2012年05月20日

若杉葛ルート

ユメイ(ルート)に関する伏線
千羽烏月(ルート)に関する伏線
ノゾミ(ルート)に関する伏線
浅間サクヤ(ルート)に関する伏線
若杉葛(ルート)に関する伏線


◇最終バスに乗って


◇暗い森を抜けるとそこは


◇お化け屋敷に光る目


◇大家と店子とお稲荷様

 ああ、そういえば葛ちゃん。
 私は一緒の部屋で構わなかったのに、ほかの部屋へと引っ込んじゃうんだもん。
 部屋が余ってるからって、別々にすることないのに……


一度葛ルートをクリアすると、葛ちゃんが桂ちゃんを警戒しているのがよくわかる。


◇タソガレ
 章題に漢字を当てれば「誰彼(あなた誰?)」になる。「夢に現れる懐かしい人、あなたはいったい誰なの? わたしの何なの?」の意。
 詳しい解説は◇それは物語の予兆◇タソガレ◇ナクシタヒ◇幻視行にて。

「――桂ちゃん」
 あの声の人だ。
 ああ、この人は、この顔は……
 痛みが走った。(赤エフェクト)
「駄目。考えては駄目」
 知っている。誰かに似ている。
 それはとても懐かしくて、毎晩見ている、鏡の中の――(赤エフェクト)


わたしに似ている、と続く。たぶん。桂ちゃんとユメイさんの血縁関係を示唆している。

 柔らかな手が、頭を撫でた。
 幼い子供をなだめるように、よしよしと、優しくゆっくり。
 少し冷たい指先が、痛みを吸い取ってくれているような気がした。
 風邪を引いた幼い日の夜、苦しいところを撫でさすってくれた、お母さんの手にも似ていて。
 ああ、やっぱりこの人は――(赤エフェクト)


――幼いわたしの世話を焼いてくれたことが……とか続く。たぶん。この幽霊さん、幼い日の桂ちゃんと接触がある? ひょっとすると元人間、それも桂ちゃんに近しい人だった? と想像をたくましくしてほしいところ。


◇わたしのきずあと

 でも、お父さんが死んじゃったのは、家が火事になったからって聞いて――
 お父さんのことを全然憶えていないのも、わたしが煙を吸って倒れたからだって――
 写真ですら顔を知らないのも、アルバムごと全部燃えちゃったからだって――


火事云々の作り話と写真の処分は、真弓さんとサクヤさんが相談してのことだろう。桂ちゃんが事件のことを思い出して心を壊さないよう配慮した。

 名前は――
 傷と一緒に書かれていた名前は――
 確かめるように、すっかり磨り減っている柱の傷を指先でなぞる。
-桂-
「ケイ……」
 わたしの名前だった。(略)
 そして震える指先が、もうひとりの傷に触れる。
 本当に背比べをするように、ほとんど変わらぬ高さに、いつも。
-桂-
「ハク……カ……?」(赤エフェクト)
――夢の中と同じ痛み。


意味深なことを語る幽霊めいた女性の登場直後にこんなものを見せられれば、どうしてもユメイさん=ハクカ? と予想してしまうものである。なかなかもって周到なミスディレクションだ。続く一文もプレイヤーを混乱させるのに一役買っているかと。


