2018年05月22日

バーチャルYouTuberに学ぶトーク力・コミュニケーションスキル(ニコニコ超会議2018) 後編

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)

企画:バーチャルYouTu"BAR" | ニコニコ超会議2018 公式サイト


月ノ美兎

【美兎】
はいそれでは次の方どうぞ
はい、お名前を聞かせてください
【相談者】
あっ○○って言います
【美兎】
○○さん? 気を付け、着席、うふふふふふ
気持ちがいいですね~
【相談者】
はい、どうも
【美兎】
○○さん、こんにちは、はじめまして
【相談者】
はじめまして
【美兎】
お悩み聞かせていただいてもいいですか
【相談者】
まあお互い肩の力でも抜いてお話ししましょう
【美兎】
はいっ、リラックスリラックス
【相談者】
えっとですね、自分、よく映画を観るんですよ
【美兎】
はいはいはい
【相談者】
僕、サメ映画が好きで、よく観るんですけど
よく周りの方にね、お勧めするんですよ
【美兎】
何を?
【相談者】
えっと……『シャークネード』
【美兎】
あっ出た、くはははは……
わたくしも……そうですね
【相談者】
で、それを勧めると、たいがい友だちに「あーそれクソ映画だから、見ねぇよ~」って言われるんですよ
【美兎】
あ~、はいはいはいはいはいはい
【相談者】
んで僕思うんですよ、委員長、あの、クソ映画ってそもそも何なんですかと
【美兎】
あっなるほどね、あのね、クソ映画でも笑って見られるなら神映画ですよ
その、私もその題名をね、よく観ろ観ろと言われるんですけど
たぶん観ないでクソ映画認定している人、たくさんいますから
【相談者】
そうですよね
【美兎】
一回観てみろと
あの『時計仕掛けのオレンジ』って観たことありますか?
【相談者】
あ~ありますよね、観てないですけど
【美兎】
それみたいな感じで、椅子で拘束させて、あの目ん玉かっぴらくあの機械とか用意して、あの定期的に目薬差してあげたりして
無理やりその『シャークトルネード』、見せてあげてください
【相談者】
いいですね~
【美兎】
エッヘヘッヘヘ
【相談者】
じゃあ、見てるであろう僕の友だちにね……
【美兎】
うん、あっいるの?
【相談者】
見てると思いますよ
【美兎】
あー本当に? あははは
【相談者】
見るって言ってたんで……じゃあ、お前は今度、覚悟しとけよ!
【美兎】
ブハハハハ! そうですよ、あの、この人の出す料理には気を付けて下さいね
【相談者】
うはははははは!
【美兎】
睡眠薬とか盛られてるかもしれないですから
【相談者】
がっつり、入れてやりますよ
【美兎】
がっつりね、致死量入れてあげて……
【相談者】
わはは!
【美兎】
これ、殺人教唆みたいになる……ありがとうございました!
【相談者】
ありがとうございました!


 やっぱり委員長のトークは面白いなぁ。ぶっつけ本番のトークで作品の一場面をわかりやすく引用しつつ愉快な話に持っていくのは相当語り慣れていないとできない。有名映画を引っ張ってきたのも、相談者が映画好きというのを受けての適切な返しだろう。生成されるパワーワードの訴求力、適度に横道に逸れて語られるサブカルトークやエピソードの面白おかしさ、最終的にもっともらしく話を仕上げる構成力はVtuber界でも随一だと思う。
 ちなみに、私が委員長の数ある資質のうち最も突出していると思うのは、不測の事態に出くわした時の爆発力だ。それが顕著に表れていたのが、このお悩み相談が終わった後、幕間のインタビューでのでろーんも巻き込んだハプニングでの機転なのだが、後でちょっとだけ語る。

