2015年03月07日

リリィナイト・サーガ レビュー・感想 名作! 王道風ド外道百合エロRPG

月の水企画
リリィナイト・サーガ~少女騎士と魔触の紋章~

 同人百合エロRPG『リリィナイト・サーガ』および一連のシリーズ作品の推薦記事です。何を隠そう、この作品は私がここ二、三年にプレイした百合ゲーの中で最も満足度が高かったものなのです。同人ゲームであること、なかなか倫理観がぶっ壊れた陵辱ゲーであることなどからレビューを書くことを躊躇していたのですが、こんなに面白いモノを思いがけず知ってしまったにも関わらずほっかむりかぶるのは芸術に対する冒涜だと思い、ようやくこしらえました。その比類なき面白さはもはや「ツクール製の同人エロゲー」という枠で括れないレベルだと思います。
 この記事は作品の布教を主たる目的にしているので、うちのブログにしては珍しくネタバレを抑えてあります。記事を読んで何か惹かれる要素一つでもあったら、なにとぞ購入を検討していただけるようよろしくお願い申し上げます。いやぁ、共通の話題に出来る知り合いがまだ誰もいなくてさびしいんですよね……。でもDlSiteだけで6000ダウンロードということは、ひょっとして『アカイイト』より普及率が高いでしょうか?
 制作はデビューから一貫して王道RPG+触手異種姦陵辱+百合というもの凄いアソートの作品を発表しているサークル「月の水企画」。今作は世界観を同じくするシリーズの四作目に当たります。シナリオ・世界観設定はておでぃ(T.O.D)。一作目から継続して担当されています。開発エンジンは冒頭でも書いた通り、初心者向けのようでデザインセンスと根気次第では高度な拡張性を誇る「RPGツクールVX ACE」。なお、現在のところはDlSite、DiGiketなどのサイトでのダウンロード専売です。当然、シリーズ完結の折には全作品を収録したパッケージを出してくれるものかと思いますが……(チラッチラッ)。

▼シナリオ▼

王国の女騎士候補である主人公は、ある日王女の命で近場の森に魔物討伐に出かけた。
そこで見つけた謎の水晶に触れた主人公は、何故か体から触手が生えるようになってしまい――

自分の体に起きた異変と水晶の謎を求め、騎士候補とその仲間たちの冒険譚が今始まる!


▼ゲーム概要▼

リリィナイト・サーガは全8章+αからなる長編RPGです。
シナリオを追いながら、各地にいる女の子を仲間にしたり
Hシーン探したりしながら冒険を楽しむゲームとなっています。

・仲間は全部女の子で20人以上
・触手・異種姦や百合・レズ中心
 その他 ふたなり、機械姦、放尿、輪姦 etc…

 魔物や町人に犯されるだけでなく、仲間に夜這いをかけたり、
 怪しい仕事をしたり、時には仲間にさせたりして金策するなど、
 様々なシチュエーションのHシーンが用意されています。


・Hシーンを一度も見ず(H系パラメータを変化させず)にクリアすることも可能
 その場合、一部のキャラクターを仲間にすることができなくなったり、
 冒険の様々な場面で苦戦を強いられるようになっています。

・Hシーンと各仲間キャラクターはエンディング後にも全て回収可能です。

※その他特徴※

○戦闘はオーソドックスなコマンド形式
○モンスターは全て書き下ろし150体以上
○シーン回想、CG回想あり(ゲーム中)
○基本CG枚数、基本Hシーン数70以上(差分含まず)

(作品紹介ページより)


『レディナイト・サーガ』シリーズ作品一覧
 ておでぃ/月の水企画制作の、世界観を共有しているシリーズの一覧です。

2011年
『レディナイト・サーガ ~女騎士と竜物語~』
2012年
『苗床ダンジョンクロニクル』
2013年
『淫魔領リリム・ユニオン』(『ポーラ・えくすプラス!』)
2014年
『リリィナイト・サーガ~少女騎士と魔触の紋章~』『アスとれ!』
(2015年予定)
『苗床デモンズグラウンド』

 世界線が統一されていて、最新作で最新の時系列での事件が語られる形式なので、発表順がそのまま時系列順になっています。であるからして、世界観と設定をスムーズに把握したり、前作からさらに発展する展開や再登場キャラクターのファンサービスを楽しんだりする上では、発表年が前の作品から順々にプレイしていくのがベストかと思います。
 しかし、過去作品にはシステム面やゲームバランスで若干不親切な点があり、第一作『レディナイト』あたりは原画・塗り共にお世辞にも綺麗とは言いがたいです。なので、ゲームの概要やキャラの見た目に惹かれた作品から入ってみて、サークルの作風が合っているか試してみるのものもありだと思いますよ。順番を入れ替えたことでプレイの余韻が台無しになるとか、先が判ってしまって興醒めするとか、そういった事態に陥ることは無いはずです。私自身、月の水企画の作品を始めたのは三作目の『リリユニ』からで、今作『リリィナイト』をやってから『苗床DC』『レディナイト』と遡ってプレイしたクチですが、特に支障はありませんでした。「あのキャラは過去にもこんな活躍をしていたのか」「こんな事情であんなことになっていたのか」「あの台詞は過去作プレイ済みの人へのファンサービスだったのか」「こんなに凛々しかった人が最新作ではあんなことに……」という楽しみ方もできましたしね。
 それにしても、ておでぃ絵は作品を重ねるごとに見違えるほど巧くなっていますねぇ……。


ゲーム性、シナリオ、グラフィック、音楽の総合力
 上掲した作品紹介を読めばわかると思いますが、月の水企画の作品は割とハードな性描写があって、ハードルが高くなっています。しかし、ゲーム部分・RPG要素の安定した品質で、広い層の支持を獲得しています。実は私、今までおおっぴらに書いたことはなかったですが、異種姦と触手とふたなりと女の子があまりにも不幸すぎる話(BYクリスタルボーイ)が大の苦手なのです。しかし、このサークルの作品はゲーム性と読み物としての楽しさの両輪駆動でぐいぐい引っ張られてしまい、すっかり虜になってしまいました。凄惨な陵辱シーンはそっとスキップしています。
 月の水企画の作品で最も優れた部分は「総合力」だと私は思っています。同人エロゲーという括りの中でも、ておでぃ/月の水作品と同等かそれ以上に、エロシーンだけでなく本筋のシナリオにも気合いを入れている作品や、デッサンが整っていて塗りも綺麗なイラストを使っている作品や、収拾要素や極限までのやり込み要素を充実させている作品や、高度なスクリプトを駆使した演出に凝っている作品や、オリジナルの楽曲によい音源や音屋を使っている作品は、探せばけっこうあるんじゃあないでしょうか。しかし、これらの要素をあれだけ高い水準で揃えられている作品は、そんじょそこらにはないでしょう。ゲームの構成要素を全て加味した平均点ならば、月の水作品は突出していると思います。

王道のシナリオ、標榜に偽りなし
 私がておでぃのシナリオで最も出来がよいと思うのは二作目の『苗床DC』ですが、『リリィナイト』もなかなかよかったです。予想を裏切る驚天動地の展開はありませんが、期待を裏切らない王道のファンタジー冒険記です。主人公が自らの特異体質と謎に包まれた出自を解き明かすべく旅立つという王道の出だし。物語の謎を握る邪水晶を巡る敵勢力との対峙。暗躍する第三勢力の存在。大陸を東奔西走して、ジャングルから鉱山から溶岩地帯までをも探索する冒険感。ある者は目的を同じくして、ある者は私的な目的で次々と参戦する仲間たち。深まっていくヒロインとの絆、育まれる愛。やがて明らかになる敵勢力の大それた目的と、背景に浮かび上がる神話の因縁。紹介文で堂々と「王道」を謳っているだけのことはあって、惹き込んできます。

