2017年11月28日

『阿知賀編』実写ドラマ化&映画化記念で『咲-Saki-』シリーズ1巻が無料公開

【無料&半額】『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』実写ドラマ化記念『咲-Saki-』祭2017!! | ニコニコ書籍 - マンガ & ラノベ
 『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』のドラマ化&映画化のプロモーションで、漫画『咲-Saki-』とそのスピンオフ『阿知賀編』『シノハユ』『咲日和』(惜しいが『怜-Toki-』は入っていない)の1巻がニコニコで無料公開されている。『咲-Saki-』自体知らない人やスピンオフを読んでいない人は、この機会にぜひ手に取ってみてほしい。うちのサイトは『アカイイト』と『咲-Saki-』のステマが本分なのだ。
 何はなくとも本編の1巻、最初の3話だけでも読んでほしい。いつか一つの記事で書きたいが、『咲-Saki-』の面白さのファクターは最初の3話にほとんど詰まっていると思っている。

最近の咲関連のコミック売上について : エトピリカ!!
 スピンオフについては、以前『シノハユ』は本編読者の1/3くらいしか履修していないというデータを見てびっくりしたので、しつこく宣伝しておかねば。ぼくのかんがえた『咲-Saki-』ベストバウトに『阿知賀編』『シノハユ』の試合もかなり入っているぞ。『咲日和』はゆるふわスピンオフとして出色の出来だし、原作者からすべて実際にあったエピソードとのお墨付きをもらっているので、読まぬ選択肢は存在しない。「アラサーだよ!」も「○○たんイェイ~♪」もへんな三首うさぎも『咲日和』由来のネタでっせ。

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tags: 咲-Saki- 
2017年11月25日

主人公が現地調達の道具を駆使して窮地を切り抜けるシーンが好き

 ちょっと前に『プリンセス・プリンシパル』を観て再認識したんですが、主人公が敵地で陥った窮地を、その場で調達した武器や周りの環境を利用して切り抜けるシーンが好きなんです。どうですかね、伝わりますかね?

 『プリプリ』は文学性や精神性、「壁」のモチーフや「嘘つき」というキーフレーズの昇華が評価されている作品ですが、私がまず見惚れたのはスパイミッションの手際のよさですね。一話で好きなところは、エリックの妹が入院する病院に潜入したアンジェが看護婦の服をくすねて、巡回の看護婦が目を離した隙に注射器(麻酔薬?)をちょっぱり、入院患者を装って張っていた敵方のスパイを(生活臭の無さから)見抜いて注射で無力化するまでのスピード感です。あの間実に40秒で、鮮やかなお手前に引き込まれてしまいました。テンポのよさがそのままアンジェの行動力と技量の高さを表現してますよね。もう一つ気に入っているのが三話。まず、無線室にキーピックで潜入したアンジェたちが、ジャックを次々繋いで複数の通話を同時に傍受し、配線からターゲットの居場所を特定するところは、上掲のシーンと同様にスピード感がよいですね。そして最高なのが、鋭い敵兵にノルマンディー公の部下の声色を使っているのを疑われて、嘘の名前と直前の通話の内容(婚約者に関する雑談)で二重のカマを掛けられるものの、アンジェが無線傍受の時に拾っていた情報を引っ張り出して切り抜けるところ。無線を傍受した時点では、任務に必要な情報は原版の輸送担当の居場所だけで、一兵卒の婚約者の話なぞはノイズでしかないのですが、そんな情報さえ落とさずに記憶に留めておき、切羽詰まった状況で引き出せるのは並大抵の能力ではありません。この三話の時点で「アンジェさんつよい」「これスパイアクションとしてもよく出来てるぞ」と判断して視聴を継続することにしたのですが、結果的には大正解でしたね。

