2018年05月22日

バーチャルYouTuberに学ぶトーク力・コミュニケーションスキル(ニコニコ超会議2018) 後編

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

企画:バーチャルYouTu"BAR" | ニコニコ超会議2018 公式サイト


月ノ美兎

【美兎】
はいそれでは次の方どうぞ
はい、お名前を聞かせてください
【相談者】
あっ○○って言います
【美兎】
○○さん? 気を付け、着席、うふふふふふ
気持ちがいいですね~
【相談者】
はい、どうも
【美兎】
○○さん、こんにちは、はじめまして
【相談者】
はじめまして
【美兎】
お悩み聞かせていただいてもいいですか
【相談者】
まあお互い肩の力でも抜いてお話ししましょう
【美兎】
はいっ、リラックスリラックス
【相談者】
えっとですね、自分、よく映画を観るんですよ
【美兎】
はいはいはい
【相談者】
僕、サメ映画が好きで、よく観るんですけど
よく周りの方にね、お勧めするんですよ
【美兎】
何を?
【相談者】
えっと……『シャークネード』
【美兎】
あっ出た、くはははは……
わたくしも……そうですね
【相談者】
で、それを勧めると、たいがい友だちに「あーそれクソ映画だから、見ねぇよ~」って言われるんですよ
【美兎】
あ~、はいはいはいはいはいはい
【相談者】
んで僕思うんですよ、委員長、あの、クソ映画ってそもそも何なんですかと
【美兎】
あっなるほどね、あのね、クソ映画でも笑って見られるなら神映画ですよ
その、私もその題名をね、よく観ろ観ろと言われるんですけど
たぶん観ないでクソ映画認定している人、たくさんいますから
【相談者】
そうですよね
【美兎】
一回観てみろと
あの『時計仕掛けのオレンジ』って観たことありますか?
【相談者】
あ~ありますよね、観てないですけど
【美兎】
それみたいな感じで、椅子で拘束させて、あの目ん玉かっぴらくあの機械とか用意して、あの定期的に目薬差してあげたりして
無理やりその『シャークトルネード』、見せてあげてください
【相談者】
いいですね~
【美兎】
エッヘヘッヘヘ
【相談者】
じゃあ、見てるであろう僕の友だちにね……
【美兎】
うん、あっいるの?
【相談者】
見てると思いますよ
【美兎】
あー本当に? あははは
【相談者】
見るって言ってたんで……じゃあ、お前は今度、覚悟しとけよ!
【美兎】
ブハハハハ! そうですよ、あの、この人の出す料理には気を付けて下さいね
【相談者】
うはははははは!
【美兎】
睡眠薬とか盛られてるかもしれないですから
【相談者】
がっつり、入れてやりますよ
【美兎】
がっつりね、致死量入れてあげて……
【相談者】
わはは!
【美兎】
これ、殺人教唆みたいになる……ありがとうございました!
【相談者】
ありがとうございました!


 やっぱり委員長のトークは面白いなぁ。ぶっつけ本番のトークで作品の一場面をわかりやすく引用しつつ愉快な話に持っていくのは相当語り慣れていないとできない。有名映画を引っ張ってきたのも、相談者が映画好きというのを受けての適切な返しだろう。生成されるパワーワードの訴求力、適度に横道に逸れて語られるサブカルトークやエピソードの面白おかしさ、最終的にもっともらしく話を仕上げる構成力はVtuber界でも随一だと思う。
 ちなみに、私が委員長の数ある資質のうち最も突出していると思うのは、不測の事態に出くわした時の爆発力だ。それが顕著に表れていたのが、このお悩み相談が終わった後、幕間のインタビューでのでろーんも巻き込んだハプニングでの機転なのだが、後でちょっとだけ語る。

【美兎】
じゃあ次の方、お名前をお願いいたします
【相談者】
○○と言います
【美兎】
○○さん? では気を付け、着席! うふふふ
【相談者】
よろしゃす
【美兎】
○○さん、顔バレ対策がばっちりですね えへへ
【相談者】
そうです、あの~、バイトを始めようと思いまして
【美兎】
サイト?
【相談者】
バイトです
【美兎】
バイト? はいはいはい
【相談者】
委員長さん、あの高校生ですけどバイト経験豊富と言うことで
【美兎】
はいはいはいはい
【相談者】
あの~工場勤務以外で何かお勧めのバイトとか教えてほしいんですけど
【美兎】
あ~なるほど、お勧めのバイトですね? なんだろうな
なんかけっこうわたくしはね、あの~すごいインドア派で身体を動かすの苦手なんですけど
【相談者】
はい
【美兎】
でもね、なんか身体動かす系のやつ意外と時間がすっごい長く、あの早く流れて
たぶん工場勤務の後にやったからだと思うんですけど
【相談者】
ふふふ
【美兎】
そう、意外と忙しい仕事ってどんどんどんどん時間が早く過ぎていくから
【相談者】
あーそうですね
【美兎】
そういう方がわたくし精神的苦痛にならなくてね、割りと向いていたんですよ
だから、あっ引っ越しとかどうですか? 引っ越し
【相談者】
あ~……そうですね
【美兎】
そうあの、なんか人の家の中入って、いろいろプライベートとか見れるらしいんですよ
【相談者】
はい
【美兎】
うふふふふふ……
【相談者】
それ、楽しそうですね
【美兎】
そう! すごい楽しいって引っ越しバイトの友だちが言ってたから
そうそうそうそう……そうあの筋肉も付くし、あの人間観察もできるし、
そう人の家の中土足でずかずか上がり込んでこれるっていう快感がね
【相談者】
あはははははは
【美兎】
目覚められるかもしれないので、わたくしそれお勧めしておきます
【相談者】
あっ、や……ってみます
【美兎】
はい! ありがとうございます
【相談者】
最後に一つ、いいですか
【美兎】
うん?
【相談者】
委員長、好きです
【美兎】
あらー!? ありがとう、ありがとうございます


 それと、委員長の話で特徴的なのが、友人のエピソードや聞かせてもらった話を効果的に引用しているところ。上掲の回とか、ポイフルの布教の回はそうだね。この人の話題の引き出しが多いのは、自身が好奇心旺盛な上にアクティブなおかげで生活しながら話のタネを集めているのに加えて、友人や家族との会話から仕入れている情報もまた多いからだろう。当たり前田のクラッカーだが、話が面白い人というのはだいたい友だちの数が多くて幅が広い。委員長に関してはリスナーのコメントもみとらじのハガキ職人もレベルが高いし、面白い人の周りに面白い人が集まる好循環を維持しているように見える。

ばあちゃる

【ばあちゃる】
ハイじゃあ次の方どうぞ~、ハイハイ、ハイハイ
【相談者】
あっ○○と申します
【ばあちゃる】
あっ○○○○、よろしくね○○、○○大好きだよ
ハイハイ、ハイ
【相談者】
えっと僕、トーク力がめっちゃほしくてですねぇ
【ばあちゃる】
ハイハイ
【相談者】
ばあちゃるさんとか、他のVtuberさんの動画を見させていただいて参考にさせてもらってるんですけど
【ばあちゃる】
あーああー、まじか
【相談者】
あのもうぜひちょっと、この機会にですね
【ばあちゃる】
はいはい
【相談者】
まああのトーク力の化け物、トーク力の化身と言われたばあちゃるさんに
【ばあちゃる】
はいはい
【相談者】
トーク力アップの極意をご教授いただけたらなと
【ばあちゃる】
はいはいはい、はいはいはい
えっとですねばあちゃるくんはですね、トーク力ねほんとにね
とんでもなく語彙力ないしひどいっていうのでたくさん言われるんですけど
【相談者】
ははっ
【ばあちゃる】
一つだけあのね重要なのはね、トーク力ね、あのなんつの、ノリだと思うんですよね
ノリだとね、もうねもうこの段階からウワーッとやってみましょう一緒にね
【相談者】
はい
【ばあちゃる】
いきますよせーの
ハーイハイハイハイハイ、ハーイハイハイハイハイ
【相談者】
ハーイハイハイハイハイ、ハーイハイハイハイハイ
【ばあちゃる】
そうそうそう、で顔も揺らす顔も揺らす、そうそうハイハイハイ
【相談者】
ははははは!
【ばあちゃる】
ハイハイハイハイ、ばあちゃるくんたぶん10単語くらいしかしゃべってないんでね
【相談者】
はははは!
【ばあちゃる】
そのノリでいけると
【相談者】
わかりました
【ばあちゃる】
ハイハイ頑張って下さいね、ハイハイハイハイ
ありがとうございます
【ばあちゃる】
ありがとうございます、ハイハイハイハイ


【ばあちゃる】
ハイハイハイハイどうぞどうぞ
お名前うかがってもいいですか
【相談者】
えっと白馬組の○○っていいます
【ばあちゃる】
白馬組の○○さん?
【相談者】
はいっ
【ばあちゃる】
○○○○~! どうもどうも○○○○~! ハイハイハ~イ
シロちゃんも見てるからね○○○○~! ハイハイハイハイ、ハイハ~イ
○○ね~、何でも質問してくださいねハイハイ
【相談者】
あの、大学受験したいんですけど
【ばあちゃる】
大学受験したい? ハイハイ
【相談者】
バーチャルYouTuberのシロさんとかウビバが好きすぎて
【ばあちゃる】
ハイ、ハイハイハイ
【相談者】
ひと言がんばれって言ってくれたら、がんばれるんで
【ばあちゃる】
いやいやいや~○○○○、ほんと○○○○ねほんと君ならできる、やればできる、なんでもできる
【相談者】
ううっ……。
【ばあちゃる】
ん~シロちゃんも応援してますからね○○○○
【相談者】
……。
【ばあちゃる】
がんばるんだよ○○、んもう○○○○ならね何でもできますからね
仮にですね、大学受験なんか失敗したところで人生においてあん~どうでもどうでもいいのでねハイ――
【シロ】
――がんばれ~! がんばって~!

【ばあちゃる】
あっシロちゃん
【シロ】
おほほいおほほいおほほい!

(会場大歓声)
【相談者】
……
【ばあちゃる】
ハイハイハイ、○○○○ほんとね、だからね全然ね大学受験なんて気にせずね、ハイハイハイもう大丈夫
人生なんてね、いくらでもやり直しがきくんですからね
泣いちゃダメですよ○○○○、○○○○っ、○○○○ちょっと
ばあちゃるくんが泣かしたみたいになるとほんとにね荒れるんでね
(会場笑い)
ちょっと炎上、炎上しちゃうんでねハイハイハイハイハイ
○○○○っ、○○○○ならなんでもできますよ
○○○○っ、がんばってくださいね
【相談者】
っ、ありがとうございます……
最後に「ウビバ」って言ってもらっていいですか?
【ばあちゃる】
オッケー○○○○、ウビバウビバウビバウビバ~!
ハイハイハイハイ、○○○○っがんばってくださいね
【相談者】
ありがとう……
【ばあちゃる】
大丈夫ですよ、ねっハイハイハイハーイ
ねっ「女を泣かせる馬」ってコメント書いてありますけどちょいちょいちょい、あああああああ~、ちょいちょいちょい
「馬が女性を泣かせた件」とかやばいやばいやばい


 ばあちゃるのゆるゆるながらも途切れないトークは、一つの才能ではないだろうか。相談の中で10単語くらいしか使っていないとおどけているが、それだってここまでしゃべりづづけるのは並じゃあない。委員長のトークで押していた時間を巻きにするほどの捌きっぷりは見事だった。ノリのよさややったれの精神が時に語彙力や表現力よりモノを言うという、ある意味コミュニケーションの本質を突いているのがこの男だ。
 他にばあちゃるのスタイルで注目してほしいのは、初対面の相手も積極的に名前で呼んでいるところ(引用文に占める○○の割合でわかる)。これはアカリちゃんも実践してるね。みんな実体験でわかっているだろうけど、相手から話しかけられる時に「ねぇ」「あの」を使われたりいきなり本題から切り出されたりするのと、「○○さん」から入られるのでは、話の受け入れやすさも相手の印象もまるっきり違ってくる。あと、ばあちゃる流のあだ名(名前の最初の二文字を繰り返す、みとみとやそらそら)は単に勢いや語感を優先しているのかもしれないが、相手をあだ名で呼ぶのも緊張や警戒を解く定番のアプローチだね。
 ばあちゃるの何が強いかって、自分がどんな立ち位置にいて(シロのバーター、使い魔にも満たない男)、何ができなくて(一人で面白いことをする)代わりに何ができるか(間を持たせる、場をとりなす、サンドバック役になる、絶対的スターであるシロを呼ぶ)をちゃんと理解していて、その上で道化になれるのが強いんだ。賑やかしやヘイトのタゲ取り、シロちゃんの保護者兼通訳としてとにかく優秀で、アップランドにとっては得がたい人材ではないだろうか。

スターは持っている
 以下、記事の本旨とは外れる。
 芸人は話が巧い、芸が面白いというのはある意味当然で、その中でも笑いの神に寵愛されたスターは天運を持っている。計算や作り込みを超越して、機運を掴み取って最高のパフォーマンスを発揮する天性のセンスがある、というのが私のスターに対する持論である。

【アカリ】
おい○○、お前シャキッとしろよシャキッと!
【相談者】
はい!
【アカリ】
あぁ!? 口ついてるんだろ? 目ぇついてるんだろ?
下何ついてるんだよ?
(チンチンという時間制限を告げるベルの音)
【アカリ】
そう、このチン……どぅへへへ、いややだ~
(会場爆笑)
いっ、いいところで音が鳴ったからさ~ふふふふふふ
そう、男ならシャキッと、一発カマしてこいやァ!!
【相談者】
はいっ、がんばります!
【アカリ】
はいっ、がんばれ~! うふふふ、ありがと~
【相談者】
ありがとうございます!
【アカリ】
ありがとう~、○○ありがとうね~、ふふふふふ


 アカリちゃんがいつかの放送で「下ネタをやろうとしてるわけじゃない、下ネタのほうからアカリにすり寄ってくる」と言っていたが、返す言葉もない。大舞台でこれを引き寄せるのは並じゃあない。

【兜蟹さーみー】
もともと他の方を見てた、ファンだったんですね
【美兎】
そうなんですよ
【兜蟹さーみー】
へー
【兜蟹赤丸】
ちょっとちょっと待ってください、ちょっと待ってください
【兜蟹さーみー】
なんなん?
【美兎】
なんですか?
【兜蟹】
……吸い込まれそうな瞳をしている……
【兜蟹さーみー】
ははははははは!
【楓】
――やめとけー!!!