こんなに遊べるエロRPGがあったのか!
 繰り返しになりますが、月の水企画のRPGは非常にクオリティーが高いです。私はこのサークルの作品を初めてプレイしたとき、かつて『Succubus Quest サキュバスクエスト短編 - 老司書の短い夢』(レビュー)をやったときと同じくらいの衝撃を受けました(いちおう断っておくと、両者の方向性は全く異なる)。こんなに遊ばせてくれるエロRPGがあったのか! こんなに作り込まれた同人ゲームがあったのか! と唸ることしきりでした。しかも一年に一本ほどのペースで発表されてきた四作品はそれぞれゲームデザインに特色があって、かつ(客観的に見ても)全て良作以上の仕上がりだというのは凄いです。常軌を逸しています。
 月の水作品のよくできたところを説明するときりがありませんが、可能な限り語ってみたいと思います。まず、ここの作品はゲームバランスがよいともっぱらの評判です。それのよさを口で説明するのはなかなか難しいですが、個人的には飴と鞭の使い方が巧いと思いました。冒険の過程には壁として、装備の購入や消耗品の補給に伴う資金難、敵が直前より明らかに強くなる難関ダンジョン、レベル上げなしでのゴリ押しでは突破が難しい強ボスなどが立ち塞がり、無策で進もうとするプレイヤーに試練を課してきます。妨害でストレスを与えるだけなら、たぶん誰でもできるでしょう。そこでプレイヤーを突き放すことなく、稼ぎをさせたならレベルアップと装備の拡充によるユニットの大幅パワーアップ、探索をさせたなら強力なアイテムやスキルの習得、サブイベントをやらせたなら臨時収入や仲間の加入といった、適切な見返りを用意してモチベーションに変換させられるかが腕の見せどころです。猿と棒とバナナの話ではありませんが、プレイヤーの前にうまく壁を配置し、適度に努力と工夫をさせてぶち壊させることによって、大きなしてやったり感を与える。月の水企画はこういったプレイヤー心理の煽りがこなれているんですよね。サークルの中心的人物であるておでぃは相当のゲーム好きらしいですが、自分が遊んでいて味わった快感の蓄積があるからこそ、こういった演出が巧いのではないでしょうか。
 戦闘の戦略性も練られています。ここの作品はシステムとして様々な属性、状態異常などが用意されており、敵軍の弱点をスキルや装備品で突いたり、自軍の耐性を装備で補強したりすることで大幅に戦闘を有利に進めることができます。以下は今作『リリィナイト』の装備品とスキルの一部です。一つ一つがよく作られています。

武器
防具
 武器・防具の一部。能力値だけでなく属性・耐性も重要。

スキル
特殊技能
 スキル(MPを消費)、特殊技能(TPを消費)の一部。物理攻撃にも斬、突、壊の属性あり。

リリィナイト マリカ様の勇姿
  植物は斧の攻撃や斬・火属性に弱い、空中の敵は銃・弓の攻撃や風属性に弱い、などなど。

 また、スキルには攻撃や回復だけでなく、バフやデバフの効果がある補助技も豊富に用意されていて、能力値の開きをいくらか埋めることが可能です。属性と耐性、バフとデバフを最大限利用すれば、攻略推奨レベルがかなり上の敵でもやり込められます。強敵に勝利するためには、自軍を入念に強化して安定した戦いをしてもいいし、敵戦力を分析して搦め手を駆使するプレイングでもいい。ここの作品にはそんな自由度があります。こういった部分もゲーム性の高さとして評価されているのでしょう。
 ゲーム性の話題から少し外れますが、スキル、アイテム共にネーミングや解説文も凝っていますよね。「全力でファンタジーの雰囲気を演出するよ!」という制作側の意気込みが伝わってきます。
 そして、月の水企画の作り込みっぷりの集大成とも言えるのが仲間キャラクターです。まず、シリーズを通して人数が非常に多い。今作『リリィナイト』の仲間は主人公のエストさんを一人としてカウントしても総勢36名に上ります。エストさんはゲーム開始時に能力・武器系統を12パターン(加護を受ける星座)から選ぶので、実際にパーティを組むパターンはそれ以上の実感があります。

リリィナイト パーティ編成
 パーティ編成は楽し。

 各キャラクターには個性付けとして、アイテム・スキルと同様にさまざまな設定が施されています。固有の名前、専用のグラフィック、成長パターン、習得スキル、耐性、肩書きや出自などは標準仕様ですね。グラフィックはステータス画面や戦闘中のコマンド選択時、会話イベントなどで表示されるもので、『リリィナイト』では立ち絵が用意されています。表情差分まで完備されているのは大したものです。ギャルゲーか。ギャルゲーだ。また、武器はシステム上、長剣、大剣、短剣、斧、細剣、槍、弓、銃、拳、槌、杖、呪印の12種類に系統立てられているのですが、各キャラには装備可能な武器の系統が一種類だけ設定されています。この制約が能力値やスキル習得の優劣に加えた登用の考課材料になっていて、パーティの構築を心地よく悩ませてくれます。使いたいキャラの装備品は練金などで優先して手に入れるようにしましょう。なお防具は護法石、インナー、装飾品の三種類があるのですが、特殊な装備グループ(魔物勢)を除いて、専用装備以外は何でも身につけられます。こちらは短所が明確なキャラのそれを埋めたり(鬼のパンツノワール)、長所をさらに伸ばしたりする(セレプリティアステル様)カスタマイズ性に繋がっているのではないでしょうか。
 こういったシリーズ標準の設定に加えて、『リリィナイト』では新たに「パッシブスキル」という特徴が導入されています。これはスキルや特殊技能のようにMPやTPを消費して任意で発動するものではなく、戦闘なり探索なりで何をせずとも常に発揮される性質です。『ポケモン』で言うところのとくせいが近いですね。これが1キャラ1キャラに専用のものが設定されています。

リリィナイト ステータス画面
 ナッチーの優秀なパッシブスキル。裏ボス戦でも大いに役立つ。

 過去作『レディナイト』や『苗床DC』では序盤で仲間になるキャラが能力値や耐性で後半のキャラの完全下位互換になることがままあったのですが、この新たな特徴付けの要素でいくらかは緩和されたと思っています。そして何より、特性が活きてくるとキャラにより愛着が沸いてきますよね! パッシブスキルの導入はつくづくアイデアだったと思います。

盛りだくさんのやり込み要素
 月の水企画は本編のシナリオ以外に、寄り道のサブイベントややり込み・収拾要素にも大いに力を入れています。数あるダンジョンにの中にはシナリオ進行に関係ないものもいくつかあり、そういった箇所には到達レベルでは苦戦する強敵や、強力無比な装備、有用なスキルの習得イベントなどが隠されていることが多く、探索欲をつくつく刺激してきますよ。また、シリーズの恒例で、クリア後のお楽しみとして本編のラスボスよりさらに強いエクストラボスが待ち構えています。彼女らは往々にして複数回行動、強力かつ属性のばらけた攻撃、搦め手の状態異常、ペースの速いバフとデバフ、激しい形態変化といった性質を兼ね備えていて、ラスボスを倒して得意満面のパーティを完膚無きまでに叩きつぶしてくれます。彼女らに勝利するには、地道なレベル上げの他に、パーティの構築を練りに練って、貴重な素材を錬金したり難関ダンジョンを探索したりして手に入れた強力装備を揃えて、属性や状態異常の対策を死に覚えでしなければなりません。これが毎度毎度燃えさせてくれるんですよね。相手が無慈悲なまでに強い分、全てを出し尽くして撃破したときの達成感ったらありません。
 収拾要素としては、エロゲーなので当然「エッチな回想」は標準装備されていて、それ以外の要素は作品によってまちまちです。『リリィナイト』では、倒したモンスターの生態や各種データが参照できる「魔物図鑑」、勧誘した仲間のプロフィールが見られる「仲間一覧」、変わり種では防具の一種であるインナー(パンツ)を集める「パンツ図鑑」なんてのがあります。仲間はそれ以外にも勧誘すると拠点である学舎のマップに登場するので、初めはがら空きだった学舎が賑やかになっていくのが楽しいです。パンツについては一枚一枚に差分画像が用意されているのは努力の方向性を間違っている気がしますが、本編をあれだけ作り込まれては文句の言いようもありません。他にも、明確に収拾要素として宣伝はされていませんが、各地で賞金が掛かった「手配モンスター」を討伐したり、拠点で発生するゆるゆるまったり会話イベントの「お風呂会話」を回収したりするのも楽しいですよ。

