2009年08月25日

刑務所のリタ・ヘイワース スティーヴン・キング その2

 Rita Heyworth and Shawshank Redemption / Stephen King

-20-
「連中は『ひょっとしたら、奴はふきんを四、五枚買ったんじゃないか?』と考えて、その線から店員を問いつめた。おおぜいの人間がなにかを思いだすように催促すると、これはかなり強力な武器になるからね。(略)
 なにもあの男がわざと供述を曲げたとか、偽証をしたとかいってるんじゃない。かりに嘘発見器にかけられても、あの男は大手を振って合格したろうし、おふくろさんの名前にかけて、たしかにふきんを売ったと誓ったろうさ。しかし、それでもやはり……記憶ってのは、いまいましいほど主観的なんだ」
"They could have started out with Isn't it possible that he purchased four or five dishtowels?' and worked their way up from there. If enough people want you to remember something, that can be a pretty powerful persuader.
I'm not saying that he deliberately falsified his story, or perjured himself. I think it's possible that lie could have passed a lie detector test with flying colours, or sworn on his mother's sacred
name that I bought those dishtowels. But still ... memory is such a goddam subjective thing."
 キング先生には何度も使うお気に入りの表現や蘊蓄がある。銀歯がFMラジオの電波をキャッチした話とか、車のライトを目にして道路の真ん中で金縛りに合う動物のたとえとか。引用する作品も偏りがある。『猿の手』や『蠅の王』の引用は一回や二回ではなかったと思う。『ペットセマタリー』はそもそも猿の手を下敷きにしているしね。
 記憶の都合のいい改ざんについては『魔道士の虹』の過去パートで書いてあったな。いつの間にか本物の武勇伝に変わっているというあれ。それと目撃者心理については野球関連のネタがあった気がするんだが詳細が思い出せない。その伝説の一戦を球場で見たと語る人間があまりにも多すぎる、というやつ。二、三回見た覚えがある。
 大手を振って=with flying colorsか、うまいなぁ。


-21-
「そのとき、帰宅する途中で、私はこう考えはじめていました。いちばん賢明な方法は、彼女をリノへ行かせて、結婚を解消することではないか、と」
「ありがとう、デュフレーンさん」
 地方検事が立ちあがった。
「あなたはそのとき思いつけるいちばんてっとりばやい方法で彼女との結婚を解消した、そうでしょう? あなたはふきんにくるんだ三八口径の拳銃で彼女との縁を切った、そうでしょう?」
"At that time, as I drove home, I was beginning to think that the wisest course would be to simply let her go to Reno and get her divorce."
"Thank you, Mr Dufresne."
The DA popped up.
"You divorced her in the quickest way you could think of, didn't you? You divorced her with a .38 revolver wrapped in dishtowels, didn't you?"

-24-
 陪審は有罪の評決を出した。そうさ、もしメイン州に死刑の規定があったら、雪の下からクロッカスが新芽を出す前に、アンディーは空中ダンスを踊ってたにちがいない。
They found him guilty, and brother, if Maine had the death-penalty, he would have done the dance before that spring's crocuses poked thier heads out of the snow.

-26-
 この連中には、買収も、ごますりも、泣き落としもきかない。この委員会に関するかぎり、金は物をいわないし、誰もムショから出られない。
You can't buy those guys, you can't sweet-talk them, you can't cry for them, As far as the board in here is concerned, money don't talk, and nobody walks.

-33-
「危険物はちょいと根が張るぜ。おまえさんのいっているような道具だと、鼻薬を余分にかがさせなきゃならんのでね」
"For something like the gadget you're talking about, it takes a little more goose-grease to get the wheel turning."
 goose-grease ガチョウ脂のグリス

-34-
 お前は三、四日懲罰房へほうりこまれる……
They'll put you in solitary for three or four weeks...
 ちょっとしたミス。

-35-
 もし、このツルハシをだれかの頭にぶちこんだら、そいつが二度とラジオで〈フィバー・マッギーとモリー〉のお笑い番組を聞けなくなるのはまちがいない。
If you planed that pickaxe end in a man's head, he would surely never listen to Fibber McGee and Molly on the radio again.
 キング先生はこの遠回しな表現をよく使う。原文にはない“お笑い番組”が入っていて親切だ。

刑務所のリタ・ヘイワース その1
刑務所のリタ・ヘイワース その2
刑務所のリタ・ヘイワース その3
刑務所のリタ・ヘイワース その4
刑務所のリタ・ヘイワース その5
刑務所のリタ・ヘイワース その6
刑務所のリタ・ヘイワース その7
刑務所のリタ・ヘイワース その8
刑務所のリタ・ヘイワース その9
刑務所のリタ・ヘイワース 感想・レビュー
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

Template Designed by DW99