2007年03月30日

本当にWEBノベルが原作なの?

Q.にWEBノベルが原作なの?
A.プロットがまんますぎること、謎が投げっぱなしなこと、いくらなんでもタイミングがよすぎることから、Webノベルのゲーム化というのはヤラセで、宣伝のために本編の1ルートをテキスト改変してウェブで先行公開したんじゃないか、ともっぱらの話。

 WEBノベル『アカイイト』は本編の葛ルート「彼岸と此岸」のテキストを基にしているが、書き言葉にリライトされている、桂ちゃんが尾花やノゾミちゃん、ミカゲちゃんを地の文で呼び捨てにする、エピローグに登場するのが白花ちゃんではなく烏月さんになっているなどいくつか相違点(改悪点)がある。テキストに手を入れたのは麓川御大ではなく他社(Wellmade?)の人間らしい。だから「ひととせのひとひら」と違ってWebノベルアカイイトには麓川御大のクレジットがないとかいう噂。白花ちゃんの件はWEBノベルで出番が全くないのを顧慮してのことだと思われる。
 改変の一例を挙げる。

-サクヤ-
「なあ、今ならまだ引けるんだよ?」
-サクヤ-
「葛さえその気になってくれれば、普通の人間に戻ることだってできるんだよ?」
 それはきっと、忠告のフリをした消えないでほしいという願い。
 にもかかわらずその人は。
-オハシラサマ-
「いえ、それはできません」
 髪に頬を打たせながら、彼女はゆっくりと、はっきり首を横に振った。

(◇封じの柱の儀)


「なあ、今ならまだ引けるんだよ。葛さえその気になってくれれば、普通の人間に戻ることだってできるんだよ」
 サクヤさんの言葉には忠告ではなく、オハシラサマに消えないで欲しいという願いが込められているように聞こえた。もしかして、サクヤさんはオハシラサマとかつて知り合いだったのだろうか。そんな疑問が頭に浮かんだが、それを問う間もなく、オハシラサマはきっぱりとわたしたちに告げた。
「いえ、それはできません」
 髪に頬を打たせながら、彼女はゆっくりと首を横に振る。

(『●アカイイト● 第十回8ページ』)



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2007年03月29日

通常版と廉価版の違いは?

Q.通常版と廉価版の違いは?
A.ゲーム本編に違いは無い。セーブデータも共有できる。

 しかし、起動時に毎回流れるSuperLite2000のデモがけっこうウザい。また、残念ながらバグも残存している。

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2007年03月28日

不具合・バグはどんなのがある?

Q.不具合・バグはどんなのがある?
A.エンディングの再生周りと、回想モードの不具合が確認されている。

1.エンディングテーマ「旅路の果て」が、ときどきノイズ混じりに再生される。発生条件は不明。廉価版でも確認済み。
2.玉手箱の「結末一覧」でNO22「言霊の継承(2)」を見ると、桂ちゃんのセリフ「いや――」の後に画面が真っ赤に染まって操作不能になる。停止中は血が滴る効果音と「昏き陽炎」が空しく流れる。
コワい……
 しばらくすると動き出すが、テキストが終わり付近まですっ飛ばされて、バックログも正常に表示されない。廉価版でも確認済み。
 当然、修正パッチは存在しない。そこまで重要なEDではないのが救いか。

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2007年03月27日

音楽鑑賞モードが出ないんだけど?

Q.エンディングをコンプしても、分岐図を埋めても音楽鑑賞モードが出ないんだけど?
A.音楽鑑賞モード? そんなもの、ウチにはないよ……。

 オリジナルサウンドトラック購入のこと。

アカイイト オリジナルサウンドトラック
ゲーム・ミュージック 霜月はるか riya
B0002YD6T6

サウンドトラックの曲目

1.廻る世界で(オープニングテーマ)
2.光射す場所
3.夏に咲いた日
4.高い空を見上げて
5.風の回廊
6.ホンニャカモンマカ
7.Wheel of Fortune(携帯の着メロ)
8.時の雫
9.夢の苧環 ゆめのおだまき(タイトル画面曲)
10.凍月 いてづき
11.いつかのひかり(アルバムモード)
12.抱きとめた想い(合意有りの吸血シーン)
13.古唄 いにしえうた(デモムービー曲)
14.蟠 はん
15.禍つ疾風 まがつはやて
16.怒涛
17.昏き陽炎 くらきかげろい
18.底知れぬ闇へ(合意無しの吸血シーン)
19.去り逝く者、残される者
20.泡沫 うたかた
21.廻る生命 まわるいのち(クリア後のタイトル画面曲)
22.旅路の果て(エンディングテーマ)

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2007年03月26日

分岐図がどうしても埋まらないんだけど?

Q.分岐図がどうしても埋まらないんだけど?
A.一部、厳しい条件分岐があるので、その箇所を通るための選択肢を載せる。下に挙げた以外の部分が埋まらない場合は、個人の攻略サイトにでもあたること。

烏月ルート「吸血鬼」の左
駅員さんに訊きたいことが→旅館を紹介してもらう→勇気をだして自分でフォロー→ウヅキってどんな字?→わたしは首を横に振る→気のせいだと思い込む→話すのはやめておこう

烏月ルート「どうしてこんなところに?」の左→左
駅員さんに聞きたいことが→旅館を紹介してもらう→恥ずかしいので止めておく →私はこくりと頷いた→確かめてみる→怖いので帰る→せっかくだからもう少し →ボロボロだった

烏月ルート「不法侵入?」の左→左→右
駅員さんに聞きたいことが→旅館を紹介してもらう→勇気を出して自分でフォロー→そういえば、確か…→私は首を横に振る→確かめてみる→会ったことを話してみる→追いかけない→納得できない→烏月が気になる

葛ルート「コドク」の左
下調べもしたし大丈夫→私はこくりと頷いた→気をつけるよ→葛ちゃんを探しに行こう→なんとかしたいけど→自分が出る→ん~?→蛇が!毒が!?→お願いします→それでも→人間じゃないなんて信じない→保護者同伴なら

サクヤルート「歓迎の心は掃除から」の左→右
下調べもしたし大丈夫→私はこくりと頷いた→とにかく驚く→腹が減っては戦は出来ぬ→地域密着の定食屋さん→ん~?→どういうこと?→それでも→血を飲んでもらう→偏食はんた~い!→陽子ちゃんに定時報告→しょうがないなぁ…。

ユメイルート「吸血鬼」の左と「無銭乗車?」の右
駅員さんに聞きたいことが→旅館を紹介してもらう→勇気を出して自分でフォロー→ウヅキってどんな字?→わたしは首を横に振る→気のせいだと思い込む→話すのはやめておこう

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2007年03月25日

エンディング、分岐図コンプでいいことある?

Q.エンディング、分岐図コンプでいいことある?
A.特になし。ご褒美はトルゥーEDを全て見たときに表示されるイラストが最後。

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2007年03月24日

セーブデータに表示される月のアイコンは何?

Q.セーブデータに表示される月のアイコンは何?
A.物語内の時間を表している。


朝と昼間は太陽。

逢魔が刻では夕暮れの橙色。

日が暮れると月に代わる。

夜が深まるにつれて月が丸くなる。

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2007年03月23日

登場人物のプロフってどこかにないの?

Q.登場人物のプロフってどこかにないの?
A.とりあえず公式サイトとWEBノベルのキャラクター紹介ページを参照されたし。WEBノベル版だけなぜか3サイズが載っている。

http://www.success-corp.co.jp/software/ps2/akaiito/char00.html
http://www.success-corp.co.jp/software/ps2/akaiito/novel/aka_char00.htm

 絶賛売り切れ中の『アカイイト設定解説ファンブック』には、桂ちゃん、ユメイさん、サクヤさん、烏月さん、葛ちゃん、ノゾミちゃん、ミカゲちゃんの【年齢】【誕生日】【血液型】【身長】【サイズ】【趣味】【好き】【嫌い】が載っている。しがしながら、【趣味】【好き】【嫌い】の欄は本編で語られた以上のことは書かれてない上(例えばサクヤさんの【好き】は酒と塩辛いもの)、「特になし」の欄も多いので、過度の期待は持たないこと。
 陽子ちゃんとお凛さんのデータは設定解説ファンブックにも載っていない。麓川御大が資料を渡したにもかかわらず、JIVEが掲載しなかったとのこと*1

・奈良陽子(なら ようこ)
【誕生日】1月24日(水瓶座)
【血液型】B型

・東郷凛(とうごう りん)
【誕生日】1月1日(山羊座)
【血液型】AB型


*1旧ほんまPの一言コーナー。

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2007年03月22日

「コクジョウ」「アカジル」「wakasugi.orz」って何?

Q.「コクジョウ」「アカジル」「wakasugi.orz」って何?
A.公式サイトのエイプリルフール企画。

 コクジョウ体験版(2005年)は短編ビジュアルノベル。アカイイトの外伝で、本編から六十年ほど前、戦後間もない経観塚が舞台。本編からはサクヤさん、笑子さん、秋田さん、大伴三平(酒屋のオッさん)、浅間の長を切った鬼切り役(千羽景朋)が出演している。脚本はもちろん麓川御大。立ち絵は「かまいたちの夜」のようなシルエットだが、ほとんどがHal描き下ろし。背景(ぼかし処理)と音楽はアカイイトのものを流用している。ネタ企画らしからぬクオリティーの高さで、皆から愛されている。
左:渡辺丞(たすく) 右:千羽景朋(かげとも)  

縒り合う縁に絡め取られた咎人(けもの)たち――
     その身体に刻まれるのは――
          罪の黒印(しるし)か、武勲(いさお)の証か。


 公式サイトで折々再アップされるので、ほしい方は気長にチェックすべし。
2014/09/08追記
 公式サイトが音信不通になって随分立つので、当時確保していたファンと友だちになって譲ってもらう方が現実的かもしれない。


 アカジル(2006年)は嘘商品の宣伝。こだわり養育の贄の血100%だそうな。

真弓式養育法でおいしい!

健康な心身にこだわり、料理上手のお母さんによって養育された純国産贄の血を100%使用した「すんごい赤汁」が一昨年10月の発売以来、大好評!
さらに、ストレスの発散を高めるお笑いも日頃から聞かせています。
栄養もおいしさもすんごい赤汁を、ぜひおためし下さい。



 トップ絵のアカジルを掲げたサクヤさんはHal描きおろしであった。


 wakasugi.orz(2007)は嘘サイト。日本の裏も表も牛耳る巨大財閥、若杉グループのポータルサイト。

若杉の歴史はそれなりに古いです。その昔は安倍晴明で有名な安倍家に仕える陰陽師の家系だったといいます。その際の人脈・金脈を元手にした事業で財を成し、その後の若杉グループ各社の発展の基礎を築きました。そのあたりの詳細を根掘り葉掘り調べると、何かしらの不幸に見舞われる可能性があるのでご注意ください。




 初出絵は無し。

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2007年03月21日

アカイイトの舞台は西暦何年?

