2006年09月03日

ダーク・タワーⅥ スザンナの歌/スティーヴン・キング


*以下の文章には、「ダーク・タワーⅥ スザンナの歌」のネタバレが含まれています。未読の方はご注意下さい。


キング堂 ブログ支店:スザンナの歌 スティーヴン・キング
bookshelf ダーク・タワーⅥ スザンナの歌
xx-notes ダーク・タワーⅥ スザンナの歌

 え~、全国のキング読者が待ち望んだ「ダーク・タワー」シリーズⅥ巻、「スザンナの歌」刊行からはや一月半ですか。私は7月の終わりに読了していたのですが、そのあまりの衝撃に、長いこと正面切って向かい合うことを避け…ぶっちゃけあまりの酷さに現実逃避していました。
 はてさて、夏休みも終わりの段になって、ようやっと気持ちの整理がついてきました。さっそく、Blogサーチや、キング作品のご意見番「キング堂」へのトラックバックなどで、津々浦々のキングファンによる「スザンナ」の所感を探してみました。

私はもちろんローランドは創造の人物と知っている。これまで暗黒の塔に絡む物語の全てのキャラクターが、キングの創造の人物と承知している。
でも、スティーヴン・キングが「スティーヴン・キング」を登場させ、その「スティーヴン・キング」に「私が創造した」と言わせるのを読むことは承知していない!
現実には起こりえない事象を、まるで誰の日常にでも出現することかのように非現実へ連れ出してくれるからキングが大好きなのに。(そしてその物語は恐怖を下敷きにしているから、尚更キングが好きなのに)
神は人間の脳内に存在するとしても、ローランドは違うのだと、ラルフは、テッドはキャラハンは違うのだと思っていたかった。
「暗黒の塔」と言う世界に生きていると思っていたかった。
「塔」を救うための一環として、ひとつの重要な輝石としてローランドが創造された、とされたとしても、納得しかねる喪失感がある。

「あんたが本当に存在するのは、ここだけだからだ」の一文で、悔しくて泣いた。
(bookshelfさん)

で、内容については、全巻終盤からの展開が嫌な感じだったので心配していたわけですが、それを上回る酷さとんでもなさ。作品内での自己言及というのはキングのトレードマークのようなもんですが、それの究極形というか、傾いた樋にキング自身が滑り落ちてしまってますから・・・・。創造と破壊を巡る争いは、あらゆる世界の様々なレベルで行われていることを表すのか、物語の力(魔法)を訴えたいのか、今まで試みたことの無い表現手法に挑んだのかなんだかわからないけれど、これによってローランド達がいっぺんに薄っぺらいものになってしまった。
(キング堂さん)

とにかく 下巻でスティーブンキングが登場してからは少し白けてしまいました。 展開は予想されていたけれど どうなんかな?って思います。 下巻最後の方の作者の日記みたいな項目でアフターケアしたつもりなんでしょうが どうも 納得がいきかねます。
(xx-notesさん)


 案の定、私と同じように深い失望を味わった人多数なようで…。「なぁんだ、私だけじゃなかったのね」とほっと一安心いたしました。え~、勝手ながら皆さんから勇気を分けてもらいまして、私も一言もの申します。


御大~!!


出しゃばるな~!!


 …ああ、すっきりしました。


 私は「スザンナの歌」を読んでいるあいだ、常に「ちがう!ボクの読みたいのはそれじゃないよ!!」という違和感を感じていました。私が読みたいのは、ひとえにローランドたちの血なまぐさい冒険・成長と贖罪の旅ですよ。
 御大は自分の執筆を、「何かが私に語りかけてきて、私はそれをタイプしているだけ」と頻繁に語っておられます。おそらくは、その昂揚した感覚…優越感といってもいいでしょう…を、暗黒の塔が自分にローランドたちを書かせている、という発想で表現したかったのでしょう。はっきり言って、それは傲慢に過ぎませんぜ。作品を完結させてもいないのに、あろうことか!作品中で!物語の進行を擲ってまでやり出すとは、どういう神経をしておられるんでしょうか。自慢話は「ダーク・タワーができるまで」とか何とかを出版して、別個長々とやってくれればいいじゃないですか(そうすればオタは飛びつくんですから!)。御大!あんたは職務怠慢の自己陶酔ヤロウだ!………。物語を語ることにかけては、掛け値なく真摯な方だと信じていたのですが。

 
 残り一巻、「暗黒の塔」は最長のボリュームだそうですが、スザンナの救出、チョッピーの始末、深紅の王・獣・レギオンとの対決、世界の再生と、果たして御大とはいえ、これだけの量をこなせるのでしょうか。ローランドの過去話…カスバート関連もあれで終わりじゃあるまいて、母君のベルトに関する話、ギリアド出立シーン…も宙ぶらりんのままですが、私はどうせなら、過去回想シーンを擲って、現在進行であるローランドたちの旅に絞ってほしいのですが…。
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