2010年06月12日

アウトレイジ 北野武 いいかげんなレビュー・感想

 バイク事故後の作品の中では面白い部類だと思う。脚本もいつになく頑張っている。ただし、この作品より構成が練られていてキャラが立っている群像劇や、知的で手に汗握る権謀術数ものや、伏線が洗練されているどんでん返しの作品はそれこそいくらでもあるわけで。私が北野武/ビートたけしに期待しているものとはちょっとずれていた。ハッとさせられるシーンも無いこともなかったが、瞬発力と感性は衰えていると思う。
 前編殴られ通し撃たれ通しでメリハリがない。暴力の導入部がワンパターンで、次に誰がカタはめられるのかがなんとなくわかってしまう。死亡フラグや裏切りフラグがあからさますぎる。「こいつ人気のないところに行きやがって、襲ってくれっていってるようなもんじゃねぇか」「なんだこの不自然な間は、家の中に誰かいんだろ?」と立てた予想が尽く当たってしまう。パニック映画の野外でいちゃこいてるカップル並みにわかりやすい。『ソナチネ』のキャバクラでやにわに始まる銃撃戦や、『その男、凶暴につき』で子供のバットが凶器に変わるところとか、でなけりゃ『HANA-BI』でキヨスクから飛び出す西でもいいや、ああいう客の意表をつく芸人の感性が鳴りを潜めていたのが残念だ。
 たけしの映画は簡潔明瞭で多くを語らないのがよかったんだけどなぁ。別に大見得切って怒号が飛び交うのはいいんだよ。そういううるささじゃあなくて、説明的で冗長なカットがいくつかあったのがいただけなかった。たけしが年を取るにつれてこの傾向が強くなっていると思う。「もたくさスローモーションになんてしないでぱんっと撃ったらええやんか」「そいつもう死ぬのはわかりきってるんだから、発砲するところや血まみれ死体なんかだらだら映さないで、とっとと次のシーンに移ったらどうだい」「ああ、そんなんいちいち説明しなくていい!」と何度か思った。理解力の悪い奴は置いてけぼりにしてがんがんカットしたらいい。あと10分か5分でも削っていたら断然印象が良くなっていた。
 名シーン。村瀬と間違われて洗髪中に撃たれるもんもんのオヤジ。パンピーが巻き添えを食うのはたけしのバイオレンス映画のお約束さね。銃声と共にカメラがサウナの中の村瀬達に切り替わるあそこはよかった。あとは車が減速して、首吊りバンジージャンプさせられた水野の死体の脇を通るシーン。あそこのカメラワークはいい。そしてクライマックスの、包囲網に唖然とする大友と満面の笑みの片岡のツーショット。劇場で声を出してワラタ。人情ものっぽい空気が一瞬流れたかと思えばアレだよwひっでぇw
 総評、北野武の久々のバイオレンス映画は面白かった。だが感性が研ぎすまされていた『その男』や『ソナチネ』に比べると一枚落ちると言わざるを得ない。
 名言集は来週もう一回見に行くので更新する。今回は漫才の掛け合いのごとく怒号が飛び交う内容だったのでその分名言も多かった。

「大きなお世話だよばか野郎」
「貧乏くじばっかりだよ」
「そりゃ落ち目のヤクザさんでしょ」
「You know you're dealing with YAKUZA, allright?」
「先輩……KO負けよりTKOの方がましでしょ」「負けは負けだバカヤロウ」
「今の時代、金より出世ですよ」
「一人ぐらい生きてねえとよ、結果わかんねぇじゃねぇか」
「偉くなっちゃったんだ」
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コメント

まったく同感です。
ソナチネあたりと比べると格段に落ちる・・・

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