2017年01月03日

2017年 明けましておめでとうございます

 今年もよろしくお願いいたします。
 去年はオタクとして不甲斐ない日々を送っていたので、今年は元旦早々、劇場で『君の名は。』『ローグ・ワン』の二本立て、家で『パシフィック・リム』を観るという荒行で活を入れました。君の名はについては近いうちに記事を書きます。
 2016年の正月に書いた記事を読み返すと、この時点で「百合ゲーのまとめ記事を今年中に書きます!」と啖呵を切っていてお恥ずかしい限り。あ、あと二、三本消化をしたら書きます……。エロゲーの名作選ももうちょっとでまとまるんです、あとちょっとって具体的にいつまでかと聞かれると答えに窮しますが。

映画:50本(今年の倍)
エロゲー:15本
ブログ:1月に1本、読む価値のある記事を書く

 鬼が笑わない程度にこのくらいの目標を立てておきます。皆さまの一年も実り多きものになりますように。

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2016年12月30日

(主に百合作品)2017年に鑑賞した作品で感銘を受けたもの紹介

 今年は仕事が鬼のように忙しく、作品鑑賞と記事作成に掛けられる体力がほとんど残っていなかった……! 社会人になってからはせめて一月に一本は身になる記事を書くという目標を持っていたのだが、今年は果たしてそれも守れたかどうか。
 2017年に鑑賞した作品のうち、特に感銘を受けた作品をおさらいで紹介しておく。お正月休みで暇をもてあましている方はぜひ手に取ってみてみてほしい。

『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>』ニトロプラス
 レビュー作成済み。凍京NECRO レビュー・感想 絶望と死の渦中で希望と生がひかめくダーク・スチームパンク とっぽいとっぽい。
 間違いなく名作。自分の中では歴代の百合ゲーの中でも五指に入る。シナリオやルートデザインも素晴らしいし、サウンド・インターフェース・グラフィックには尋常ならざる資金や労力が使われていて、クオリティが狂っていた。完全3Dでぐりぐり動く戦闘はあれだけでも見る価値がある。
凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ> 通常版
B01070FIEK


『NEW GAME!』得能正太郎
 レビュー作成済み。NEW GAME! 得能正太郎 レビュー・感想 お仕事も夢もがんばるぞい! とっぽいとっぽい。
 一巻序盤の平凡っぷりからここまで面白い作品になるとは思わなかった。どれくらい好きかというと「日常系の百合作品でおすすめは?」と聞かれたら「『ゆるゆり』か『NewGame』」と答えようと思っているくらいには好き。既にアニメ化された2巻まででも十分に良作だが、3巻4巻の出来でもう二段階くらい評価が上がった。だから二期を早くやるのだ。
NEW GAME! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
得能正太郎
B00UYABOQA


『SeaBed』paleontology
『しずくのおと - fall into poison -』 あいうえおカンパニー

 紹介記事作成済み。『SeaBed』『しずくのおと』 力作同人百合ゲーの紹介 とっぽいとっぽい。
 記事で書いたとおり、同人ゲームの脅威を感じた二作品だった。主にSeaBedは表現面で、しずくのおとは総合的なクオリティで。両サークルとも新作を鋭意制作中とのことで、発売されたら謹んでプレイさせていただく。
SeaBed [paleontology] | DLsite Home - 全年齢向け
しずくのおと - fall into poison - [あいうえおカンパニー] | DLsite Home - 全年齢向け

『戦国の黒百合~ふたなり姫と隷属の少女~』
『戦国の黒百合~ふたなり姫と敵国の姫君~』言葉遊戯

 紹介記事は作成するかどうか未定。
 積みっぱなしにしていた同人百合ゲーだが、ようやくプレイしてみて唖然呆然。筆力が頭一つ二つ図抜けている。ドグサレ傲岸不遜な女傑が主人公で、(いろんな意味で)思わず目を覆いたくなるようなシーンが多数あるのだが、恨み辛み、怨嗟、妄執といった情感が迫真過ぎておいそれとスキップが出来ない。正直言って同人ゲームの枠で紹介するのが場違いに思える。続編の公開が延期になったとのことだが、発表されたら優先度を上げて取りかかる。
言葉遊戯 [戦国の黒百合~ふたなり姫と隷属の少女~] ダウンロード購入 | DLsite
言葉遊戯 [戦国の黒百合~ふたなり姫と敵国の姫君~] | 「同人誌」「同人ゲーム」「同人ソフト」をこっそり楽しむ | DLsite Maniax

『ポケットモンスター サン・ムーン』
 ポケモン直撃世代であるところの私はポケモンだけは未だにやっているのだが、今作はむちゃくちゃ面白かった。グラフィックがよいとか、シナリオが簡潔明瞭でよいというのもあるが、何よりポケモンを見つけて捕まえるのが楽しいのが素晴らしかった。また、言うまでもなく女主人公でプレイしていた私はミヅリリのキテルグマっぷりにも満足させてもらった。
【Kindleキャンペーン対象商品】 ポケットモンスター サン - 3DS 【Kindleカタログをダウンロードすると200円OFF(2017/1/9迄)】
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 それでは皆様よいお年を。来年はあなたにも私にもよりよい年となりますように……。