Q.アカイイトの舞台は西暦何年?
A.2004年。たぶん。

1.作中で一九四五年だと明言されている終戦がおおよそ六十年前で、ちょうど六十年前はまだ戦時中らしいので。

-桂-
「ちょっと待って!サクヤさんストップ!」
-サクヤ-
「ん?なんだい、怖くなったのかい?」
-桂-
「あのね、確か六十年前ってことは……」
 ちょっと自信が無くて目を泳がせると、偶然にも葛ちゃんと目があった。
-桂-
「……だいたい終戦の頃だよね?」
-葛-
「『ほど』なんて大ざっぱな言い方難で実際のところはわかりませんけど、六十年ぴったりで計算するなら戦時中ですね。終戦は一九四五年ですから」

(◇ジョーカー)


2.『アカイイト』の発表年が2004年なので。

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2007年03月20日

サクヤさんの正体は?

Q.サクヤさんの正体は?
A.荒ぶる弟神・須佐之男命(すさのおのみこと)が、贄の血を引く子孫を鬼から守らせるために、観月の民の身体を借りてこの世に遣わせた"もの"。

-主-
「月蝕の夜に生まれた娘……まさか、まさか貴様!貴様の《力》は、月神に因るものではなく――」
「その荒ぶる弟神、我が祖を討った羅喉の《力》かっ!?」

(◇月を喰らうもの)


 須佐之男命は「日本書紀」で、太陽を司る神・天照大神(あまてらすおおかみ)の弟神と書かれている。
 「やしおりの酒」「天羽羽斬」などのキーワードから予想するに、主の遠祖は八岐大蛇(やまたのおろち)である。八岐大蛇を討ったと言えば、須佐之男命その人を除いて他にない。

 頷くその人の眼が、ひたとわたし――幼いサクヤさんの上で止まった。
-浅間の長-
「……小角様?うちのサクヤがどうかなさいましたか?」
-小角-
「いや――」
-小角-
「この娘――本当におぬしら観月の民の子か?」
 心臓が氷りつくような言葉だった。

(◇千年の記憶Ⅱ 長らの集い)


 贄の血を引く役行者小角は、大蛇に捧げられていた櫛名田姫神(くしなだひめ)と須佐之男命の子孫である。須佐之男命(羅睺)と縁ある者同士だったからこそ、サクヤさんの正体を見抜けたのだろう。

 勘違いされがちだが、サクヤさんは「月のない夜に生まれたから、須佐之男命の加護を受けている」のではなく、「須佐之男命が特別に遣わした存在だから、朔の夜に生を受けた」が正しい。そうでなければ小角の違和感が説明できない。
 同様に、サクヤさんは月蝕時に須佐之男命の加護を得るのではなく、須佐之男命の〈力〉を発動させるときに、その証として羅睺が起こるのである。月蝕時にも多少は<力>が上がるだろうが、主を圧倒するほどではないと思われる。
 サクヤさんが鬼か、それともそれ以外の存在なのかは、キリストが神(の子)なのか人間なのかという議論と同じこと。誰にも確かなことは言えない。

 そう、どうでもいいことだ。
 人でも鬼でも鬼以外の何者かでも、サクヤさんはサクヤさんなんだから。

(◇月を喰らうもの)



関連項目
主の正体は?
なぜ千羽党の襲撃でサクヤさんだけ生き残ったの?
サクヤさんが主戦で発動させた〈力〉は何?

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2007年03月19日

主の正体は?

Q.主の正体は?
A.天津甕星(あまつみかぼし)、または天香香背男(あめのかかせお)。祀ろわぬ蛇神、輝ける星神。

 主の正体に関する情報は以下の通りである。
1.八岐大蛇(やまたのおろち)を遠祖に持つ蛇神である。

-ノゾミ-
「血には貴賎があるのよ。あなたの血はね、とても純粋で尊い」
-ミカゲ-
「やしおりの酒が、主さまの遠祖を酔い潰してしまったように」
-ノゾミ-
「とても濃くて強いのよ」

(◇蛇の神の使い)


 吉備団子と言えば桃太郎、鉞と言えば金太郎なように、八塩折(やしおり)の酒と言えば八岐大蛇である。須佐之男命(すさのおのみこと)は大蛇を退治するさい、八塩折の酒を満たせた酒船を八艘用意させ、八本の首を酔わせてから斬りかかった。
 ちなみに、この時大蛇が生け贄に求めていた櫛名田姫(くしなだひめ)が、確認された限りでは最初の贄の血の持ち主である。

-烏月-
「――まさか、折れず、錆びずのこの維斗が、こうも容易く折れるとは思いませんでした」
 維斗という名の二尺四寸の秋水は、主の攻撃を受け止めることが出来ずにその身を元の半分の長さにしていた。(略)
-主-
「笑止。我が祖を切った天羽羽斬とてその刃を欠いたのだ。その程度の太刀が折れずにすもうか」

(◇赤い鬼神)


 天羽羽斬(あまのははきり)の「はは」は「蛇」を表す古語。須佐之男命の佩剣(はいけん)である。須佐之男命が大蛇の尾を切ったさいに、隠されていた天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の刃に負けて欠けてしまう。

-主-
「月蝕の夜に生まれた娘……まさか、まさか貴様!貴様の《力》は、月神に因るものではなく――」
「その荒ぶる弟神、我が祖を討った羅喉の《力》かっ!?」

(◇月を喰らうもの)


 須佐之男命は天照大神(あまてらすおおかみ)の弟神。須佐之男命が討ったと言えば、八岐大蛇。

2.まつろわぬ星神であり、武葉槌命(たけはつちのみこと)に服されている。

-小角-
「陽の神の孫が地に降りてより、世にある闇は日月の移ろいとともに薄まる一方だ」
「わかるか。我ら人に在らざるものは、隠として――人に悟られぬように生きていかねばならん。それが世の流れというものだ」
「おぬしとて、あの争乱で武葉槌命に服されて以来、大人しくしていたのではないか。まつろわぬ鬼、年経た赤き蛇、輝ける星神よ」
-主-
「ほう、そこまで知っているか」
-小角-
「藤原の大臣が、そのあたりの凡をまとめさせておるのだよ」
「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず――と、唐渡りの書にも記されておれば、こちらは十分に用意をさせてもらったぞ」
「観月の女神は天に在す機織り女。おぬしを服した武葉槌も文を織る神であったな」

(◇千年の記憶Ⅲ 黙示録)


-主-
「まあよい。我ら禍神の一族とて、月より長き生命を得ているものだが、おぬしら観月のものほど影響は受けておらん」

(◇月の蝕み)


3.天照大神を憎んでいることから、国津神(くにつかみ)である。

-小角-
「その小鳥とやらが此度の元凶か。しておぬし、贄の血を得て何を為す」
-主-
「私の欲するところを為す」
「私は隠れたいときに隠れ、現れたいときに現れる。照日の神らの台頭で、闇の領土が狭まったいうのなら――」
「その神を弑すればよいではないか。奴らが我が祖を屠り、我らの治める地を平らげ、この世の覇権を手にしたように」
「確かに私は一度敗れた。だが、一度血に塗れたからといって、それがどうしたというのだ。それで全てが失われたわけではあるまい」
「贄の血によって削がれた《力》を取り戻し、再び大和の地を席巻し、住みやすき闇の領土を広げよう。私にはそれができる」

(◇千年の記憶Ⅲ 黙示録)


 これらの条件に当てはまるのが天津甕星である。
 大国主神が国を譲る折り、経津主神、武甕槌命の二人は国津神をことごとく平定し、草木や石までも平らげたが、星神の天津甕星だけは服せなかったそうな。知略に秀でた武葉槌命が一計を講じて、封じるに至ったとのこと。

参考資料
『アカイイト 用語辞典』
『アカイイト 設定解説ファンブック』

天津甕星 - Wikipedia

関連項目
Q.サクヤさんが主戦で発動させた〈力〉は何?

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2007年03月18日

ミカゲちゃんの正体は?

Q.ミカゲちゃんの正体は?
A.
1.主の分霊
2.時の権力者らの暗い感情、怨念
3.ノゾミちゃんが吐きかけた呪言
 これらの集合体が、ノゾミちゃんが鏡に映る自身を妹に見立てて会話するのを延々繰り返した結果、鏡写しの姿で形を成したもの。

 良月には主の干渉を受ける前、藤原望の手に渡った時点で、既に不穏なものが巣くっていたらしい。

 口をぬぐって鏡を見る。
 そこには憎い顔が映っている。
 ふと、誰かに見られているような気がしたのだけれど――
 おそらく鏡に映った己の視線だろう。
 気にしないことにした。

(◇望)


 良月は遣隋使により中臣氏(後の藤原氏)という権勢の中心にある家に持ち込まれる。結果、常に時の権力者らの恨みや妬み、負の感情に晒されることになる。中には藤原望と同じく、良月に向かって呪いの言葉を吐いた者もいたかもしれない。良月は望の手に渡って延々呪言を吐きかけられる前から、既に呪物としての素質を備えていた。

-葛-
「まぁ、千年以上昔の鏡ですから、何かしらのいわくぐらい付くものです。器物は百年経つと魂を持つと言われているぐらいですし」
「ましてや、かの中臣氏――すぐに藤原姓に変わりますけど――の持ち物ですからね。権力の中心近くに据え置かれたりしたら、呪いの一つや二つも吐き出すようになりますよ。例えばそれが物でも人間でも」

(◇いわくの鏡)


 鏡が吸いつづけた怨念、呪言は凝り固まり、やがて《器》として機能するまでになる(葛ちゃんの言葉を借りれば「魂を持」った)。そこに主が望を良月に憑かせたときに保険として忍ばせていた分霊が取り憑き、「鬼」の素材が完成する。

 悔しい。
 私は悔しさのたけを、ねぐらの中で語り続けた。
 もちろん応えはない。
 それは主さまがいた頃と同じ。
 だけれどずいぶん長く続いたので、私は少し寂しくなって、自分で応えを返してみた。
「――そう」
 単なる相づちをたまに打つ。
 少し寂しさが薄れたような気がした。


 そして、藤原望が良月に映る自身の姿を妹に見立てて罵っていたことと、ノゾミちゃんが主が封じられて再び一人になったときに寂しさを紛らわす為に一人二役で会話していたこと(おそらく鏡に映る自分に向かって話しかけていた)、それらの儀式めいた反復のうちに(何せ藤原望……ノゾミちゃんには他にすることがなかったのだ)、前述した「鬼」の素材がいつしかノゾミちゃんの鏡写しの姿で具現化された。
 ミカゲちゃんの気弱で従順な人格は、ノゾミちゃんの憎き「妹」に対する理想像・妄想が表れているから、もしくは分霊がノゾミちゃんに取り入りやすい性格に設定したから、でなければ鏡写しだから性格も正反対になった。
 ちなみに「ミカゲ」は御(主)の影であり巳(蛇)の影であり甕の気である。

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2007年03月17日

尾花ちゃんの正体は?