◇時差ですか


◇そして誰もいなくなった
 章題の元ネタはアガサ・クリスティー。

-桂-
「荷物、重くないの?」
-葛-
「昔から、背負いきれないほどの思いものを押しつけられてきましたからね。それに比べれば」


鬼切り頭の後継者としての期待、親族を殺した十字架など。


◇兵法の要は兵糧にあり


◇饅頭怖いと王子の狐
桂ちゃんが部屋に入った瞬間の、葛ちゃんの嫌そうな顔に注目。

 (葛が)さっきわたしが取りかけた、角から二つのお饅頭を手にして食べる。


この不自然な行動は、毒を盛られるのを警戒してのことだろう。コドクの時の習慣が思わず出てしまった。

-桂-
「ごめんね、尾花ちゃん。よく知らない人にあんなことされたら(食べ物を貰ったら)怖いよね」
-葛-
「……」


この沈黙はおそらく「わたしも桂おねーさんにお菓子を貰ったとき、ちょっと怖かったんですよ」の意。


◇買い物帰りのお嬢さん


◇カレイド


◇生還おめでとう


◇雨と共に来たる
 章題の元ネタはマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』。

-桂-
「……とんかち?」
-葛-
「女子供の力でも、思いっきりやれば一発です」
 すごく物騒だった。
-葛-
「幸い広さは十分ですから、的が細くなる縦振りよりも、横から振るのをお勧めします。技術が追いつくなら側頭部狙いで」


ひょっとすると葛ちゃん、コドクで実践したことがあるんじゃあ……。

-桂-
「サクヤさんって、お祖母ちゃんとも知り合いなんだっけ?」
-サクヤ-
「そーさ。しかも笑子さんとの付き合いのほうが、長いといえば長いよ。まぁ、言ってみれば、あたしのお陰であんたが生まれてきたようなもんだ」
-桂-
「……月下氷人?」
-サクヤ-
「そんなところさね」


サクヤさんと笑子さんは、60年前に笑子さんがサクヤさんの命を救って以来の長い付き合いだった。笑子さんの息子である正樹さんを親友の真弓さんに紹介したのがサクヤさんだから、そんなところというか、まさに月下氷人である。

-サクヤ-
「あんたは覚えちゃいないだろうけど、あんたも昔はこっちに住んでいたんだよ。笑子さんが生きていた頃はね」
 笑子さんというのは、私のお父さんのお母さん。つまりは私のお祖母ちゃんのこと。つまり羽藤家とサクヤさんの付き合いは、それぐらい遡れるほどに古いことになる。
-桂-
「だからこのお屋敷のことも知ってるんだ」


『コクジョウ』では、サクヤさんはじっさいにお屋敷に住んでいた。

-桂-
「ところで、葛ちゃんはそのまま(浴衣じゃなくて、普段着のまま)でいいの?」
-葛-
「たはは、ちょうどいいサイズがあれば、お借りしたかもしれませんけど」(略)
-桂-
「葛ちゃんサイズの、ないのかな?」
-サクヤ-
「それなら、桂とはく――っしょい!こんちくちょ~」


サクヤさん、思わず「それなら、桂と白花が子供の時使っていたものが……」と言いそうになり、わざとらしいくしゃみでごまかした。再プレイ時にニヤリとするシーンの一つ。

-サクヤ-
「……葛?」
-葛-
「浅間――」
-桂-
「……あれ?もしかして、二人とも知り合いだったりしたとか?」
-サクヤ-
「いや、大したことじゃないさ。あたしが昔、世話になったところにも、そう言う名前の跡取りがいたような気がしてねぇ」
-葛-
「そうそう、こっちはアレですよ。浅間と言えば忠臣蔵」


昔(60年前)世話になった(仲間を皆殺しにされた)ところ(若杉)の意。葛ちゃんのほうは若杉の過去の所業を知る要注意人物として浅間サクヤの名を耳に挟んでいたのだろう。みな一周目は「お世話をしてもらった、ご厄介になった」ところだと思ったはずだ。じっさいは「おう兄ちゃん、この前は世話になったのう」のニュアンスである。


◇ジョーカー

-サクヤ-
「意外だねぇ、あんたは嫌いなのかい?」
-葛-
「好きじゃないですよ。そーゆー勝負事って、人やら欲のからむ争いですからね」
-桂-
「でも、ただのゲームでしょ?」
-葛-
「かかる人にかかったら、何でもゲームになるんです。ローマの見せ物しかりですよ」


葛ちゃんの言うゲームとは、若杉の後継者争いやコドクのこと。

-サクヤ-
「だけどねぇ、十年生きたかどうかの小娘に勝負の何がわかるっていうのかい?」
-葛-
「刹那の刻で悟る者もいれば、八百無量をかけて心理から遠ざかる負け犬もいますからね。生まれついての星の差って大きいですよ?」