【美兎】
じゃあ次の方、お名前をお願いいたします
【相談者】
○○と言います
【美兎】
○○さん? では気を付け、着席! うふふふ
【相談者】
よろしゃす
【美兎】
○○さん、顔バレ対策がばっちりですね えへへ
【相談者】
そうです、あの~、バイトを始めようと思いまして
【美兎】
サイト?
【相談者】
バイトです
【美兎】
バイト? はいはいはい
【相談者】
委員長さん、あの高校生ですけどバイト経験豊富と言うことで
【美兎】
はいはいはいはい
【相談者】
あの~工場勤務以外で何かお勧めのバイトとか教えてほしいんですけど
【美兎】
あ~なるほど、お勧めのバイトですね? なんだろうな
なんかけっこうわたくしはね、あの~すごいインドア派で身体を動かすの苦手なんですけど
【相談者】
はい
【美兎】
でもね、なんか身体動かす系のやつ意外と時間がすっごい長く、あの早く流れて
たぶん工場勤務の後にやったからだと思うんですけど
【相談者】
ふふふ
【美兎】
そう、意外と忙しい仕事ってどんどんどんどん時間が早く過ぎていくから
【相談者】
あーそうですね
【美兎】
そういう方がわたくし精神的苦痛にならなくてね、割りと向いていたんですよ
だから、あっ引っ越しとかどうですか? 引っ越し
【相談者】
あ~……そうですね
【美兎】
そうあの、なんか人の家の中入って、いろいろプライベートとか見れるらしいんですよ
【相談者】
はい
【美兎】
うふふふふふ……
【相談者】
それ、楽しそうですね
【美兎】
そう! すごい楽しいって引っ越しバイトの友だちが言ってたから
そうそうそうそう……そうあの筋肉も付くし、あの人間観察もできるし、
そう人の家の中土足でずかずか上がり込んでこれるっていう快感がね
【相談者】
あはははははは
【美兎】
目覚められるかもしれないので、わたくしそれお勧めしておきます
【相談者】
あっ、や……ってみます
【美兎】
はい! ありがとうございます
【相談者】
最後に一つ、いいですか
【美兎】
うん?
【相談者】
委員長、好きです
【美兎】
あらー!? ありがとう、ありがとうございます


 それと、委員長の話で特徴的なのが、友人のエピソードや聞かせてもらった話を効果的に引用しているところ。上掲の回とか、ポイフルの布教の回はそうだね。この人の話題の引き出しが多いのは、自身が好奇心旺盛な上にアクティブなおかげで生活しながら話のタネを集めているのに加えて、友人や家族との会話から仕入れている情報もまた多いからだろう。当たり前田のクラッカーだが、話が面白い人というのはだいたい友だちの数が多くて幅が広い。委員長に関してはリスナーのコメントもみとらじのハガキ職人もレベルが高いし、面白い人の周りに面白い人が集まる好循環を維持しているように見える。

ばあちゃる

【ばあちゃる】
ハイじゃあ次の方どうぞ~、ハイハイ、ハイハイ
【相談者】
あっ○○と申します
【ばあちゃる】
あっ○○○○、よろしくね○○、○○大好きだよ
ハイハイ、ハイ
【相談者】
えっと僕、トーク力がめっちゃほしくてですねぇ
【ばあちゃる】
ハイハイ
【相談者】
ばあちゃるさんとか、他のVtuberさんの動画を見させていただいて参考にさせてもらってるんですけど
【ばあちゃる】
あーああー、まじか
【相談者】
あのもうぜひちょっと、この機会にですね
【ばあちゃる】
はいはい
【相談者】
まああのトーク力の化け物、トーク力の化身と言われたばあちゃるさんに
【ばあちゃる】
はいはい
【相談者】
トーク力アップの極意をご教授いただけたらなと
【ばあちゃる】
はいはいはい、はいはいはい
えっとですねばあちゃるくんはですね、トーク力ねほんとにね
とんでもなく語彙力ないしひどいっていうのでたくさん言われるんですけど
【相談者】
ははっ
【ばあちゃる】
一つだけあのね重要なのはね、トーク力ね、あのなんつの、ノリだと思うんですよね
ノリだとね、もうねもうこの段階からウワーッとやってみましょう一緒にね
【相談者】
はい
【ばあちゃる】
いきますよせーの
ハーイハイハイハイハイ、ハーイハイハイハイハイ
【相談者】
ハーイハイハイハイハイ、ハーイハイハイハイハイ
【ばあちゃる】
そうそうそう、で顔も揺らす顔も揺らす、そうそうハイハイハイ
【相談者】
ははははは!
【ばあちゃる】
ハイハイハイハイ、ばあちゃるくんたぶん10単語くらいしかしゃべってないんでね
【相談者】
はははは!
【ばあちゃる】
そのノリでいけると
【相談者】
わかりました
【ばあちゃる】
ハイハイ頑張って下さいね、ハイハイハイハイ
ありがとうございます
【ばあちゃる】
ありがとうございます、ハイハイハイハイ