Q.尾花ちゃんの正体は?
A.一言主神(ひとことぬしのかみ)。葛城山の主で、言霊の呪を掌る鬼神である。

 言霊を操る鬼神という劇中の設定は、「古事記」における有名な台詞「吾は悪事も一言、善事も一言、言い離つ神。葛城の一言主の大神なり」による。
 一言主神……尾花ちゃんの言霊を封じたのは、サクヤルート◇千年の記憶で登場する役行者小角だ。小角と一言主神といえば慣用句の「岩橋」だが、小角はその桁外れの法力で、一言主をはじめとする鬼神すら服し、土木工事などに従事させて朝廷から評価を得ていた。工事を急かす小角は、夜だけしか働こうとしない一言主に腹を立て、蔦葛で縛り上げて深い谷にうっちゃったんだそうな。一言主神は激怒して、朝廷に「小角は謀反を企てている」と讒言し、結果小角は伊豆に流される羽目になった。

-浅間の長-
「して、小角様は?」
-大神の長-
「色々と用意があるのだそうな。奴ほどの鬼とことを構えるには、葛城の神の助けがいるかもしれんと――」
 ふと、入り口のあたりが、ざわめいた。
 そこには、尾花ちゃんとよく似た白い子狐を連れた修験者が一人佇んでいた。

(◇千年の記憶Ⅱ 長らの集い)


「ほう、貴様もいたのか、人に与する我が同胞よ」
「しかしだ、葛城の神よ。言霊を封じられた身で何ができるというのだ」

(『アカイイト 絆の記憶』)


-ミカゲ-
「姉さま、どうやら封じは解かれていません」
-ノゾミ-
「あら、そうなの。それなら何も心配ないわね。役行者の封じさえ解かれなければ」
-ミカゲ-
「呪の根源たる言霊を封じられていれば……」
-ノゾミ-
「主さまの向こうを張る恐ろしい鬼神と言えども、ただの狐も同然でなくて」

(◇蛇の神の使い)


 尾花が葛ちゃんと行動を共にしていたのは、特に深い意味はなく、彼女の名前がかつての自分の根城と同じだったことから、言霊の洒落程度に付き合っていたと思われる。
 桂ちゃんにさっぱり懐かないのは、自分を辱めた小角の血縁だからだろう。

-桂-
「あ、そういえば尾花ちゃんそっくりの子も出てきたよ」
 小角様だったっけ。主を封じた偉い行者様が尾花ちゃんにそっくりな子狐を連れていた。
 ん~。
 じっと尾花ちゃんの円らな目を見つめる。
 サクヤさんだってあの時代から生きてるんだから、もしや尾花ちゃんも……
-葛-
「どーかしましたか?」
-桂-
「あ、別に何でもない」
 さすがにそれは考えすぎだろう。
 もしそうなら、わたしも小角様と同じ贄の血の持ち主なんだから、もう少し懐いてくれてもいいと思うし。

(◇ひとつのゆめ)


参考文献
『アカイイト 設定解説ファンブック』

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2007年03月16日

サクヤさんと烏月さんの不仲の原因は?

Q.サクヤさんと烏月さんの不仲の原因は?
A.根になっているのは明良さんと白花ちゃんの一件。六十年前の千羽党による観月の民の村の襲撃事件も大きく影響しているし、単純に性格が合わない向きもあるようだ。

-サクヤ-
「はん、鼻息の荒さの割には、ずいぶんとだらしないんだねぇ、今の千羽の鬼切り役は」
「先代の実力はよく知らないんだけど、先々代の足下にも、到底及んでないんじゃないかい」
 どうして知っているのか、サクヤさんは烏月さんの事情についてくわしい模様。
 仲の悪いふたりだけれど、どうやら根になっているのはこの辺らしい。

(◇烏合)


1.烏月さんが、兄(明良)が命令違反と知りながら切るべき鬼を匿い、自分が処断するほかなくなったのは、サクヤさんに原因があると(失礼な言い方だが)思い込んでいるから。
 兄が命に背いてまでケイを匿ったのは、鬼切りの師匠であり尊敬していた先々代(真弓)が、切るべき鬼だったサクヤさんと意気投合したのに影響されてのことだ。加えて、そもそもサクヤさんが真弓さんに正樹さんを紹介していなければ、結婚で真弓さんが役目を退くこともなく、従って兄が鬼切り役を務めることもなく、因縁がもつれることもなかったのだ、というのが烏月さんの見解である。

-サクヤ-
「それで烏月。なんであんたがこんな所にいるんだい。最後の観月を切り捨てろって、鬼切り頭から命でも下ったのかい?」
-千羽-
「違います。あなたとは別の鬼を追ってきました。この地に祭られるオハシラサマでもありません」
「ですが、その鬼を追わねばならない背景には、すくなからずあなたも関わっているということを、忘れないでください」
-サクヤ-
「……あたしがかい?」
-千羽-
「鬼であるあなたが先々代をそそのかし、鬼切り役を引退させたことを、忘れたとは言わせない」
「そして先々代を敬愛していた先代は、倣って自分も鬼と関わり、それ故に命を落とした」
「あなたのせいでもつれにもつれた因縁を、この太刀・維斗で断ち切ってみせる」
-サクヤ-
「はんっ、あたしが先々代とやりあうきっかけを作ったのは、六十年前のあんたらだろうに」

(◇七星を踏む護法のもの)


-サクヤ-
「……なあ、烏月。色々あるだろう因縁は水に流して、この土地の問題はあたしとユメイに任せてくれないかい?」
-烏月-
「それは、あの鬼のことも含めてですか?」
-サクヤ-
「あの子のことも諸々込みでだよ」
-烏月-
「では、交渉するまでもありません」
「あなたさえいなければ、こんな面倒な事態におちいらなかっただろうというのに、何を今更」
-サクヤ-
「それを言うなら、あたしだってあんたら鬼切部が余計なことをしなきゃ――」
「――って、あんたみたいな小娘に言うことじゃなかったね。悪い、大人気なかったよ」
-烏月-
「いえ……」


-烏月-
「それに――奴が鬼である他にも、私には奴を切らねばならない理由がある」
「奴の存在そのものが、我ら千羽党にとっては他の鬼切部に顔向けできないほどの恥だからね」
-桂-
「あの、それは明良さんという方と――」
 不快の念を露わにした、厳しい瞳にぶつかって、私は謝りながら目をそらした。
-烏月-
「いや――そのことに関しては、そちらの方にも色々と言いたいことがあるんだがね」
-桂-
「サクヤさんに?」
-サクヤ-
「はん、その件に関してはお互い平行線ってことで話がついているだろう?」
「それにこの子の前で、そんな関係ない話を持ち出すんじゃないよ、まったく……」
-烏月-
「そう、でしたね」

(◇烏合)


 烏月さんの一連のこじつけに対しては、サクヤさんもつい感情的になってやり返してしまっている。

-桂-
「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!」
-千羽-
「……なんですか?」
-桂-
「あのですね、わたし今、双子の鬼に襲われてるみたいなんです」
「それで昨夜も襲われたんですけど、サクヤさんとオハシラサマが守ってくれたんです!サクヤさんは鬼でも、悪い鬼じゃないんです!」
 もしサクヤさんが悪い鬼なら、お母さんは絶対に友達になんてなってない。だから。
-桂-
「その鬼切り役の先々代という方は、きっと人を見る目があったと思うんです」
-千羽-
「………」
「では…」
「……では、先代は見る目がなかったと?」
-桂-
「え?」
-千羽-
「先代が関わった鬼は無辜の人を殺め、その血を啜り、肉を喰らっています。わたしが今追っているのはその鬼です」
-桂-
「………」
 だからといってサクヤさんに突っかかるのは、やっぱり筋が違うんじゃないかと思う。
 でも、わたしと同じぐらいの歳なんだし、先代の方は亡くなったっていうから、冷静になれないのも理解できる。
 先代が先々代を敬愛していたように、彼女が先代のことを好きなのだとしたら、なおさら。

(◇七星を踏む護法のもの)


2.約六十年前、千羽党が若杉の命を受けて観月の民の村を闇討ちし、サクヤさんを除いて住民を皆殺しにしたことが尾を引いている。

-サクヤ-
「かーっ、これだから権力持った親方に尻尾振ってる犬ッコロは」
-烏月-
「犬はあなたのことでしょう。己を揶揄して楽しいですか」
-サクヤ-
「はっ、忘れてもらっちゃ困るねぇ。誰かさんらのおかげであたしは正真正銘の一匹狼だよ」

(◇千客万来の夜)


 ただ、この件に関しては、サクヤさんも◇烏合で大人げないと謝罪しているし、烏月さんにしても◇月の蝕みなどを見る限り、大分心苦しいものがあるようだ。 

-烏月-
「どうしてあなたがこんなところにいるんですか」
-サクヤ-
「こんなところって、ここはあたしの第二の故郷みたいなものだしねぇ。本当の里には帰ったところで何もないからね」
-烏月-
「………」

(◇サクヤさんの腐れ縁)


3.サクヤさんがルポライターを職業に選んだのは、鬼切り部の行くところに付きまとってお役目を妨害したり、若杉・千羽党の糾弾記事を公開したりの目論見があってのこと。烏月さんにも何度もちょっかいを出している。

-桂-
「あはは……二人とも仲良くしようよ」
-サクヤ-
「それは無理ってもんさね」
-烏月-
「私は構いませんよ。サクヤさんが私の邪魔をしなければ」
-桂-
「サクヤさん、そんなことしてるの?」
-サクヤ-
「さてねぇ。私は私の人道に基づいて行動しているだけなんだけど

(◇月と花)


-サクヤ-
「まったく、こんなところまで何しに来たんだい?」
-昨夜の少女-
「それはこちらの言い分です。また私の邪魔をしに現れたんですか?」
-サクヤ-
「はっ、誰がわざわざ」
「そんなことが目的なら、夜通し車飛ばしてまで、こんなとこには来やしないよ」
「それとも何だい?またあたしが邪魔したくなるようなことを、やらかすつもりなのかい?」
 この二人、前からの知り合いみたいなんだけど……もしかしなくても相当仲悪い?