サクヤさんの自信は実年齢(17XX歳)からの現れだろう。
葛ちゃんはサクヤさんの正体を知っているので、遠回しに彼女のことを「負け犬」、年を「八百無量」と言っているんだろうか。ひどい。

-サクヤ-
「ふふふ……面白いねぇ、面白い。一大事ってのは、時も場所も選ぶ間もなく嵐のように訪れるって、とある連中に思い知らされたんだけれどねぇ……」


とある連中=若杉あるいは鬼切部。サクヤさんは前触れもなく、そして為す術もなく仲間が皆殺しになったことを「嵐のよう」と表現している。

-サクヤ-
「そうだね。まだ何で勝負するかを決めてなかったね」
-葛-
「そちらが選んで構いませんよ。こちらの言い分に後から難癖つけられたくないんで」
-サクヤ-
「誰が難癖つけるかい。千年分のハンデだよ、それぐらいはそっちでお決め」


サクヤさんの正体のヒント。初プレイでは単なる誇張だと思うはずだ。鯖読みすぎだよ、サクヤさん。


◇蛇と狐と蝶


◇丹塗矢

-葛-
「似てませんか?」
-桂-
「似てる…かもしれない」
 赤い矢に化けた蛇の神様に突かれるお姫様。
 赤い蛇に襲われるわたし。
-葛-
「おねーさんが寝ぼけていたんじゃないんなら、ここの地元の蛇神様に見初められたのかもしれませんね」
-サクヤ-
「………」
-葛-
「どうかしましたか?」
-サクヤ-
「ああ、まだ桂は嫁にやらないよってね」


葛ちゃんが口にした「蛇神」という単語にぴんときたサクヤさん。「蛇ぃ? あ~ん、ひょっとすると主の手合いかね? はんっ! 姫さまと柚明と白花を盗られて、この上桂まで渡してたまるかい!」と思った。たぶん。


◇朝の仇を昼に討て
 章題の元ネタは慣用句の「江戸の仇を長崎で討つ」。

-葛-
「人並み以上ということは、人とは違うということですから、何かと苦労が絶えないんですよね」
-サクヤ-
「何事も普通が一番さ。出来ることなら、あたしも十人並みになりたいよ」
-葛-
「ですねー、私も同意しますよ」


葛ちゃんは日本を裏から牛耳る家に生まれ、そしてなまじ鬼切り頭としての才能があったせいで、他の跡取り候補に命を狙われたり、後継者争いで身内殺しを強要されたりと、この世の地獄を味わう羽目になった。プラス(若杉の跡継ぎ)からゼロ(一般人)になりたいのだろう。
サクヤさんのほうは判断つきかねる。月のない夜に生まれた鬼子だという引け目を感じていたので、マイナス(半端者)からゼロ(十人並み)になりたいという願望なのかもしれない。あるいは、呆れるほど長生きしても辛い別れがあるばかりだ、普通に生きて普通に死にたかったというプラス(八千代を生きる観月の民の生)からゼロ(百年を待たず終わる人の生)への願望かもしれない。


◇蛇神の影

-女将-
「お祭りを取り仕切っていたお家があったんだけれど、
ずいぶん前に急にその人達がいなくなってしまったのね」
「それで、このところ形ばかりのお祭りが続いていたの」


お祭りを取り仕切っていた一家とは、十中八九羽藤家のこと。10年前の事件後、羽藤一家は経観塚の地を後にしている。

-桂-
「それで、お祭りってどんなお祭りなんですか?」
-女将-
「それなんだけどね、オハシラサマっていう神様を祭っていること以外、詳しいことはよくわかっていないのよ」
-桂-
「オハシラサマ?」
-駅員-
「大層綺麗な娘さんだったらしいよ。ちょうどお嬢さんみたいな感じだったんじゃないかな」


秋田さんは冗談で言ったのだろうけれど、ユメイさんも姫さまも血の繋がりゆえに桂ちゃんに似ている。……本当に偶然?


