2017年07月17日

384,403km―あなたを月にさらったら 向坂 氷緒

-9-
 もしも、あなたを月の裏側にさらってしまえたら、私は――

-17-
 月面に立って、カメラを地球に向けているひとりの誰かの姿。想像する、私の姿。
 月の海にひとり。
(理世がいない、私の世界)

-19-
 月からの脱出。

-73-
 四月までの私は、月の海にひとり。
 理世のいる地球に焦がれて、いつもひとりきりで宇宙を見上げていた。

-80-
 月の裏側は、地球からは永遠に見えないんです。

-82-
 私だけの世界。
 私だけが月にいた。
 理世は(暖かな)地球にいて。

(友だちのキス)

 ――そう、脱出して地球にたどり着いたと思っていた、いまも。

 私は月にひとり。

-91-
 小心者な私のひそかな願い。

 もしも、
 あなたを月の裏側にさらってしまえたら、私は。
 愛の牢獄に閉じこめて、
 永遠に離さないのに――。

-113-
「ステキよ、藤林さん。その格好で、この芋ようかん、食べてみてくれるかしら」
 そっと小皿に載った芋ようかんを差し出した。
「そして、その写真を私の部屋に飾らせてちょうだい」

-117-
 あなたを月の裏側にさらってしまいたいと、ずっと、ずっと思ってました。

-119-
 嗣宮先輩に、もう一度、芋ようかんを勧められました(当然、断った)。

-130-
 窓の外、遠い空に、白い月。

-153-
これじゃ、たとえ月の裏側にさらってしまったとしても――。
(牢獄になんてムリ)
 閉じ込められるのは、むしろ私だろう。哀れな囚人は私、そして理世は。
 君臨する。私の月の世界に。

 理世は、きっと月の女王になる。

-168-
 水も空気もない
 重力も地球の六分の一。
 そんな月面にも
 ふる雨ってなぁに?

-205-
 これからも、ずっと。
 月の裏側で、ふしだらな愛を紡ぎ続ける。

-207-
 月と地球の距離は、三八万四四〇三㎞。
 ずっとずっと、私と理世の間に横たわっていると思っていた、目眩がするほど遠い距離。
 越えられるはずのない遠い距離。
 けれど、現金なもので、私は今はこう思う。
 三八万㎞?


 ――そんなのスキップひとつで越えられるよ。

384,403km―あなたを月にさらったら (ティアラ文庫)
向坂 氷緒 玄鉄 絢
4829665157

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