(◇犬と猿)


-葛-
「むしろ、鬼切り頭としての若杉を憎んでいるサクヤさんが怖くて仕方ありませんでしたよ。いつ噛み殺されるか、ヒヤヒヤしてました」
-桂-
「サクヤさんが…?」
-葛-
「コドクで生き残るには、周りを潰さなければいけませんから。表沙汰にはなりませんけど、それに巻き込まれる人って、実は結構いるんです」
「サクヤさんがジャーナリストになったのは、それをペンで叩くためですよ」
(◇コドク)


-サクヤ-
「あたしはルポライターやってるだろ。昔、とある事件の調査をやったのさ」
-桂-
「事件って、どんな?」
-サクヤ-
「今は昔――と言っても六十年ほど前まだ最近の話だねぇ」(略)
-サクヤ-
「とにかくそういう理由なんだよ。いやー、あの頃はまだ駆け出しでね。何よりがむしゃらだったから、相当ムチャもやったねぇ…」

(◇ジョーカー)


-烏月-
「サクヤさん、普段の行いが問題になっているんでしょうね」
-サクヤ-
「あんたらみたいな、時代錯誤を押し通すような連中には言われたくないよ」
-烏月-
「人のことを言いますか、あなたが」

(◇月と花)


それにしても、戦装束だなんて――
-桂-
「わ、わ、どんな格好だろう。サクヤさんは見たことある?」
-サクヤ-
「あるけど、別に大したことないよ」

(◇閑暇な午後)


「サクヤさんも、ありがとう。今まで何度も僕を助けてくれたよね。鬼切りの手から」

(『アカイイト 絆の記憶』)*


サクヤさん、相当危ない橋も渡っているらしい。

4.◇ラクジツなどで顕著な、烏月さんの「鬼とあらば問答無用で切り捨てる」という四角四面な態度や、若杉の権力を盾にするうような振る舞いが、サクヤさんのお気に召さないから。烏月さんは烏月さんで、サクヤさんの減らず口とねちねちした絡みに少々うんざりしている。

-サクヤ-
「で、桂はともかく、あんたはそろそろ上がるころなんじゃないのかい?」
-烏月-
「どうして私が」
-サクヤ-
「烏の行水って言葉があるだろう?慣れない長湯は身体に障るよ」
-烏月-
「何を言うかと思えば、馬鹿馬鹿しい。重ねた齢にふさわしい――」

(◇月と花)



*もっとも、この『絆の記憶』限定の設定はそうとう眉唾ものである。存在自体が千羽党の恥である白花ちゃんを何度も庇ったとあれば、いくらサクヤさんが情けを掛けられているとはいえ只では済まないだろうし、烏月さんも二人の繋がりに気付いたはずだ。

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2007年03月15日

「これで三度目……今度こそあたしは……」何が三度目?

Q.「これで三度目……今度こそあたしは……」何が三度目?
A.自分の無力のせいで「たいせつなひとがいなくなってしま」い、一人残されてしまうような修羅場が三度目。
 一度目は姫さまと主の一件、二度目は千羽党による観月の民の村襲撃。今度こそあたしは……大切な人を守ってみせる。
 十年前の事件は「また、間に合わなかった」でカウントされている。たぶん。

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2007年03月15日

サクヤさんが主戦で発動させた〈力〉は何?

Q.サクヤさんが主戦で発動させた〈力〉は何?
A.荒ぶる弟神・須佐之男命(すさのおのみこと)の〈力〉。

 須佐之男命は、母のいる根の国に向かう途中で立ち寄った高天原(たかのあまはら)に居着き、田の畔を壊したり、御殿に糞を撒き散らしたりと悪行を尽くしていた。姉の天照大神(あまてらすおおかみ)は、須佐之男命の狼藉に業を煮やし、ついには天岩戸(あまのいわと)に引き篭ってしまう。太陽を司っていた天照大神の不在により、高天原も葦原中国(あしはらのなかつくに)も闇に包まれ、多くの災禍が起こった。
 この伝承を元に、『アカイイト』では須佐之男命は蝕を司る神だと設定されている。

 高天原を追放された須佐之男命は、出雲は鳥髪山に辿り着く。そこでは八岐大蛇(やまたのおろち)という八本首の蛇の怪物が跋扈し、毎年娘を生け贄に求めていた。乱暴者の須佐之男命は八岐大蛇を退治する代わりに、生け贄にされていた櫛名田姫(くしなだひめ)を妻に貰うことを認めさせる。須佐之男命は大蛇に八塩折り(やしおり)の酒を飲ませて、酔ったところを天羽羽斬(あまのははきり)で斬りつけて見事退治する。
 『アカイイト』の設定では、櫛名田姫は贄の血の持ち主で、その所為で八岐大蛇に狙われたことになっている。つまり、羽藤の人間や役行者小角は、須佐之男命と櫛名田姫の子孫ということだ。

 本編におけるサクヤさんと主との決戦では、贄の血を引く娘(桂)・娘を狙う蛇神(主)・娘を守る羅喉と縁ある者(サクヤ)・壊れた破魔の太刀(維斗)という「須佐之男命の八岐大蛇退治」の構図がほぼ完璧に再現されていた。それによってサクヤさんに須佐之男命の「蛇神殺しの〈力〉」が時を越えて発現し、主を圧倒したというわけだ。

-主-
「月蝕の夜に生まれた娘……まさか、まさか貴様!貴様の《力》は、月神に因るものではなく――」
「その荒ぶる弟神、我が祖を討ったら羅喉の《力》かっ!?」

(◇月を喰らうもの)


2008/05/24 アオイシロにわかりやすい解説があったので引用。

-葵-
「それはこの儀式が、見立てだからに尽きるわね」
-綾代-
「……見立て?」
-葵-
「概念がわかりやすいのは、やっぱり呪いの藁人形とかそのへんかしら?」
「藁人形は人の形をしている。だからそれに五寸釘を打ち込めば、藁人形に似ている人にも五寸釘を打ち込んだ影響が出るはずだ――」
「専門用語では類感呪術って言うんだけど、神社でやるお神楽なんかにもそういった面があるのね」
「神話や伝説を舞楽にして演じることで、演者に神を降ろしたり、神話自体を顕現させたりするわけ」
「つまり、神代の再演――」

(アオイシロ)



参考資料
『アカイイト 設定解説ファンブック』
天岩戸 - Wikipedia

関連項目
主の正体は?
サクヤさんの正体は?
なぜ千羽党の襲撃でサクヤさんだけ生き残れたの?

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2007年03月14日

千羽党の襲撃でサクヤさんだけ生き残ったのはなぜ?

Q.六十年前に千羽党が観月の民の村を襲撃したけれど、なぜサクヤさんだけ生き残れたの?
A.
1.サクヤさんは満月の夜に生まれ月の加護を受ける観月の民にあって、月のない朔の夜に生まれた鬼子である。千羽党は朔日を狙って村を襲撃したため、長や他の仲間は力を失っていたが、サクヤさんだけは加護を受けて却って生命力を増していた。

2.ノゾミちゃんが若杉某(ノゾミちゃんとミカゲちゃんを退治した人物)に掛けた言霊の呪いは「観月の民も切らなくては」というもの。朔の夜に生まれた鬼子のサクヤさんは呪いの効果範囲から外れていた。

3.サクヤさんが、須佐之男命が自らの血を引く贄の血の一族を他の鬼から守らせるために観月の民の身体を借りてこの世に遣わせた存在だ、と仮定しての話。人や鬼の思惑を超越した古き神の意志が介在していた。

参考文献
『アカイイト 設定解説ファンブック』

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2007年03月13日

竹林の長者の姫(姫さま)の名前って?

Q.竹林の長者の姫(姫さま)の名前って?
A.カグヤ。設定解説ファンブックにはっきりと書いてある。

 いなくなってしまう。
 たいせつな人がいなくなってしまう。
 あたしとよく似た名前をしている、綺麗な人がいなくなってしまう。

(◇千年の記憶Ⅰ)


 サクヤとカグヤ。姫さまのエピソードは、長者の娘が貴族からの求婚を断り続ける、という部分が「竹取物語」に掛けてあるそうな。
 ここに限らず、アカイイトには『竹取物語』について触れている、あるいはそれを想起させる箇所がいくつも見られる。異類との交流を扱っていること、(展開によっては)人間と異種族との別れがあることなど、共通点も多い。

-サクヤ-
「月とスッポン」
-桂-
「どっちが月なの?」
-サクヤ-
「もちろんあんたの血が月さ。月には滋養強壮どころじゃない、若返りの水があるって言われていてね」
-葛-
「変若水ですね。『竹取物語』のかぐや姫の置き土産も不死の薬ですし、月はそのへんの話の宝庫ですよねー」(略)
「ちなみにその薬は山の上で燃やされちゃったんですけど、不死の薬を燃やして不尽の煙が立つようになったのでふじの山――なんてオチが」

(◇不死の薬)


その昔、経観塚の長者の家に娘がいた。
よい年頃の、美しく気立てのよい娘であった。
娘の噂は近隣に知れわたり、多くの若者が求婚した。
ところが娘は誰にも良い応えを返すことがなかった。
都の貴人の求婚にも良い応えを返すことがなかった。

(◇経観塚に伝わる昔話)


 こうして山の神は退治されたが、山の神が呼んだ雷は鳴り続けた。
 行者らは塚を作り、山の神を篤く祭った。
 すると雷はぴたりとやんだ。
 その時から娘の姿が見えなくなったが、観月の行者らが連れて行ったのだと言われている。
 この塚に由来し、この地は経観塚と呼ばれるようになった。
 やがて塚には塊の木が育ち、やがて月まで届くほどになった。
 この木は御柱様と呼ばれ、塚に代わって祭られるようになった。

(◇経観塚に伝わる昔話)


-葛-
「サクヤさん。在り方が変わるときに、別のモノになるのは、慈悲でもあるんですよ」
-オハシラサマ-
「ふと天の羽衣うち着せたてまつりつれば、翁をいとをしく、かなしと思しつる事も失せぬ――」
-葛-
「そーゆーことです」
-サクヤ-
「………」

(◇言霊の神)


-柚明-
「ねえ、桂ちゃん」
-桂-
「何?」
-柚明-
「今夜は満月なのね……」
-桂-
「今更だよ、ずっと出てたよ」
-柚明-
「ふふ、知っていたわ」
「でも――本当に吸い込まれそうなほど――」
 大きくて円い月が、空の真ん中に輝いている。
 月以外の星は、滲んでぼやけてしまってわからない。
 空にはただ月だけが輝いている。
-柚明-
「さあ、わたしもそろそろかしら……」
 まるで月から迎えがくるような、そんな物言いをして遠くを見つめる。

(◇一片の残花)


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2007年03月12日

桂ちゃんのお父さん、名前ないの?