◇経観塚郷土資料館


◇経観塚に伝わる昔話

 その昔、経観塚の長者の家に娘がいた。
 よい年頃の、美しく気立てのよい娘であった。
 娘の噂は近隣に知れわたり、多くの若者が求婚した。
 ところが娘は誰にも良い応えを返すことがなかった。
 都の貴人の求婚にも良い応えを返すことがなかった。
 そして最後には山の神が降りてきて言った。
「娘よ、お前は天つ神に騙し討たれ、奪われた我が祖の花嫁の血を引くものだ。私の所へ来るがよい」
 山の神は人をさらっては喰らう恐ろしい神であった。
 長者は都に使いをやり、鬼退治の武者を呼び寄せた。
 武者は必死で戦ったものの、山の神にはかなわなかった。
 そしていよいよ山の神が村にやってくるにいたり、娘は幾人かの行者を連れてきた。
 行者らは山の神と同じく人ではなかった。一行を率いる行者の額には小さな角が生えていた。
 そして他の行者らは、空に浮かぶ満月を見上げるとその姿を獣のものへと変え、山の神に挑みかかった。
 折りしも満月の夜だった。ゆえにその行者らは観月という。
 山の神は鏡のように目を光らせ、八色の雷を操り天を震わせて戦ったのだが、ついには力尽きて血に塗れた。
 こうして山の神は退治されたが、山の神が呼んだ雷は鳴り続けた。
 行者らは塚を作り、山の神を篤く祭った。
 すると雷はぴたりとやんだ。
 その時から娘の姿が見えなくなったが、観月の行者らが連れて行ったのだと言われている。
 この塚に由来し、この地は経観塚と呼ばれるようになった。
 やがて塚には塊の木が育ち、やがて月まで届くほどになった。
 この木は御柱様と呼ばれ、塚に代わって祭られるようになった。


昔話の実際のところはサクヤルート◇千年の記憶Ⅰ~Ⅳ参照のこと。オハシラサマの木が主の封印後に成長していたり、姫さまが観月の民に連れて行かれたりと、史実とはいくつかの相違点がある。口伝された伝承だからだろうか。


◇カガメ


◇良月
葛ちゃんが突然厠に立ったのは、係員と話している烏月さんが目に入ったから。
葛ちゃんの良月に関する講義は、ノゾミルートの伏線になっているのでよく聞いておくこと。632年、中臣氏(のちの藤原氏)、遣唐使によって持ち込まれた最古の鏡うんぬん。


◇いわくの鏡

-学芸員-
「……彼は、鹿之川さんは、呪いの鏡に魅入られてしまったんでしょうか?」
 呪いの……鏡?
-学芸員-
「噂は本当――かもしれ――何せ長者の――」
 ……あれ?なんだか気分が……。
(……)
 赤く光る蛇の目。
 鏡のように光る蛇の目。眼底を灼く赤に目眩を感じる。
 目の前にあるのはただ一面の赤。


十年前の一枚の鏡から引き起こされた事件のことや、ノゾミちゃんに邪視(蛇の目)で暗示をかけられた時の感覚を思い出しそうになった。

-桂-
「えっとね、あの盗まれた鏡……良月だっけ?あれが呪いの鏡だっていう話をしてた」
-桂-
「あの鏡を伝えていた、このあたりの長者の子が親族を殺したせいで、世に出ることになったいわくつきの――」
 ――あ、やっぱり気持ち悪さの渦の予感が。


長者の子=白花ちゃんが親族=正樹さんを殺した。またもや忌まわしい記憶が戻りそうになった。

-葛-
「まぁ、千年以上昔の鏡ですから、何かしらのいわくぐらい付くものです。器物は百年経つと魂を持つと言われているぐらいですし」
「ましてや、かの中臣氏――すぐに藤原姓に変わりますけど――の持ち物ですからね。権力の中心近くに据え置かれたりしたら、呪いの一つや二つも吐き出すようになりますよ。例えばそれが物でも人間でも」