シリーズを重ねるごとに向上するユーザビリティ
 ユーザーインターフェイスやシステムも、初期の作品こそ痒いところに手が届かないところがちらほらありましたが、作品を発表するごとに改善されていっています。『リリィナイト』に至ってはツクール作品の中でトップクラスの快適さではないでしょうか。今作で実装されている便利機能はこんなところです。
難易度変更
 難易度はHard、Normal、Easyの三種類から選べて、任意のタイミングで変更できます。Easyだとバランス崩壊レベルでさくさく進めますが、あれだけ作りこまれたゲーム性を楽しまないのはもの凄くもったいないです。
メッセージスキップ
 ノベルゲーではお馴染みのあれです。なにぶんテキスト分量が多いゲームなので重宝します。もっとも、テキストが高品質なので効率重視の周回プレイでもついつい読み耽ってしまうんですけどね。
フィールドマップ移動
 『レディナイト』では選択肢で制御していた関係で煩雑だった移動が、一枚の画面に納まって各地に直接移動できるようになりました。いくつかの箇所は中間ポイントから入れるなどさらに親切設計に。
シンボルエンカウント
 『リリムユニオン』から実装。面倒くさいときは避けて通ればいいし、稼ぎがしたいときは自分からぶつかればいいしで、個人的にはとてもありがたいです。
戦闘高速化
 戦闘のエフェクトとメッセージをメッセージスキップと同じ感覚で早回しにできます。これでレベル上げも苦になりません。
戦闘コマンドのリピート
 直前のコマンド選択を繰り返せます。戦闘開始直後にこれを選ぶと通常攻撃が選ばれるので、MPを節約したい場合に便利。
アイテム欄が消耗品、武器、防具、貴重品で分割
 『VX ACE』の標準仕様らしいですが、様々なアイテムが用意されているゲームなので助かります。
充実のチュートリアル
 学舎の屋根裏にいる妖精が、シリーズ恒例の堕落度などのシステムを親切に教えてくれます。他にも、シナリオの流れで今作からの新システムであるTPと特殊技能についても自然に理解できます。
教えて! リラちゃん
 学舎のお手伝いであるリラちゃんに話しかけると、現在のシナリオの目的、ヒロイン候補のイベントフラグ、各種サブイベントについて教えてくれます。リラちゃんかわいい!
転生
 本編をクリアすると、所持アイテム、所持金、シーン回想の完成度などを引き継いで、物語の始まりからレベル1の状態でやり直すことができます。いわゆる強くてニューゲームです。希少アイテムを回収してパーティをさらに強化するのもよし、読み返したい会話を回収するのもよし。

グラフィックの気合いの入りよう
 グラフィックも気合いの入りようが凄いです。月の水企画はエロシーンのボリュームに定評があり、『リリィナイト』ではHシーンのCGは70枚以上もあります。これでお値段1500円ですからね、抜きゲーとしては恐ろしいコスパでしょう。一枚絵の品質は作品を重ねるごとに向上していて、特に塗りの上達が目覚ましいです。
 画像関連はエロシーン周り以外でも作業量が凄まじいです。シリーズを通して、仲間キャラクター全員に専用のグラフィックが描き下ろされています。ちなみに『レディナイト』と『リリィナイト』の仲間キャラクターは全員女の子です。しかもかわいくてキャラデザのバリエーションも豊富ときたもんだ。何のかんの言ったところで、女の子がかわいいというのは単純明快なアピールポイントです。

リリィナイト ドロシー
 特に服飾が凝っているのは、もう一人のイラスト担当である城之崎のおかげ、らしい。

 また、RPGのもう一人の主役であるモンスターにも全てオリジナルのグラフィックが用意されています。今作ではその数200体弱!(色違いも含めてですが) 格好良いモンスターからかわいらしい魔物娘、薄気味悪い触手まで取り揃えられていますよ。ツクールエロRPG界隈というのは、エロシーンのスチル絵やら衣服のダメージ破損差分やらで力を使い切って、モンスターは適当にハチやコウモリやゴブリンで済ませることが多いのですが、その中でここの作品は異彩を放っています。

リリィナイトの戦闘画面
 この画面を作るまでにどれだけの労力が掛かっているのか(手前は仲間のコンロンさん)。

 敵キャラとして内部的な能力値や行動パターンが一緒だとしても、専用のグラフィックがあるかないかで印象が全く違いますよね。目で見ていて楽しいというのは、反復のさらに繰り返しになるRPGでは何気に重要なことだと私は思います。冒険が断然楽しくなりますよね。こういったエロや女の子以外の部分にも全力でリソースを割いてくれるのが月の水企画のよいところです。イラスト担当=制作総指揮(ておでぃ)というのは強いですね。

アレンジ曲は毎回の楽しみ
 音楽についても、なかなかのなかなかです。このサークルはオリジナルの楽曲と素材を織り交ぜて使用しています。体感では最新作に近づくにつれて素材の割合が高くなっているでしょうか。前作『リリユニ』はプレイしていて「サウンドが段違いによくなった!」と目を見張ったのですが、情報筋(月の水企画スレ)によるとほとんどが素材のようです。
 エンディングのクレジットによると、オリジナルの楽曲を手がけているのはBOSSという方のようです。オリジナル曲は信者のひいき目に見ても、単体でも鑑賞に堪えうるとか、流麗なメロディーラインであるとか、耳朶をしたたかに打つ迫真のサウンドであるとか、そういった賛辞の言葉は出てきません。しかし、イベントのシチュエーションとのシンクロ率、ゲームシステムや世界観との一体感を加味すれば、素晴らしいの一言に尽きるでしょう。ゲーム音楽はゲームという総合芸術の一部であり、その他の要素のとの兼ね合いが最も重要でしょう。私は同人ゲームの音楽となるとどうしても『東方Project』やら『彼女と彼女と私の七日』やら『サキュクエ短編』やらを比較対象にしてしまうのですが、悪いクセですね。素材の方は、有料なだけあって水準以上の音をしています。
 あっ、シンプルにサウンドと曲展開だけで評価しても、「VSジャバウォック」(仮称)は掛け値無しに名曲だと思います。こんな曲にあのシチュエーションでの高揚感が上乗せされるわけですからね、たまりませんでした。
 そして、月の水企画の音楽はアレンジによるファンサービスが心憎いんですよね。再登場したキャラクターのテーマがアレンジバージョンだったり、過去作と同じ舞台や似たようなシチュエーションでアレンジ曲が用意されていたりと、過去作をやりこんできた人をにやにやさせる要素をこれでもかと盛り込んでくれています。よい仕事していますね。
 今作『リリィナイト』の音楽についても語りましょう。オリジナルとおぼしき楽曲では、エストさんのイメージに反した、静謐なムード漂うテーマ曲「リリィナイト」(仮称)がリプライズも含めてよいですよね。エストさんが後の作品に登場するならこの曲が使われるのでしょうか。エロゲーのタイトル画面曲愛好家である私も大満足。あとは、白百合騎士学舎のほのぼのくつろぎムードの曲も好きですね。この曲を聞いていると、パーティ編成や練金に頭を悩ませ、延々と風呂に入りまくった記憶が蘇ってきます。そして恒例のアレンジBGMも絶好調ですね。誰それのアレンジと言ってしまうとネタバレになりますが、作中屈指の難関ダンジョンの最上階であんなモノを流されちゃあ白旗を揚げるってもんですよ。あとは、素材かオリジナルかは抜きにして「通常戦闘曲1」(仮称)、「VSホワイトスキン」(仮称)がお気に入りです。
 というわけで、六部作完結の暁にはオリジナル楽曲だけで構成されたサウンドトラックを出してほしいです。採算が不安ならば電子媒体でもよいので、どうか一考をお願いします!