Q.桂ちゃんのお父さん、名前ないの?
A.羽藤正樹。初出は「アカイイト 絆の記憶」109ページ。

 かつて、サクヤは真弓と戦ったことがあるのだという。まだ桂が生まれる前の話だ。結局その出会いは父親との出会いにも繋がった。
「それで、真弓は正樹と……あんたの父親と結婚することになったんだけどね。(……)」


 『絆の記憶』のあとがきで、麓川御大が「このノベライズにあたって『正樹』と命名されました」と語っていることや、『アカイイト 設定解説ファンブック』でも「桂の父」としか書かれていないことから、名前を出す機会がなかったのではなく、そもそも名前を設定されていなかったと推測される。

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2007年03月11日

「お祭りの協力者」って誰だったの?

Q.「お祭りの協力者」って誰だったの?
A.おそらく白花ちゃん。

-女将-
「千羽さんはお家のご用で来ているそうだから、色々と忙しいのかもしれないもの」
-桂-
「え?家の用事?」
-女将-
「明々後日にお祭りがあるのよ。そういう意味ではいい時期に来たわね」
-桂-
「はぁ、お祭りですか……」
 それと烏月さんに何の関係が?
-女将-
「少し前までそのお祭りを取り仕切っていたお家があったのね。でも、急にその人達がいなくなってしまったそうで――」
 ここ何年もの間古い作法に乗っ取ったお祭りができなかったとのこと。
 今年はその家と縁があるという人が協力を申し出てくれたので、例年よりは多少盛大になるそうなのだ。
-桂-
「それが烏月さん?」
-女将-
「たぶんそうよ。烏月さんっていつも、金襴っていうのかしら、檻の袋を持っているでしょう?」

(◇今日の予定は?)


 烏月ルート◇今日の予定は?では、女将は協力を申し出た人物については話で聞いただけ、ということになっている。

--女将-
「お祭りを取り仕切っていたお家があったんだけど、ずいぶんと前にその人たちがいなくなってしまったのね」
「それで、ここのところ形ばかりのお祭りが続いていたの」
「迷信だと思うんだけど、それからすっかりここも寂れてしまって……」
-桂-
「はぁ、ちゃんとしたお祭りができなかったせいですか?」
-女将-
「迷信よ迷信。でも商売していると験はかついでおきたいものでしょ?」(略)
-桂-
「じゃあ、今年の特別っていうのは?」
-女将-
「何とそのお家と縁続きだっていう、お祭りに詳しい人が来てくださったのよ。まだお若いのに、しっかりなさった方で」

(◇オハシラサマ)


 しかし、ユメイルート◇オハシラサマでは、女将はその人物と実際に会って話をしたことになっている。

「え?お祭り?」
「まあこんな小さなところだから、規模もそれなりでぱっとしないんですけどね。でも今年はいつもより盛大になるかもしれないわね」
「今年は違うんですか?」
「あら、羽藤さんはそのことでいらしたんじゃないの?」
「…………?何のことですか?」
「羽間のお屋敷の方だって、秋田さんや大伴さんから伺っていたんだけど…昔はね、ここのお祭りにはちゃんとした儀式があったんですって。
それを知っていたのが、羽間のお屋敷の人たちだけなの。でも急にみんないなくなったらしくて」
 少なくともわたしの記憶の中で、桂は自分の家が祭りに関わるところだなどとは、一度も聞いたことがなかった。屋敷に行くには鎮守の森を通るのだし近くにご神木もあるというのだから、家の場所だけなら羽藤が神事を司っていると言われても不思議はない。だが、そんな話は母から聞いたことがなかった。
「一応、毎年お祓いをしたりして形は整えているんですけど、やっぱりきちんとしたいと思ってるんですよ。験なおしの意味もあってね」
「はあ……すみま……」
「そうしたらね、昨日来られた千羽さんという方が知ってらっしゃるそうなのよ」
 すみません、わたしは何も知らないんです、ごめんなさい。そう謝ろうとしたのに、女将は嬉しそうに桂の言葉を消してしまった。
「……烏月さんが?」
「ええ。宿帳に記入していただいている時にそう伺ったのよ。綺麗な太刀も持ってらっしゃるし、きっと立派な儀式になると思ってるの。それに千羽さんって雰囲気あるものね」
「あ、それは確かに」
「そうしたら羽藤さんもいらしたから、わたしはてっきりあなたもお祭りに関わる方だと思ってたのよ」
「うう………ごめんなさい」
「ああ、いいえ。きっと、お家の事情がおありになったんでしょうね。だから千羽さんのところが代わりにやってくださることになったんでしょう」


「ええっと……あのね、烏月さん。わたしにも何か手伝えること、ないかな?羽藤の家って、ここのお祭りを取り仕切っていたんでしょ?」
「……そうか。女将さんから聞いたんだね?私が祭りの用事でここに来たと」(略)
「実は、あれは嘘なんだ」
「へ?……嘘?」(略)
「私が経観塚に来たのは別の理由なんだ。祭りのことはここに来てから知った。太刀を持って歩くには関係者だと話した方が面倒にはならないと思ってね」
「じゃあ、儀式のことはよくわからないの?」
「一般的な祭事の知識は持っているから、それらしく振る舞うことはできるよ。祭りの日はそれを行うつもりでいたけれど……もしわかるなら、正式な方法で奉りたいね」

(『アカイイト 絆の記憶』)


 御大も頭の中がこんがらがってる疑惑がある。
 おそらく、白花ちゃんが「かつて祭りを仕切っていた羽藤の人間です」と名乗って協力を買って出る、女将が「祭りの協力者」の噂を耳にする、女将が金色の太刀を持ち歩く烏月さんを見て祭りの関係者だと予測する、その予想を桂ちゃんに漏らす、というのが正しい流れだったのではないかと思う。

-写真の少年-
「なるほど、それじゃあ知っているかな?もうすぐこの土地のお祭りがあるんだけど」
-桂-
「あ、はい、泊まっている旅館の女将さんに」
-写真の少年-
「僕はその関係で、ちょっとね」

(◇少年と鬼の木)


 白花ちゃんがオハシラサマの祭りの協力を申し出たのは、余所者が経観塚と神域であるご神木周りをうろついても怪しまれない大義名分を得るためではないだろうか。
 祭りを仕切っていた家は羽藤一家で間違いない。羽藤家が経観塚を去った時期と、お祭りが寂れはじめた時期が一致する。

ああ――
 頭の中でバラバラのまま投げ出されていたピースが、本来あるべき位置にはまっていくことで、描かれていた絵がわかってくる。
 あれだけ大きなお屋敷に住んでいた、そしてあのあたりにある唯一の家だけに、羽藤の家がオハシラサマを祭っていた家なんだろう。
 正しいお祭りが失われてしまったのは、お父さんが死んでしまった十年前か、それよりもっと前なのかはわからないけれど。

(◇贄の血)


-女将-
「羽藤さんには言ってあるんですけど、こちらではもうすぐお祭りがあるんですよ」
「それで、てっきりそちらの取材で来られたのかと」
-サクヤ-
「はい、それは存じております。ですが、ここ十年ほどですっかり廃れてしまったと聞き及んでいるんですが……」

(◇意外な繋がり)


「え?お祭り?」
「まあこんな小さなところだから、規模もそれなりでぱっとしないんですけどね。でも今年はいつもより盛大になるかもしれないわね」
「今年は違うんですか?」
「あら、羽藤さんはそのことでいらしたんじゃないの?」
「…………?何のことですか?」
「羽間のお屋敷の方だって、秋田さんや大伴さんから伺っていたんだけど…昔はね、ここのお祭りにはちゃんとした儀式があったんですって。
それを知っていたのが、羽間のお屋敷の人たちだけなの。でも急にみんないなくなったらしくて」

(『アカイイト 絆の記憶』)



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2007年03月10日

アカイイト年表

※私の妄想補完が多分に含まれている。あしからず。

およそ1700年前
 浅間サクヤ、月のない夜に生まれる。

632(舒明4)年
 良月が遣唐使によって日本に持ち込まれる。当時、鏡は祭器でもあったため、神職にあった中臣氏(後の藤原氏)に譲渡される。

およそ1300年前
 藤原の家に望、某の双子の姉妹が生まれる。双子は不吉だとして、生まれつき病弱だった望を幽閉し、存在を隠すことに。
 望にご機嫌取りとして良月が与えられる。望、良月に映る顔を妹に見立てて呪いの言葉を吐きつづける。

およそ1288年前
 藤原の屋敷が襲撃される。自由になることを切望していた望は火事の混乱に紛れて世話役を良月で撲殺。行方を眩ます。
 望、寒さと飢えで死にかけていたところで主に出会う。主、戯れで望を良月に取り憑かせ鬼にする。同時に保険のために分霊を良月に植え付ける。

 ノゾミ、都で贄の血を引く長者の姫の噂を聞き、主に告げる。主、羽様の屋敷に白羽の矢を立て、姫を生け贄に要求する。山の神に納まっていた主から、照日の神や人に与する鬼らへの事実上の宣戦布告。
 都から鬼切部の一団が遣わされるが、返り討ちに会う。
 等閑視できない事態に、大神の長をはじめとする観月の民の長、役行者小角、一言主らが連合軍を結成。観月の民の《力》が充ちる満月の晩に戦いを挑み、死闘の末に主を服する。
 しかし、凝り固まった主の魂は、役行者小角の《力》を以てしても還すことが出来なかった。小角らはやむなく、贄の血を引く姫をご神木の人柱にして、主を封じることにする。
 小角、経観塚の土地に封印を施す。
 贄として捧げられた姫はやがて「オハシラサマ」として神格化される。