葛ちゃんは一般論を語るようにして自らの境遇を愚痴っている。
権力の中心に生まれたせいで忌み子として幽閉されていたノゾミちゃんは、じっさいに良月に向かって呪いの文言を吐き続けていた。

-葛-
「……にしても、気づかれてなければいいんですけど、心配ですね」


 烏月さんに気づかれていなければいいんですけど。


◇サクヤさんの腐れ縁

-烏月-
「どうしてあなたがこんなところにいるんですか」
-サクヤ-
「こんなところって、ここはあたしの第二の故郷みたいなものだしねぇ。本当の里には帰ったところで何もないからね」
-烏月-
「………」


かなり辛辣な当てつけだ。サクヤさんの生まれ故郷である観月の民の村は、60年前の鬼切り部千羽党の襲撃で消失している。烏月さんも当事者でないとはいえ、千羽党の一員として負い目を感じているようである。サクヤルートでわだかまりが解けて、本当によかった。

-烏月-
「羽様のお屋敷ですか?」
-桂-
「わ、知ってるんですか?」
-烏月-
「有名ですからね」


先代鬼切り役の息子が鬼に憑かれて父親を惨殺し、行方を眩ましているので、10年前の事件の話題は、鬼切部の中でも千羽党ではとりわけ取りざたされたことだろう。

-サクヤ-
「まぁ、あたしがいうのも何だけど、有事の際には番犬役ぐらい勤まる奴だけどね…」


自分がいうのも何だということは、サクヤさんは自分のことを番犬のようなものだと捉えているのだろう。観月の民は狼の神格化であるし、羽藤家を見守りつづける自分の役割を番犬のようなものと捉えているのだろう。そのくせ烏月さんに「犬」と言われるとムッとしちゃうのだった。


◇サクヤさん料理中


◇夏夜に咲く花
 閃光花火は『痕』へのオマージュ。きっと。


◇お花を摘みに参ります?
 隠語。

-葛-
「私はただの葛です!家を出た時点で、若杉とは何の関係もなくなったんです!」
-烏月-
「いくら否定したところで、あなたに流れているのは若杉の血。私に千羽の血が流れているように、人が生きているかぎり、それは絶えず身体を巡っているものなのです。葛様」


烏月さんも葛ちゃんと同じく血統とお役目に束縛されている人間だ。兄殺しの罪を背負いながらもお役目を続けている烏月さんが言うからこそ重みがある。

-葛-
「人間、閉じこめられたらおしまいですよ。閉じこめられたら、そのまま朽ちていくしかないんですよ。だから私は――」


幽閉されて孤独に死にかけていたノゾミちゃんを想起させる。


◇コドク

-葛-
「むしろ、鬼切り頭としての若杉を憎んでいるサクヤさんが怖くて仕方ありませんでしたよ。いつ噛み殺されるか、ヒヤヒヤしてました」
-桂-
「サクヤさんが…?」
-葛-
「コドクで生き残るには、周りを潰さなければいけませんから。表沙汰にはなりませんけど、それに巻き込まれる人って、実は結構いるんです」
-葛-
「サクヤさんがジャーナリストになったのは、それをペンで叩くためですよ」


観月の民は60年ほど前に若杉の兄妹の権勢争いに巻き込まれて、サクヤさんを除いて一族郎党皆殺しにされている。詳細はサクヤルート◇朔の夜参照。

-ノゾミ-
「ふふふふ――」
 鈴を転がしたような笑い声を継いで響く、本物の鈴の音。
 ああ、この声は、この音は――


小さいころに聞いたことがある、と続く。過去にノゾミちゃんと桂ちゃんとの間に何かあったと予想できる。

-ノゾミ-
「私はあなたを迎えにきたのよ」
-桂-
「わたしを……迎えに……?」
-ノゾミ-
「そう――あなたは、あの女の――贄の血を引く家の子だから」


「あの女」は竹林の長者の娘、姫さまのこと。ノゾミちゃんが姫さまを「あの女」呼ばわりするのは、「主様があいつのせいで封じられてしまった」という逆恨みからだ。

 赤と黒の二色の振り袖。
 左足首には金の鈴。
 赤い瞳と、色素の薄い、毛先が少し外向きにはねたようなかぶろ髪――
 並んだふたりは鏡写しのようにそっくりで。
 ただ表情だけが似ておらず、驕慢な彼女に対して気弱に眉を下げていて。
 ああ、双子の鬼だ――(赤エフェクト)
 何でだろう、ひどく頭が痛む。


