2009年10月09日

ソナチネ 「村川さん、やめてくださいよおっ、村川さ~んっ」

「あはっ、ひでぇことすんなオイ」

「村川さん……村川さぁん、ちょっと話聞いてくださいよ!」
「うるせんだよバカヤロウ」
「ちょっと聞いてくださいよぉ、毎月いくらならいいんですか!?」
「もういらねぇよ」
「村川さんっ」
「あれ……沈めたら何分くらいもつかな」
「普通はぁ二三分じゃないんですかね」
「……二分ぐらい沈めてみるか」
「オイ、沈めろ」
 ウィイイイイイイイイイイイイイン
「村川さん、やめてくださいよおっ」
「村川さん! ……やめてくださいよっ!」
「村川さんやめ゛てくださいよおっ!」
「村川さん、村川さ゛アん゛! 村川さあん!! 村゛川さあぁん!
 やめ゛ッ……やめェえてくださいよおっ……オウフッ!! オプッ!!」

「……上げてみっか」
「オイ、上げろ」
 ウィイイイイイイイイイイイイン
「……ブッハハッ!! オエッ、ケホッケホッ!! ウエヘッハァ!!
 ウエェ!! ヘエッ!!」
「村゛川゛さ゛あん……」
「なんだ生きてるじゃねぇか」
「や゛めてく゛ださいよぉっ」
「三分くらいやってみっか」
「オイ、沈めろ」
 ウィイイイイイイイイイン
「や゛めえてくださいよぉっ」
「ブハッ……ハッハァッ……ハッ」
「や゛めてくださ゛いよぉ゛っ」
「村川さあっ……んぷっ」
「村がわさ゛あああウブッ……」

「……兄貴。沖縄って、ちょっとやばいんじゃないんですか?」
「うん……」(中略)

「もう三分すぎたんじゃないのか」
「あ、過ぎました」
「オイ、上げろ」
ウィィイイイイイイイイン
「死んだかな……。ああっ、まぁいいや」
「あと頼むぞ」「ハイッ」「ご苦労様ですっ」


 北野武の『ソナチネ』の中でも、ひときわ印象に残る迷シーン。ショバ代を払わない雀荘のオヤジが、たけし演じる村川たちにクレーンで川に沈められる。『ガン・ホー』や『戦場に架ける橋』でエセ日本人がしゃべる片言日本語のような、緊迫感のかけらもないオヤジの台詞と、至って真剣な面持ちのたけしたちの対比に、不謹慎ながら笑いを禁じ得ない。この「酷く悲惨で暴力的な出来事のはずなのに、何だか笑ってしまう」感って、初期の北野映画を貫いているものだと思う。
 たけしが映画を撮る時に、台本を大雑把にしか書かず(時には全く書かず完全に行き当たりばったりで撮る)、現場での流れで指示を出すのは有名な話だ。撮影現場のドキュメンタリー番組で見たんだけど、かの有名な紙相撲のシーンも、台本には「砂浜での相撲。」としか書いていなかった。推測でしかないが、おそらくこのオヤジのシーンも、台本には「命乞いをするオヤジ。」とかなんとかしか書いていなくて、オヤジがアドリブの台詞に困った結果ああなったんじゃないかな。
 映画好きの友達がいるなら、これとブレランの「あきましたあきました、いらっしゃいらっしゃい、ふたつでじゅうぶんですよ、わかってくださいよ」はセットで真似できるようにしておこう。

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