 主が封じられてしばらくして、ミカゲが姿を現す。ノゾミに入れ知恵して主を助けるよう促す。ノゾミとミカゲ、邪視で経観塚の住人を操ってオハシラサマの木を傷つける。同時に住人のいくらかを餌食にして《力》を蓄える。
 経観塚に「神隠しが起こる村」との噂が立つ。オハシラサマの使いの蝶が若杉某(若杉葛の先祖)の夢に現れる。
 若杉某、経観塚を訪れノゾミとミカゲを退治する。良月がノゾミとミカゲの依り代であることを見抜き、呪符による封印を施す。某はその際、ノゾミから「観月の民を切らなくてはならない」という言霊の呪いを受ける。この呪いは若杉の子孫代々に受け継がれていく。
 良月は、鬼に通じている家に管理させたほうが良いとのことで、羽藤家に預けられる。お屋敷の蔵に安置されることに。

およそ60年前
 若杉で兄妹による権勢争いが勃発。観月の民は妹たっての頼みで人の戦に手を貸していたが、兄が株を上げた妹に危機感を抱き、観月の民を切るよう命を下す。千羽景朋率いる鬼切部千羽党が月のない夜に観月の民の村を襲撃し、浅間サクヤを残して浅間の一族は全滅する。戦後の混乱にあってか、事件は表沙汰にならず。
 背中に重傷を負っていたサクヤ、羽藤笑子に贄の血を与えられ一命を取り留める。以後サクヤは笑子を慕い、羽間のお屋敷で共に暮らすことに。
 笑子、これから人に紛れて生きることになるサクヤに、職業に付くよう勧める。サクヤ、若杉と千羽党の横暴を記事で世に知らしめられる、行動範囲が狭まらない、身元をとやかく問われないなどの理由から、フリーのルポライターの道を選ぶ。

 秋田丈太郎、大陸より経観塚に帰還す。
 浅間サクヤ、千羽景朋と因縁の再会す。

38年前
 千羽真弓誕生。

31年前
 千羽明良誕生。

26年前 
 羽藤柚明誕生。

24年前
 千羽党の鬼切り役が片足を失い引退する。千羽真弓が傑出した才能を見込まれ、十四歳の若さながら千羽党の鬼切り役に。

20年前
 羽藤柚明、浅間サクヤに付き添われて経観塚を訪れる。柚明の父親と母親(羽藤笑子の娘、羽藤正樹の姉)は仕事の都合で数日後に合流する予定だったが、柚明に青珠のお守りを持たせていたため、その間お守りの効力を受けられなくなる。両親とも、柚明の母に流れる血の匂いを嗅ぎつけた鬼に襲われ死亡する。
 柚明、羽藤笑子の養女になる。以後羽様のお屋敷で暮らすことに。
 千羽真弓、上の事件を受けて初めて経観塚を訪れる。おそらくこの時に浅間サクヤと出会う。同じく柚明の両親を襲った鬼を追っていたサクヤと悶着を起こしたと推測される。

 浅間サクヤの執拗な妨害工作に、強く出られなかった若杉も痺れを切らす。当代最強の鬼切り役だった千羽真弓を刺客として送り込む。サクヤと真弓の死闘。結局決着はつかずじまい。サクヤの境涯を聞いていた真弓が手心を加えたと思われる。
 真弓とサクヤ、夕暮れの川原効果もあり意気投合する。

 浅間サクヤ、親友になった千羽真弓を羽藤笑子の息子である羽藤正樹に紹介する。二人は意気投合し交際が始まる。

17年前
 千羽真弓、羽藤家に嫁ぐ。お役目は返上するはずだったが、本家の跡継ぎである千羽明良が年若く未熟だったため、真弓が継続して鬼切り役を勤めることに*1
 千羽烏月誕生。

16年前
 羽藤正樹と羽藤真弓の間に羽藤桂(男)、羽藤白花(女)の双子の赤ん坊が生まれる。
 桂と白花の血が羽藤家でもとりわけ濃かったので、柚明が所持していた青珠のお守りを譲ることに。柚明は代わりに笑子から《力》の使い方を教わり、血の匂いを隠す術を身に付ける。

12年前
 羽藤真弓、幼稚園への入園手続きの際に、桂と白花の出生届を間違えて提出していたことに気付く。この時から男の子が「白花」、女の子のほうが「桂」と改められる。

10年前
 若杉葛誕生。
 羽藤笑子死亡。
 羽藤桂、羽藤白花との柚明を巡るちょっとした言い争いから伸ばしていた髪を切ってしまい、白花とそっくりの見た目になる(『髪長姫』参照)。
 桂と白花、蔵に仕舞われていた良月の呪符を剥がし、ノゾミとミカゲの封印を解いてしまう。復活したノゾミとミカゲ、邪視の力で桂と白花を操り、オハシラサマを還そうとする。贄の血の陰陽が揃ったことにより強大な力が生まれ、封じは解かれてしまう。
 羽藤真弓、維斗の太刀でノゾミとミカゲを切り伏せる。ノゾミとミカゲは十年間の眠りにつく。
 羽藤柚明、還ってしまった姫に代わってオハシラサマを継ぎ、間一髪で主の復活を食い止める。しかしながら、主を完全に抑えることはできず、結界の綻びから漏れた分霊が白花に取り憑いてしまう。主導権を奪われた白花は、近くにいた羽藤正樹を抜き手で殺害。その後姿を眩ます。
 桂、事件のショックで生まれてからこれまでの記憶を失う。真弓とサクヤは話し合って、桂が記憶を取り戻して心を壊さないように、白花と柚明のことを一切隠すよう取り決める。写真や私物を処分し、故人と事件を思い起こさせるお屋敷を後にする。
 真弓と桂、経観塚を後にする。真弓はノゾミとミカゲが眠っていたこともあって良月が依り代であることに気付かず、その他の蔵の貴重品と一緒に経観塚郷土資料館に寄付してしまう。
 真弓がお役目を返上し、弟子の千羽明良が千羽党の鬼切り役に。真弓、明良に維斗を譲り、同時に秘伝である鬼切りを伝授する*1
 白花、分霊に主導権を奪われて人を喰らうのを一年ほど繰り返す。

9年前
 千羽明良、「子供の姿をした鬼が人を襲っている」との報告を受け、切りに赴く。明良はその鬼が先代鬼切り役である真弓の息子、羽藤白花であることに気づき、保護する。切るべき鬼と意気投合した先代を見習ったこと、慕っていた先代の息子を無碍に出来なかったことなどが理由に考えられる。白花は千羽の私有地の一角に匿われる。
 白花、羽藤柚明を救うために戦う決心をする。明良と共に修行を積み、千羽妙見流と《力》の使い方を教わることに。おそらくこの時に言霊についての説明をうけ、本来自分の為に考えれらていた名前の「桂」を使いはじめる。
 修行の日々は8年ほど続く。

 ケイ、修行の末に千羽妙見流を会得する。
 若杉の総裁である若杉某(若杉葛の祖父)の高齢を顧慮して、鬼切り頭の跡継ぎを決める殺し合い「蠱毒」が開かれ、若杉葛が勝ち残る。

1年前
 ケイ、久方ぶりに分霊に主導権を奪わる。明良がお役目に背いて鬼を匿い、あろうことか千羽妙見流を授けていたことが表沙汰になる。烏月、命を受けて明良を処刑。そのまま次の千羽党の鬼切り役になる。維斗は受け継がれるが、秘伝の「鬼切り」は伝授されずじまいに。

一ヶ月ほど前
 羽藤真弓、鬼切りの副業と翻訳業の過労に風邪が祟って死亡。羽藤桂、たった一人の家族を失い天涯孤独に。浅間サクヤが桂の後見人になる。
 若杉某(若杉葛の祖父)死亡。若杉葛、鬼切り頭を世襲することを拒み、家出する。
 ケイ、元締めの不在で衰退していた経観塚の祭りに「祭りを仕切っていた羽藤家の者だ」と名乗って協力を申し出て、それを隠れ蓑に経観塚に侵入する。同時に神域であるご神木周りをうろつく大義名分を確保する。

一週間ほど前
 ノゾミとミカゲが復活する。十年の休息で《力》を取り戻したのと、以前に血を吸ったケイが経観塚に来たのに影響されたと思われる。
 以前より良月に惹かれて、郷土資料館に足しげく通っていた鹿之川智林教諭、ノゾミとミカゲの邪視に罹りはじめる。

前日
 ケイ、経観塚郷土資料館を訪ねる。
 鹿之林教諭、郷土資料館から良月を盗み出す。その後ノゾミとミカゲに血を吸われ死亡する。

当日
 ケイ、資料館に良月を破壊しに赴くも時既に遅し。
 千羽烏月、ケイの目撃情報を受け経観塚を訪れる。
 浅間サクヤ、奈良陽子に電話を掛ける。
 羽藤柚明、ユメイとして復活。桂の夢に現れる。
 若杉葛、羽様のお屋敷で小悪魔のようなプロジェクトを遂行中。
 羽藤桂、十年振りに経観塚の地を踏む。

参考資料
『アカイイト 設定解説ファンブック』
『アカイイト 絆の記憶』

*1真弓さんの引退時期や維斗の太刀の返却については不明瞭。引退はファンブックや用語辞典を信用するなら十七年前だし、『絆の記憶』やノゾミちゃんの「その太刀の持ち主には~」発言を信用するなら十年前になる。

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2007年03月09日

贄の血の能力とオハシラサマのご神木

-桂-
「なんか、ほっとするね」
-サクヤ-
「人間飛ぶようにはできていないからね。それに地面にも血管みたいな《力》の流れがあって、知らずにその影響を受けてるものなんだ」
-サクヤ-
「特に桂みたいなのは、普通の奴より強く影響受けているんじゃないかい」
-桂-
「そうなの?」
-サクヤ-
「あたしが思うに、血って言うのは《力》を蓄えるバッテリーみたいなもので、あんたはその容量が底抜けに大きいだけなんじゃないかってね」
-桂-
「《力》そのものが、私の中で作られてるわけじゃないんだ?」
-サクヤ-
「《力》の使い方を知っている連中があんたの血を飲めば、それこそ奇跡を起こせるんだよ」
-桂-
「わ、それならわたしじゃなさそうだ」

(◇リカオーン)


 獣や植物、あまねく人や鬼は、地(チ)から《力》を受け取り、それを血(チ)に蓄える能力を持つ。ただし、サクヤさんの言うように、血中に溜められる《力》の量にはそれぞれ限界がある。蛇口の下に入れ物を置きっぱなしにしたところで、容量以上の水は溜められないように。贄の血の持ち主はこの上限が桁違いに、普通の血の持ち主とは比べようもないほど大きい。