 別の作品で言うと、『ジョジョの奇妙な冒険』で、噴上裕也の病室まで辿り着いたもののハイウェイ・スターに取り憑かれて倒れた仗助が、しれっと奪った点滴で体力を回復して攻勢に転じるところ。ミスタが自動車のパーツや、銃弾の軌道を変えるために使用した鉄柱のささくれを利用して、ギアッチョのホワイト・アルバムによる装甲を貫くところ。『ジョジョ』はこの手の演出の見本市みたいな作品なので、該当箇所は挙げたらきりがありません。『ウォッチメン』で言うと、監獄に収監されたロールシャッハ(コバックス)が恨みを持つ囚人から食堂で襲われたところを、ポテトのフライヤーを手に取ってあつあつの油を浴びせて撃退するところ。ジャッキー・チェンの映画で言えば、店での乱闘で備品の椅子や変な棒やハンガーラックを使って立ちまわったり、逃走するバスに乗り込むときにその辺の傘を使ってぶら下がったりするところ。『ベルセルク』で言うと、ガッツが愛剣のドラゴンころし、全身に仕込んだ義手大砲やボウガンなどの重武装で暴れるのも血沸きますが、死体や倒木で作ったデコイで隙を作るところ(ワイアルド戦から使っているガッツさんの十八番)や、剣の丘での対決で刺さっていた細剣を咄嗟に蹴り上げてゾッドのわき腹をえぐるところ、ああいうところも大好きだということです。

 こういった機転のシーンの何がいいかって、登場人物の洞察力、精神力、頭の回転の速さがぎんぎん伝わってくるのがいいんですよ。アンジェのエージェントとしての能力の高さと逆算されるプリンセスを想う執念、仗助の父親に負けず劣らずの抜け目のなさ、ロールシャッハのマスクと武装を奪われても揺るがない精神的超人っぷり、ガッツの幾多の戦場を切り抜けてきた百戦錬磨ぶりが如何なく発揮されているのがいいんですよ。どうですかね、うまく伝わりますかね?

【関連記事】
プリンセス・プリンシパル レビュー・感想 コキジバトの巣の上で

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2017年11月13日

地味にサイドバーのおすすめで三年くらい宣伝していた

 『IT』映画版の出来について原作既読者の意見を聞きたいのだが、そもそもスティーヴン・キングの履修率はどれくらいなのだろうか。原作厨としてはとうてい許容できない完成度と密度だった(しつこい)。献辞にあった「魔法は存在する」というメッセージがほとんど失われていやしないか。
合本 IT【文春e-Books】
スティーヴン・キング 小尾 芙佐
B076474YJ4
 『シン・ゴジラ』を地上波放送で初めて見た。「それを言うのはあなたで100万人目です」だが、3.11がなかったら生まれなかった映画だろうな。符丁はほとんど聞き落としていたが、ヤシオリとアマノハハキリだけは理解できた。
 あと 『ef - a fairy tale of the two.』も3.11の影響下にある作品だと勝手に思い込んでいたのだが、それよりずっと前の作品だったんだな……恥ずかしい。

身の細る思いとは - 日本語表現辞典 Weblio辞書

体つきがげっそりするほど、しんどい思いをすること。ひどく心労すること。



黄泉戸喫 (よもつへぐい)とは【ピクシブ百科事典】

黄泉の国(あの世)の食べ物を食べること。

こと、日本においては、古事記に登場する 伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の話が有名である。

イザナミとイザナギは夫婦で、日本の島々と八百万の神々を産み、
一番最後に、カグツチという神を産むのですが、火の神だったためにイザナミは火傷して死んでしまいます。しかし夫イザナギは、妻のイザナミが忘れられず、黄泉の国(あの世・死者の国)に迎えに行って連れ戻そうとするのですが、イザナミはすでに黄泉の国の食べ物を口にしていたために一緒には行けないと断られてしまいます。



悪質な広告が発生中!ネットを見てる時にこんな画面が表示されたらクリックしないように注意 - Togetterまとめ
 これ、自分のサイトのスマフォ表示でも出てきてほとほと困ってる。デフォの広告が悪いっぽいのだが。

