2016年04月30日

サガフロンティア レビュー・感想 わからない! 文化が違う!

 ギブアップした。

 はじめに断っておくと、私はゲームを始める前に説明書の類は一切読まない。説明書や攻略サイトを見ながらでないと遊べないゲームなんざ七面倒でやってられないし、そんなものは欠陥品だとすら思っている。ゲームに対するそうしたスタンスが許せない方には、以下のレビューは何の意味も成さない。
 総プレイ時間は4、5時間程度。言うまでもなくアセルス編以外は全くやっていない。スタート地点のお城から、やたら暗い画面に目を凝らしてマップの境目を探り当てて脱出。次の町で人魚のSOSに応じてお偉方の館に侵入、シナリオ上の必然性がようわからんのにべらぼうに強いイカをどうにかやりこめて彼女を解放。主人公が家に帰ってみようと言うので従ったところ、理不尽な強さの騎士に襲われるもどうにか退ける。実家の後はどういった目的で何をどのようにすればよいのかさっぱりわからず、意味ありげな古墳や研究所を探索してみたものの、話が進まない。その後は行き当たりばったりで移動した近未来中華街で路地裏に迷い込み、雑魚敵に追い回されて全滅するのを繰り返す。半分くらい詰みになったこの時点で、これ以上苦痛に耐えても楽しく遊べないし、得られるものは何もないと判断し、ぶん投げた。
 前回のレビューでも書いたが、私は生粋のゲーマーではない。ローグライク(『トルネコ』など)やアクション寄り(『カエ鐘』など)は除き、オーソドックスなコマンド選択式RPGでプレイしたことがあるのは『ドラクエ』『ポケモン』『MOTHER』『マリオRPG』、エロゲも含めると当初いかがわしい目的だった『Succubus Quest短編』『レディナイト・サーガ』シリーズくらいだ。列挙するのも楽ちんである。RPGは好きか? と聞かれても、特別好きとは答えられない。しかし、今挙げた作品はどれも最後まで楽しく遊ばせてもらったのだ。どれも名作と呼ばれるだけある。本筋は当然エンディングまでやったし、エクストラダンジョン・裏ボス撃破その他のやり込みも大部分の作品でやり切っている。
 『サガフロンティア』には今まで遊んだRPGにあった楽しさがこれっぽっちも見出せなかった。シナリオの面白さ、テキストの面白さ、キャラクターの面白さ、探索の楽しさ、育成・成長の楽しさ、蒐集の楽しさ、そういったものが露ほども感じられなかった。脈絡がなくて唐突な上に、大筋の目的すら提示されずに放り出されるシナリオ展開。無個性で行動原理も不明なキャラクター。バランスブレイカーな武器や技、インフレレベルで理不尽に強くなる敵から算出される大味なゲームバランス。意味ありげでだだっ広く、敵もトラップも満載なのに存在意義の薄いダンジョン。ぶつ切れで一人称すら安定せず、こだわりが感じられないテキスト。敵シンボルがやる気満々に追跡してくる上に、もたくさした演出でテンポが悪い通常戦闘(逃走不可)。強くなっている実感が薄い成長システムとようわからん敵のランクシステム。最大限好意的に捉えれば「自由度が高く、プレイヤー主体で、想像の余地を残している」、個人的には「全般的に雑で投げやり、未完成品くさい」としか思えないゲーム全体のコンセプトが、致命的なまでに私の肌に合わなかった。いったい、こんなものの何が面白いんだ? 何を楽しめばいいんだ? 私が普段遊んでいるノベルゲームからも、遊んだことのある名作RPGからも、文化の違いを感じた。

 『サガフロンティア』は私が参考にしているレビューサイトでも毀誉褒貶が激しい作品だが、私は否定の側にすっくと立っている。面白い要素が1コもなかった。えっ、百合ゲーとしての評価はどうかって? 知らん知らん、論外!

サガフロンティア
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tags: 百合 
2016年04月12日

サクラノ詩 我々が何のために作品を作るのか、作品に刻まれる名

「ふざけるなお前、お前なぁ! 作品を作るって意味分かってるのかよ!」
「お前こそ何を分かってるって言うんだ!!」
「あ、明石……」
 明石が声を荒げる。
「筆をずっと折っていたお前に……何が分かる……」
「作品を作るという意味の、何が分かるって言う……」
「お前にとっては、多くの人間に認知されるための作品か? マスコミに騒がれるための作品か?」
「明石……」
「あれが、何のために作られたか……。
 俺が、あの作品を誰のために完成させたか……」
「作品が何であるか?
 その言葉、そのままお前に返してやる。
 おまえはその意味を本当に分かって言ってるのか?」
「……明石」
「あれは他の誰かではない、遠くの誰かのために書いたものではない……。
 あれは、小牧、小沙智、そしてあいつらを救ってくれた正田神父のために作り上げたものだ……他の何でも無い」
「だからこそ、もう俺が作者である必要は無い。
 俺の名前が残る必要は無い」
「だ、だが……」
「腑に落ちないか?
 だとしたら、お前は芸術家としては三流以下だ」
「くっ……」
「作品が何のために生まれたのか、何のために作られたのか……」
「我々が何のために作品を作るのか……それさえ見失わなければ問題ない……。
 そこに刻まれる名が、自分の名前では無いとしてもだ……」

(『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』Ⅱ Abend)


「これは、お前が俺に捧げた墓碑銘だ。
 だから俺は、ここに自分の名を刻む」
「これは俺の作品じゃない」
「俺の死のために、草薙直哉が描いてくれた作品だ」
「俺の墓は花であふれているだろう。だがそんなものは見せかけだ。
 本当の墓は、この絵の傍らにある」
「……今夜、ごく先刻、俺は死んだ夢を見た。
 妙なことに、それは、俺は幸せに暮らした瞬間だった」
「直哉、ありがとうよ」
「俺にふさわしい絵だ。こういう絵こそ、俺の死に捧げられる作品だ……」
「良い人生だった……」
「こんな事があるのだからな……」
「……」
「絵というものは良いものだ……」
「多くの人は、感情に言葉をのせて語る」
「だが、発話というのは、これはなかなか虚しいものだ」
「だから、多くの賢者は沈黙する」
「無駄なおしゃべりは、身体を濁らす」
「濁った身体からは、煙の様な言葉しか生まれない」
「だが、芸術に無駄なおしゃべりは必要ない」
「研ぎ澄まされた意味だけが浮かび上がる」
「A Nice Derangement of Epitaphs」
「この作品はそう扱われるだろう……」
「だが、それで良い」
「これは、俺のための墓碑銘なのだからな……」

(『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』Ⅳ A Nice Derangement of Epitaphs)


「作品が何のために生まれたのか、何のために作られたのか……」
「我々が何のために作品を作るのか……それさえ見失わなければ問題ない……。
 そこに刻まれる名が、自分の名前では無いとしてもだ……」

(『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』Ⅵ 櫻の森の下を歩む)



サクラノ詩-櫻の森の上を舞う-
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