作り込まれた世界観と設定、展開と開示の巧さ
 月の水企画の作品は、何と言っても世界観がよいのです。これが呼び水になってのめり込んでしまったのは私だけではあるまいて。
 まず、世界観と設定そのものがよく出来ています。スケールの壮大な部分から語っていくと、このサーガの神話的背景になっているのが「正邪戦争」です。千年ほど前に邪竜と聖竜という幻獣による戦争が起きました。百年に及んだ戦いは聖竜が邪竜を海底に封印したことで決着が付き、聖竜もまた倒れてこのカルアネイア大陸の一部になったと言われています。伝承は各地に残っていて、曰く因縁付きの遺物も多数登場するほか、神話の残滓がシナリオへと密接に絡んできて主人公たちの運命を大きく変えることになります。特に『レディナイト』と『リリィナイト』では関わりが深いですね。また、冒険の主な舞台であるカルアネイア大陸は「地上界」という世界にあるのですが、より高次の次元として「星海」、地上界の平行世界のような立ち位置の「深界」、深界の一種なのかまだわかりませんが、外観が荒廃した現代日本のようで(「トウキョウ」という場所もあるらしい)、邪竜の干渉があったことが仄めかされている「裏世界」(仮称)といった別世界が存在しています。別世界には主人公が乗り込んだり意図せず迷い込んだりするほか、あちらからもたびたび住人が襲来してよからぬ影響を与えてきます。彼女(?)たちの意図はいまだに判然としていません。この別世界とその住人の存在が、世界観にミステリアスで多次元的な奥行きを生んでいます。
 他にも、概念においては理屈付けと系統立て、国においては周辺国との情勢やお家問題、地域においては特色や成り立ち、組織においては派閥や役職、宗教においては教義や分派、魔物においては生態や亜種の存在、人物においては出自や誉れといった具合で、ファンタジー世界を構成する各要素がバランスよく作り込んであります。その完成度の高さは、有志によって解説・考察wikiまで作られているほどです。このサイトを読んでいると思わず再プレイしたくなってきますね。
月の水企画 -NewMoonLabel- 総合攻略wiki
 そして、月の水企画の特筆すべきは、設定作って開陳して一作限りでハイおしまいとするのではなく、それを次回作以降でさらに発展させて展開してくるところです。ここの作品はシリーズを続けてプレイしたくなる麻薬的魅力がありますが、その推進力になっているのはこういった展開の巧さではないかと踏んでいます。
 一例を挙げると、「魔姫の試練」という設定があります。深界から平行世界の自分、別の可能性における自分を呼び出し、これに打ち勝つことによって星海に近づく試練のことです。映画『ザ・ワン』のイメージに近いですかね。この魔姫の試練は一作目『レディナイト・サーガ』で既に登場していて、シナリオ上で重要な位置を占めています。

魔姫の試練
 『レディナイト』における魔姫の試練。

 あまり語りすぎるとネタバレになってしまうのですが、この設定は後の作品にも登場し、ある作品では物語の発端となって世界観の根幹を成すまでになっているのです。
 別の例を挙げると、「帝国戦長」という集団がいます。ドラケイナ王国と戦争を繰り広げていた国、フランゴール帝国の軍部における精鋭部隊です。十二の席があって、干支にちなんだ二つ名(鉄鼠、猛虎、兎角など)と十二神将の名を冠した神器が用意されています。この戦長と帝国の存在が初めて語られるのは三作目『リリムユニオン』で、最重要キャラの二人が戦長の関係者なのですが、この時点ではまだその設定については大きく取り上げられません。あくまで肩書き、箔付けの一要素です。『リリムユニオン』の舞台は一貫して淫魔領なので、実際に帝国へ向かうこともありません。彼女らがクローズアップされるのは、その次作である今作『リリィナイト』までお預けになります。今作では主人公たちの行く手に立ち塞がる敵対組織として全編で存在感を発揮する上に、帝国も冒険の舞台の一つになっています。この感慨ったらないですね。
 他には、ドラケイナ王国のグラン四王女のお披露目についても巧いと思いました。聖竜に守られた国であるドラケイナはほとんどの作品で物語の中心に位置する国で、エスト、ステラ、アステルの星の名を冠された主人公勢三人はこの国に所属する守護騎士です。国を治めているのはグラン王で、彼と王妃の間には四人の娘がいます。この四姉妹がシリーズの最重要登場人物であることはそこかしこでほのめかされています。しかし、シリーズも次回で五作目になり、六部作の予定がそのままなら六合目をすでに越えているというのに、いまだにそのうちの二人は顔出しすらされていないんですよ!
 第一作『レディナイト』では、四姉妹の仲で第三王女のマリア様だけが登場します。マリアが主人公のステラに対して九百年前に封じられた邪竜が復活するという伝承の真偽を確かめるべく調査を命じたのが旅の始まりとなるんですね。さらに物語が佳境に入ると、彼女は物語の表舞台に上がってきて、歴代月の水ヒロインの中でも屈指の大立ち回りを演じるのです。
 このね、シリーズの一作目に三女だけを登場させるバランス感覚が並外れていると私は思うんですよ。三女ですよ、三女。長女でも末っ子でもなくて、三女! 以後続くかどうかわからない一作目でよくそんなことができるなと感心します。だって、もし続かなかったら、完全に死に設定というか過剰設定になってしまうじゃあないですか。よっぽど長期的視野の確かな構想がなければ、でなければ同人というおおらかさがなければ、そうでなければ心臓に毛が生えていなければできない芸当ですわ。
 『レディナイト』を最後までプレイすると、マリアにはおそらく二人の姉がいること(幼少時のマリアの「騎士の役目についてお姉様たちから聞いた」という台詞あり。肩書きは「グラン第三王女」)、第一王女はミリアムと言う名前で、アステルは彼女の守護騎士を務めていることが判明しますが、それ以外のことは杳として知れません。第二王女と妹の存在は完全に謎に包まれたままだったと記憶しています。ここでプレイヤーは、その思わせっぷりからマリアの姉たちは次回作に出てくると予測するわけですが、案に相違して二作目『苗床DC』三作目『リリムユニオン』ではグラン王族関係者は話の本筋に絡んでこず、新しい情報の開示はありません。このもやもやっとした胸のつっかえは、ようやっと今作『リリィナイト』で一部解消されることになります。第四王女のマリカ様が仲間キャラの一人として大抜擢されているのです。