【美兎】
うはははははははは!!!
【兜蟹さーみー】
なんだ、なんだ?
【兜蟹赤丸】
やめとけー? って
【兜蟹赤丸】
やめとけーって
【美兎】
あっ、すみませんちょっとわたくしのかのピッピが、ちょっと、後ろで
えへへへへへ
【兜蟹さーみー】
ファンが凄いぞ!?
【兜蟹赤丸】
びっくりした!
【美兎】
すいません、後ろにかのピッピが控えているので……
【兜蟹さーみー】
あーそうなんですね
【兜蟹赤丸】
すいませんそれは……


 ここぞというタイミングでばあちゃるのマイクを奪って割り込むシロちゃんといい、前日のいちゃいちゃ同室配信からミラクルを繋げるかえみといい、この人たちは「持っている」としか言えない凄みを感じた。やっぱりスターは持っている。

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

2018年05月17日

バーチャルYouTuberに学ぶトーク力・コミュニケーションスキル(ニコニコ超会議2018) 中編

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

企画:バーチャルYouTu"BAR" | ニコニコ超会議2018 公式サイト


 先に断っておくと、静凜先輩と田中ヒメのパートは見ていない(履修できていない)。シロちゃんのパートは、為になった。

ねこます(バーチャルのじゃロリ狐娘youtuberおじさん)

【ねこます】
次の方どうぞ―
【相談者】
こんにちはー
【ねこます】
こんにちはー
【相談者】
○○と申します
【ねこます】
あっ、○○さんはじめましてー
【相談者】
はじめまして、ちょっと真面目な相談なんですけど
【ねこます】
はい
【相談者】
これからけっこうVRとか、ARとか、MRとか、どんどん世の中に進出してくると思うんですよ
【ねこます】
はい
【相談者】
で、そう世の中がなってくることによって身につけておくべきITリテラシーってどんなものかっていう
のじゃおじさんの考えを教えてください
【ねこます】
あー、難しいことじゃよね
まぁ、あのー、どういうのを身につけるべきかっていう風に
要は技術ありきで考えちゃうよりは、その自分の好きなこととか、あの実現したいことをまず先に考えてそれに合致したスキル……セットを揃えていくのがいいと思うのじゃ
例えば、あのー例えばキャラクター表現が好きな人はイラスト描いたりとかすると思うんじゃけど、それなのに今、あの流行だから
人工知能の勉強しようって言ったって、結局違うわけじゃないですか
【相談者】
はい、はい
【ねこます】
だから、大事なのは、トレンドの技術を追いかけるのも確かに大切なことなんじゃけど、まずやっぱり、その自分に合ってるとか自分の特性? を考えて、から何かす、スキルセットを揃えていくほうが、なんか時代とかに左右されないと思うので、なんか、そういう考えのほうがあのなんか、自分、要は人によって合う合わないがあると思うので、なんかそっちの方が結果的には、自分の能力が引き出せるのかなと思います
【相談者】
ああっ
【ねこます】
じっさい、わらわがUnityを始めたのも、あの絵が下手だから、あのーテクニカルアーティストにはなれないなっていう風に思ったので
【相談者】
あー
【ねこます】
要はスキルセットを広げて、なんかいろいろできる芸人みたいなポジションを目指そうと思ったので、Unityを選択したのであって、VRとARがもちろん流行っているという背景もあるんじゃけど、なんかそこだけを見て、あのUnityを始めたわけじゃないので
自分はそんな風に考えているのじゃ~、あっ、わらわはね、わらわは
【相談者】
はははっ、ありがとうございます、勉強になりました
【ねこます】
ありがとうございました~


【ねこます】
お次の方どうぞ~
【相談者】
どうも~
【ねこます】
はいどうも~、○○って言います
【ねこます】
あ~○○さま、はいよろしくお願いします
こんなところに来てて大丈夫ですか?
【相談者】
はいっ、今あのフリーランスでLIVE2Dのモデリングでご飯食べてるんですけど
【ねこます】
はいっ
【相談者】
あの、このままバーチャルYoutuberブームが終わった後に食いっぱぐれるのが怖いです
【ねこます】
あーでも、その、あのちょっとLIVE2Dの歴史を流すと、あの歴史を話すと長いんじゃけど、まああのえっと、もともとそもそもLIVE2Dっていう技術もその、まぁなかなかその、浸透しなかった時期があって、そこで『俺妹ポータブル』っていうのが出て、一回跳ねて、その後スマートフォンブームが来て、スマートフォンのその上位のアプリ、にはLIVE2Dが採用されてて『あん○○ぶるスターズ』さんとか、あのーなんかえっと『○○○○』とかたぶんあると思うんですけど、まぁそういう風にあの採用されてまた伸びて、今また今度Vtuber需要が出てっていう感じで
要は、あの2Dのスプライトアニメーションの技術って、あのー要はそのときどきに求められるコンテンツと手段として有用なので、なんかそれをたぶん数あるスキルセットの中の一つとして持っているのはすごく有効だと思うので、なんか、そのLIVE2Dの技術はすごく、2Dのアニメーションさせようとしたときは、すごく普遍的なものなので
何かそれ一本では確かに厳しくなる時代もあるかもしれないと思うんじゃけど、あのスキルセットのバリエーションとしてはすごい、あのいいと思うし
むしろわらわはプロのライセンス買って、結局お仕事できなかったからね~! なのでわらわからしてみればうらやましいです
【相談者】
はい
【ねこます】
なので、まぁあの~、あのLIVE2Dに固執せず、少しずつ少しずつ数あるスキルセットのうちの一つとして捉えてみて、なんかあのー
や、やれば、なんかもうわらわがアドバイスするようなことだと、じゃないと思うんじゃけど、なんか、大丈夫だと思います
そのときどきで求められる技術も、あの求められるコンテンツも変わりますので
【相談者】
……深いお言葉、ありがとうございます
【ねこます】
いえいえ、なんかその、そう、ありがとうございます


【相談者】
こんにちは~
【ねこます】
こんにちは~!
【相談者】
○○と申します
【ねこます】
あっ、○○さん、はいっよろしくお願いします
【相談者】
よろしくお願いします
あの、僕何しても長続きしなくて、ねこますさんはあのバーチャルYoutuberとしてやっていく上で大変なこともいろいろとあると思うんですけど、ずっと続けてける原動力って何なのか教えてください
【ねこます】
はいえっと、わらわも逆に、そのゲームとかは、ゲームとかを継続するのが苦手で、まあなんか、ゲームってある段階の強さまでいっちゃうと、そのそれよりも先に、行った先に何があるのかって気持ちになっちゃうと思うんじゃよ
要は、その人の思ってる価値観によって、続けれること続けられないことってたぶん変わってきちゃうので、なんか改めて、自分が一番大事とする価値観とは何かっていう部分を一回整理、気持ちを整理してみて、で~それで、その価値観に近いところを続けていくしかないと思うんじゃよね
わらわも、その創作活動を続けて、絶望~的にやる気ない時とかももちろんあるんじゃけど、結局、じゃ、創作活動以外の何かをするかっていったら、別になんか、ゲームずっ~とゲームばっかり続けてたいわけでもないし、なんかあのお菓子……なんかグルメみたいな感じで外食しまくる、だけでもないし
たぶん、結局創作活動以外のことをやっても自分の感性ではマッチしないので、たぶんあなたの、結局その、それ結局それしかないよね、みたいな部分ってきっとどこかに、あるはずだと思うので、自分の価値観を一度整理してみてください
【相談者】
ありがとうございました
【ねこます】
ありがとうございました~


 のじゃおじの話は、自分がVR技術にあまり関心がないのでとっつきにくいかと思いきや、コンテンツ論や技術屋・オタクあるある話として興味深かった。このおじさんはモノや現象に対する構造の把握やレイヤーの分析が巧みだから、聞き手にとってそれほど縁のない話でも面白く聞かせるんだろう。あと、何度か書いたけど、しゃべりのプロではないことは承知で、最初期の動画に比べたら声の出し方やプレゼン力が目に見えてよくなっているよなぁ。VTuberはキャラクターが魂の研鑽にリンクして成長していくところも強い愛着が湧く理由の一つだと思う。

のらきゃっと

【のらきゃっと】
では次のお客様
【相談者】
こんにちは~
【のらきゃっと】
こんにちは
お名前、聞かせてもらっちゃいます
【相談者】
ヒ○○です
【のらきゃっと】
ヒ○○さん、野原家のかたち
(会場笑い)
【相談者】
……違います
【のらきゃっと】
いつを……いつもご覧になっていますよ
【相談者】
ふふっ
【のらきゃっと】
まあとりあえず、お話を聞かせてもらっちゃいましょう
【相談者】
悩みと言うよりも、お願いなんですけど
【のらきゃっと】
はい
【相談者】
以前投稿していた、添い寝動画、あったと思うんですけど
ああいうのをもうちょっと投稿していただけると嬉しいと思ってます
【のらきゃっと】
わかりました、どぶねずみさんですね、さては
(会場爆笑)
【のらきゃっと】
仕方ないですね、ちゃんと用意するので、しっかり待ってて
……5000兆回再生して
(会場笑い)
【相談者】
絶対します、ありがとうございます
【のらきゃっと】
待ってて、待っててくださいね
【相談者】
は~い、また~
【のらきゃっと】
期待に応えてあげる



【のらきゃっと】
では、次のお客様いらっしゃいませ
【相談者】
こんにちは~
【のらきゃっと】
こんにちは、こんにちは、お名前聞かせてほしいな
【相談者】
はい、あのカー○○と言います、はじめまして
【のらきゃっと】
かあさん
【相談者】
母さん? はい
【のらきゃっと】
母さんじゃない……お母さん
(会場爆笑)
まぁ、お母さんでいいですね、ではお母さん
【相談者】
はい
【のらきゃっと】
今日は何で悩んでるの、お母さん
(会場爆笑)
【相談者】
はいっ、お、お母ちゃんねぇ、ちょっと最近仕事が辛くて
(会場笑い)
【のらきゃっと】
世知辛いね
【相談者】
世知辛いんですよ、それでちょっと転職とか考えちゃってるんですけど
【のらきゃっと】
なるほど
【相談者】
今の仕事続けた方がいいですかね?
【のらきゃっと】
……バーチャルYouTuber
【相談者】
おおっ!?
【のらきゃっと】
バーチャルYouTuberで繋いじゃいましょうか
【相談者】
なるほど~、バーチャルYouTuber始めちゃいますか
【相談者】
まだ間に合いますかね?
【のらきゃっと】
全然見えますよ
【相談者】
ありがとうございます
【のらきゃっと】
全然間に合います
【相談者】
あざっす
【のらきゃっと】
私が繋いでみせます
【相談者】
ありがとうございます!
最後に、遅れましたけど誕生日おめでとうございました
【のらきゃっと】
はい
【相談者】
頑張ってください
【のらきゃっと】
ありがとうございます、ありがとうございます


