2012年11月22日

星彩のレゾナンス 体験版

「星彩のレゾナンス」2013年1月25日発売予定

 あの『闇夜に踊れ -Witch wishes to commit the Night-』でずっこけデビューを飾ったYatagarasuによる新作百合伝奇ゲー(メーカー公称は「学園伝奇ヒロインバトルアクション」)『星彩のレゾナンス』の体験版をプレイした。『闇夜』も大概ひどい出来だったが、今作も今のところ褒めるところがないなぁ。
 まず、百合ゲーマーなら皆そうだと思うけれど、どうしてもかの傑作和風伝奇百合ゲー『アカイイト』と比較してしまう。同じく百合ゲーかつ伝奇ゲーで、母親を失った主人公が自分のルーツである土地に向かうのが物語の始まりで、母親の面影がある謎めいたヒロインの登場ときたら、するなというほうが無理があるよ。ノベルゲームの最盛期(2004年はよかったなぁ)に出された奇跡の作品である『アカ』と比べるのはフェアじゃないかもしれないが、あちらに比べると様々な点で激しく見劣りした。お前どんだけ『アカ』を引き合いに出して別作品を腐せば気が済むねんと言われそうだが、『アカ』は私のノベルゲームにおける原体験なので仕方ないのよね。

 さて、『アカ』の最大の魅力は美しいテキストだと思うが(左メニューバーにある考察参照)、あちらと比べて『レゾナンス』のそれはさっぱり引き込まれない。単純に読みづらいし、読者を伝奇世界に引きずり込むパワーを感じない。何カ所かピックアップしてみよう。

【主人公】
「松籟会って人たちが関わってるみたいなんですけど、
 船員さんも地元の人も何も話してくれなくて」
まるで口止めされているかのように、松籟会のことになると、
お茶を濁されてしまった。
【ヒロインA】
「松籟会はこの島を取り仕切っている人達のこと。
 鼎を織戸伏島に近づけたくなかった」
あっさりと――その女の人が言ってしまう。
【ヒロインA】
「島の人達は松籟会を畏怖している。だから何も言えない」


 ヒロインAによる、出会い頭に主人公を殺そうとしたヒロインBが属するという謎の組織「松籟会」についての説明だ。「鼎を織戸伏島に近づけたくなかった」って、それはBの客観的な心情というか、ライターの頭の中にある設定じゃあないの? それを生のままAの口を通してぶつけられると台本めいていてもの凄い拒絶感があるのよ。まるで設定.txtを音読されているみたいじゃないか。

海辺近くの小高い岩場を未来さんに連れられて昇っていく。
その間もずっと手を繋いだままで……小さい頃、お母さんがテーマパークに連れて行ってくれた時を思い出させる。
あの時もずっと手を繋いだままだった。
迷子にならないように?
ううん、違う。はぐれないようにじゃなくて、
お母さんと一緒にいる時間が私は好きだった。


>小高い岩場を未来さんに連れられて昇っていく
 細かいことだが、岩場は登るのほうがいいのでは?
>その間もずっと手を繋いだままで……小さい頃、お母さんがテーマパークに連れて行ってくれた時を思い出させる。
 手を繋いだまま、というのは現在の状態だが、三点リーダを挟んでいきなり在りし日の母親とのエピソードが書かれている。一度読んですんなり頭に入ってこない文で、情景がぱっと思い浮かばない。「そのことが~思い出させる」の形にするか、手を繋いでいることは前の文章に強調する形で入れるか、手を繋いだままだった、で一度切って「懐かしい感触だ。小さい頃、お母さんがテーマパークに……」とワンクッション置いて母親のエピソードを語ってくれると脳内映像にしやすいのだが。
>迷子にならないように?
>ううん、違う。はぐれないようにじゃなくて、
>お母さんと一緒にいる時間が私は好きだった。

 テキストに起こしていたら、ATOK先生に「否定の連続」と怒られたじゃないか! 別に語り部が自問自答するのは構わないけれど、もう少し読者の理解が追いつくのを待ってほしい。かわいそうな子に思えてしまう。また、はぐれないようにするためではないという理由の否定と、お母さんと一緒の時間が好きだったという過去の動作が一文で続いていて非常に読みづらい。唐突な印象を受ける。
>その間もずっと手を繋いだままで
>あの時もずっと手を繋いだままだった

 フルプライスを分捕る予定の作品ならもう少し表現にこだわってほしい。
 もう何カ所かメモを取ってあるのだが、この二カ所だけでテキストの微妙さが伝わりそうなので打ち止めにする。何というか、このライター、1クリックで表示する分のテキストに持たせるべき情報量を誤っていると思う。

 音楽について。安っぽい、耳に残らない、これ以外に言いようがない。すこぶるどうでもいい話だが、OPの安っぽいエレキギターの音でドリームライダーの神OPが脳内に流れてしまう。そうそう、現在『夜明け前より瑠璃色な』をプレイしているんだけど、これが名の知れた作品の割にはお世辞にもいい音を使っていなくてだね、ノベルゲームをプレイ中の満足感に占める音楽の割合が案外大きいことを今さら実感したよ。


 グラフィックは見られるレベル。

 ひょっとすると『レゾナンス』は、ノベルパートはあくまでストーリーラインであって、アクションパートのゲーム性が最大の売りである作品なのだろうか。もしそうだったとしても『闇夜に踊れ』の脱力ローポリぺちぺちクリックゲーを思い出すとあまり期待値が上がらないな。私はそもそもエロゲーのACTパート全般によい思い出が全く無いんだけどさ。『吸血殲鬼ヴェドゴニア』しかり『リトバス エクスタシー!』しかり『久遠の絆』しかり。アクションではないけれど『アカ』の吸血ゲージシステムもあれだね、どこに出しても恥ずかしくない信者の私でも苦笑しちゃうね。今挙げた四作品については脚本がべらぼうに面白いから「おまけ」であるゲーム部分の出来に関しては目をつぶれるわけだ。『レゾナンス』は脚本が最後まで体験版レベルの出来で、かつゲーム性が『闇夜に踊れ』レベルだったら凡ゲークソゲーと言わざるをえない。

 重い。大した演出を使っていないのに犯罪レベルで動作が重い。わがPCは、わざわざベンチマークテストまである『Rewrite』も問題なく動く程度のスペックはあるのにそれでも重い。テキストを読んでいるだけでウェイトがかかりやがる。『アカ』もわりかしもっさりで読み込み音が凄まじかったが、あれは脚本がべらぼうに面白いから(以下省略)。

 私はどちらにしろ「レズゲーだから」で特攻して、おそらくぶつくさ文句言いながら読んでレビューを書くつもりだけれど、「面白そうだったら買う」という人はスルーしていいんじゃないかな。


(C)Yatagarasu
 タイトル画面を一目見てズコ~ッときたので思わずスクショ。抜けるような青空をバックに主人公一人だけというさびしい構図だが、空いているスペースは攻略済みのヒロインが追加されていくんだよね? もしくはまだ完成絵が上がっていないだけだよね? この中学生が作ったホームページみたいなフォントは直さなくていいの?
 タイトル画面は読者を物語世界に引き込む入り口なわけだから、各社もっと凝るべきだ。

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