【ばあちゃる】
ハイハイハイハイどうぞどうぞ
お名前うかがってもいいですか
【相談者】
えっと白馬組の○○っていいます
【ばあちゃる】
白馬組の○○さん?
【相談者】
はいっ
【ばあちゃる】
○○○○~! どうもどうも○○○○~! ハイハイハ~イ
シロちゃんも見てるからね○○○○~! ハイハイハイハイ、ハイハ~イ
○○ね~、何でも質問してくださいねハイハイ
【相談者】
あの、大学受験したいんですけど
【ばあちゃる】
大学受験したい? ハイハイ
【相談者】
バーチャルYouTuberのシロさんとかウビバが好きすぎて
【ばあちゃる】
ハイ、ハイハイハイ
【相談者】
ひと言がんばれって言ってくれたら、がんばれるんで
【ばあちゃる】
いやいやいや~○○○○、ほんと○○○○ねほんと君ならできる、やればできる、なんでもできる
【相談者】
ううっ……。
【ばあちゃる】
ん~シロちゃんも応援してますからね○○○○
【相談者】
……。
【ばあちゃる】
がんばるんだよ○○、んもう○○○○ならね何でもできますからね
仮にですね、大学受験なんか失敗したところで人生においてあん~どうでもどうでもいいのでねハイ――
【シロ】
――がんばれ~! がんばって~!

【ばあちゃる】
あっシロちゃん
【シロ】
おほほいおほほいおほほい!

(会場大歓声)
【相談者】
……
【ばあちゃる】
ハイハイハイ、○○○○ほんとね、だからね全然ね大学受験なんて気にせずね、ハイハイハイもう大丈夫
人生なんてね、いくらでもやり直しがきくんですからね
泣いちゃダメですよ○○○○、○○○○っ、○○○○ちょっと
ばあちゃるくんが泣かしたみたいになるとほんとにね荒れるんでね
(会場笑い)
ちょっと炎上、炎上しちゃうんでねハイハイハイハイハイ
○○○○っ、○○○○ならなんでもできますよ
○○○○っ、がんばってくださいね
【相談者】
っ、ありがとうございます……
最後に「ウビバ」って言ってもらっていいですか?
【ばあちゃる】
オッケー○○○○、ウビバウビバウビバウビバ~!
ハイハイハイハイ、○○○○っがんばってくださいね
【相談者】
ありがとう……
【ばあちゃる】
大丈夫ですよ、ねっハイハイハイハーイ
ねっ「女を泣かせる馬」ってコメント書いてありますけどちょいちょいちょい、あああああああ~、ちょいちょいちょい
「馬が女性を泣かせた件」とかやばいやばいやばい