【のらきゃっと】
次が最後のお客様
【相談者】
こんきゃっと!
【のらきゃっと】
今きゃっとです、お名前をお聞きしてもよろしいですか
ではその、○○さん、あなたのお悩みは
【相談者】
自分、眼鏡を掛けている人が大好きで、道行く人を老若男女問わず――
【のらきゃっと】
そうなんですね
【相談者】
――はいっ、つい見ちゃうんですよ
なんで、この頭の中に抱えた煩悩をクラリキャットカッターで消してくれませんか?
【のらきゃっと】
なるほど、なるほど
でもわたし、たまに眼鏡掛けますよね
【相談者】
はい、大好きです
【のらきゃっと】
思い出しちゃうんじゃないでしょうか
【相談者】
もう、大好きでずっともう……
【のらきゃっと】
それを消してもいいですか?
【相談者】
……やっぱり消さないでください!
(会場笑い)
【のらきゃっと】
本当にいいですか?
【相談者】
ッ消さないでください!
【のらきゃっと】
でしょうね
【相談者】
はいっ
大事にして
【相談者】
わかりました
【のらきゃっと】
自分の好きなものを大事にしていこう
【相談者】
ありがとうございます
【のらきゃっと】
嘘ついちゃだめですからね、やっぱり
【相談者】
はいっ
【のらきゃっと】
自分の好きなものは好きなもの、ダイナモですよ
【相談者】
はいっ
【のらきゃっと】
大事なもの
【相談者】
……新しいお姿でも、眼鏡を掛けた動画、楽しみにしてます
【のらきゃっと】
待っててね
【相談者】
ありがとうございます!
【のらきゃっと】
ちゃんとお義父さんがわ、メガネ用意してくださってますから


 のらちゃんの面白さについては、以前に長文で書いているのでこちらも読んでほしい。
のらきゃっとの面白さを伝えたい あるいはコミュニケーションの根源的な楽しさについて
 のらちゃんの資質は、出ばなの一言の「今日は本当に大きな屋根裏ですね」「ねずみちゃんたちがこんなにいっぱい」に集約されていると思う。バーチャルYoutuberの強みの一つにキャラクターと受け取り手の双方向性があるのは定説だが、この人のパフォーマンスはそれに対する一つの解答ではないだろうか。真面目な解答からKAWAIIムーブ(カウンターに肘をつく仕草、なんだあれ)、アジテーション、伝家の宝刀であるご認識を駆使して、相談者を楽しませるのはもちろん、会場や画面の前の視聴者まで含んだ空間をわがものにして盛り上げていく仕切りは圧巻のひと言だった。さすが、毎週のペースでサバトのような狂乱のレイヴを執り仕切っているだけある。あとは、自由奔放で無茶苦茶なことを言った後に、さらっと「期待に応えてあげる」「自分の好きなものを大事にしていこう」「私が繋いでみせます」とカックイイ一言を残すところが相変わらず素敵すぎる。こういう時は全然ご認識を起こさないのがすごい。1才の誕生日を迎えた数少ないVTuberの一人としての自信と余裕が感じられたな。
 相談者も選りすぐりのねずみさんなだけあって、間の取り方や話の脱線への乗り換えまで慣れたものだったな。一緒になって場を盛り上げてくれていた。そういった視点でも、インタラクティビティの極致とも言えるパフォーマンスだった。

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

2018年05月10日

バーチャルYouTuberに学ぶトーク力・コミュニケーションスキル(ニコニコ超会議2018) 前編

 ニコニコが主催となるバーチャルYouTuberのイベント「バーチャルYouTu"BAR"」がめちゃんこ面白かった。
企画:バーチャルYouTu"BAR" | ニコニコ超会議2018 公式サイト

 企画の概要は、バーテンダー役のVTuberがスペースに来場者を招き、1分程度の時間でお悩み相談に乗るというもの。VTuberというコンテンツは、強烈な魂とシンクロしたキャラクターの魅力と、ライブ感ならびに双方向性とが絡み合ってエネルギーを生んでいるため、対面での相談という対人能力、アドリブ力が遺憾なく発揮される企画との相性はすこぶるつきだった。出演者は指折りの実力者が選ばれていただけあり、どなたのパフォーマンスも個性が色濃く出ていて素晴らしかった。
 以下、個人的に彼ら彼女らのベストパフォーマンスだと思ったやりとりを紹介しつつコメントをしていきたい。文字起こしが長くなりすぎたので前後編で分ける。
※自分語りなので読み飛ばして問題なし
 経験則からの完全な私見だが、友人や知人同士のラフな相談に限定して、相談者にとって相手が具体的な解決方法を提示してくれるかどうかは二の次だ。また、相談者の中で既に答えが出ている割合はけっこう高かったりする。たいていの人は、相手が自分の話に耳を傾けてくれて、リアクションをしてくれたり、同意や共感や好意的な反論を寄せてくれたりするのを期待して相談を持ちかけている。私はこういった価値観から各人の対応にコメントしているので、ご参考までに。
※読み飛ばしここまで

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

ミライアカリ

【アカリ】
いらっしゃいませ~、うふふふふふふ
【相談者】
よろしくお願いします
【アカリ】
よろしくお願いします、あっかわいい声ですね
【相談者】
ありがとうございます
【相談者】
○○って言います
【アカリ】
何て呼んだらいい?
【相談者】
○○くんで
【アカリ】
○○くん? オッケーオッケー、○○くん相談なになに?
【相談者】
その、声がわたし、他の方に比べて高いんですよ
【アカリ】
うんうんうん
【相談者】
それがその、よく言われて悩んでるんです、どうすればいいですかね
【アカリ】
えーでもさ、アカリも高いよ、めっちゃうっせーって言われるんだけど
でもさその声って、○○くんにしか持ってないものだから全然恥じることないし、
ていうかなんか、そんなこと言う奴はそれぐらいのレベルの奴でそれぐらいの器の奴だから
ほんとに、○○くんはそんなこと気にすることない
そんなん言うなら、アカリぶっ飛ばしに行ってやるよほんとに!
【相談者】
ありがとうございます
【アカリ】
握力ヤバイから、ふふふふふふふ
【相談者】
ふふっ、ありがとうございます
【アカリ】
全然だよ
【相談者】
ほんと元気もらいました
【アカリ】
ほんとに?
お互い、ちょっと声高い者同士仲良くしようぜっ! あはははっ
【相談者】
ありがとうございます
【アカリ】
○○くん、がんばってね! ばいばい~
【相談者】
さよならっ、ありがとうございます!


【アカリ】
はじめまして!
【相談者】
はじめまして~! よろしくお願いします!
【アカリ】
あ、アカリのこと知ってます?
【相談者】
あっ知ってます、いつも動画見てます
【アカリ】
ありがとうぉ~! えっえっ、お名前教えてください
【相談者】
えっと、○○です
【アカリ】
○○、なんて呼んだらいい?
【相談者】
えっとそのままでどうぞ
【アカリ】
○○ね、おっけおっけ
【アカリ】
じゃあ○○
【相談者】
は~い?
【アカリ】
最後の、アカリの、悩み相談の人です
【相談者】
はい、光栄です
【アカリ】
ではどうぞ、ありがとう~
【相談者】
えっとそうですかね、顔ですかね
こう童顔だったり目つき悪いってよく言われるんで
【アカリ】
えっ、マジか
【相談者】
どうしたらいいかなぁって
【アカリ】
全然目つき悪くないよ
【相談者】
そうですかね?
【アカリ】
えっだって○○の笑顔めっちゃ優しいよ、えっみんなそうだよね?
(会場拍手)
【アカリ】
えっマジでこれをディスる奴がいたら、ほんと、目潰ししてやるよほんと
【相談者】
あっ……あえええ~!?
【アカリ】
あははははははは!
【相談者】
ありがとうございまーす!
【アカリ】
もうアカリの手袋真っ赤だよ、おほほほ
えっでもほんとすてきな笑顔なので、こう目つきとか全然気にしなくていいよ
【相談者】
やったー、ありがとうございます
【アカリ】
うんうん
あと好きなものを見てるときって、特に人間ってなんか優しい顔になると思うんだよね
【相談者】
うん
【アカリ】
好きなものとか人とかキャラとか、なんかおいしい食べ物とかさ
そう、だからなんかもし気になるんだったら、どんどん好きなものを見る時間を増やすのもいいかもしれない
【相談者】
……ってなるともうミライアカリちゃんの動画をもう見るしかないな~って
【アカリ】
お前~もう天才かよ!? おほほほほほほ
【相談者】
あはははははは!
【アカリ】
ありがとう~
【相談者】
ございました!
【アカリ】
ありがとうございました~またね~
ごめんねいきなり~ふふふふ


 ミライアカリちゃんはまずもって、全く前例のない企画の一番手として十全のパフォーマンスを発揮し、後に続く人に対してアーキタイプを創っただけでも賞賛に値する。受け答えの内容も極度のプレッシャー下にあるとは思えないほどしっかりしたもので、特に上掲した二回はほぼ完ぺきだと思う。ちょっと完成度が高すぎてちびってまう。
 アカリちゃんの相談に乗るスタイルで注目してほしいのは、コンプレックスを抱いている相手に対してまず「全然目つき悪くない」「全然恥じることない」と負い目を和らげているところだ。その上で、別視点の考え方や改善に繋がるかもしれないアイデアを提示している。そのワンクッションがあるかないかで、相手の心に響く度合いは全く変わってくると思う。こういった話の運びが自然体で出来るのは掛け値なしに凄い。普段から人に頼られて、相談ごとを引き受けていると見受けられる。
 もう一つ、アカリちゃんの対応で目を惹くのは「目潰ししてやる」「ぶっ飛ばしに行ってやる」といった物騒な冗談や誇張した表現を使っているところ。これも相手と打ち解けた空気を作るテクニックの一つだ。上記の例はあまりにも物々しくて生々しくならず、お悩みごとカラッと笑い飛ばしたくなるし、相談する側としては自分のことで憤ってくれる、それがとんでもなく嬉しいことだと思う。

【アカリ】
こんにちは~!
【相談者】
こんにちは
【アカリ】
どうも、お名前教えてください
【相談者】
○○です
【アカリ】
○○? かわいい名前
【相談者】
ありがとうございます
【アカリ】
何て呼んだらいい?
【相談者】
そのままでお願いします
【アカリ】
うん○○、○○はじゃあアカリにどんなお悩みがありますか?
【相談者】
アカリさんみたいに明るく元気に毎日過ごすためには
どうすればいいですか?
【アカリ】
え~そうだな、えっでもなんかそうね~……何も考えない!
あははははははは!
【相談者】
ふふっ
【アカリ】
いやほんとに、後はなんか、なんだろうな、やっぱ笑うようにする
なんかめっちゃ悲しくなって、泣いちゃうときもあるけどなんかその時も笑っちゃう
もう何泣いてるんだろバッカじゃね自分みたいな感じで、そうそうそう
なんかさ、どうせ人生って絶対前に進むしかないし
てか道は前にしかないからね
だから、もうなんだろ、どんなことがあってもやっぱり笑ったもん勝ちだと思うんだよね
【相談者】
はい
【アカリ】
そうそうそう、泣いてたって何も変わらないからさ、泣いてても笑おう!
はいっ
【アカリ】
ぶち込んで笑ってってください!
【相談者】
わかりました!
【アカリ】
うん、よろしく~アカリ戦法、うふふふふふ
【相談者】
ありがとうございます
【アカリ】
うん、がんばって~
【相談者】
がんばります
【アカリ】
バイバ~イ、ありがと~、うふふ


 他に注目してほしいのが、アカリちゃんが相談者に対して、自分も「めっちゃうっせーって言われる」「泣いちゃうときもある」と共感を寄せているところだ。ここで相談者ならびにわれわれ視聴者は、彼女の存在をぐっと身近に感じたことだろう。心理学では「自己開示の返報性」と言うんだったか。繰り返しになるが、相談をする人が相手に求めているのは往々にして共感や同意である。きっと上掲の相談者は、超が付く人気者のアカリちゃんでも自分と同じように悩んでいるのが聞けただけでも元気付けられたろうし、勇気を出して悩みを打ち明けた甲斐があったと思ったんじゃあないだろうか。
 おそらく「泣いちゃうときもある」のは魂の体験談だろうし、「やっぱ笑うようにする」は自身が心がけていることだろうし、「絶対前に進むしかない」「笑ったもん勝ちだ」は彼女の哲学なんだろう。バーチャルYouTuberの魅力は、魂の魅力でだいたい決まる。キャラクターの完成度には魂の資質や実力、人生経験値がもろに反映される。この性質は時にシビアで残酷に働くが、キャラの性格と魂の本質が幸福な一致をしたときには真に迫る存在感と奥行きが生み出される。『ミライアカリ』はそれの類稀な成功例の一人だと私は思っている。