リリィナイト マリカ
 グラン第四王女のマリカ様。姉のミリアム様にちらっと言及。

 彼女が白百合騎士学舎を視察に訪れて、エストさんたち守護騎士候補を伴って近郊の森へ向かったところである事件が起き、それがきっかけとなってエストさんは自身のルーツに関する謎を探るべく旅立つのでした。
 また、物語中盤で訪れることになるグラン城下町で、事情通らしきおっさんから、第一王女ミリアム、第二王女メアリ、第三王女マリア、第四王女マリカの人となり、王家での役割、成した功績などをそれぞれ聞くことができます。ここまで来てようやく、ミリアムやメアリのまとまった情報が解禁されるわけですよ。『レディナイト』の発表から『リリィナイト』までおおよそ三年ですよ! ほんまようもったいぶりますわ。しかし開示されたのは、ミリアムは政治に参画していて次の女王候補だともっぱらの噂、メアリは守護騎士がいらないほどの強者で対魔蝕属の砦に詰めている、という概要だけです。こんな感じで情報を中途半端に与えられると、却って気になって妄想が膨らんでしまうじゃあないですか! いじめか! この記事を書いている2015年2月22現在、私は「メアリ様ってサンドラやオトギと同じく大陸五大戦姫の一人なんだな。その実力のほどやいかに。これからそいつらとの絡みもあるのかな?」「ミリアム様はアステル様とだいたいいつも一緒にいるはずなのに『アスとれ!』のときは何をやっていたんだ……? ひょっとしてこの人はアステル様の痴態に興奮を覚える変態さんなんじゃないのか? 次の作品でどんな人なのか判明するといいけど」と悶々としています。完全にておでぃの術中にはまっていますね。
 備考。グラン王その人の存在感は今のところ毛ほどもありません。台詞あったっけ? というレベルです。このサークルの作品における男性キャラは、だいたいそんな感じです。
 総括すると、月の水企画は情報のちらつかせによって世界にスケール感を出す演出が抜群に巧いんですね。自分が冒険したのは広大な世界の一部分でしかないんだ、自分が今回接したのは蒼々たるキャラクターのごく一部でしかないんだという。この演出に引っ掛かってしまったら最後、シリーズに最後まで付き合う羽目になります。

慣れ親しんだキャラが再登場する嬉しさ
 これもシリーズ作品の強みですが、月の水企画では過去作品のキャラクターが新作で再登場する演出がよく使われています。過去作キャラが端役としてさりげなくゲスト出演するものもファンサービスとして嬉しいですが、中にはNPCが仲間キャラクターに昇格したり、仲間キャラの一人が主役として大抜擢されたりするケースもあります。月の水企画作品の一部キャラクターはエロRPGの一キャラという域を越えた存在感を放っていて、熱烈なファンが付いていますが、この複数作にまたがって活躍する点は非常に大きな影響を与えていると思います。

レディナイトのアステル様
 『レディナイト』アステル様の大変ありがたいお言葉だ! みんな心して聞いておけよ!

 今作の仲間キャラクターであるコンロンやアステル様も、過去作品のキャラなんですよ。一作目からリアルタイムで付き合っていた人は「ついてにあのアステル様が仲間にできるぞ!」「そして前評判通りに強えええぇ! 肩書きに全く負けてねえええぇ!」と大いにはしゃぎまくったことでしょう。かく言う私は『リリユニ』以降に作品を追っているクチなのですが、リアルタイムでプレイした『アスとれ!』には天地がひっくり返るほどの衝撃を受けましたよ……。

月の水企画作品の面白さはパワポケの面白さ
 そういえば、月の水企画の作品をやり込んでいくときの楽しさが何かに似ているとずっと思っていたのですが、思い当たりました、『パワプロクンポケット』シリーズでした。『パワポケ』も思わぬキャラが後の作品で再登場して沸かせてくれるところや、「サイボーグ」「人間の潜在能力を引き出す麻薬草」「空想から生まれたヒーロー」などという突然出てきた突飛な設定が次回作以降で展開の要になる先の読めなさがいいんですよ。この作品も考察wikiも、キャラクターの登場作品ごとの活躍がつぶさに調べられていたり、団体の成り立ちや歴史までもが子細に載っていたりと、尋常じゃない作り込みでしたっけ。
 両シリーズともやり込んでいる方はいらっしゃるでしょうか? いたら友だちになってくださいよ。「先輩はもうアルベルトや新井三兄弟ポジションだよね」とか語りたいです。


同性同士で結婚や子作りもできるでよ
 さて、この辺りでさらっと、百合ゲーとして見たときの月の水作品の評価も語っておきましょう。ここの作品のよいところは、女性の主人公が女性のヒロインと性愛まで含んだ関係にまで踏み込んでくれるところですね。儚い関係だ精神的な繋がりだ何だと生っちょろいことは言わず、あけすけすぎるリビドーを含めてあなたが好き、あなたと一緒にいたいという想いが描かれているところに拍手を送りたいです。
 また、シリーズの前半の作品では「恋人同士なわけないでしょ、女同士で……」「初めての相手が女っていうのはショックよねー」といったヘテロノーマティブな台詞が比較的多かったのですが、最新作に近づくにつれて少なくなっているのは嬉しいところです。何のかんの言っても、引っ掛かる表現が少ないだけでプレイの快適さがけっこう変わりますよね。今作で印象に残っているのは、エストさんがヒロインの一人に夜這いを掛けたときに「だって私たち女同士だよ!?」と制止されるシーン。エストさんはさらっと「? それがどうかしたんですか?」と返して、後はもう話が進んじゃうんですよね。estさんのくせにちょっと格好良いじゃあないですか。私は葛藤やら背徳感やらで長々引っ張る百合作品より、欲望に忠実なスタンスで突っ走ってくれるものの方が断然好きな人間なので、こういった掛け合いは気持ちが良かったですね。なお、このヒロインは最終的に無理やりにでも流されてでもなく、エストさんの甲斐性にほだされて屈することになるので、その点はご安心ください。
 他に今作『リリィナイト』でよいところは、女主人公のエストさんでヒロイン候補(拠点に自室を構えている=夜這いできる5人)を攻略……プロミスリングを渡して婚約までできるところですかね。詳しくは後述しますが、エストさんは割と外道なダメ人間で、将来を誓うに至るまでの恋愛描写も百パーセント満足のいくものだったのかというと疑問符が浮かびます。特にジゼルに関しては、エストさんのせいでさんざっぱら酷い目に遭ったにも関わらずあっさり惚れてしまい、いくらか都合主義で主人公本位じゃあないかとも思いました。それでも私がどうにかエストさんを許せたのは、締めるべき場所はちゃんと締めてくれたからですかね。この人はね、プロミスリングを渡す告白シーンが滅茶苦茶格好良いんですよ。殺し文句が効いているのなんのって。ジゼルに対するものだけでなく、ドロシー相手でもリーフ相手でもさくらでも、どれも殺しに掛かってきます。キザでありながらユーモラスで、精一杯で愛らしくて。エストさんのヒロインに対する愛も、作者のキャラクターに対する愛もひしひしと伝わってきます。こうして酷い目に遭わせたなりにきちんと責任を取ってくれる誠実さはポイントが高かったですね。えっ、一生を誓った後にも身売りのバイトをやらせられるじゃねぇかって!? やらなきゃいいじゃないですか! 告白シーン前後の真剣さのおかげで、私の中でのエストさんの評価は地に墜ちる寸前で踏みとどまりましたよ。ただし、あれを「最後だけもっともらしいこと言いやがって。まったく調子いいぜ」と断罪するのも間違っていないと思います。
 エストさんとヒロイン五人の関係の中では、ドロシーとの熟年カップルが一番好きでしたね。特にピロートークでエストに惹かれた理由を語るところは、身も蓋もなくて笑ってしまうのと同時に、続く言葉に所帯じみた優しさがにじんでいてほんわかさせられました。あの姉さん女房的な包容力には痺れました。


テキストが読ませるんだこれが
 月の水企画作品の強みの一つに、ておでぃの手によるテキストの品質が高いことが挙げられます。語彙がなかなか豊富な上に口上がこなれていて、西洋ファンタジーの空気感や、キャラクターのかわいさ、事情通らしさ、強者感などがもっともらしく表せています。加えてキャラの掛け合いがけったくそに軽妙で、イベントを回収するのが全く苦にならないんですよ。テキストが読ませるというセールスポイントは、作品を発表するごとにさらに強まっているように感じます。

【さくら】
「何を隠そう、こうして毎朝お姉さまを起こしに来て、
 ついでに寝顔を堪能していくのが私の元気の秘訣なのです!
 ではでは、お姉さまのご尊顔、拝見させていただきま~す」