桂ちゃんの過去に「双子」に関する何かがあったということ。ノゾミちゃん、ミカゲちゃんが引き起こした事件のことであり、双子の兄、白花ちゃんが隠されたことでもある。

 背中の方から音が聞こえる。
 大気を震わす鈴の音と――
 大気を断ち切る太刀風の音と――
 ああ、なんだろう。
 なんだかずっと昔にも、こんな音を聞いたことがあるような気がする。
(……)
 私はどこかでこの景色を――
 月の光を跳ねて輝く、蒼い刃が見えた。
 見たことがあるような気がする――
 この音を聞いていると頭が痛くなってくる。


デジャヴ。10年前の事件でも、駆けつけた真弓さんとノゾミちゃん、ミカゲちゃんの間で同様の戦いが繰り広げられたのだろう。このルートの烏月さんは、既に白花ちゃんから鬼切りを伝授されているようである。


◇蛇の神の使い

-ノゾミ-
「あなた、本当に忘れてしまったのね」
 忘れたと言うことは、忘れる前は知っていたということなのだろうか。この二人の女の子が誰なのかを――
 このノゾミと名乗った女の子が、先ほどから私に向かって言っている、贄の血とは何なのかを――?

(桂と白花が良月を覗きこむCGを背景に、幼い声で)
-桂-
「にえのち?」

-桂-
「いたっ」
(……)
 さっきからもう、一体何なんだ。
 何か引っかかる。この引っかかりさえなければ少しはすっきりするというのに――


 桂ちゃんは覚えていないが、桂ちゃんと白花ちゃんは良月の封印を解いたときにノゾミちゃん・ミカゲちゃんから贄の血について説明を受けている。


◇言霊の継承


◇鏡の鬼

-サクヤ-
「双子かどうかは知らないけれど、ノゾミは主のしもべだよ」


サクヤさんが主と姫さまの一件で出会っていたのはノゾミちゃんだけである。サクヤさんにしてみれば、ノゾミちゃんの妹の存在は想定の範囲外だったのだろう。
ミカゲちゃんが姿を現したのは、主の一件の少し後、経観塚神隠し事件の前である。

-葛-
「ああ――思い出しました」
-葛-
「確かわたしのご先祖様が、ここ経観塚で起きた神隠し事件を解決しているんですよ」
-桂-
「……神隠し?」
 そういえばこのお屋敷のことを聞いたときに、そういう噂を耳にしたけど――。火のないところに煙は立たないというか、実際あったことなんだ。


 これは桂ちゃんの勘違い。
葛ちゃんの言う神隠し事件とは、主が封印された後、ノゾミちゃんとミカゲちゃんがご神木を倒すために経観塚の住民を暗示で操り、また力を蓄えるために何人かを餌食にして行方不明者が急増した件のこと。
桂ちゃんが◇だれかの写真で秋田さんから聞いた神隠し事件は、十年前に羽藤一家が突然お屋敷から姿を消したこと。まったくの別件だ。

-葛-
「その神隠しを起こした犯人は、血を吸う双子の鬼でして――。ノゾミとミカゲという、ハシラに封じられた主のしもべなんですが」
 血を吸う双子の鬼――
-葛-
「彼女たちが、主を封じた柱の封じを解こうとしたことが事件の発端なんだそうです」
 あの子たちが村人を操って、オハシラサマのご神木を切り倒そうとしたのが、その真相なんだそう。


