2008年06月19日

プアプアLIPS 後藤羽矢子 レビュー・感想

 『ラブ・タンバリン』を読んだのは何年前だっけ。なつかしい。
 あいかわらずぷにぷにしておるなぁ、この人の絵は。四コマ用の等身だと輪をかけてぷにぷにしておる。”特殊な体型”の女の子を描かせたら一級だけど、見目麗しい設定のキャラはきっちり美人に見えて色気があるから不思議だ。反面なよっとした男体にはさっぱり魅力がないんだけど。
 何よりレンさんの駄目っぷりに笑わせてもらった。この作品の前に読んだ『ひなぎく純真女学園』といい、最近、容姿でもスペックでも家柄でも社会権力的にも優位にいるはずのお嬢様が、ひょんなことからさえない女の子に惚れちゃって、お熱を上げてどぎまぎして振り回される作品が増えてきたね。『プアプア』のレンさんにいたっては素行にも性格にも難アリのだっらしないお嬢さんだ。いい人なんだけどね。一昔前のうさんくさいレズ小説なら、レンさんのポジションの人間は妖艶で潔癖症の完璧超人だと相場が決まっていたんだけどね~。家には趣味のよい家具や調度品を取りそろえていて、気取ったクラシックのレコードを流しているのがお約束なんだよね~。ね~と言われてもわからんか。レンさんの部屋、くっそ汚くて大笑いしたよ。家政婦がいてあの体たらくなのか。もはやヒエラルキーの頂点に君臨して、深窓の令嬢・高嶺の花として憧れをほしいままにしていたお姉様も、レンさんみたいな時代が時代なら主人公をめくるめく”レズの世界”に堕とすカーミラ役でもやらされていたお姉さんも、のうのうと安全地帯にはいられず、コメディの一員にされてしまう時代なんだね。こういう既存のテンプレート・様式美をせせら笑うような作品がちらほら見られるようになったのは、そのジャンルが行き詰まっていて、固定観念を破る過渡期にあるということだろう。いいこったよ。多様化は豊饒化の同義語で、陳腐化・記号化の反対語でさぁ。
 作品全体を覆う健康的で所帯じみた空気もよい。やっぱり、同性愛を背徳的で破滅的で刹那的な「異常事態」として描かず、キャラクターも個性のないサキュバスじゃあなくて、レンさんみたいな欠点もあるけど人間味のある「いい人」として書いている作品はほっとするね。

481246840XプアプアLIPS 1 (バンブー・コミックス)
後藤 羽矢子
竹書房 2008-06-17

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tags: 百合 

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