【エスト】
「少ししか話していないけど、サンドラさん達って
 悪い人ってわけじゃなさそうだったから、
 きっとアンジェラもいい子なんだろうなって」


【アステル】
「追うぞエスト! ここまで来ておいて、
 みずみす連中の企みを成就させるわけにはいかん!」


 この記事を書くために『リリィナイト』のテキストを読み込んでいて今更気づいたのが、1ウィンドウに収める情報量や、ウィンドウに占める文字の割合、改行による区切りなどに注意が払われていることですね。読み手が情報を噛み砕くのに最適の配慮がされているように感じました。私は普段テキスト主体のアドベンチャーゲームばっかりやっているもんだて、文章は右端で勝手に折りたたまれるものというイメージがありましたが、RPGのテキストにはまた別の文法があるんですね。一つ勉強になりました。一段落中、一文中にも改行を挿んで、読みやすさとリズムを整えていくという。ておでぃ/月の水企画はさすがに長編RPGを四本も作っているだけあって、この辺はお手の物といった感じでしたね。内容がするすると頭の中に入ってきます。

延々と風呂に入るのが楽しい変なエロゲー
 今作のイベントの種類に「お風呂会話」というものがあります。学舎の浴場に入ったエストさんが仲間と裸の付き合いをして親睦を深めるという体のサブイベントです。全28+おまけ1種類。このイベントは同じ拠点イベントの夜這いとは違って、スキルの習得やパラメータの変動に関わることはあまりありません。時にはエッチなシーンに繋がることもありますが、基本はなんてことのない会話が中心になります。しかしですね、上にも書いた通りに掛け合いのテンポが非常によいので、キャラクターがだらだらだべっているのをぼんやり眺めているだけでもとても楽しいんですよ! やっぱりテキストがよいというのはもの凄いアドバンテージですねぇ。話のネタは、その人の特徴的な髪型の秘密やら、変わった出自や出身地の文化の話やら、その人たちの性生活が垣間見えるエロトークやら、軍部の重鎮たちが語る国の情勢やらと、本当にしょうもないものから世界観の理解が深まるものまでよりどりみどりです。飽きさせません。そして、会話の内容からその人の性格や嗜好がより詳細にわかったり(さくらやリーフ)、意外すぎる一面が判明したり(浴場の主と化して守護騎士長様へつツンツンする人)、さりげに裏設定(プラムの相棒さん)やシリアスな過去(亡命者)が明らかになったり、遠くない将来が語られたりする(幼女に嫁ぐ予定のあの人)のが、これまたごっつう楽しいんですわ。何と言いますか、風呂に入って話を聞いていくたびに、そのキャラクターがさらに生き生きしてくる感触があって、それが何だか嬉しくて仕方なかったんですよね。新しい仲間が加入したら、何はなくともまず風呂に入る習慣が出来ていたのは私だけではないでしょう。数ある収拾要素の中でも、私はこのお風呂会話を回収しているときが一番楽しかったです。
 個性的な月の水ヒロインの中でも、『リリィナイト』キャラの何人かは私の頭の中でひときわ強い存在感を放っていますが、この愉快なお風呂会話の影響は相当大きいと思います。次回作以降も同様のシステムがあるとめちゃんこ嬉しいです。
 そういえば、初期のバージョンではお風呂会話の回想は無かったんですよね。制作側がコアコンピタンスを把握していなかったとは。バージョンアップで実装してくれたのは本当にありがたかったです。


 さて、べた褒めが一段落したところで、プレイしていて引っ掛かった要素についても言及しておきます。同人ゲームを上から目線でケチつけるなんて何様のつもりだ! と思う方は、記事の終わりまでスキップしちゃってください。
 では、こんなに面白くて驚異のコストパフォーマンスを誇る作品をなにゆえ紹介しづらかったのかと言えば、以下の点が気がかりだったからです。

どぐされ主人公と倫理の崩壊した世界観
 ゲームの紹介文を読むと察せられますが、相当にゲスい世界観です。町の住人も、主人公も、仲間も、倫理観がところどころぶっ壊れています。
 モンスターの一大勢力である「魔触族(触手の魔物)」は、女性を媚薬と触手を使って犯したり、苗床にして孕ませたりしようとしてきます。これは彼らの本能だからまだ理解できます。酷いのは、一般市民も隙あらば主人公たちを罠に掛けてくるところです。下手人は男女問わずですが、シリーズが進むにつれて女性の比率が高くなってきます。道具や魔法で抵抗力を奪って姦してくる者もいれば、危険な仕事やエッチな仕事に従事させて一儲けしようとする者もいます。また、性産業が異常なまでに発展していて、性風俗やいかがわしい写真を捌く店は数多く存在し、大人のおもちゃはロストテクノロジーレベルで開発されています。加えて、王族や王宮の守護騎士といった高貴な人をそれに供することにいささかのためらいもありません。むしろ貴い人のものほど人気があるという始末。一点の曇りもない陵辱エロゲー的世界観ですね。加えて、この世界では宿屋や拠点というファンタジー世界ではたいてい安全な場所にも、身の危険が潜んでいます。主人公や別の仲間に好意を寄せる人物が、あらゆる手を尽くして身体を狙ってくるのです。これは ひどい。
 そんな悪党だらけの世界観でも、とりわけ問題児なのが主人公です。RPGの主人公はプレイヤーの分身でもあり、シナリオを動かす力場の中心に位置する存在です。彼ら彼女らの性格や行動原理はプレイする心証にも大きな影響を与えてきますよね。あらかじめ断っておくと、今作の主人公であるエストさんや『レディナイト』のステラは、ドが付くほどの外道です。ほとんど漆黒に染まっているくらいのグレーな人間です。もちろん、強くてめげない、困っている人を放っておかない、人望があって心が広いといった主人公としてのライトスタッフ(正しい資質)も持ち合わせています。ですが、快楽と甘い誘惑にあまりにも弱すぎるのです(あっ軽い人)。ふしだらと言っても差し支えありません。極めて高度な清廉性が求められるはずの女騎士が一番堕落しきっていることから、一部のファンの間では「kssm(騎士様)」「est(エスト)」という不名誉な称号が与えられています。自分自身が誘惑に負けて手籠めにされるのはまだいいとして、彼女らの問題は、堕落の進んだ物語の後半では仲間を売るような行為にも手を染めるところです。わずかに救いと言えるのは、仲間を危険度が高い魔物や敵対勢力相手に、命の危険を認識して差し出すような裏切りはしないところです(kssmもestさんも仲間が性的に酷い目に遭うことはたぶん予測している。さらにestさんは、ヒロインが他人に犯される姿を見て間違いなく興奮している)。あとは、旅の軍資金を稼いでもらうという一応の大儀というか建前が存在することですか。そこのラインを破っていたら、さすがに見放していました。
 エストさんの鬼畜ぶりを表すエピソードを一つ、体験版パートから紹介します。世界観のぶっ飛び具合もよく出ているのでちょうどいいでしょう。
 エストさん一行が港町を散策していると、怪しげな商人とオッさんが何かの写真を見て盛り上がっているのを見かけます。いかがわしい雰囲気を察してそれを取り上げると、驚くことにそこに映っていたのは魔触からくちゅくちゅに犯されている自分たちではありませんか! 以前魔物に敗北したときの姿を誰かがこっそり撮っていたのです。怒ったエストさんが写真の出所を探ると、辿り着いたのは酒場の奥にある怪しい店。騎士や冒険者の淫らな写真を扱っている店のようです。店番の妖艶な女は、このネガを破棄する代わりにやってもらいたい仕事があると悪魔の囁きをしてきます。その内容は、仲間の一人であるミチルを魔触族に犯させて、その姿を映像記録結晶(カメラ)で撮ってきてもらいたいというもの。
 ちなみにミチルはギルドに所属する冒険者で、前年度の賞金ランキング6位であり、過去十年間で最高の女冒険者と称えられるほどの強者です。しかし、少し前に受けた依頼で倒した魔物からレベルドレインの呪いと呪われた触手パンツを置き土産されてしまい、戦闘力が減衰しているほか、パンツのうごめく触手に日夜苦しめられています。エストさんたちにとっては、ギルド員しか入れない場所に用があって困っていたところを助けてくれた恩人です。そして触手が突然身体から生えて困惑していたエストさんを、自分も似たような境遇だけれどお互い頑張ろうと励ましてくれたよい人です。
 依頼の話に戻ると、実力者であるミチルさんは魔触族に犯されるところの目撃情報がなく、その痴態を収めた写真は高値で売れるに違いないと説明されます。……頭が痛くなってきたでしょうか? 月の水ワールドではこんなのが平常運転です。女はさらに、この近くの森に弱い魔触族の住む巣穴があって、近くに麻痺毒を持つ花を植えておいたから、あなたはミチルをそこに誘導してちょっと巣穴に押し込むだけでいいと甘言を重ねます。エストさんはためらいつつも指示された場所に向かい、ミチルに植物に詳しいか聞いて麻痺毒の花に近付かせます。計画通りに毒を浴びてしまったミチルは魔触族の巣穴へと足を踏み外してしまい、身体の自由が利かないこともあってねちょねちょに犯されてしまうのでした。仲間が救出用のはしごを取りに行ってチャンス到来、いちおうミチルの無事をあえぎ声が聞こえることで確認したあとで、かしゃかしゃシャッターを切るエストさんなのでした。
 エストさんは映像記録結晶を女に渡し、写りがよかったことからネガを廃棄させるのに成功し、おまけにお駄賃として1000Gまでいただいてしまいます。序盤ではかなりの高額です。仲間を陥れたような結果に罪悪感を覚えるエストさんでしたが、自分の納得のさせかたがこんなものです。