【アカリ】
こんにちは~
【相談者】
こんにちは、あのっ、キズ○○○さんですよね?
(会場爆笑)
【アカリ】
……あっ、カラスだ……。
【相談者】
ははっ、ありがとうございます、ありがとうございます
【アカリ】
次の方どうぞ~!
【相談者】
ああ~!
(会場爆笑)
【アカリ】
うそうそうそ、ごめんごめんごめん
名前何て言いますか?
【相談者】
あの悩み相談なんですけど、自分バーチャルYouTuberなんすよ
【アカリ】
マジか! 会ったことあるかな?
【相談者】
あっ、でっ、名前ですか?
【アカリ】
うん
【相談者】
名前は○○って言います
【アカリ】
○○、○○?
【相談者】
はいっ、今三ヶ月やってて、チャンネル登録者数が150人しかいない
ド底辺なんで――
【アカリ】
――えっ、待って待ってそんなことないよ!
【相談者】
いやっ
【アカリ】
150人いるんだよ?
【相談者】
まぁまぁまぁまぁまぁ
【アカリ】
ほんとに、一人の人間が自分に興味を持ってくれるって、すごいと思うから
【相談者】
やっぱりアカリちゃんいいこと言いますね
【アカリ】
ほんとに、ほんとに、それは150人であっても150万とかであっても
ほんとそれは変わりないから……自信持って!
【相談者】
自信持っていきます
【アカリ】
そう絶対、まずじゃあ、1000人目指していこう
【相談者】
イエースイエスイエスイエス1000人目指そうぜ
【アカリ】
オッケーオッケー
【相談者】
止まらねぇからな
【アカリ】
止まらねぇからなぁ! そうしようぜ、団長! よろしく頼むわ
うふふふふふ……。
【相談者】
すいません、ネタに付き合わせてすいません、ありがとうございます
【アカリ】
全然だよぉ、がんばってねぇ
【相談者】
はいがんばります!
【アカリ】
ばいば~い
【相談者】
じゃあまた、ばいば~い
【アカリ】
ばいば~い、ありがとうふふふ


 悩み相談とは毛色が違うが紹介しておきたかったやりとり。この場面で目を見張ったのが、相談者の150人しか登録者がいなくてド底辺だという意見に割り入るアカリちゃんの反応の速さ。その考えが身体に染み付いていないと出てこない速さだと思う。一人一人ファンを獲得してきた結果として50万人もの登録者がいる人間だからこそ、誰かが関心を持ってくれることの難しさやありがたさが身に染みてわかっているのだろう。人気商売に携わる者としての意識の高さに驚かされた。

樋口楓

【楓】
はい、お次の方は~、どうぞどうぞ
【相談者】
こんでろーん
【楓】
こんでろーんどうも~! はい、お名前聞かせてください
【相談者】
えっと○○です
【楓】
○○さん?
【相談者】
えっと、マイナス思考がすごい強いんで
【楓】
あー
【相談者】
なにかポジティブになれるひと言をお願いしたいなと
【楓】
ポジティブ? そうだな、でもねマイナス思考も時には必要だよ
そこがプラスなんだ
何でもいい方向に考えすぎてもね、あの振り返ることとかできないから
その調子でねちょっと、自分の強みを見つけることも大事だと思うんだけど、そうやって振り返って学べるってことはすっごいいいことだと思うから
その調子でね、そうやってね意識付けできたら、も~うマイナス思考なんて、なんかだんだんだんだんちっちゃくなって
どんどんポジティブになるから、がんばって?
【相談者】
ありがとうございます
【楓】
うん、がんばってね!
【相談者】
元気が出ました
【楓】
ありがとう! 私も元気になった、またね~


【楓】
やったー、初めての女の子じゃん!
【相談者】
はじめましてー!
【楓】
あーはじめまして、どうもー!
【相談者】
こんちには
【楓】
こんにちは、朝早くから並んでくれたんやろ? ありがとう~!
ごめんねなんか、抽選が外れちゃって
【相談者】
あっ、いえいえいえいえ
【楓】
ほんとに~? ありがとう
あ、お名前お名前
【相談者】
えと、○○といいます
【楓】
○○さん? 悩み、悩みある?
【相談者】
悩みは、人前に立ってしまうとすごい震えてしまうのですかどうしたら震えが止まるでしょうか
【楓】
えっ、今も震えてるの?
【相談者】
はい
【楓】
あははっ、そうだよね
あたしがね~手ぇ伸ばすことが出来ればすぐ握手したげるんだけどな~
【相談者】
はっはい
【楓】
そうなの、あのね、まだね、実装されてないんだよな、これがははははは!
だからね、あの、あれだよ、今来てくれている人、早くあれだよ
あのにじさんじ宛にちゃんとでろーんの腕を動かせってDMしてあげて
CCOあたり、あっCOOあたりにね
【相談者】
はい
【楓】
あんね、震えるときもある
私も緊張……舞台裏にいるときとかは、すっごい震えるし
お腹もぎゅ~ってなっちゃうの、わかる~?
【相談者】
はいっわかります
【楓】
わかるよね~
緊張するけど、たぶんなんか人前に立って、ちょっと時間経ったらさ、震えって収まってない?
【相談者】
あ~気付いたら……
【楓】
そうでしょ? だからそれをちょっとね、慣れてったらだんだんそのスパンが短くなるはずだから
全然大丈夫だと思う
【相談者】
はいっわかりました
【楓】
あはは、そうそうそう、でもどんな時に緊張するの? 例えば
【相談者】
えっ……と上司の前に立つときとか
【楓】
あ~
【相談者】
あと後輩と話すときとか
【楓】
後輩でも緊張するの!? えっでも後輩絶対さ、なんか頼ってるからさ君のこと
【相談者】
はいっ
【楓】
だからそんなに緊張することないよ
あれ、プレッシャーみたいなやつ?
【相談者】
あー、かもしれないです
【楓】
あーっ、あたしもある~。でも大丈夫、全然気にしなくて大丈夫だよ
うんなんかね、先輩の言うことは正しいですエイサッサ~みたいな感じの人も絶対いるから
【相談者】
はいっ
【楓】
そんな悩まなくてもいいと思うよ
【相談者】
わかりました
【楓】
うんうん、ありがとう~、今日来てくれてありがとうね!
【相談者】
あーいえいえ
【楓】
そのシャツ可愛いね
【相談者】
あっありがとうございます
【楓】
めっちゃ星舞ってるやん
うんうん、またこれからも配信見てくれたら、うれしいな
【相談者】
あっはい、見続けます!
【楓】
ありがとう……! うんうん、また来て下さい
【相談者】
はっはい、ありがとうございます
【楓】
ありがとうございました!
ありがとうね~、ラッキーガールだね、ありがと~ぅ!


 二番手を勤めるでろーんこと樋口楓のトークも、常に安定していて素晴らしかった。普通トップバッター(ミライアカリ)があれだけ仕上げてきたら萎縮してしまいそうだが、緊張をおくびにも出さずに自然体でしゃべっていた(がちがちに緊張していたのは前日の委員長との通話で知っている)。このお姉ちゃん、本当にほんの数ヶ月前までいち学生だったのだろうか。肝っ玉が据わっている。
 でろーんの話の構築は、アカリちゃんのそれと共通する部分がけっこうあって面白い。「マイナス思考も時には必要で、そこがプラスなんだ」はコンプレックスの緩和で、「みんなでにじさんじ宛に催促のDMして」はくだけた空気を作るジョークで、「私も緊張ですっごい震える」は相手への共感で、「手が伸ばせるならすぐ握手したげるんだけど」はこちらからのアプローチの姿勢だろう。人を惹き付ける人間というのは、このような対面でのコミュニケーション力を自然と体得しているものなのだろうか。因果関係が逆か?
 でろーんの仕切りで特筆すべきは「すごい目がクリッとしてる」「Tシャツかわいい」「いい声してる」「バンドマンみたい」という具合に、初対面の相手のみてくれやファッション、声などをさらっと褒めているところだ。外面から入ることで内面の心理的な距離を一瞬で詰めるテクニックだが、ただイケの極致なので使用は自己責任である。それにつけても、でろーんは平素からこんなムーブを周りの人にやっていらっしゃるのだろうか。であればガチ勢や夢女子の死屍累々が積み上がっていやあしないだろうか。
 しかし、しかしだよ。でろさんは初対面の相手のことはこんなにすらすらと褒められて、女の子の相談者には歯の浮くようなセリフで粉まで掛けているのに、無二の相棒のことになると「すごい……アッアッ……動くね」と言葉に詰まり、あるいは「たくさんご飯を食べますね!(逆ギレ)」と言語能力か低下してしまうのは一体何なの!? どういうことなの!? 尊みザウルスが卍の五乗なんだが。でろさんが「動く美兎ちゃんがいちばんかわいい」と自慢していたのも、ものを食べる委員長の姿に思い入れがあるだろうことも知っているが……閑話休題。
 その他に興味を惹かれたところをつらつらと挙げていく。まず、相談者に対して必ず「ありがとう」と感謝の気持ちを述べているところ。そして「私も元気になった」と自分のプラスにもなった旨を伝えているところ。相談した側にとって、自分の悩みのために時間を割いてくれて、あれこれ意見をもらった上で、自分も元気が出た、相談してくれて嬉しかったと言ってくれる。それがどんなにありがたいことで、どれだけ心の負担が減ることなのか、あえて説明するまでもない。人間が相手を信頼するに足ると思うのはそんな時ではないだろうか。
 あとは、「クリエイターになれたら私もクリエイトして」「これからも配信見てくれたらうれしい」のような冗談半分のセールストークも織り交ぜているところに好感を持った。人間って不思議なもので、こういった茶目っ気や多少の自分本位な部分も見せてくれたほうが、相手を一人の人格として信頼する傾向がある。少なくとも私はそうだ。でろーんが意識せずともこれをやっているなら、コミュ力お化けとしか言えない。

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

2018年03月30日

藤崎由愛(YUA)という不気味な「失敗作」

 相変わらずバーチャルYouTuberの動画ばっかり見ている。企業勢・個人勢を問わず、有名どころの人についてはおおよそ楽しく拝見していて応援しているのだが、一つだけまったく面白くなくて、思わず拒否反応が出る存在がいる。それが藤崎由愛(YUA)さんである。
藤崎由愛とは (フジサキユアとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
 公表はしていないが、演じているのはプロの声優である三上詩織だ。『ゆるゆり』のあかりとかをやっていた、今は2.5軍くらいの声優さんである。やる気のない上位存在とスタッフは、YUAの弟の設定から「カズヤ」と呼ばれて親しまれている。熱意の感じられない三上詩織を「声担当のカズヤ」と呼ぶ人もいる。

 YUAさんの一番の特徴と言えば、制作が完全に分業であることだ。三上カズヤは基本、用意された台本を読み上げているだけだと思われる(棒読みっぷりから)。いわゆる魂の人の比重が非常に高いこの業界では、それほど多くない体制だ。ちなみにYUAの会社は、ホームページに「デジタルYouTuber事業」なるもののビジネスモデルなるものをででーんと載っけている。
デジタルYouTuber事業

活用事例
ゲーム内のキャラクターを登場させることで、どんなタレントよりもゲームとの親和性が高い動画を提供することが可能です。

・企業公式チャンネルのMCとして、自社サービス紹介やキャンペーン告知等が可能
・ゲームキャラクターがゲーム実況する事で、ゲームと親和性の高い動画を制作可能
・アニメ番組、ゲーム、VR/ARコンテンツ等の制作
・ゲームの事前登録キャンペーンとして活用

http://event.exys2008.com/digitalyoutuber/


 うん……。視聴者も子どもじゃないんで、キャラクターには魂の人がいて、コンテンツには何人ものスタッフが関わっていて、企業勢は営利活動をしているのはわかってるんだよ。でも、ここまでおおっぴらに「事業」と宣言されたり、脂下がった面で「制作フロー」を公開されたり、「声優アサイン」と書かれたりされると、醒めるよね。キャラクターをモノ扱いしているようでそれだけでかなりの拒絶反応が出る。エンタメの業界でやっていく上で、このズレた感覚はわりと致命的だと思う。

 さて、何ゆえわれわれは、YUAに対して言いしれない不気味さを感じるのだろうか。私はそもそも見た目からしてじんましんが出るのだが(服装に清潔感がない、目に生気がなくてダッチワイフみたい、奇乳がボンボンのお色気漫画並み)、YUAとカズヤの薄気味悪さもとい魅力の無さはだいたい以下の点に起因すると思う。
1.熱意のないあざとさ
2.魂ガチャの失敗
3.連続性の無さ


