2008年10月09日

地球最後の男(アイ・アム・レジェンド)/リチャード・マシスン

-16-
「出てこい、ネヴィル!」

-29-
 なぜ、どの子もキャシーそっくりに見えるのだろう?

-32-
「吸血鬼の強みは、信じる者が誰もいないことだ」
 ありがとうよ、ヴァン・ヘルシング教授。

-83-
「おはよう」車に乗りこみ、ドアを閉めながら同僚に挨拶した。
「おはよう」ベン・コートマンが答えた。

-112-
「ロバ……ート」妻が言った。

-172-
扇情的報道(イエロー・ジャーナリズム) 信仰復興主義(リヴァイバリズム)

-174-
 流水の件はどうだろう? これまた迷信がもとなのは、すでにわかっていた。タム・オシャンターの物語にもあるように、魔女は流れる水をまたぎ越せないという典型的伝説から派生したもので、魔女も吸血鬼も――みんな類似の恐怖の象徴として設定が混ざりあってしまったのだ。伝説と迷信はかさなりあいがちで、これまたそのひとつというわけである。

-216-
「これでわかっただろう、伝説に語られているような効力は十字架にはないんだ。仮説に過ぎないが、伝説は大陸の支配を目指していたカトリック教徒によりヨーロッパで形成され、必然的に、十字架は闇の力から身を守る象徴になったんだ」

-268-
 まるで群衆の頭上に厚い毛布をかけたように、急速に静寂が拡がっていく。彼らはみんな白い顔でネヴィルを見上げていた。彼も群衆を見返した、ふと思った。俺はもはや特異な存在なのか、と。”普通”とは多数派を示す概念で、”標準”もまた多数派の意味であり、一人だけ生き残った者を指すわけではないのだ。

-269-
 それと群衆の顔に浮かぶ――驚愕、不安、身をすくめるような恐怖――とがあいまって、彼らがネヴィルを恐れていることを実感した。彼らにとって、ネヴィルはかつて目にしたことのない忌まわしさの元凶であり、共に生きていくことになった疫病をしのぐ諸悪の根源でもあった。ネヴィルはかつは彼らのいとしい仲間を出血死させていくことでのみ存在を知られる、見えない亡霊のようなものだったのだ。彼らが自分を恐れてはいても、憎んでいるわけではないこともわかった。

-269-
 ロバート・ネヴィルは新しい人類を見渡した。俺は彼らとは相容れない存在だ。吸血鬼どもと同様に、彼もまた”呪われしもの(アナテマ)”であり、破壊すべき不吉な存在なのだ。不意にそれを悟ると、苦痛にさいなまされながらも気が楽になった。
 咳まじりの笑い声をもらす。向きなおり、薬を飲みくだしながら壁にもたれた。悪循環だな、と終末の気怠さが手足に拡がっていくなかで考えた。まさに悪循環だ。死のまっただなかから新たな恐怖が生まれ落ち、いつまでも滅びることのない悪寒に新たな迷信が誕生する。
 この俺が伝説の存在なのだ(アイ・アム・レジェンド)。



4150411557アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫 NV マ 6-5)
尾之上浩司
早川書房 2007-11-08

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