電撃 - 『プリンセス・プリンシパル』橘正紀監督インタビュー。6話の悲劇に隠された意外な事実も明らかに
 いろいろ新情報があったが、一番衝撃的だったのはやっぱりここ。あの嵌り具合なのに。

 本読みの段階で、バンダイビジュアルの湯川淳チーフプロデューサーから「プリンセスの話なので、プリンセスという言葉と韻を踏みたい」と言われて「プリンシパルという言葉があるけど、それがプリンセスとくっついて意味が通るかはわからない」という話をしたんですよ。

 そうしたら、白土さんから「プリンシパルという言葉には主役や主要なという意味もありますし、プリンセスにくっつけてもおかしくはないんじゃないですか」と返してきて、そういう緩い感じで決まりました。

 湯川さんも「略すとプリプリになるからいいね!」とノリノリで、その場で『プリプリ』という略語まで決まりました。逆に私がプリンシパルという単語を出したものの、え、今の時代にプリプリっていう略語にするのかととまどいました(笑)。



同人PCギャルゲー『ネコぱら』が170万本の大ヒット! 売上の9割が海外、ヒット理由は猫だから?【インタビュー:イラストさより氏&シナリオ雪仁氏】
 シリーズ通算とはいえ170万って凄まじい数字じゃないか(FateやCLANNADが国内で2、30万だったような)。

東方天空璋 ~ Hidden Star in Four Seasons. on Steam
  へー、本当にSteamで出すんだ。海外ファンは触りやすくなったかな。


 あ~ダメぇ! で堪えられなかった。


 これも恐ろしく評判のいい同人エロゲーだね。私はノベルゲーム専門なのでたぶんやらないと思うが、はっと惹きつけられる絵だとは思う。単眼娘で培った眼力、というコメントを見てはっとした。

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2017年11月03日

IT “それ”が見えたら、終わり。 いいかげんなレビュー・感想

 とてもじゃないが原作厨の満足する出来ではない。原作を読んでくれ。

 尺の都合で削らなければならないエピソードがあるのは理解できるが、作品の中核にある要素を落としすぎていやしないか。いったいチュードの儀式はどこにいってしまったんだ? ブルズアイの銀弾は? エディーへのお見舞いは? そしてそして、ビル・デンブロウ、悪魔を負かす(ハイヨー、シルヴァー、そおおれいけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)を影も形もなく消したのはどういった了見なんだ? そのくせなんで役立たずの亀だけは2回もねじ込んでやがるんだ。取捨選択の基準がまるっきりわからん。
 話のスケールがあまりにも矮小化されていないか。デリーという平凡な町の裏にある暴力と憎悪の歴史に重みがないし、神話的背景もごっそり削られている。ペニーワイズはただの快楽殺人鬼の枠に収まっていて、原作にあった、住民の悪意が澱のように溜まった下水のイメージや、音もなく町を支配して食いものにする蜘蛛のイメージがすっぽり抜け落ちていた。
 はみだしクラブの武器が、ベヴァリーのブルズアイに変わってマイクの空気銃になっていたが、殺傷性が前面に出すぎていてあまり面白くないチョイスだ。でも、最後に○○が○○た状態でペニーワーズを打ち抜くところはなかなかよかった。
 挿入曲が80年代のやすっちいハードロックで作風にあっていない。キングの書く少年時代といったらオールディーズとロックンロールだろうがよ。
 最後の対決で、子どもたちに鈍器で袋だたきにされてすごすご引っ込むペニーワイズさんがあまりにも情けなかった。しょっぱい、あまりにも塩試合すぎる。テレビドラマ版のかに道楽とのバトルとどっちがましだったかは、ちょっと判断が付かない。

 キングの映画化作品に当たりなしと言われて幾星霜、映像面では読者の脳内映像にかなり肉薄してきたと思うが(今作も不吉をはらんだ色使いや画面構成は文句なしによかった)、奔放な世界観の密度やサブテキストのニュアンスを限られた時間内に構築するのは至難の業だと改めて思った。