詳細はノゾミルート◇神隠しのことにて。

-桂-
「それで、鏡がどうつながってくるの? 鏡はカガメで蛇の目なんだよね?」
-葛-
「まぁそーゆー基準で依代を選んだのかもしれませんね。あの鏡が双子の鬼の本体で――」
-葛-
「わたしのご先祖さまはその鏡を封印して、村の長者に事後を託したそうなんですが」
-桂-
「それが郷土資料館にあったってことは、寄付でもしたのかな」
 そしてその鏡が盗まれた。なるほど、それなら話がつながってくる。盗んだ人がその封印を間違えて解いてしまったりなんかしたら――(赤エフェクト)
 封印を解いてしまったりしたら――(赤エフェクト)
――あれ?何かが引っ掛かるような気がするんだけど、それが何だかわからない。何だろう。


夢に現れたオハシラサマの使いに従い、経観塚に赴いてノゾミちゃん、ミカゲちゃんを退治したのが、葛ちゃんのご先祖である若杉某だ。
村の長者とは羽藤家のこと。桂ちゃんは「間違えて」「封印」「解く」という単語に既視感を覚えた。言わずもがな十年前の事件である。

-葛-
「――つながりましたね。桂おねーさんが最初に襲われた赤い蛇と、昨夜の双子の鬼と、盗まれた鏡とが」
(……)
-葛-
「こーなってきますと、烏月さんの追っている鬼も関係してきそーな勢いですね」


関係しているというか、白花ちゃんは良月の封印を解いてノゾミちゃん、ミカゲちゃんを復活させてしまった張本人だ。

-千羽-
「私の追っているこの鬼も――」(略)
-千羽-
「盗難事件の起きる前日、郷土資料館に入館しているそうです」
-桂-
「じゃあ、この男の子――」
-桂-
「えっと、鬼が、鏡を盗んだ犯人なんですか?」
-烏月-
「いえ、犯人はその翌日に変死体として発見されました。とはいえ、何かしら関わりがあると見ていいでしょう」


 良月はノゾミちゃんとミカゲちゃんの虜になった鹿之川さんがケイくんと一足違いで持ち出してしまった。
白花ちゃんが資料館に侵入したのは良月を破壊するためだ。ノゾミちゃん、ミカゲちゃんの封印を興味本位で解いてしまい、多くの災禍を引き起こしてしまったことへのけじめだろう。
 ちなみに、白花ちゃんと鹿之川さんには何の繋がりもない。

-葛-
「私が柱の封じを張りなおします」
-桂-
「そんなことできるの?」
-葛-
「何か尾花の《力》で、最初に封じを施した約行者小角と近いことができるらしーんですよ」
-サクヤ-
「まぁ、できるんじゃないかね…」
-桂-
「わ、サクヤさん根拠あっての発言?」
-サクヤ-
「あー、いや、別に」


(小角様は贄の血の力を使えたからこそ主を封じられたわけだけど、尾花が憑いた今の葛なら、桂の血を飲めば同等のことはできるんじゃないかねぇ)


◇言霊の神

 何だろう――
 胸が苦しくなるこの感覚は、この甘やかでどこか懐かしい花の香りが立ち込めているせいだろうか。
 この木は――
 あの人は――
 私のことを良く知っている、この木に依ったあの神様は――(赤エフェクト)


わたしの大切なお姉ちゃんだったのだ、とか続く。たぶん。

-葛-
「ところで、ぶっちゃけた質問なんですけれど――」
 恭しく頭を下げたオハシラサマが顔を上げると、間髪いれずに葛ちゃんが切り込んだ。
-葛-
「あなたは最初に役行者小角に封じのハシラとしてここに祭られたお方ではありませんね」(略)
 口にする機会を逸してしまった胸のもやもやさえ忘れて周りの反応をうかがうと、千羽さんはいつものポーカーフェイス。
 表情の読みやすいサクヤさんも少し反応して見せただけで、おろおろしているのはわたし一人。


初代オハシラサマの姫さまは、10年前の事件時にノゾミちゃん、ミカゲちゃんの奸計で無に還ってしまっている。ユメイさんはハシラの継ぎ手で二代目に当たる。事情を知っているサクヤさんは思わず反応してしまった。

