からの猛追で決勝進出まであと一歩のところまで競ることができたのですから、煌は自分の仕事に胸を張ってよいと思います。そして、煌に対して捨て駒役を任せることを告げる悪役を引き受け、自らの手で煌の失点分を取り返して責任を果たした哩さんは最高に格好いいと思います。
 私は個人的に、Aブロック準決勝先鋒戦がこの漫画のベストバウトだと思うのですが、照の「最強」の能力と煌の「最低限」しかない能力の勝負というシチュエーションも非常に熱かったです。

弘世菫の「シャープシューター」と松実宥の「あったか~い(仮称)」
 これも過去の記事でくどくどと語ったのでそちらを参照してください。宥姉が弘世菫のシャープシュートを回避できたのは、晴絵の観察眼と知略があったればですが、そこから和了のルートに戻る際に「あったか~い」による牌効率ブーストの恩恵を大いに受けています。しずは大星淡倒すマンとして、阿知賀女子の残りの四人の中で弘世様に最も相性がよいのが宥姉でしょう。次いで相性がよいのがボーリング打法の待ちを狙われても晴絵譲りの古風な打ち手へのシフトが可能な灼で、逆に致命的なまでに相性が悪いのが玄でしょうか。

「なあ好奇心で聞くんだが……DIO」
「君が出会った『スタンド』の中で……
 一番『弱い』スタンドって……どんなヤツだい?」」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「どんな者だろうと人にはそれぞれその個性にあった適材適所がある
 王には王の……料理人には料理人の……
 それが生きるという事だ
 スタンドも同様『強い』『弱い』の概念はない」

(『ジョジョの奇妙な冒険』)


 ここの引用は二回目ですかね。小林立は「王」たる魔物の常軌を逸した能力を魅力的に描く一方、「料理人」のいぶし銀な仕事を描写するのも抜群に上手いです。そして、時には料理人が王を討ち取るような話まで展開できるのが素晴らしいと思います。料理人が戦うといえば、少年ジャンプのやたら熱い読み切り漫画『格闘職人アウディ』って知りません? どうでもいいですか。
 別件で、『咲-Saki-』は団体戦を主軸にしたことでより面白いコンテンツになったという話は、また別の記事でじっくり語りたいと思います。

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