鬼畜王エスト
 いい笑顔してやがる。

 おまえーっ、おまえ……騎士様がなーっ、仲間をなーっ……。……申し訳程度にエストさんを擁護しておきましょう。堕落度が上がるので、おそらく悪いことをした自覚はあること。例の写真には自分だけでなく嫁たちも写っていたこと。結局、自分からミチルを突き落としはしなかったこと。この後、ミチルに掛けられた呪いを解くために身体を張って協力すること。これらの点がなかったら、さすがに彼女は私の中でヒーローの資格を失っていましたね。

陵辱、調教、孕ませなどの描写有り
 このサークルの作品はいつでもどこでも触手とふたなり祭りです。人間(最近の作品では女性の比率が多い)や魔触族に主人公や仲間が陵辱されるシーンが多数あります。また、ソフト寄りではありますが孕ませや人体改造などの描写があります。この時点で一切受け付けない人は、プレイを辞めた方がよいでしょう。
 また、陵辱ゲーだから人が手込めにされたり屈服させられたりするシーンがあるのはいいとして、人を性のはけ口にするくだりや、蔑むような発言があるのはちと心が痛みました。例えば、こんなところ。伏せ字と省略は引用者によります。

「すごいわね、三桁産める人ってほとんどいないのよ。
 貴女、ただものじゃないわね。高名な武人か何かかしら」
「ひにゅぅぅっ!? んひゅ、んぎぃぃぃつ!」
(略)
「…………ま、いくら高名な武人でも、
 女である以上触手相手にはこうなっちゃうのよねぇ」


「ふぁ……!? あ、だ、だめ……この匂いは……」
「い、いや……あ……お、おかしくなる!
 お○○○疼いてくるぅっ!? いや、あぁ、ああああ……!」
「あらあら大変、それじゃあ鎮めないと――さあ、奥の部屋にどうぞ♪」
(略)
「また来なよ、いつでも待ってるからさ」
(あ……あんなに気持ちいいんだもん、仕方ないよね……
 女の子でアレやられて、我慢できる人なんていないよ……)


 何というか、リスペクトや美学が無いんですよ。あまり歯切れのよい言葉が出てこなくて申し訳ありません。
 陵辱の描写についても、強引な手段に出るなら出るで、相手に対する執着や敬意が垣間見えるならまた印象が違ってくるのですが、あまりそれが感じられないシーンが多数を占めています。それが自分にはちと合わなかったです。魔蝕族は相手のことを知ったこっちゃなしに犯してくるので余計にそう感じるのかもしれませんが。
 気休めになるかわかりませんが、この世界の女性はしたたかであり、魔物や狼藉者に輪姦されても卵や触手を産まされても「あー酷い目に遭った」「また虫下しを飲まないと」といった感じで、わりかしあっけらかんとしてます。基本的に湿っぽくならず、一部敗北バッドエンドを除いて再起不能になることはほとんどないです。なので「陵辱ゲーなら徹底的にやりたい」「廃人寸前まで追い詰めたい」といった希望にはあまり添えないと思います。プレイはマニアックですが、割とライトエッチです。自分はシリーズを最後までプレイすることができたのは、このどこかからっとした空気のおかげだと思います(なので『レディナイト』の高堕落度の描写や『リリユニ』のあのノーマルエンドなんかはいまだに苦手)。

露骨なサービスシーン
 エッチなハプニングシーン、サービスシーンが露骨であんまりうれしくありません。どうしてもお下劣に感じてしまうのは、イラストの構図が局部をこちらにででーんと突き出したり股をおっぴろげたりとあからさまなものが多く、またシチュエーションにムードがないからではないかと思います。イベント数とエロいグラフィックの数は豊富で作り込みに感心する一方、あまり成人作品に慣れていない人は胸やけしやしないかとも思いました。
 例えば、『リリィナイト』の立ち絵があるキャラのほとんどは、常に乳首を勃起させています。衣服をものともせず、勃起させています。あるキャラは、鎧を着込んでいるにも関わらず、勃起させています。

リリィナイトのレイナさん
 おんなのこ、皆ビンビン!

 ……ムードが高まった官能シーンでの描写ならともかく、キャラが日常生活で息を吸うように乳首を立てているのを見て、嬉しいでしょうか。私はその昔、同級生から義母からニュース番組のキャスターまで皆が皆ひたすらパンチラしているエロゲー『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』をプレイしたときと似たような脱力感を覚えました。

大味なエロシーン
 エロシーンが大味も大味、大味なのなんのって。何も『アカイイト』やら『彼女と彼女と私の七日』と同じ土俵に立てとまでは言いませんよ。前者のあからさまでいながら情感豊かな色っぽさや、後者の偏執的なまでのフェティッシュな書き込みは簡単に到達できるレベルではありませんからね。それに、それぞれのブランドの持ち味というものがあるし、ノベルゲームにはノベルゲームの、陵辱エロRPGには陵辱エロRPGの流儀があるのでしょう。だけれど、それにしたって男根ピストン信奉が過ぎやしないでしょうか。
 月の水企画作品の濡れ場における女の子の官能は、それがラブラブの和姦シーンであろうが陵辱シーンであろうが、おおよそこんな感じで採点されます。
01.媚薬を使われて(10点)
02.穴という穴を(10点)
03.固くて(10点)
04.長くて(10点)
05.太いので(10点)
06.奥まで(10点)
07.激しく(10点)
   突かれて、
08.熱くて(10点)
09.臭いのを(10点)
10.いっぱい(10点)
   出されるとすごいのぉ!
 この単純さ! 安直さと言った方が近いでしょうが。魔物(魔触属)から襲われる場合はもちろん、女性からの陵辱やパートナー相手のエッチでも、エストさんの触手であったり、マンメン草の種や魔法で生やしたふたなりであったり、ディルドやバイブやローター(中世ファンタジーの世界観ですが普通に存在します)であったりと、ペニスの代替物が必ずと言っていいほど登場します。いっそ清々しいくらいの剛直棒至上主義です。かの名言「指と舌!」に真っ向から反逆していますね。シオシオのパーです。「あえて月の水作品をやっておいてエロに文句付けるとは何事だ!」「ふたなり触手異種姦が苦手なのになんでこんなゲームやった! 言え!」という批判は謹んで受け止めます。しかし、もう少しこう何というか、ならないでしょうか。あまり歯切れのよい言葉が出てこなくて申し訳ありません。
 私はどちらかというと、一本調子な本番行為より、いざそれに及ぶ前のキスしたり髪を撫でたりする描写、終わったあとのバカップル風ピロートークなどの方が読んでいて楽しかったです。今作のリーフ一回目やドロシー2回目、過去作では『苗床DC』のリーリヤなんかはよかったですね。によによします。ドロシーのあれはシーン回想に含んでもらいたかったです。