 まずはあざとさについて。VTuberの動画を見る動機に、その人が楽しそうにしているところが見たい、元気を分けてもらいたいというのは少なからずあると思う。であるからして、受け手は発信側の「こんなことすれば喜ぶだろ」「こんなのがウケるだろ」という作為にはことさら敏感だし、ただお仕事だから義務だからでやっているのが伝わるとあっという間に人が引けていく。そんなコンテンツで、中学生男子の妄想みたいな奇乳露出キャラに、適性を考えずに知名度と暇さだけで選んだような、下手っぴで仕事に情熱のない声優を宛がうのはちと無謀だった。そして動画では、カズヤが書いたしまりのない脚本を、三上詩織がお仕事感丸出しの棒演技で読み上げつつ奇乳を不自然に強調しているのだから、結果は火を見るより明らかだった。三上詩織はゆるゆりの時から下手くそだなぁと思っていたが、まったく成長していなくてちょっとびっくりしてしまった。

 魂ガチャの失敗について。(だいたいの)VTuberは現実のモノに干渉できないので、トークのスキルやアドリブ力が問われる企画が多く、魂の人が持つ素の魅力や面白さが重要視される。だから魂に実力派の人を起用できるかどうかは死活問題になる。モデルがよくて機材がよくて企画や編集がよかったとしても、人がつまらないとにっちもさっちもいかない。VTuber(の少なくとも企業勢)はみな手を取り合ってという雰囲気とは裏腹に、腕っぷしが直球で問われるシビアな業界なのだ。
 三上詩織はもうけっこうなベテラン声優のはずなんだが、ここまで進行もフリートークもアドリブもできないとは思わなかった。歌でもゲームでも声帯模写でも何でも、芸と呼べるものが一つくらいないのだろうか。聞くところによると声優ラジオでもこの人がメインの回はさっぱり面白くないらしく、さもありなんという感じだ。

 カズヤ飯と呼ばれる、女子高生の雰囲気ゼロの飯ツイート。画像をネットから無断転載した前科も有り。
 なんだそのタグ。

 最後に連続性についてだが、この感覚をうまく説明できるか不安だ。Vtuber人気はSNSの文化とも密接に関わっている。キャラクターがTwitterでわれわれと同じようにアカウントを持っていて、近況報告したり面白いコメントをしたり他のVtuberと交流していたりする。他の人が配信しているチャット欄にひょっこり顔を出している。動画というコンテンツの外でも、そのキャラクターが生きて活動しているという連続性が面白いのだ。
 YUAは公表はしていないものの、Twitterは明らかに三上詩織と別の人間が担当している。ツイート内容そのものがおっさんくさかったり前後の脈絡がなかったりトンチキなものが多い上に、声優はろくに情報共有をしてないらしく、Twitterと動画でまったくキャラが一致していない。連続性はここでぶっつり切断されていて、作り物感やお仕事感がさらに際立っている。私が一番酷いと思った流れは、生放送の直前にTwitterで自分より遥かに大手のミライアカリに一方的にアドバイスを求めて(リプライでもないツイートで、これはファンネルを相手に飛ばしてリプを求めさせたり、相手に自分のツイートをチェックするよう暗に強要したりしている一番めんどくさいやつである)、にもかかわらず、放送本番ではアカリには一切触れず、好きなYoutuberを聞かれて輝夜月だのヒカキンと答えたことだ。かてて加えて、その放送で名前を出した月の意味不明なモノマネを披露するという離れ業までやってのけている。

なんなんだよお前ら! お前らなんなんらよ!
あっこれ輝夜月ちゃんのマネね
らんらんなよお前ら! YUAの胸がみらいのかよ!
あ~~~~~~~~~~~~~~なんなんらよ! 意味わかんねーよ!
揺れたとか、なにいってんだよ! YUAのこと、胸揺れがみたいのか?
なんらなんら、おっぱいおっぱいって! オッパイが揺れていればお前らはいいのか?
意味わかんねーぞ! YUAおこだよ YUA、おこだよ

(生放送より、輝夜月のモノマネ)


 動画をろくに見ていないこと丸出しの完成度である。ちなみに、Twitter担当のカズヤは以前月に絡んでいる。
 はっ?

 ここまで見事なコンボを決められると、「かなりアッパラパー」「面の皮が厚い」という印象を持ってしまっても許してもらえると思う。

 Vtuberはアクターとアバターの存在が近いことで、単なる1キャラクター以上の生きた存在感があり、価値観や人間性が色濃く感じられる。だから私は、あるVTuberの動画に惹き付けられる要素が見受けられなかったとしても、つまらないだの面白くないだのといった言葉はよっぽどのことがない限り使う気にはなれない。そんな中で、パーソナリティの中心がどこにあるのか、プロジェクトの責任が誰にあるのかさっぱりわからず、一切の気兼ねなく「失敗作」と切って捨てられるYUAさんは、やはり自分にとって特異で奇っ怪な存在なのだと思う。
 案外、藤崎由愛に感じる拒否反応を逆算していけば、われわれがバーチャルYouTuberに感じる魅力の解明に繋がるのではないかと思う春の夜だった。

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

2018年02月03日

のらきゃっとの面白さを伝えたい あるいはコミュニケーションの根源的な楽しさについて

 私がいわゆる四天王と同じくらい、動画配信を楽しみにしているバーチャルYouTuberさんがいらっしゃいます。それが今回の記事で紹介する「のらきゃっと」ちゃんです。

のらきゃっとチャンネル



 記事の構想を温めている間に、チャンネル登録者数は5万人を突破して押しも押されもせぬ人気キャラの一人となり、のらきゃっと論評もちらほら見かけるまでになってしまいました。今さらですが、自分なりの言葉でこの子の魅力を語っていけたらと思います。

一体感、ライブ感
 後述するように、のらきゃっとちゃんの魅力が最も味わえるのは配信を生で見ることだと思いますが、このアーカイブの動画を見てもらえれば魅力の一端が伝わるかと思います。

 この動画でも初っぱなから繰り出していますが、奈良キャットちゃんのお家芸に「ご認識」(誤認識)があります。奈良ちゃんが声を発する仕組みは、アクターさんがしゃべった声を音声認識によってリアルタイムでテキスト化し、それをVOICELOIDが即座に読み上げるという流れになっています。この際に、アナログ音声をデジタル化するのに失敗した単語がご認識の正体なんですね。
 前置きが長くなりますが、バーチャルYoutuberが爆発的な人気を得た要因の一つにインタラクティビティ(双方向性)があるのは間違いありません。まず、ネットに繋げばすぐに姿を見られてうまくすればリアクションまでもらえる、SNSで繋がれるという媒体の物理的な距離が近い。雲の上のタレントと違って気軽に応援できる、作り手の姿が透けて見えるからアクティビティを応援したくなるという具合に、心理的な距離でも近い。この独特な距離感は、今までのコンテンツや特定のキャラクターにはなかったものでしょう。そんな双方向性を打ち出しているモノにおいて、コミュニケーションやプレゼンテーションの完成度は殊に重要だと言えるでしょう。VTuberの中でも特に多くのファンが付いている人は、やはりそれの練度がずば抜けていて、強固なキャラクターとしてビルドされています。キズナアイちゃんは愛嬌と芸歴に裏打ちされた安定のトークで、ミライアカリちゃんは名は体を表すそこぬけに明るいしゃべくりで、輝夜月ちゃんは強力な習慣性のある声質と息もつかせぬマシンガントークで、シロちゃんはほわほわした声と不思議パワーワードとの合わせ技で、視聴者を魅了しつづけていますよね。
 奈良キャットちゃんのトークは、四天王の流麗なそれとは似ても似つかないものです。ご認識で文脈は乱れて突拍子もない言葉が飛び交いますし、VOICELOIDによる読み上げは声のプロのそれと比べると抑揚が欠けているかもしれません。しかし、芸術というのは不思議なもので、奈良ちゃんのトークはそのとっぴさやたどたどしさが他にはない魅力になっているんですよ。例えるなら、ベイマックスの機械音声に感じる親しみや、E.T.のたどたどしい言葉に感じるいとおしさ、そういったニュアンスで満たされています。
 のらきゃっとちゃんの生配信を特徴付けているのは、ライブ感と一体感です。言葉に抑揚がないからこそ、逆説的に字面以上の情感が伝わってくる。ご認識で情報が失われるからこそ、必死に彼女の言葉に耳を傾けて言いたいことを理解しようとする。言葉を補完するかのような懸命なジェスチャーの、一挙手一投足を見守りたくなる。そして、どんなびっくりフレーズが飛び出してくるかわからないからこそ、それをどうにか拾ってみたくなる。あんまりにもあんまりなフレーズ(褒め言葉)が出てきたときは、大喜利のごとくネタにしてみんなでわちゃわちゃする。「武田氏」(駆け出し)「成田 尖った」(なりなかった)と突然出てきた人名には「武田ァ!」「成田ァ!」と嫉妬を込めて怒号を飛ばす。言い直しがようやくうまくいったときの彼女の決め台詞「そうです そうです」には一斉に合いの手「そうです(はぁと)そうです(はぁと)」を打つ。そんなオタ芸チックなお約束が、彼女の再デビュー一ヶ月ちょいにして既に完成されています。驚異のひと言ですね、
 大げさな言い方かも知れませんが、彼女の動画にはコミュニケーションが成立する、みなで何かを共有するという根源的な楽しさのプロセスが存在するんだと思います。だからこそあれだけの人が集まり、『けもフレ』『ごちうさ』1話のテンプレのごときグルーヴが毎回生み出されるのでしょう。これはもう、ハプニングから観客の合いの手まで取り込んだ総合体験だと解釈するほかありません。私もいろんなバーチャルYoutuberさんの生配信を見て、それぞれ別方面での完成度の高さに感心したのですが(最近だとミライアカリちゃんの最新回で驚愕した)、奈良キャットちゃんの生も既に独自のポジションを盤石しつつあると思いました。みなさんもぜひ一度、水曜・日曜に行われる定期生配信を覗いてみてください。
 この項では四天王を引き合いに出す形になりましたが、完全無欠ではなくぽんこつさがあるからこそ応援したくなるという点では奈良ちゃんと共通していると思っています。

プロデューサーであるノラネコ氏の存在感
 村キャットちゃんに関してもう一つ面白いと思ったのが、上位存在のメタ的な配置の構成ですね。一般的に、企業組でアイドル芸人路線のキャラやAI・アンドロイド設定のキャラは、上位存在――スタッフの存在は極力意識させないようにしています(少なくとも動画作品中では)。のじゃおじを除く四天王がわかりやすい例ですね。一方、村ちゃんは個人組のVTuberなのですが、上位存在についておおっぴらにしているんですね。彼女は元戦闘用のアンドロイドで、今はノラネコ氏(通称プロデューサー)に拾われて同居しているというバックストーリーが構築されています。Twitterを見ると、村ちゃんの素体の材質やボディの各機能など細かい設定まで作られているみたいですね。この過剰積載な設定、実に男のコで私は好きです。閑話休題。村キャットちゃんは動画の配信についても、プロデューサーと二人で行っているという体裁を取っていますね。この背景設定が、意図せずしてよいフレーバーになっていると私は思うんですよ。村ちゃんが配信する動画に、われわれがPさんと一緒に彼女の活動を見守っているかのような一体感が空間演出されているんですよ。これまで一体感、ライブ感というキーワードで彼女の動画の魅力を語ってきましたが、このメタフィジカルな視点の演出もそれに一役買っていると認識しています。
 あと、初めて見た生配信で「(元戦闘用アンドロイドなので)好きな刀は?」という質問が視聴者から来て、村キャットちゃんが答えた刀のラインナップから「それ『装甲悪鬼村正』じゃないの?」と指摘があり、 「そうそう、プロデューサーがニトロプラスのゲームが好きなんです。『沙耶の唄』とか。沙耶と言えば、この髪型はリトバスの沙耶ちゃんがモデルになっていて……」と返して、流れるようにプロデューサーさんのエロゲ趣味をにバラしていて竹が生えてしまいました。あれでPさんに対してさらに親近感が湧いてしまいましたね。最近の生配信でも、プロデューサーの好きな物語について聞かれて「『Fate/ZERO』の虚淵さんのファン。辛く厳しい道程の先にハッピーエンドがある物語が好き」って言ってましたっけ。そして、全年齢的に都合の悪いところはPさん(の嗜好)に押しつけていくスタンス、村ちゃんのふてぶてしい性格を反映しているかのようで、二人の気の置けない関係を示しているようで、何というかもう、好きです。