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2017年11月02日

アトラク=ナクア レビュー・感想 血と情念が薫る伝奇ノベルの古典

 音に聞こえた伝奇ビジュアルノベルの古典です。1997年発表。伝奇作品の枠だと『痕』の翌年、『久遠の絆』の前年と書くと時代背景がわかりやすいでしょうか。

 先にダメ出しを済ませると、作品の構成要素のうち大部分で経年相応の古さを感じるのは否めません。具体的には、中盤までのほとんどを占める、主要登場人物(初音・奏子と銀と、あと燐か)が本筋に絡まない傍流の展開の退屈さ(私はプレイ中「はやく銀さんが出てきて本筋が進まねーかな」と常に思っていた)、かなり類型的な造詣で立ち位置の不確かなキャラクター(どうでもよすぎて主要キャラ以外の名前が一人も名前が思い出せない)、存在意義が全くもってわからない調教パート(未練がましくゲーム性を残そうとしたのか?)などです。その他、立ち絵も一枚絵も明らかに数が足りていませんし、楽曲の評価が非常に高い作品ですが、音源はお世辞にも上等とは言えません。
 にもかかわらず、今日でも『アトラク=ナクア』が名作の呼び声を厳然として保っているのは、ひとえに最終章の完成度ゆえにでしょう。あの激情と感傷のありったけがぶつかる驚天動地の展開は、今なお比類する作品がほとんどありません。戦力を削いでいく包囲網戦が続き、直接的な対決が持ち越されていた分、いよいよ人外の化け物が(いろんな意味での)正体を現して刃鳴散らす瞬間の興奮ったらありません。硬質で淡々と描写を連ねる三人称の文体は、この作品の空気を形づくる特色の一つですが、あれが却って昂ぶりを伝えてくるんですよ。これ以上ないとっときのタイミングで流れ出す劇半「Atlach Nacha~Going On~」と、それのアレンジと画面効果を交えた演出も場を最高潮に盛り上げます。しかしながら、あの章の中で何が一番読み手に衝撃を与えるかと言えば、価値観の逆転、関係性の逆転が起こることに尽きると私は思っています。
【若干ネタバレあり】
 この作品は一枚絵の視点ともっともらしい語りによる叙述トリックを巧みに取り入れていますが、あの一枚絵が鮮明になるとともに、それまで捕食者の立場で人の命や尊厳を弄んでいたある人物の本性――致命的に傷つけられた自尊心を、今度は自分が支配者の側に立って他者を蹂躙することで修復しようとしている愚かな小娘――が暴かれる瞬間の、足下が崩れるような、目から鱗が落ちるような、胃の腑がでんぐり返るような感覚。あれを味わえただけでもこの作品を読んだ甲斐がありました。
【ネタバレおわり】
 ここに至るまでの展開は、言ってしまえば前振りでしかないのです。あの人が虚飾を剥ぎ取られて、血みどろで転がりながら幼稚な意趣返しから脱却し、本当に護るべきモノのために闘おうとするところからが『アトラク=ナクア』という物語の真の始まりなのだと思います。以降の展開は掛け値無しに凄まじい牽引力があり、ページを手繰る手が最後まで止まりませんでした。しかし、そこまでの流れが前振りや布石といった観点でしか評価できないのは、作品の総合的な完成度に瑕疵があることの証左だとも考えています。

 2017年現在におけるシナリオゲームの水準に照らすと粗が見つかりますが、最終章における最大瞬間風速のトルクでは今なお頭一つ抜けた力作であることは請け合います。テキスト、伝奇要素、楽曲も見上げた出来。今なら単品の廉価版がお手ごろ価格で手に入るので、20周年を機に温故知新で触わってみるのもオツではないでしょうか。

【参考文献】
マリア様がみてる(1) 今野緒雪
 あちらはお姉さま、こっちは姉様……。関係性の構図がよく似ていると思います。

アトラク=ナクア 廉価版
B00008HUMF

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