2007年03月08日

桂ちゃんの「用意周到」「備えあれば憂いなし」

-桂-
「ふぅ……」
 暑いと体力の消耗も早くなるので、用意周到といった類の言葉を座右の銘とするわたしとしては、ペース配分もぬかりなくしておきたいところ。
 そろそろ小休止する頃合いだと立ち止まり、背負っていたリュックを下ろし、その中から取り出したハンドタオルで汗をぬぐう。

(◇狭間の同行)


-桂-
「ふい~、危ない、危ない、危なかったよ」
 こんな大事なことを忘れていたなんて、備えあれば憂いなしを座右の銘に据えている桂さんらしくない大失敗だった。

(◇時間的にはもうすぐ明日)


 ちなみに五右衛門風呂の名前の由来は、かの天下の大泥棒・石川五右衛門が、釜茹での刑に処せられたことにちなんでの銘々なのだそう。
 足を火傷しないように、浮いている底板を踏み沈めて入るのだけど、それを知らずに下駄履きで入って、底を踏み抜いてしまったという話がある。
 先人の失敗に学んでいるわたしは、同じどじをやらかさなくてすむ。これもひとつの備えあれば憂いなし。

(◇カゴノナカ)


 桂ちゃんが「用意周到」「備え」に偏執的な拘りを見せるのは、ある種の変身願望であり、贖罪行為である。十年前の事件では、考えのない自分のせいで、お父さんも白花ちゃんも柚明お姉ちゃんもいなくなってしまった。お母さんも、働きづめなのにも気付かない鈍感な自分のせいで、過労で倒れてしまった。こんな短慮で浅薄な自分を変えたい、という強迫観念から来ている。記憶を封印している出来事が影響していて、無意識のものである分拘束力も強い。
 桂ちゃんはそもそもが大らかでずぼらな人間である。それは桂ちゃんが「用意周到」を座右の銘にしながら、必ずと言っていいほどぽかをやらかすことからわかる(『京洛降魔』の宅急便のエピソードなどに特に顕著だ)。そんな彼女が自分の性質と懸け離れた「用意周到」に拘るのは、それ相応の理由があるからなのだ。

-桂-
「わたしはね、烏月さんみたいに強くないから、『今あれをしないと』とか思っても、何もできないまま時間切れになっちゃうタイプなんだ」「それで後になって『ああしてれば』『こうしてれば』って後悔するの」
「最近だと、もっとお母さんのお手伝いとかしとけば良かったって……そうしたらお母さん、過労で死んじゃったりしなかったかもって……」

(◇元の鞘)


-桂-
「……ねぇ、ユメイさん」
-ユメイ-
「なあに?」
-桂-
「ユメイさんは、無理しないでよ?苦しかったら苦しいって、辛かったら辛いってちゃんと言ってよ?」
「わたし鈍いから、言われないとわからないから。言われないと何もしてあげられないから……」
「お母さんが過労で倒れちゃうぐらいつかれていたことに気付いてあげられなかった、ぜんぜん駄目な子だから……」
 うなだれるわたしの頭に、ユメイさんの白い手が乗った。
 お母さんがよくしてくれたみたいに、ぽんぽんと柔らかくわたしの頭を叩く。
-ユメイ-
「ありがとう。桂ちゃんはいい子ね。その気持ちだけで十分よ」
-桂-
「……違うよ、わたしはいい子じゃないよ。わたしはわがままな子だよ」
「わたしはわたしのために言ってるんだもん。後になって自分を責めるのが嫌だから……」
「大切な人が、いなくなってしまうのが嫌だから」

(◇食事の後は)



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