-葛-
「オハシラサマが、あなたのように形を成して姿を現していること自体が、とても異例なことなんです」
 少なくとも鬼切り部に伝わる千年の記録の中には、オハシラサマが人の姿で顕現したことがないのだそう。 
 神隠しの事件があって、葛ちゃんのご先祖様がこの地を訪れた昔も、夢見に使いの蝶が現れただけだという。


オハシラサマの使いの蝶はサクヤルート◇溶ける花びらでも現れていて、笑子さんを導くことでサクヤさんの命を救っている。姫さまの人格や思念はおぼろげながらも残っていたのだろう。

-サクヤ-
「なあ(ユメイ)、今ならまだ引けるんだよ?」
-サクヤ-
「葛さえその気になってくれれば、普通の人間に戻ることだってできるんだよ?」
 それはきっと、忠告のフリをした消えないでほしいという願い。


サクヤさん、桂ちゃんの手前でも本音を押し隠せなかったんだろう……。サクヤさんとユメイさんの生前の仲の良さが伺える。


◇尻尾が弱点?


◇封じの柱の義

-葛-
「ああ、そーです。心残りがあるとそれが思わぬ抵抗になってしまったりもしますから、他にあるなら言うだけ言ってみて下さい」
-オハシラサマ-
「では――主の分霊に取り憑かれて鬼になってしまった子がいるんですけれど――」
-千羽-
「………」
-オハシラサマ-
「その子のことも、お願いしてよろしいでしょうか?」


オハシラサマ=ユメイさんにとって、その子は遺言で気に掛けるほどの大事な存在だということだ。先に烏月ルートをクリアしている人は「主の分霊に取り憑かれて鬼になってしまった子」がケイくんのことだとわかるだろう。この時点でユメイさんとケイくんに何がしかの繋がりがあることは確定する。


◇漂白夢


◇積極攻勢

-サクヤ-
「とりあえず、操られているだけの一般人を傷つけるのは世間体がよくないから、あたしが素手でとっつかまえるよ。一般人同士ね」
-烏月-
「…………」


サクヤさんの正体のヒント。要するにサクヤさんは一般人ではないということだ。


◇二度目の忘却

-葛-
「……さて、何かあっさりでしたけど、事件は解決しましたね」
-烏月-
「いえ、葛様。私の追っている鬼が行方を眩ませたままです」
-葛-
「いえ、終わってますよね烏月さん。そーじゃありませんか?」
-千羽-
「……ええ。そうでした」(略)
-葛-
「桂おねーさんは自分の町に帰ってください。経験者から言わせてもらえば、骨肉の争いほど嫌なものはありませんから」
-桂-
「えっ!?それはどういう――」


 葛ちゃんはコドクで親族を殺している。
烏月ルートを先にクリアしている人は、「烏月さんの追っている鬼」がケイくんであることを知っているので、骨肉の争い? ということはケイくんは桂ちゃんの身内なんだろうか? と推理を進められるはずだ。


◇彼岸と此岸

-葛-
「……お互い別れが辛いなら、やっぱり、忘れさせない方が良かったかも知れないです」
-白花-
「そうかもしれないけれど、どんなに後悔しても、時間を巻き戻すことはできないんだ」


白花ちゃんが言うと重みがあるセリフだ。


◇彼岸の花をつかまえて

 例えば、今さっきすれ違った兄妹らしき人たちは――
-桂-
「……あ」
 わたしたちと同じぐらいの年頃の男の子にも、何とはなしの懐かしさを感じるんだけれどそれよりも。


プレイヤーは先に「彼岸と此岸」を見ているので、一枚絵からこの「年頃の男の子」が烏月さんが追っていた少年であることはわかるはずだ。桂ちゃんとこの少年――烏月ルートを先にクリアした人にとっては、ケイくん――にも何か因縁があるのかな? と勘ぐること。


全ルート共通部
千羽烏月ルート
若杉葛ルート
浅間サクヤルート
ユメイルート

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