-小角-
「……だから少しずつでも魂を還してやるのよ。動けぬように封じつつ、時をかけて少しずつな」
-浅間の長-
「その苗木が封じの呪物なのですか」
-小角-
「さよう。奴も山神の眷属なれば、多少なりとも土の性を持っておるもの。ゆえに木克土。木は土より《力》を吸い上げる」

(◇千年の記憶Ⅲ 黙示録)


 オハシラサマのご神木はこの贄の血の特性を利用した機構をしている。年経た塊の木はご神木となり、元より地から力を吸う能力を備えていたが、人柱として与えられた贄の血がその能力を段違いに強化している。オハシラサマの木は土の属性を持つ主から力を奪うと同時に、経観塚の土地から吸い上げた膨大な《力》で以て、主の魂を虚空に還している。

-サクヤ-
「……お祖父ちゃん、その人……小角様も姫さまをさらっていくの?」
-浅間の長-
「………」
-大神の長-
「ふははっ、その心配は無用だ、サクヤよ」
-サクヤ-
「……どうして?」
-大神の長-
「何しろ小角殿自身が贄の血の持ち主だからな」
-浅間の長-
「小角様が贄の!?」
-大神の長-
「さよう。小角殿の持つ、神を封じるほどの験力の源は、その見に流れる血の中にある。見事、贄の血の《力》を使いこなしておるのだよ」

(◇千年の記憶Ⅱ 長らの集い)


 ところで、この大神の長の発言からすると、贄の血の持ち主は他人の贄の血を吸っても《力》の増大は望めないらしい。
 ユメイさんが贄の血の持ち主にも関わらず桂ちゃんの血で大幅に力を得るのは、贄の血の「地面から《力》を吸い集める」という特性をオハシラサマのご神木に回していて、贄の血による《力》の上昇分は受けていないからだと推測される。ノゾミちゃんやミカゲちゃん程度に後れを取るのも、そういった事情だろう。

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2007年03月09日

ニコニコ動画で遊んでみる


 ネタバレあり。
 人は、CGの使い回が多いのは「手抜きだ!」と憤慨するものだけれど、BGMのアレンジ違いが多いのは「ファンサービス!」と諸手をあげて歓迎するものだ。私はする。
 エロゲーがコンシューマーに移植される際に「to all people」だの「-幻妖異聞録-」だのとやくざなサブタイトルが付くのが長年の疑問だったんだけど、あれは、名目上はえっちなゲームのコンシューマー移植は許されていないから、タイトルだけ変えて「別のゲーム」扱いするためらしい。
 サブタイトル追加の他には。「To Heart」→「トゥハート」とカタカナ表記でお茶を濁す。「ONE~輝く季節へ~」はサブタイトルだけになって「輝く季節で」。珍しいのが「水夏」の「WaterSummer」。なんだいそりゃ。「ADAM The Double Facter」が「EVE the Fatal Attraction」になったのはまた別の話だね。


 はぁ~~つぅ~~~どぅぅ!!!


 実はこの曲、ドラムがパコパコしていてあまり好きじゃなかったりする。ギャルゲーのOPとしてなら及第点だけど。

 ダイビングロケットが法外な威力なのは知っていたけど、爆裂ジャンプで中ボス瞬殺の原理がわからない…。ちなみに私は櫻井カービィ以外認めません><。


 ネタバレあり。またBS-iでアニメだってね。


 ネタバレあり。MOTHER1+2は音が劣化しているって聞いていたけど、マジだった…。


 3D化だの新キャラだのグダグダにグダグダを重ねて、今は8だっけ?9?


 涙でディスプレイが…。これ見たのいくつの時だっけ。

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2007年03月09日

オープニングムービーの解釈

00:31 桂ちゃんの立ち絵に白花ちゃんのカットイン
1.桂ちゃんと白花ちゃんの繋がり、血縁関係を示唆している。
2.白花ちゃんが、登場人物紹介で主役と正ヒロインの間を勤めるに足るキーパーソンであることを示している。

01:37 ユメイさんの髪が一瞬栗色に変わる
1.桂ちゃんとユメイさんの外見の類似を強調している。二人が親戚であることのヒント。
2.桂ちゃんがユメイさんに亡き真弓さんの面影を重ねることを表している(真弓さんも栗色の髪)。

-サクヤ-
「……それで?」
-桂-
「襲われて、もう駄目だっていうときに、ユメイさんが助けてくれたの」
-サクヤ-
「……ユメイだって?そう名乗ったのかい?」
-桂-
「うん。いい匂いがして、優しい目と手と声をしていて、わたしのことを『桂ちゃん』って呼んでくれる、ちょっとだけお母さんみたいな人」
-サクヤ-
「………」

(◇吸血鬼)


 柔らかな手が、頭を撫でた。
 幼い子供をなだめるように、よしよしと、優しくゆっくり。
 少し冷たい指先が、痛みを吸い取ってくれているような気がした。
 風邪を引いた幼い日の夜、苦しいところを撫でさすってくれた、お母さんの手にも似ていて。
 ああ、やっぱりこの人は――

(◇タソガレ)


-サクヤ-
「桂、真弓のことがあったばかりだし、あんたが過敏になってるのはわかるよ」
「だけど、あんたがユメイのことを知ったのは昨日今日の話だろう。どうして自分の命を賭けてまで、一緒にいたいと思うんだい?」
-桂-
「なんでって、一緒にいたいからだよ。なんだかよくわからないけど、すごく優しくて懐かしいんだもん」
「お母さんみたいだけどお母さんじゃなくて、ユメイさんと一緒にいると、幸せな気持ちになってくるんだもん」

(◇赤い空白)


 ちなみに桂ちゃんは烏月さんにも真弓さんの面影を見出している。記憶を無くして以降、身近にいた唯一の家族である真弓さんの死が、桂ちゃんにどれだけ影響を与えているかが分かる。

-桂-
「何だったら桂でいいよ」
 馴れ馴れしくそんなことを言ってしまったのは、ふとこの人に、名前で呼んでもらいたくなったから――かもしれない。
 陽子ちゃんをはじめに学校の友達は、みんなわたしを「はとちゃん」とか「羽藤さん」と呼ぶ。
 何でも、羽藤という名字が珍しいのと、桂という名前の響きが「男の子みたいでイメージじゃない」のだそうな。
 だから普段、わたしを桂と名前で呼んでくれたのは――(お母さんだけだったのだ)

 と、彼女の頬がわずかに緩んだ。
 わたしはそんな彼女の顔を、ほんの少し(本当に少しだけ)お母さんに似ているかもしれないな、と思った。
 実はわたしのお母さんも、かなり綺麗な人だったのだ。

(◇天ぷらぷらぷら)


 すぐ隣に感じる、暖かな鼓動。
 こんな風に誰かと一緒に寝るのは、本当に久しぶりだった。最後にお母さんと一緒に寝たのは、一体いつのことだったか。
 お母さんのことを思い出すと、いつもなら胸がきゅっと縮こまるのだけれど、すぐ隣にある暖かな鼓動のおかげで今はそうならない。
 どきどきどきどき、わたしの胸は破裂してしまいそうなぐらいに膨らんでいる。
-桂-
「お母さん、わたし大丈夫だよ……」
 ずっと溜め込んでいた、色々なことを思い出しているうちに、それがいつの間にか夢にとけ込んでいた。
 わたしはその夜、幸せな夢を見た。

(◇魂削り)



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2007年03月08日

桂ちゃんの「用意周到」「備えあれば憂いなし」

-桂-
「ふぅ……」
 暑いと体力の消耗も早くなるので、用意周到といった類の言葉を座右の銘とするわたしとしては、ペース配分もぬかりなくしておきたいところ。
 そろそろ小休止する頃合いだと立ち止まり、背負っていたリュックを下ろし、その中から取り出したハンドタオルで汗をぬぐう。

(◇狭間の同行)


-桂-
「ふい~、危ない、危ない、危なかったよ」
 こんな大事なことを忘れていたなんて、備えあれば憂いなしを座右の銘に据えている桂さんらしくない大失敗だった。

(◇時間的にはもうすぐ明日)


 ちなみに五右衛門風呂の名前の由来は、かの天下の大泥棒・石川五右衛門が、釜茹での刑に処せられたことにちなんでの銘々なのだそう。
 足を火傷しないように、浮いている底板を踏み沈めて入るのだけど、それを知らずに下駄履きで入って、底を踏み抜いてしまったという話がある。
 先人の失敗に学んでいるわたしは、同じどじをやらかさなくてすむ。これもひとつの備えあれば憂いなし。

(◇カゴノナカ)


 桂ちゃんが「用意周到」「備え」に偏執的な拘りを見せるのは、ある種の変身願望であり、贖罪行為である。十年前の事件では、考えのない自分のせいで、お父さんも白花ちゃんも柚明お姉ちゃんもいなくなってしまった。お母さんも、働きづめなのにも気付かない鈍感な自分のせいで、過労で倒れてしまった。こんな短慮で浅薄な自分を変えたい、という強迫観念から来ている。記憶を封印している出来事が影響していて、無意識のものである分拘束力も強い。
 桂ちゃんはそもそもが大らかでずぼらな人間である。それは桂ちゃんが「用意周到」を座右の銘にしながら、必ずと言っていいほどぽかをやらかすことからわかる(『京洛降魔』の宅急便のエピソードなどに特に顕著だ)。そんな彼女が自分の性質と懸け離れた「用意周到」に拘るのは、それ相応の理由があるからなのだ。

-桂-
「わたしはね、烏月さんみたいに強くないから、『今あれをしないと』とか思っても、何もできないまま時間切れになっちゃうタイプなんだ」「それで後になって『ああしてれば』『こうしてれば』って後悔するの」
「最近だと、もっとお母さんのお手伝いとかしとけば良かったって……そうしたらお母さん、過労で死んじゃったりしなかったかもって……」

(◇元の鞘)


-桂-
「……ねぇ、ユメイさん」
-ユメイ-
「なあに?」
-桂-
「ユメイさんは、無理しないでよ?苦しかったら苦しいって、辛かったら辛いってちゃんと言ってよ?」
「わたし鈍いから、言われないとわからないから。言われないと何もしてあげられないから……」
「お母さんが過労で倒れちゃうぐらいつかれていたことに気付いてあげられなかった、ぜんぜん駄目な子だから……」
 うなだれるわたしの頭に、ユメイさんの白い手が乗った。
 お母さんがよくしてくれたみたいに、ぽんぽんと柔らかくわたしの頭を叩く。
-ユメイ-
「ありがとう。桂ちゃんはいい子ね。その気持ちだけで十分よ」
-桂-
「……違うよ、わたしはいい子じゃないよ。わたしはわがままな子だよ」
「わたしはわたしのために言ってるんだもん。後になって自分を責めるのが嫌だから……」
「大切な人が、いなくなってしまうのが嫌だから」