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2016年12月19日

白衣性恋愛症候群 レビュー・感想 実直な看護描写と軽薄なファンタジーの激しい乖離

 私がこの作品をあまり評価できない理由は簡単で、話の軸が定まらずにぶれているからだ。あんたが一番書きたいのは、看護の現場の実態を描く半ドキュメンタリーなのか? 主人公が一人前の看護師として成長するまでのビルドゥングスロマンなのか? 「癒しの手」による救済のファンタジーなのか? 恋愛や痴情のもつれの末のゴシップなのか? それが伝わってこなかった。
 看護の要素については、作者の実体験に基づくのだろう、真っ当な描写がなされていた。飛び交う専門用語や符丁はもっともらしさを演出していて、細かい描写は現場のすえた空気まで伝えていた。息つく暇も無しに起こる生死のイベントは、それを見届けたり看取ったりする人間の情感まで含めて丁寧に書き込まれていた。しかし、それがある意味仇になっていて、「癒しの手」という(お世辞にも作り込まれているとは言い難い)作中概念を巡るファンタジー要素と激しい乖離を起こしている。私は何も、超自然要素で人が癒されることの是非を問うているのではない(私がノベルゲームでもっとも好きな作品は、死んでいた人間が生き返るお話だ)。要はフィクションラインの問題だ。ファンタジックな治療の手段が(少なくとも読者の視点で)観測されている世界観で、人を癒すことや人の死を受け入れることの難しさを問われても、少なくとも私の心にはあんまり響かない。ファンタジーの要素がやっつけであるならばなおのことだ。
 方々で話題になっていた、黒化や拉致監禁などのいわゆる「鬱展開」については、行動原理やそこに至るまでの過程にあまり説得力が無く、読み手に衝撃を与えてやろうという下心が悪目立ちしていた。この悪癖は『星彩のレゾナンス』でも見られていな。
 いちおう筆致についても触れておくと、例えるならゆるい女学生の実況中継・日記帳といったあんばいで、どんな層を狙っているのかよくわからなかった。テキストを読んでいて、楽しい、心地よいと思えた時間がほとんど無かった。そもそもテキストゲームとして評価するのがお門違いな作品なのかもしれないが。

工画堂スタジオ 白衣性恋愛症候群 RE:Therapy
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2016年11月29日

ミヅリリキテルグマ……

 ツイッターを見てもらえればわかる通り、ポケモンサンムーンしかやっていませんってへっ。進行具合は現在バトルタワー系施設まで到着したところで、これからぼちぼち厳選をやってみようかなと思っております。親の選別は助けを呼ぶを使うとか使わないとか聞きましたが。あっ、本編自体は非常に面白かったです。通せんぼがいくら何でも露骨すぎるのと、シナリオクリア後が薄味なのが不満なくらい。
 同人百合ゲーを怒濤の勢いで消化していました。完成度が明らかに図抜けている作品(シリーズ、最新作が近いうちに出る)があったので、そのうち紹介するかもしれません。

インフルエンサーとは - 日本語表現辞典 Weblio辞書 インフルエンサーとは - 日本語表現辞典 Weblio辞書

 影響を与える側の人。他人に影響をもたらす人。「influence」は「影響を及ぼす」「感化する」などの意味の表現。なお、「インフルエンザ」は「influenza」と書き、語源は同じ。



【騒然】NHKでたい焼きを紹介している最中に突如「Kanon」が流れネット民が騒然とする事案発生! | まとめまとめ 【騒然】NHKでたい焼きを紹介している最中に突如「Kanon」が流れネット民が騒然とする事案発生! | まとめまとめ
 牛丼とイチゴサンデーと肉まんとアイスも流行らせてください。

コミック担当書店員が『2016年のああ最高だ。最高だ!』な8作品を選んでみた - きんどう コミック担当書店員が『2016年のああ最高だ。最高だ!』な8作品を選んでみた - きんどう
 「レズだとかホモだとか、付き合うとか付き合わないとか、そんな振り分けを超越した軸で物語は駆けてゆきます。」からの「私の意識の根底に決して偏見が存在するのではありませんが」。……ないっすわ。

ドラマ『スーパーガール』の余波、続報。この番組がきっかけで、8歳のレズビアンのために編まれたブックリストをどうぞ - 石壁に百合の花咲く ドラマ『スーパーガール』の余波、続報。この番組がきっかけで、8歳のレズビアンのために編まれたブックリストをどうぞ - 石壁に百合の花咲く
  「人は、見えていないものにはなれない("You can't be what you can't see)」