 ばあちゃるのゆるゆるながらも途切れないトークは、一つの才能ではないだろうか。相談の中で10単語くらいしか使っていないとおどけているが、それだってここまでしゃべりづづけるのは並じゃあない。委員長のトークで押していた時間を巻きにするほどの捌きっぷりは見事だった。ノリのよさややったれの精神が時に語彙力や表現力よりモノを言うという、ある意味コミュニケーションの本質を突いているのがこの男だ。
 他にばあちゃるのスタイルで注目してほしいのは、初対面の相手も積極的に名前で呼んでいるところ(引用文に占める○○の割合でわかる)。これはアカリちゃんも実践してるね。みんな実体験でわかっているだろうけど、相手から話しかけられる時に「ねぇ」「あの」を使われたりいきなり本題から切り出されたりするのと、「○○さん」から入られるのでは、話の受け入れやすさも相手の印象もまるっきり違ってくる。あと、ばあちゃる流のあだ名(名前の最初の二文字を繰り返す、みとみとやそらそら)は単に勢いや語感を優先しているのかもしれないが、相手をあだ名で呼ぶのも緊張や警戒を解く定番のアプローチだね。
 ばあちゃるの何が強いかって、自分がどんな立ち位置にいて(シロのバーター、使い魔にも満たない男)、何ができなくて(一人で面白いことをする)代わりに何ができるか(間を持たせる、場をとりなす、サンドバック役になる、絶対的スターであるシロを呼ぶ)をちゃんと理解していて、その上で道化になれるのが強いんだ。賑やかしやヘイトのタゲ取り、シロちゃんの保護者兼通訳としてとにかく優秀で、アップランドにとっては得がたい人材ではないだろうか。

スターは持っている
 以下、記事の本旨とは外れる。
 芸人は話が巧い、芸が面白いというのはある意味当然で、その中でも笑いの神に寵愛されたスターは天運を持っている。計算や作り込みを超越して、機運を掴み取って最高のパフォーマンスを発揮する天性のセンスがある、というのが私のスターに対する持論である。

【アカリ】
おい○○、お前シャキッとしろよシャキッと!
【相談者】
はい!
【アカリ】
あぁ!? 口ついてるんだろ? 目ぇついてるんだろ?
下何ついてるんだよ?
(チンチンという時間制限を告げるベルの音)
【アカリ】
そう、このチン……どぅへへへ、いややだ~
(会場爆笑)
いっ、いいところで音が鳴ったからさ~ふふふふふふ
そう、男ならシャキッと、一発カマしてこいやァ!!
【相談者】
はいっ、がんばります!
【アカリ】
はいっ、がんばれ~! うふふふ、ありがと~
【相談者】
ありがとうございます!
【アカリ】
ありがとう~、○○ありがとうね~、ふふふふふ


 アカリちゃんがいつかの放送で「下ネタをやろうとしてるわけじゃない、下ネタのほうからアカリにすり寄ってくる」と言っていたが、返す言葉もない。大舞台でこれを引き寄せるのは並じゃあない。

【兜蟹さーみー】
もともと他の方を見てた、ファンだったんですね
【美兎】
そうなんですよ
【兜蟹さーみー】
へー
【兜蟹赤丸】
ちょっとちょっと待ってください、ちょっと待ってください
【兜蟹さーみー】
なんなん?
【美兎】
なんですか?
【兜蟹】
……吸い込まれそうな瞳をしている……
【兜蟹さーみー】
ははははははは!
【楓】
――やめとけー!!!

【美兎】
うはははははははは!!!
【兜蟹さーみー】
なんだ、なんだ?
【兜蟹赤丸】
やめとけー? って
【兜蟹赤丸】
やめとけーって
【美兎】
あっ、すみませんちょっとわたくしのかのピッピが、ちょっと、後ろで
えへへへへへ
【兜蟹さーみー】
ファンが凄いぞ!?
【兜蟹赤丸】
びっくりした!
【美兎】
すいません、後ろにかのピッピが控えているので……
【兜蟹さーみー】
あーそうなんですね
【兜蟹赤丸】
すいませんそれは……


 ここぞというタイミングでばあちゃるのマイクを奪って割り込むシロちゃんといい、前日のいちゃいちゃ同室配信からミラクルを繋げるかえみといい、この人たちは「持っている」としか言えない凄みを感じた。やっぱりスターは持っている。

前編(ミライアカリ・樋口楓)
中編(ねこます・のらきゃっと)
後編(月ノ美兎・ばあちゃる)
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークでコメント

この記事のトラックバックURL

http://toppoi.blog54.fc2.com/tb.php/946-0ba1f1db

コメントする

※規約
管理者にだけ表示を許可する

コメント

Template Designed by DW99