(◇食事の後は)



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2007年03月07日

羽藤兄妹と藤原姉妹

 羽藤兄妹は長者の家に生まれる。藤原姉妹は貴族の家に生まれる。
 羽藤兄妹は双子である。藤原姉妹も双子である。
 羽藤兄妹も藤原姉妹も、容姿は鏡写しだが性格は似つかない。
 羽藤兄妹の兄は存在を隠される。藤原姉妹の姉も存在を隠される。
 羽藤兄妹も藤原姉妹もたいせつなひとを亡くしている。
 羽藤兄妹の兄は主に憑かれて鬼に成る。藤原姉妹の姉は主の力で鬼に成る。
 羽藤兄妹は兄妹ではないと偽っている。藤原姉妹は偽りの姉妹である。
 羽藤兄妹の兄は物語の鍵を握る。藤原姉妹の妹は姉の手綱を握る。
 羽藤兄妹の妹は伸ばしていた髪を切る。藤原姉妹の姉も伸び放題だった髪を切る。

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2007年03月06日

◇それは物語の予兆◇タソガレ◇ナクシタヒ◇幻視行の解説

 どのシーンも、双子の入れ替わりと視点の混同による叙述トリックが使われている。

◇それは物語の予兆◇タソガレ
 ユメイルートで種が割れるが、「小さい子」は桂ちゃんではなく白花ちゃん、その子の手を引く「着物のような服を着ている」人は、ユメイさんでなくミカゲちゃんである。

 涼しげな鈴の音に、私は前へと向き直る。

(◇それは物語の予兆)


 手を引いているのは誰だろう。
 着物のような服を着ている。
 小さな白い手。
 大人の男の人の手ではなかった。
 その人が、振り向いた。(鈴の音)

(◇タソガレ)


 鈴は二人のトレードマーク。「小さな白い」手もミソ。

 がさがさと、せいの高い草をかき分けて――
 年端のゆかない小さな子供が、ゆるやかな勾配のついた道のない道を、懸命に登っていく。
 あれはわたし?わたしだろうか?

 これは夢だ。名残の夢だ。黄昏の中をひた走る、電車に揺られて視た夢の残り火。
 違っているのはわたしの視点。
 その子は誰かに手を引かれている。
 手を引かれているのは、わたしだったはず。
 感触は、ある。あるのに、わたしは今、まるで第三者のように、その背中を眺めている。

(◇タソガレ)


 ◇タソガレも、第三者の視点と見せかけた一人称視点である。桂ちゃんはノゾミちゃんに手を引かれながら(感触は、ある)、先を行く白花ちゃんとミカゲちゃんを見ている。第三者の視点だったとしたら、桂ちゃんとノゾミちゃん、白花ちゃんとミカゲちゃんという二組のペアが見えないとおかしい。

◇ナクシタヒ
 前半部、笑子さんのお葬式は桂ちゃんの一人称視点だ。サクヤさんが慰めているのは白花ちゃんである。
©Hal/SUCCESS

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「――の子だろ、泣くんじゃないよ」
 その子の頭のはるか上で、硬くつぐまれていた唇が開いた。
-喪服の女性-
「ほら、あっちを見てみなよ。あんたの大好きな――だって、泣くのを我慢しているんだよ」
-小さい子-
「ふぁっ……でも……でも桂は泣いているよぅ……」
-喪服の女性-
「………」


 男の子だろ、泣くんじゃないよ。あんたの大好きな柚明だって。
 また、番外編WEBノベル「髪長姫」で、桂ちゃんが伸ばしていた髪を切った経緯が書かれているが、笑子さんが亡くなってしばらく経っている旨の描写がある。

 手にははさみ。ぷくぷくと幼い手にはそぐわない、柚明お姉ちゃんの裁縫道具の古びた形の無骨なはさみ。お祖母ちゃんの形見でもある裁断ばさみ。

(「髪長姫」)


 剥き出しになった首を掠める空気の流れになんともいえない居心地の悪さを覚えて、まとわる髪を探した手が空を切る。何もつかめないてのひらに、わたしはとても不安になった。在るべきものとして在ったはずのものが無い。良く似た気持ちを感じたのは、笑子お祖母ちゃんが亡くなったときのことで――

(「髪長姫」)


 つまり、笑子さんが亡くなってまもなく執り行われたであろうお葬式の時点では、桂ちゃんはまだロングヘアーだったということだ。桂ちゃんと白花ちゃんが髪型までそっくりになるのはもう少し後のことだ。よって、このショートカットの小さい子は白花ちゃん一択である。
 後半部、真弓さんのお葬式は、完全な第三者の視点だ。


◇幻視行
 ここも桂ちゃんの一人称視点。真弓さんにじゃれついているのは桂ちゃんではなく白花ちゃんである。柚明さんはあらぬ方を向いているのではなく、画面外の桂ちゃんに微笑みかけている。


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2007年03月04日

ノゾミルートのラスト、電話を掛けてきたのは誰か

-ノゾミ-
「いいのよ、桂。何にだって依り憑けるわけではないのよ」
「あの良月は幼いころからずっと呪いの文言を吐き続けてきたものだし、あの鏡自体がもともと呪物であったものだし」
「それに変わる都合のいいものなんて、そうそう落ちていたりするものではないでしょう?」
 霊体すら切るという烏月さんの刀なら、相応しいといえる呪物かもしれないけれど、そんなものが落ちているはずもなく――
(♪Wheel of Fortune)
 場にそぐわないメロディが、別れの言葉をかき消した。
-桂-
「あ……」
 部屋にいないわたしを案じて、烏月さんかサクヤさんが掛けてくれたのだろうけれど――

(◇鏡開き)


 本編ではわからずじまいだったが、はたして電話の主は誰だったのか。
 正解は大穴の陽子ちゃん。

(♪Wheel of Fortune)
 夜のとばりを引き裂くような携帯電話の着信メロディーに、私はビクッと身をすくませる。
 いったん収まった心臓のばくばくが、また再発してしまった。
 こんな時間に一体誰だろう?
 いや、着メロ指定してるから、もうわかってはいるんだけどね。
-桂-
「もしもし、陽子ちゃん!?」
-陽子-
『いやー、やーっとつながったよ』

(◇時差ですか?)


 桂ちゃんは着メロを聞いただけで陽子ちゃんからだと判断しているし、開口一番が「もしもし、陽子ちゃん!?」なことから、陽子ちゃんからの着信だけにWheel of Fortuneを指定していることがわかる。ノゾミちゃんは陽子ちゃんに救われたようなものだ。足を向けて寝られないぞ。
 桂ちゃんがなぜ着メロで陽子ちゃんと判断できるのに、サクヤさんや烏月さんを予想したかというと……。ノゾミちゃんが今にも消えそうで動揺していたからだろう。たぶん。
 不可解な点はまだある。桂ちゃんはなぜ電話番号を教えていない烏月さんを候補に入れたんだろうか? 実は章と章との合間に教えていたのか、単に桂ちゃんお得意のぼけぼけなのか。それになぜニワトリ型生活習慣のはずの陽子ちゃんがあんな時間に電話をかけてきたんだろうか? 桂ちゃんの危機に虫の知らせでもあったんだろうか。

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2007年03月02日

ペット・セマタリー/スティーヴン・キング

-264-
 彼はビー玉で喉を詰まらせてやろうと待ちかまえている。クリーニング屋からもどってきた洗濯物のビニール袋で、窒息させてやろうと待ちかまえている。電気というてっとりばやく致死的なブギー……〈"最寄りのスイッチ板"もしくは"現在使用されていない電灯のソケット"等でいつでもお手に入ります〉……で、黒焦げにしてやろうと待ちかまえている。二十五セントのピーナッツの袋、気管に吸い込まれたステーキの一片、この次に封を切る煙草の箱、どこにでも死がひそんでいる。彼はいつでも身近にいる。人間の世界と不死の世界の間のチェックポイントを、つねにモニターしている。不潔な注射針、毒虫、切れて垂れ下がった電線、山火事。急に向きを変えたローラースケートが、交通の激しい交差点に愚かな子供をとびださせる。シャワーを浴びようと風呂に入ればそこにもオルが待ちかまえている…〈シャワーメイトと楽しいシャワー〉。飛行機に乗れば、オルが搭乗券を受け取る。彼はあなたの飲む水のなかにいるし、あなたの食べる食べ物の中にもいる。一人おっちで、こわくなったとき、あなたは闇にむかって叫ぶ。「そこにいるのはだれだ?」すると、返ってくるのは彼の返事なのだ。こわがらなくてもいいよ。わしさ、わしがいるだけだ。よう、気分はどうだ? あんた、腸癌にかかっているぜ。やれやれ、悪運だね。ごめんソーリー、ひげソーリー! 敗血症! 白血病! 白血病! アテローム性動脈硬化症! 冠状動脈血栓症! 脳炎! 骨髄炎! ヤッホー、やったろじゃないか! 戸口にナイフを持ったペイ患。真夜中に電話。ノース・カロライナのどこかの高速出口では、バッテリー液で血が煮える。どかっと渡される錠剤、これを片っ端からむしゃむしゃやってくれ。窒息して仮死状態になったあとの、爪のあの奇妙な青っぽい色合い――生存のための最後の厳しい戦いのなかで、残った酸素を脳髄がすっかり使ってしまうのさ。爪の下のそれらちっぽけな細胞のなかのものまでも。いよう、みんな、わしの名は《オルのらいまおう》、なんなら"オル"だけでもいいぜ。なんせ、もう今じゃ古なじみの親友同士だから。なに、ちょっと立ち寄っただけさ、あんたにすてきな鬱血性心臓麻痺か、脳血栓か、なにかちょっとした贈り物をあげるために。いや、長居はできないんだ、ある女性と異常分娩のことで会わなくちゃならんし、オマハでは、煙を吸わせてやるというささやかな用事も待ってるんでね。
 われわれはパトロールをつづける……息子とおれは……なぜなら、いきることの要諦は戦争でもセックスでもなく、もっぱら《オルのらいまおう》を相手にまわしての、その気高い、絶望的な、うんざりするような戦いにのみあるのだから。


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