2016年04月12日

サクラノ詩 我々が何のために作品を作るのか、作品に刻まれる名

「ふざけるなお前、お前なぁ! 作品を作るって意味分かってるのかよ!」
「お前こそ何を分かってるって言うんだ!!」
「あ、明石……」
 明石が声を荒げる。
「筆をずっと折っていたお前に……何が分かる……」
「作品を作るという意味の、何が分かるって言う……」
「お前にとっては、多くの人間に認知されるための作品か? マスコミに騒がれるための作品か?」
「明石……」
「あれが、何のために作られたか……。
 俺が、あの作品を誰のために完成させたか……」
「作品が何であるか?
 その言葉、そのままお前に返してやる。
 おまえはその意味を本当に分かって言ってるのか?」
「……明石」
「あれは他の誰かではない、遠くの誰かのために書いたものではない……。
 あれは、小牧、小沙智、そしてあいつらを救ってくれた正田神父のために作り上げたものだ……他の何でも無い」
「だからこそ、もう俺が作者である必要は無い。
 俺の名前が残る必要は無い」
「だ、だが……」
「腑に落ちないか?
 だとしたら、お前は芸術家としては三流以下だ」
「くっ……」
「作品が何のために生まれたのか、何のために作られたのか……」
「我々が何のために作品を作るのか……それさえ見失わなければ問題ない……。
 そこに刻まれる名が、自分の名前では無いとしてもだ……」

(『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』Ⅱ Abend)


「これは、お前が俺に捧げた墓碑銘だ。
 だから俺は、ここに自分の名を刻む」
「これは俺の作品じゃない」
「俺の死のために、草薙直哉が描いてくれた作品だ」
「俺の墓は花であふれているだろう。だがそんなものは見せかけだ。
 本当の墓は、この絵の傍らにある」
「……今夜、ごく先刻、俺は死んだ夢を見た。
 妙なことに、それは、俺は幸せに暮らした瞬間だった」
「直哉、ありがとうよ」
「俺にふさわしい絵だ。こういう絵こそ、俺の死に捧げられる作品だ……」
「良い人生だった……」
「こんな事があるのだからな……」
「……」
「絵というものは良いものだ……」
「多くの人は、感情に言葉をのせて語る」
「だが、発話というのは、これはなかなか虚しいものだ」
「だから、多くの賢者は沈黙する」
「無駄なおしゃべりは、身体を濁らす」
「濁った身体からは、煙の様な言葉しか生まれない」
「だが、芸術に無駄なおしゃべりは必要ない」
「研ぎ澄まされた意味だけが浮かび上がる」
「A Nice Derangement of Epitaphs」
「この作品はそう扱われるだろう……」
「だが、それで良い」
「これは、俺のための墓碑銘なのだからな……」

(『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』Ⅳ A Nice Derangement of Epitaphs)


「作品が何のために生まれたのか、何のために作られたのか……」
「我々が何のために作品を作るのか……それさえ見失わなければ問題ない……。
 そこに刻まれる名が、自分の名前では無いとしてもだ……」

(『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』Ⅵ 櫻の森の下を歩む)



サクラノ詩-櫻の森の上を舞う-
B00USS9QJK

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