武田氏のトークスキルはもっと評価されるべき
 ご認識の影に隠れていて目立たないですが、武田ドラキャップちゃんのトークや進行のスキルは並じゃあないと思っています。音声認識を挟まずにしゃべるなら、最古の五人と比べても遜色ないレベルではないでしょうか。武田氏の生は2~3時間の長丁場になることもあるのですが、その間も話の接ぎ穂を失わないのは地味にとんでもない。この前は『Watch Dogs 2』の生実況配信をやっていたのですが、NPCの個人情報(職業・年収など)をスキャンできるゲームシステムから、年収800万以上の人間をとっちめるバーサーカーのロールをその場の流れで作り上げ、暴走プレイで場を湧かせていました。初見のゲームを攻略しながら即興であんなことができるのは、驚きのひと言でした。ちなみにプレイングも、ゲームを普段からやり込んでいる人の動きで見やすかったです。他に、トークとご認識との連携だと、おそらく「徐々に」と言おうとして「ジョジョ」だけ拾われたときに、とっさに視聴者への「『ジョジョ』は何部が一番好きですか」という問いかけに持っていったり(ちなみにドラちゃんは四部と吉良良影が好きらしい)、「あいつ」が「アイス」に化けたときに、武器として使うためにあずきバーを探し出したり(コメントによると『スカイリム』のネタらしい)。トークの生配信でも、口パクを入力するデバイスの電池が突然切れる事故を「今はマイクロ波を直接脳内に飛ばして会話しています」と言い張って乗り切ったり。そういったアドリブならびにリカバリーが非常に巧いと思いました。雑談で場を繋ぐときも、趣味に限定してもビデオゲーム、卓ゲー、物語全般(漫画・アニメやエロゲ)、PC、クルマとネタが幅広く、聞き手を飽きさせません。そして(バーチャルYouTuberに不可欠な資質だと思いますが)好きなものについてしゃべっている様子が本当に楽しそうで、聞いているこっちもよい気分にさせてくれるのでした。
 後でプロデューサーがニコ生で研鑽を積んできた熟練者で、趣味でTRPGをやる人だと知り、地力の確かさを理解しました。

その他もろもろ
 クラリキャットちゃんが配信で使われている部屋がめっちゃ好きなんですが、伝わりますかね。まず、瀟洒なインテリアがふきさらしの部屋に置かれているというアナクロ感が妙にSFチックでよいのです。あと、クラちゃんの言葉は変換されるまでの間に少しラグがあって、それがちょうど隔絶された空間との通信をしているかのようで面白いんですね。いろんな偶然の一致が噛み合った結果、電脳空間の部屋というコンパイルが通っているんですよ。
 ここは大事なところですが、クラちゃんは見てくれも大好きです。けもみみのロング、ハイライトのないぐるぐる赤目、色素薄めのカラーリングにゴスロリコーデと、これで好きにならないほうがおかしいですね。
 クラちゃんはバーチャルYoutuberの熱心なファンの一人でもあり、自分の配信で他の人のネタを仕込んでくれるところが好きです。VTuberは垣根が低いせいか横の繋がりがとても強く、こういった言及やリスペクトが多くて楽しいですね。
のらちゃんの動画は為になるなぁ
恐ろしいねぇ……

まとめ
 設定やお約束を受け入れる最低限のリテラシーさえあれば絶対に楽しめるので、みなさんもぜひ、のらきゃっとちゃんのライブ感あふるる動画を見たってください。ご認識のネタ要素も最高に楽しいですが、話の構成やネタのチョイス、ここぞという場面でのご認識しない決め台詞も完成度が高いです。最近はチャンネル登録者数が指数関数的に伸びているらしいですが、あれは面白さのこれ以上ない証左でしょう。
 私が生で見られた『Watch Dogs 2』の実況はプレイング、ご認識語録ともに取れ高モリモリの名作だったので、あれが公開されてさらにファンが増えることを期待しています。

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

2017年11月25日

主人公が現地調達の道具を駆使して窮地を切り抜けるシーンが好き

 ちょっと前に『プリンセス・プリンシパル』を観て再認識したんですが、主人公が敵地で陥った窮地を、その場で調達した武器や周りの環境を利用して切り抜けるシーンが好きなんです。どうですかね、伝わりますかね?

 『プリプリ』は文学性や精神性、「壁」のモチーフや「嘘つき」というキーフレーズの昇華が評価されている作品ですが、私がまず見惚れたのはスパイミッションの手際のよさですね。一話で好きなところは、エリックの妹が入院する病院に潜入したアンジェが看護婦の服をくすねて、巡回の看護婦が目を離した隙に注射器(麻酔薬?)をちょっぱり、入院患者を装って張っていた敵方のスパイを(生活臭の無さから)見抜いて注射で無力化するまでのスピード感です。あの間実に40秒で、鮮やかなお手前に引き込まれてしまいました。テンポのよさがそのままアンジェの行動力と技量の高さを表現してますよね。もう一つ気に入っているのが三話。まず、無線室にキーピックで潜入したアンジェたちが、ジャックを次々繋いで複数の通話を同時に傍受し、配線からターゲットの居場所を特定するところは、上掲のシーンと同様にスピード感がよいですね。そして最高なのが、鋭い敵兵にノルマンディー公の部下の声色を使っているのを疑われて、嘘の名前と直前の通話の内容(婚約者に関する雑談)で二重のカマを掛けられるものの、アンジェが無線傍受の時に拾っていた情報を引っ張り出して切り抜けるところ。無線を傍受した時点では、任務に必要な情報は原版の輸送担当の居場所だけで、一兵卒の婚約者の話なぞはノイズでしかないのですが、そんな情報さえ落とさずに記憶に留めておき、切羽詰まった状況で引き出せるのは並大抵の能力ではありません。この三話の時点で「アンジェさんつよい」「これスパイアクションとしてもよく出来てるぞ」と判断して視聴を継続することにしたのですが、結果的には大正解でしたね。

 別の作品で言うと、『ジョジョの奇妙な冒険』で、噴上裕也の病室まで辿り着いたもののハイウェイ・スターに取り憑かれて倒れた仗助が、しれっと奪った点滴で体力を回復して攻勢に転じるところ。ミスタが自動車のパーツや、銃弾の軌道を変えるために使用した鉄柱のささくれを利用して、ギアッチョのホワイト・アルバムによる装甲を貫くところ。『ジョジョ』はこの手の演出の見本市みたいな作品なので、該当箇所は挙げたらきりがありません。『ウォッチメン』で言うと、監獄に収監されたロールシャッハ(コバックス)が恨みを持つ囚人から食堂で襲われたところを、ポテトのフライヤーを手に取ってあつあつの油を浴びせて撃退するところ。ジャッキー・チェンの映画で言えば、店での乱闘で備品の椅子や変な棒やハンガーラックを使って立ちまわったり、逃走するバスに乗り込むときにその辺の傘を使ってぶら下がったりするところ。『ベルセルク』で言うと、ガッツが愛剣のドラゴンころし、全身に仕込んだ義手大砲やボウガンなどの重武装で暴れるのも血沸きますが、死体や倒木で作ったデコイで隙を作るところ(ワイアルド戦から使っているガッツさんの十八番)や、剣の丘での対決で刺さっていた細剣を咄嗟に蹴り上げてゾッドのわき腹をえぐるところ、ああいうところも大好きだということです。

 こういった機転のシーンの何がいいかって、登場人物の洞察力、精神力、頭の回転の速さがぎんぎん伝わってくるのがいいんですよ。アンジェのエージェントとしての能力の高さと逆算されるプリンセスを想う執念、仗助の父親に負けず劣らずの抜け目のなさ、ロールシャッハのマスクと武装を奪われても揺るがない精神的超人っぷり、ガッツの幾多の戦場を切り抜けてきた百戦錬磨ぶりが如何なく発揮されているのがいいんですよ。どうですかね、うまく伝わりますかね?

【関連記事】
プリンセス・プリンシパル レビュー・感想 コキジバトの巣の上で

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

tags:
2013年07月03日

スティーヴン・キングの「筆力」とは

ひつ‐りょく 【筆力】

筆の勢い。筆勢。また、文章を表現する力。

筆力 とは - コトバンク


 最近はもっぱら『咲-Saki-』関連記事ばかり更新していたので(記事が伸びるのが楽しくてなぁ……)、ものっそい久しぶりにスティーヴン・キングについて書いてみようと思う。私はKey・麻枝准作品や『咲-Saki-』と同じくらいキングの作品が好きなので、どうにかうちのビューワーにステマをして競技人口を増やそうと思っているのだが、なかなかうまくいかない。さて、今回のテーマはキングの「筆力」についてだ。ちまたではよく「キングの筆力は凄まじい」「キングの筆力はずば抜けている」「ジャンルや洋の東西を問わずキングフォロワーはいくらでもいるが、あの筆力には到底追いついていない」というような言葉を耳にする。筆力……筆の勢い、筆勢ねぇ。私はというと、以下に挙げるような文章にキングの化け物じみたパワーを感じるのだが、他のナンバーワンのファンの方々はどうなのだろうか。

 前にもおれがいったとおりで、アンディーは見えないコートのように自由をはおっていたし、囚人的な精神状態におちいらなかった。やつの目は、けっしてあんなどんよりした目つきにならなかった。一日がおわって、みんながまた果てしない夜を迎えにめいめいの監房へもどるときも、けっしてあんな歩き方――あの猫背を引きずるような足どり――にならなかった。アンディーは胸を張り、足どりはいつも軽やかで、うまい手作りの夕食と、愛妻の待っている家へ帰るようだった。味も素っ気もないびしょびしょに煮くずれた野菜と、ごろんとしたマッシュポテトと、たいていの囚人が謎の肉という、あの脂っぽくすじの多い一切れか二切れの肉のかけらのところへ……そして、壁に貼ったラクエル・ウェルチのポスターのところへ帰るようには見えなかった。
It goes back to what I said about Andy wearing his freedom like an invisible coat, about how he never really developed a prison mentality. His eyes never got that dull look. He never developed the walk that men get when the day is over and they are going back to their cells for another endless night - that flat-footed, hump-shouldered walk. Andy walked with his shoulders squared and his step was always light, as if he was heading home to a good home-cooked meal and a good woman instead of to a tasteless mess of soggy vegetables, lumpy mashed potato, and a slice or two of that fatty, gristly stuff most of the cons called mystery meat ... that, and a picture of Raquel Welch on the wall.

(『刑務所のリタ・ヘイワース(Rita Hayworth and Shawshank Redemption)』)


 それがようやく私を得心させた。この子は死んでいる。病気でもなく、眠っているのでもない。この子はもう二度と、朝起きることもないし、リンゴを食べすぎて腹をくだすこともないし、毒ヅタをつかむこともなしし、むずかしい数学のテストの時間に、タイコンデローガ・ナンバー2の先端についた消しゴムを、すり減らすこともない。この子は死んでいるのだ。死んでしまったのだ。この子は友達と泉の水をびんに詰めに行くこともできないし、ズックの袋を肩に、溶けだした雪から顔をのぞかせた、返却代がもらえる空きびんを回収に行くこともできない。今年の十一月一日の午前二時に目をさまして、バスルームに駆け込み、ハロウィーンの安っぽいキャンディを大量に吐くこともできない。教室で女の子の三つ編みを引っ張ることもできない。誰かの鼻を殴って血まみれにしたり、または、血まみれにされたりすることもできない。この子は、なにひとつ、できないし、しないし、しようともしないし、なにもせずにいることもないし、しなければならないことも、するはずのことも、できるはずのことも、しないのだ。ターミナルが“否(いな)”と告げている装置の側にいるのだ。一セント入れなければならないヒューズ。鉛筆削り機のけずりかすや、朝食時のオレンジの皮の匂いのする、教室の机の横のゴミ箱。窓が破れ、地所に〈進入禁止〉の札が立ち、屋根裏部屋はコウモリの巣となり、地下室はネズミでいっぱいの、町はずれの幽霊屋敷。ミスター、マダム、若き紳士淑女諸君、この子は死んでしまった。わたしは一日中それをそう言いつづけていられるし、地面の上の彼の素足と、茂みに引っかかった彼の汚れたケッズの靴との間の距離については、正確なことを言いたくない。その距離は三十インチ以上、十の百乗光年だ。彼は自分の靴と離れ、すべての希望をあきらめたかなたにいる。彼は死んだ。
That finally rammed it all the way home for me. The kid was dead. The kid wasn't sick, the kid wasn't sleeping. The kid wasn't going to get up in the morning anymore or get the runs from eating too many apples or catch poison ivy or wear out the eraser on the end of his Ticonderoga No 2 during a hard math test The kid was dead; stone dead. The kid was never going to go out bottling with his friends in the spring, gunnysack over his shoulder to pick up the returnables the retreating snow uncovered The kid wasn't going to wake up at two o'clock a.m. on the morning of 1 November this year, run to the bathroom, and vomit up a big glurt of cheap Halloween candy. The kid wasn't going to pull a single girl's braid in home room. The kid wasn't going to give a bloody nose, or get one. The kid was can't, don't, won't, never, shouldn't, wouldn't, couldn't. He was the side of the battery where the terminal says NEG. The fuse you have to put a penny in. The wastebasket by the teacher's desk, which always smells of wood-shavings from the sharpener and dead orange-peels from lunch. The haunted house outside of town where the windows are crashed out, the NO TRESPASSING signs whipped away across the fields, the attic full of bats, the cellar full of worms. The kid was dead, mister, ma'am, young sir, little miss. I could go on all day and never get it right about the distance between his bare feet on the ground and his dirty Keds hanging in the bushes. It was thirty-plus inches, it was a googol of light-years. The kid was disconnected from his Keds beyond all hope of reconciliation. He was dead.