攻略のヒント集
 『リリィナイト』を初めてプレイする人のために、ネタバレしない程度で快適に攻略するためのヒントを残しておきます。
夜這いはホットドリンクでOK
 ゲーム中でのシステム説明で、拠点での就寝時にヒロインへと夜這いを掛けるためには欲求度が50以上必要だという説明があったと記憶しています。欲求度は上がるだけでなく下がるイベントも多く(主にエストさんがエロい目にあって賢者タイムに入ったとき)、50付近まで溜まったあとに下がるイベントが発生すると何だか損した気分になります。しかし、実はエストが官能状態であれば、欲求度に関係なく夜這いを行うことができるのです。ちなみに官能状態はアイテム「ホットドリンク」を使うだけで簡単に付与できます。やろうと思えば、ホットドリンク使用でエスト官能状態、夜這いして官能回復、またホットドリンク使用……というルーチンも可能です。せっせこドリンク(意味深長)を飲んで夜に備えるエストさんの図をイメージすると笑えますが。であるからして、欲求度の上下に一喜一憂する必要はあまりないです。
 夜這いの数をこなすのは、全ヒロインのプロミスリングを渡せるフラグになっているので非常に重要です。そして、夜這いならびに堕落度の上昇には基本的にデメリットは存在しません。せいぜいプレイヤーのリアル堕落度が上がるくらい。なのでホットドリンクを買い占めてせっせこ夜這いマラソンに励むとよいかと思います。
魔物に敗北しても特に問題なし、処女に価値なし
 特定のボス戦を除いて、戦闘で敗北すると陵辱イベント(たいていは汎用)の後に学舎に戻されますが、これも特にデメリットはありません。エロRPGというと処女プレイは各種特典があったりトゥルーEDの条件になっているのがお約束ですが、月の水ワールドではそれを守る意味がほとんどありません(唯一『リリユニ』を除く)。今作はシステム上で「処女」という状態を管理していないです。世界観としても、人間が欲望に忠実すぎる上に魔物に襲われるのが日常茶飯事なので、貞操という概念は紙っぺらのように薄いです。魔物に犯されると何となく負けた気分になって、思わずリセットしたくなりますが、あまり気にせずそのままプレイを続けましょう。その方が世界観的にも正しいはずです。
経験値倍増装備とスキルを使おう
 『リリィナイト』は仕様で、パーティメンバー五人以外の控えキャラにはまったく経験値が入りません(『レディナイト』では「がくしゅうそうち」のように割り引かれて入った)。しかし、この作品の仲間キャラクターが豊富であることは上で語った通りで、いろんなキャラをパーティに仮採用して育てたくなること必至です。そんな時に便利なのが、装飾品「グローテンタクル」とエストさんの特殊技能「ドラセナ」です。前者は装備しているだけで取得経験値が二倍になるアイテム(「あなたをこえたくて」)、後者は使用したキャラのその戦闘における取得経験値を三倍にする技です。両方を利用すれば取得経験値は実に六倍! 新人のレベル差はあっとういう間に埋まるでしょう。縛りプレイや低レベルクリアを目指すのでなければがしがし使用するべきです。さぁ、君も仲間にエストさんの触手をせっせこぶち込んでレッツ育成だ!
 なお、「グローテンタクル」は物語をある程度進めて「邪水晶」を使用可になると精製できるようになり、「ドラセナ」はシナリオ進行によって自動で習得できます。また、エストさん自身はグローテンタクルを装備できないので、とあるサブイベントで入手できる同様の効果のインナー「女神の装束」を着込んでください。
お薦めの仲間
 あくまで使いやすいという指標に依りますが、『ドラクエⅤ』におけるピエール、ゴレムスばりの鉄板のキャラはこの当たり。攻略Wikiの記述を参考にしています。
ドロシー
 正妻は強し。序盤では貴重な魔法職で必要な能力が高水準。得意系統が発生が早くて雑魚戦で便利なフルト系。
ミチル
 超級冒険者の名に恥じない速さと燃費のよさ。サブイベントでがぜん強化されるのでまめに話しかけよう。第一の月で参戦なのも大きい。
ジゼル
 後衛物理アタッカー。運び屋なのにこの強さは何なのか。矢をカシュカシュ撃つとTPがもりもり溜まっていく。第二の月で参戦。
コンロン
 突出した能力はないが、全体攻撃魔法、能力ダウン効果の攻撃スキル習得。回復もいちおう可。パッシブスキルは後半で活きる。
ナッチー
 隠れた強キャラ。パーティに一人はほしい完全補助枠。バフとデバフはこのゲームのキモであることを教えてくれる。
アステル
 みんな大好きアステル様。黙って使え。
 しかしながら、ノーマルモードの本編までならば、パーティの役割分担さえ出来ていれば誰を使おうが詰みになることはないので、見た目でも性格でも設定でも気に入ったキャラを使って大丈夫でしょう。能力値やパッシブスキルでは不遇な部類でも、上記の育成技で強化すれば遜色なく使えると思います。あえて言えば、能力値が高水準な代わりに護法石による耐性の補強ができない魔物勢はクセが強いので、一周目は避けた方がよいかもしれません。
エリーとナッチーはぜひ仲間に
 この二人はとある理由から勧誘してサブイベントをこなすことを強くお勧めします。攻略の楽しさに影響します。


まとめ
 一作一作の堅実な作り込みと、長期的構想に支えられたシリーズ作品としての強みで、一つ作品をクリアするごとに指数関数的に面白くなっていくシリーズです。その中でも今作『リリィナイト・サーガ』はあらゆる要素が高品質でまとまっています。陵辱ゲームに耐性があって、RPGが好きな方はぜひプレイしてみてください。一緒に新作『苗床デモンズグラウンド』をわくわくしながら待ちましょう。
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レビューを読むと心惹かれるものを感じるけれど、RPGというだけで手が出しにくい。
戦闘を繰り返しレベルを上げ通貨を稼いで武器や防具を買い、フィールドの隅々を調べ回ってイベントフラグを立てていくといった周回作業がどうしても苦に感じてしまう。
設定や物語、キャラクターは魅力的だが、やはりストーリーを楽しみたい自分にとってはノベルゲームという形式が一番とっつきやすい。
作業感を大幅に削いだRPGは作れないものだろうか。でもそれはそれでやはりRPGとしての醍醐味を大きく奪ってしまうのか。
その昔、日本ファルコムから発売された「白き魔女」というRPGは、まさに世界観やストーリーを重視し、素晴らしく物語性に富んだゲームで今でも心に残っているが、
それ故にRPGの要とも言える戦闘システムや自由度を完全に犠牲にしたものだった。
しかし純粋に物語を楽しみたい自分にとっては無駄な周回作業のないこのゲームは終始飽きずに楽しむ事が出来た。
多少戦闘システムや自由度を犠牲にしてでも、すんなりとプレイできる物語性に富んだ百合RPGはどこかに無いものだろうか。
まぁお前は大人しくノベルゲームやってろって言われる話なのだけれど。

Re:
> 百合RPGといえば、フリーゲームの『帽子世界』もながなが面白いですね
その絵柄、昔吸血鬼のゲームで見た記憶が。

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