(『スタンド・バイ・ミー(The Body)』)


 クリスは笑いながら歩み去った。わたしのように傷付いていないというように、わたしのように足に豆ができているわけではないというように、わたしのように蚊や、スナノミや、ブヨに悩んだわけではないというように、足取りも軽く、優美な歩きかただった。まるでこの世に悩みは一つもないと言わんばかりの、屋内水道設備もなく、破れた窓にはビニールが貼ってあり、家の前ではたぶん不良の兄貴が待っているにちがいない、たった三部屋の家(小屋、という方が真実に近い)に帰るのではなく、豪邸に帰るところだと言わんばかりのくったくのなさだった。
He walked off, still laughing, moving easily and gracefully, as though he didn't hurt like me and have blisters like me and like he wasn't lumped and bumped with mosquito and chigger and blackfly bites like me. As if he didn't have a care in the world, as if he was going to some real boss place instead of just home to a three-room house (shack would have been closer to the truth) with no indoor plumbing and broken windows covered with plastic and a brother who was probably laying for him in the front yard.

(『スタンド・バイ・ミー(The Body)』)


 彼はビー玉で喉を詰まらせてやろうと待ちかまえている。クリーニング屋からもどってきた洗濯物のビニール袋で、窒息させてやろうと待ちかまえている。電気というてっとりばやく致死的なブギー……〈"最寄りのスイッチ板"もしくは"現在使用されていない電灯のソケット"等でいつでもお手に入ります〉……で、黒焦げにしてやろうと待ちかまえている。二十五セントのピーナッツの袋、気管に吸い込まれたステーキの一片、この次に封を切る煙草の箱、どこにでも死がひそんでいる。彼はいつでも身近にいる。人間の世界と不死の世界の間のチェックポイントを、つねにモニターしている。不潔な注射針、毒虫、切れて垂れ下がった電線、山火事。急に向きを変えたローラースケートが、交通の激しい交差点に愚かな子供をとびださせる。シャワーを浴びようと風呂に入ればそこにもオルが待ちかまえている…〈シャワーメイトと楽しいシャワー〉。飛行機に乗れば、オルが搭乗券を受け取る。彼はあなたの飲む水のなかにいるし、あなたの食べる食べ物の中にもいる。一人おっちで、こわくなったとき、あなたは闇にむかって叫ぶ。「そこにいるのはだれだ?」すると、返ってくるのは彼の返事なのだ。こわがらなくてもいいよ。わしさ、わしがいるだけだ。よう、気分はどうだ? あんた、腸癌にかかっているぜ。やれやれ、悪運だね。ごめんソーリー、ひげソーリー! 敗血症! 白血病! 白血病! アテローム性動脈硬化症! 冠状動脈血栓症! 脳炎! 骨髄炎! ヤッホー、やったろじゃないか! 戸口にナイフを持ったペイ患。真夜中に電話。ノース・カロライナのどこかの高速出口では、バッテリー液で血が煮える。どかっと渡される錠剤、これを片っ端からむしゃむしゃやってくれ。窒息して仮死状態になったあとの、爪のあの奇妙な青っぽい色合い――生存のための最後の厳しい戦いのなかで、残った酸素を脳髄がすっかり使ってしまうのさ。爪の下のそれらちっぽけな細胞のなかのものまでも。いよう、みんな、わしの名は《オルのらいまおう》、なんなら"オル"だけでもいいぜ。なんせ、もう今じゃ古なじみの親友同士だから。なに、ちょっと立ち寄っただけさ、あんたにすてきな鬱血性心臓麻痺か、脳血栓か、なにかちょっとした贈り物をあげるために。いや、長居はできないんだ、ある女性と異常分娩のことで会わなくちゃならんし、オマハでは、煙を吸わせてやるというささやかな用事も待ってるんでね。
 われわれはパトロールをつづける……息子とおれは……なぜなら、いきることの要諦は戦争でもセックスでもなく、もっぱら《オルのらいまおう》を相手にまわしての、その気高い、絶望的な、うんざりするような戦いにのみあるのだから。

(『ペット・セマタリー』)


 私が「キング節」としてイメージしているのがこのような文章だ。
 スティーヴン・キングはデビューから一貫して、高尚な批評家から「文学的価値がなく」「品のない」「大衆作家」と苦言を呈されてきた。キングその人ですら『恐怖の四季』の前書きなどで、自分の作品を「マクドナルドのビッグマックとフライドポテトの大と同じ文学的価値」と卑下している。なるほど、如何に余計なことを書かずして読み手に情景や情感をかき立てるかが文学のお作法だとしたら、キングの文体はあまりにもごてごてしていて、写実的すぎて、それとはかけ離れている。脳炎! 骨髄炎! バビロンの淫売婦! すすぎ洗いだ! ポール、すすぎ洗いの時間だよ! こういった表現も社会通年上一般的に見て、純文学と称される作品とはあまり噛み合わない類のものだ。それにこのオッさんはどんだけ固有名詞が好きなんだ。
 上掲した『スタンド・バイ・ミー』のシークエンスを文学的見地から添削するとこうなるのだろうか。

 クリスは笑いながら歩み去った。わたしのように傷付いていないというように、わたしのように足に豆ができているわけではないというように、わたしのように蚊や、スナノミや、ブヨに悩んだわけではないというように、足取りも軽く、優美な歩きかただった。まるでこの世に悩みは一つもないと言わんばかりの、屋内水道設備もなく、破れた窓にはビニールが貼ってあり、家の前ではたぶん不良の兄貴が待っているにちがいない、たった三部屋の家(小屋、という方が真実に近い)に帰るのではなく、豪邸に帰るところだと言わんばかりのくったくのなさだった。


 ふんふむ、冒頭の文章以外はまるっと削っても支障はないかもしれない。「笑いながら」「去った」という表現だけでクリスの颯爽としてくったくがない様子は伝わってくる。後に続く描写は見方によっては「過剰」「蛇足」と言える。四角四面に文学的価値を考えれば、ばっさりと削除してしまうのが正解なのだろう。しかし、私はキング節のこういった余りある「過剰さ」が素晴らしいと思うのだ。私はまず、まるでその人の生活を子細に観察してきたような恐ろしい情景喚起力に圧倒される。加えて、読み手の五感に訴えかけてくる描写力、ガジェット選びの繊細なセンスに惹き付けられる。茂みに引っかかったケッズの空虚なさまや、スナノミやブヨの噛み痕の痛がゆさや、びしょびしょに煮くずれた野菜のからえずきしそうなまずさや、教室のごみ箱から漂うオレンジの皮の、不快であると同時に甘ったるい匂いがまざまざと感じられるではないか。そして、この畳みかけるような独特のリズム感がやみつきになる。「言葉の奔流」という言葉はこんな文章のために用意されているのだろう。こういった、批評家の評価も文学的価値も何のその、てめぇの書きたいことを思いのまま書き殴る「胆力」が、キングその人と世にあふれるキング・チルドレンの一線を画するところだと思う。
 また、文章に書かれている以上のことが伝わってくる、語り手の秘めた感情が伝わってくると言う点に限れば、キングの小説は文学の王道を貫いていると言えずともない。ゴーディがクリスの惨状、小旅行を終えてぼろぼろに傷ついた身体の様子から掃き溜めのような家の状態までを淡々と語りつづける様子からは、酸鼻を極める状況でもクールに振る舞うことのできる彼のタフさに対するあこがれが読み取れないだろうか。同様に、レッドが独房に戻るアンディーを待ち受けるみじめでみすぼらしい物事をつらつらと書き連ねる様子からは、そんな状況でも自分自信を見失わない彼の資質に対する畏敬の念、賞賛の念が伝わってこないだろうか。行き着くところまで行ったルイスが、オルのらいまおうの所業……思いつく限りの事故死や病死について陽気にまくし立てる様子から、彼と息子を取り巻く「死」の影に対する病的な恐怖がひしひしと感じられないだろうか。
 そんなこんなで、キングの余りある描写力、彼の言うところの「文学的象皮病」は誇るべき資質であること、彼の文体から作品全体を非文学的だと決めつけるのは早計であること、この二点を私は訴えつづけていくつもりである。

刑務所のリタ・ヘイワース 感想・レビュー スティーヴン・キング
 長ったらしい『刑務所のリタ・ヘイワース』のレビューだが、後半部でこの作品における文学的要素について触れているのでこちらもどうぞ。

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
スティーヴン キング Stephen King
410219312X
スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)
スティーヴン・キング Stephen King
4102193057
ペット・セマタリー〈上〉 (文春文庫)
スティーヴン キング Stephen King
416714803X

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

2012年06月10日

ポケットモンスター第6世代に期待すること 対戦環境の改善要望

 ポケットモンスタ-第五世代は当初、第四世代以上のバカ火力ごり押しゲーになるのではないかと予想されていた。シャンデラ、ヒヒダルマ、オノノクス、ナットレイなどの無駄が一切ない戦闘マシーンのような種族値配分は、ポケモンをデータか商売道具としか考えていないポケモンスタッフのスタンスが如実に表れていて、われわれの心胆を寒からしめた。しかし、ふたを開けてみれば、ヒヒダルマはスカーフ以外では運用のしようがなく、また上から叩かれただけで即死することが判明して早々に駆逐されてしまった。オノノクスはガブのタイプがいかに優秀か証明するだけだった。ナットレイはゴツメてつのトゲ型やジャイロアタッカー型はあっという間に対策され、害悪でんじはみがやど型に身を窶すことでどうにか生きながらえた。シャンデラは繰り出し性能があって圧力が掛けられる貴重なゴーストとしてなんとか息をしていだろうか。結果的に、第五世代の戦闘マシーンポケモンは環境を激変させるには至らなかった。しかし、発売から1年以上が過ぎ、研究が進められた今でも、思考停止で甚大な被害を与えるポケモン、技、戦法はごろごろ存在している。ランダム対戦の現環境は酸鼻を極める状況だ。天候思考停止ごり押しのトノグドラ、カバドリュがある。しんかのきせきの泥沼糞耐久受けループがある。ちょうのまい、ちいさくなるなどの既知外ハメ積み技がある。前世代から何の調整もされなかったラティオス先輩、トゲキッス先輩もバリバリの現役だ。いやはや、枚挙にいとまがない。彼らは今日も、数多のプレイヤーのこめかみに青筋を浮かばせ、あるいはゲームそのものをやめたくなるほどの脱力感を与えつづけている。

 今回の記事では「第六世代ではこの点を改善してほしい」という私の要望をだらだらと書こうと思っている。平然と、害悪だの厨だのと特定のポケモンを誹謗中傷したり、特定のプレイングを悪し様に罵ったりする予定なので、そういった行為に胸くそが悪くなる方はそっと戻るボタンを押していただきたい。

ポイズンヒールの回復量 最大HPの1/8から1/16に
 何でノーリスク(持ち物は縛るけれど)かつ状態異常実質無効かつ永続でこんなに回復すんねん! あめうけざらやアイスボディの回復量は1/16じゃねぇか。同じ1/8回復のかんそうはだは、ひでりでダメージを受ける、炎のダメージ増加というリスクがあるだろうよ。よりにもよって、第四世代における害虫代表のキノガッサちゃんと、第五世代における害虫代表のグライオンくんにこんな特性を与えるんじゃないよ。いや、グライオンはこの特性のせいで害虫になったと言う方が正しいのか。
 
あめふらし、ひでり、すなおこしの天候変化を永続から5ターンに
 しめったいわ等々を持たせていたら8ターン、それ以上はまかりならん。
 天候変化とくせいの効果が永続なのは、第四世代の時点で修正されるべきだった。修正しないんだったら一般ポケモンに与えるべきではなかった。永続でさえなければ、テンプレのトノグドラにも、史上最悪の害獣である砂ガブも、まもるなりサイクルを回すなりでターンを稼ぎ、しのいだら反撃という戦術が通るんだよ。思考停止雨パにあんなでかい顔をさせることはなかったんだよ。マイナーポケモンでも一矢報いることはできたんだよ。今の仕様じゃあさじを投げるっての。
 元は伝説ポケモン専用で、シナリオで俺TUEEEEEEをやるためだった鬼特性を、一般ポケにばらまいたのがよくなかったんだろうか。それに、ニョロトノもキュウコンも単体で充分戦えるスペックがあるじゃあないか。与えるなら与えるでもっと微妙なポケモンにしておけよ。
あるいはすいすい、ようりょくそ、すなかきのすばやさ上昇を2段階から1段階に
 トノグドラでバカの一つ覚えのドロポンごり押ししてきて、外れたら切断というパターンが多すぎるだろ。
 晴れパのようりょくそはぶっちゃけどうでもいいんだ。問題はすばやさが2倍になる上に、一致技の威力が1.5倍に強化されるされる雨パのすいすい持ちだ。頭おかしいやん。何も対策していないパーティにとっては、常に強化りゅうのまいがかかっているポケモンを相手にするようなもんだぞ? 天候を上書きする、メタポケモンで対抗する以外にどうしろっちゅうねん。
 あとは、雨が振っているだけで炎タイプの威力が落ちすぎじゃあないだろうか。3/4くらいでいいじゃないか。雨下のでんじはみがやどナットレイとか吐き気がする。雨パのこいつのためだけに格闘ポケモン入れるの嫌になる。
 現在の天候の仕様を擁護する奴は、二言目には「そんなの対策すればいいじゃん。雨パが相手ならナットレイなりビリジオンなりをパーティに入れればいいじゃん。ユキノオーやバンギラスで天候を上書きすればいいじゃん」と言うが、天候パと互角に戦うために、対策ポケモンのパーティ入りと選出を強制している時点で狂っているんだよ。ゲームバランスもへったくれもなくなっているんだよ。ナットレイとか、あんな出来損ないのUFOみたいな気色悪いポケモン、いくら強くても使いたくないっての。「特定のポケモンを入れればどうにかなるからOK」はとうてい認められない。通らない。
 
いたずらごころに発動率設定(50%くらい)
あるいはすばやさ2段階上昇(1段階で充分?)に変更

 無条件で優先度+1はいくらなんでも目障りすぎる。ぶっちゃけるけどね、私はこのクソ特性を考えたスタッフが首になったら、天を突くガッツポーズをしてしまうね。不謹慎ながら。第五世代はこのぶっ壊れ特性のせいで、コピペのオッサンがでんじはおいかぜするだけのゲームになってしまったじゃあないか。汚らしい淫獣エルフーンくんも、下火になったとはいえ充分うざい。こいつは覚える技のラインナップが酷すぎる。やどりぎのタネだのコットンガードだのしびれごなだのアンコールだの、特性を最大限に駆使して相手をハメるための技がよりどりみどりだ。エルフーンの設定をしたスタッフは性根がねじくれているんじゃないか。他にも、かつては弱点がないことだけがレゾンデートルだったヤミラミくんも、この特性を得たことで人生が一変したね。すばやさガン無視で、おにび、めいそう、じこさいせい、メタバを駆使して、三段飛ばしで害獣への階段を駆け上った。奴やエルフーンは、補助技害悪ポケモンへの特効薬であるちょうはつやアンコールに免疫があるのもうざいね。奴らが先制でちょうはつやアンコールを使ってくるんだもん。

みがわりとまもるを同属性にする、連続して使うと失敗する
 害悪戦法はまもみがに始まりまもみがに終わる。ポイヒグライオンの遅延行為や、第五世代初期にはやったやどりぎエルフーンなど、みがわりとまもるのどちらかが欠けても嫌がらせとして機能しない害悪戦法は多い。
 私の考えた対策は、みきりとまもるを交互に繰り返しても失敗するように、まもるとみがわりも同属性にして、連続で使用すると失敗するようにすることだ。こらえるも同様の仕様なんだから、こらえる以上にうざったいみがわりも一括りにしていいじゃないか。ぜひやってくれ。
まもる、みがわりのPPを5に
 ポイントマックスを使うことを前提として、16回も必要ないでしょ。まもるが必須らしいダブルだって、8回も使えれば充分だろ? 確かプレッシャーの影響は受けなかったよね。
相手の交代時にまもるを使ってもわざが成功する(次に使うと50%で失敗する)
 細かい点だが、ぜひ修正してほしい。これが実現すれば、ミスター課金の加速バシャーモさんの攻略難易度ががくっと下がるんだ。思考停止の初手まもるを読んでスカーフを差し込めば、後は上から叩いてはい終了。こいつはいいよ、ぜひ検討してくれ。

てんのめぐみ わざの追加効果の発動率+20%に変更
でなければエアスラッシュの命中を90%、ひるみを20%に変更

 最近の害鳥キッスくんは、スカーフエアスラか思考停止ハチマキしんそくぶっぱばっかりだな。でんじはクソゲーは滅多に見なくなった。
 前々から思っていたけれど、ポケモンスタッフってユーザーの声を一切聞いていないよな。ちゃんと聞いているなら、第四世代にあれだけ厨ポケの名をほしいままにしたトゲキッスの調整をしないのはありえない。
 こんな修正をしたらしたで、エアスラでひるまないorはりきりと同じくクソ外ししたら切断、と言う輩が増えそうだけどね。この害鳥を使ってる奴は、どっちの特性でも、でんじは搭載でも思考停止スカーフエアスラでも、結局自分の思い通りにならなかったら切断してくるんだよな。それが心底面倒くさい。こいつはもう見るのも嫌だ。吐き気がする。

からをやぶる こうげきととくこうは1段階上昇、あるいはすばやさは1段階上昇
 こなくそ! この技を考えた野郎は二度と開発に関わらないでほしい。計2段階ダウンで6段階アップとか気が狂っている。そもそもだな、からをやぶって素早くなるのは理解できないことはないが、なぜこうげきととくこうが急上昇するんだ? パルシェンが殻を破ったら、でてくるのはあのゴースみたいな奴だろ? あの見るからにひ弱そうな奴に、伝説ポケモン以上の攻撃力があるってのか?
ちょうのまい とくこうとすばやさ1段階上昇
 これで充分でしょ。なんで効果をりゅうのまいと対にしなかったの? バカなの?
 コットンガードだって、とけるやバリアーと同じく2段階上昇で充分でしょ。今のところ害悪エルフーン以外は微妙なポケモンにしか配布されていないが、もともと早くて固い強ポケに安売りされたらさらにクソゲー化が加速するぞ。物理アタッカーが減って、ラティオスりゅうせいぐん帝国がさらに盤石なものになるな。
ちいさくなる 元通り回避率1段階上昇 あるいはぼうぎょととくぼう1段階ダウン
 でなければ攻撃を喰らった瞬間即死するとか、そんな感じで一つ頼む。本当に、ちいさくなるの仕様変更を考えた奴の正気を疑うわ。いちど精神科で見てもらったほうがいいんじゃあないだろうか。ハードローラーやふみつけみたいな、採用理由のない技の威力が上がることでバランス調整したつもりなの? 脳みそがクソなの?
アンコール、ちょうはつ、トリックは回避率無視で命中100%
 これくらいはしてくれてもいいんじゃないか。たったこれだけで、様々なポケモンが、バカの一つ覚えでちいさくなるを繰り返す害虫を確実に駆除できるようになる。ぜひとも実現してほしい。 

まひの仕様 すばやさは1/3OR1/2、しびれてうごけない確率は20%
 バンギガブのクソゲーはどうにかならないのか。いらいらする。
 まひについては、すばやさが1/4になるという初代の滅茶苦茶な仕様をいまだに引きずっているのがおかしい。動けない確率を25%にしたならそっちも修正したらどうだい。加えて広範囲にばらまかれているでんじはの命中率が100なのも納得できない。おにびやどくどくは外れるじゃねぇか、不公平だ。

どく、こおり、いわ、あくタイプの救済
 この4タイプの中で一線級で戦えるポケモンはどれだけいるんだ?
 こおりといわの調整は、さじ加減を間違うとバンギやノオーがイカレ性能になるのでほどほどに。もともと一致技の攻撃性能は最上位だから、弱点を一つ減らすか耐性を一つ付与してあげるくらいでちょうどいいと思う。深刻なのはどくタイプだ。攻撃面が目も当てられない。よく言われるように、みずかかくとうにこうかばつぐんにしてあげてもバチはあたらないんじゃないだろうか。防御面でも、いくら耐性が4つあるといったところで、そのうち3つはサブウェポンでもあまり採用されないマイナー属性ではないか。売りになるのはかくとう耐性+どくどく無効くらいじゃないのか。どくタイプの他の特徴として、弱点が2つだけで、かつ一つがマイナーであることも挙げられるが、弱点が少ないかわりに耐性も少ない優等生は現環境では非常に使いづらく、ずば抜けた長所とは言いがたい。これはエスパー、あくタイプにも言えることだね。一部のしんかのきせき害悪を除けば、種族値による受けが成立しづらい昨今、耐性が少ないポケモンの繰り出し性能は下がる一方だ。
 ああ、これもよく言われるが、くさタイプの強化は全くもって必要ないから。やるなよ。絶対やるなよ。やつらはいやがらせ技の豊富さとメジャー耐性の多さで充分バランスが取れている。これ以上強化するなら、かわりに全てのくさポケからやどりぎのタネや各種こなを永久に没収しろ。
 
しんかのきせき 1進化目のポケモンには無効
あるいはぼうぎょととくぼうを1.3倍に変更

 いただいたコメントを基に優先度を変更した。なるほど、これならポリゴン2もヨノワールもラッキーも適用外になるね。この対策は思いつかないでもなかったんだが、ピンプクの存在をまるっきり忘れていて「ちいさくなる投げラッキーに効果があるんじゃあ何も変わらんやんけ!」と却下していた。申し訳。
 しんかのきせきは、趣味以外に採用理由がなかった進化前のポケモンにスポットライトを当てる画期的な道具のはずだった。今まで対戦では見向きもされなかったポケモンに、檜舞台で活躍するチャンスを与えてくれるはずだった。開発者の、いろいろなポケモンを対戦で使ってほしいというその志やよしだ。だが、同時にヨノワール、ラッキー、ポリゴン2といった後付け進化組が糞耐久の厨ポケとなり、雨後の竹の子のようにそこら中で増えて害を為すことは予想できなかったんだろうか?
 結局、元からそこそこ戦えていた進化前ポケモンが厨ポケと化しただけで、彼らを突破することがとうてい無理なマイナー進化前はさらに肩身が狭くなってしまった。本末転倒だと思う。

ねむりの残りターンは交代してもリセットされない
 というか、これってバグでしょ? でなければプログラマーの力量不足でしょ。いつパッチを出すなり回収するなりするん? 過去作では有効に機能していた、対戦のゲームバランスと精神衛生に大きく関わる仕様を急に削除する理由がない。このうんこ仕様のせいで、ねむりごなほえるフシギバナとかいう害虫があらたに誕生してしまった。
複数催眠禁止
ねむりごなの命中 60%

 私は基本的に催眠運ゲーが大嫌いなので、ポケモンスタジアムの複数催眠・複数氷が発生しない仕様の輸入を切に希望している。

ステルスロックの調整(ダメージの回数制限、回収など)
 こうそくスピンは6→3じゃあ入れる枠ねーから。
 ステロを撒いてひたすらあくびしてくるHSユクシーに、マイナーポケモンはどうやって対抗すればいいんだろうか。彼、S種族値も95あるから悠長に挑発もできないし、やってもとんぼで逃げられるんやけど。ステロが無効タイプなしで無尽蔵にダメージを与える仕様だからこんなハメが成立するわけで、3~4回ダメージを与えたら消滅してほしい。
 とりあえず、いわタイプにステロのダメージ無効&回収の能力を付与してはどうだろうか。奴らは耐性が壊滅的なのでこれくらいの特典はあってもいいんじゃないか。

ランダムマッチは今まで通りの仕様、対戦相手を募集するモード、対戦相手を選ぶモードの3パターンから選べるようにする
 この仕様については万人が諸手を挙げて歓迎するんじゃないか? そこまで難しい技術とも思えないので実現を切に希望する。ルームごとに禁止ポケモンなどのルールを設定できれば言うことなしだ。フリーでもラティ零度スイクン加速バシャetc...で俺TUEEEEEEEEEEがやりたい奴や、泥沼糞耐久ポケモンで泥沼糞試合をやりたい奴や、催眠積み技で運ゲーがやりたい奴は、同士を募ってよろしくやってくれればいい。


まとめ
 口をすっぱくして言うが、きせき投げラッキーにしろ、トノグドラにしろ、対策できないことはないけれど、絶対的に対策を強制している時点でゲームバランスが崩壊しているんだよ。改善しなくていい理由にはならない。このさい、シナリオの厨二オナニー路線や、腐れユーザーインターフェイスには目をつぶるから、対戦相手を選択できる仕様くらいは取り込んでくれないだろうか。一つ検討をお頼み申しあげる。

2012/01/24執筆 2012/06/10加筆修正
 ブラック・ホワイト2発売まであと二週間。このうち一つでも改善されればいいなぁ。

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

tags: ポケモン 

Template Designed by DW99