 やはり早人くんの精神力が凄まじすぎる。戦力差で言えば波紋使いと柱の男以上だよ。

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2016年11月06日

枯れ木も山の賑わい、花が咲けば儲けもの/みやきちさんのサイトを読めば終わりじゃん

 私の観測範囲では『咲-Saki-』の実写化の話題で持ちきりですが、自分のスタンスは以前書いた通りです。原作に支障がないなら何でもどんとこい、原作に増刷が掛かる時点で大成功。あと、もう二度と復活しないだろうコンテンツを看取ってきた身としては何であれ動きがあるのはうらやましい、という想いがあるのは否定できません。
 『百合の世界入門』という本をよく薦められるのですが、百合作品のレビューほど人の評価があてにならんもんはないというのが私の考えです。森永みるくなんぞのインタビューを載せている時点で、読まずとも傾向が読めますし。でも玄鉄絢御大のインタビューはチコッと気になる。
 それにしても『百合の世界』ってどこの異世界か魔界なんでしょうか……。

雨竜・螭竜(あまりょう)とは - コトバンク 雨竜・螭竜(あまりょう)とは - コトバンク

雨をつかさどると考えられていた、中国の想像上の竜に似た動物。体は黄緑色、尾は赤く細い。角はない。



ふき【不軌】の意味 - goo国語辞書 ふき【不軌】の意味 - goo国語辞書

1 法律や規則などに従わないこと。2 謀反 (むほん) を企てること。反逆。「―をはかる」



ひょうかん【剽悍/慓悍】の意味 - goo国語辞書 ひょうかん【剽悍/慓悍】の意味 - goo国語辞書

すばやい上に、荒々しく強いこと。また、そのさま。「―な面構え」



しゅんえい【俊英】の意味 - goo国語辞書 しゅんえい【俊英】の意味 - goo国語辞書

学問・才能などが人より秀でていること。また、その人。



株式会社サクセス様 『アカイイト』素材ダウンロード|自作ゲームフェスMV 提供素材ダウンロードページ 株式会社サクセス様 『アカイイト』素材ダウンロード|自作ゲームフェスMV 提供素材ダウンロードページ
……というわけで、こんなものにでも心ときめいてしまうわけですよ。

浜辺美波、浅川梨奈、廣田あいかが並ぶ「咲-Saki-」高校別ポスター解禁 - 映画ナタリー 浜辺美波、浅川梨奈、廣田あいかが並ぶ「咲-Saki-」高校別ポスター解禁 - 映画ナタリー
 相変わらず文堂さんの完成度が高い。知らない人に見せたら部のNO2だと思いそう。

この度の弊社スタッフのSNSの投稿につきまして | 株式会社ピーエーワークス 公式サイト - P.A.WORKS Co.,Ltd. Web Site この度の弊社スタッフのSNSの投稿につきまして | 株式会社ピーエーワークス 公式サイト - P.A.WORKS Co.,Ltd. Web Site
「ウチの会社の評判が下がらないか『心配』だ、『迷惑』かけてんじゃねーよクソが、と読み取りましたが、認識に相違はありませんか。

6年間待ち続けたアニメのブルーレイの予約をキャンセルした。 6年間待ち続けたアニメのブルーレイの予約をキャンセルした。
 自分もローポリがどうしても苦手なタチなので気持ちは察しますが、以前の作品まで否定に入るのはちょっと。心にひびが入っているか一部硬変しているのでは?


 課金ガチャと実況という雰囲気に飲まれる場は相性が抜群だと思います。


 MMDはクレジットを併記しないといけないルールがあるっぽいですが、それの出し方がセンスまみれですね。


 あちゃー青ひふ結婚しちゃったかー。
 本筋から離れますが、「大好評を受けてDLCの制作が決定!」というのはリアルだとうさんくささマックス!


 この話は作画も演出も間の取り方も安定していました。しかし、日本でもトップクラスの知名度である漫画の映像化がこんなに不安定でよいものなのでしょうか。

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2016年10月30日

NEW GAME! 得能正太郎 レビュー・感想 お仕事も夢もがんばるぞい!

 私が日常系ゆるふわギャグ漫画に設定している期待値をかなり超えて面白かった。

 私は『NEW GAME!』原作1巻を割と早いうち(「今日も一日がんばるぞい!」が熱病のように流行る前)に読んでいたのだが、「なにこれ、オチはどこにあるの? ただパンツを丸出しにすれば喜ぶとでも思ってるの? ふざけてる」と速攻でうっちゃっていた。しかし、いつの間にやらアニメ化されていて、ニコニコ動画での放映をごはんのお供程度にぼけら~っと見ているうちに、次第次第に面白くなってきてしまい、気付いたときには原作を全巻買わされていた。自分の実体験で言うと『ゆるゆり』とだいたい同じパターンである。

コウりんはいいものだ、たぶんなによりもいいものだ
 私と同様に、原作の序盤やアニメの一話は眉間にしわが寄るほどつまらなかったのに、話が進むに連れて一人また一人とキャラクターに思い入れが生まれてしまい、気付けば話にも入れ込むようになった、という人は少なくないだろう。あのフィーリングを表す的確な言葉がないか考えていたのだが、奇しくもDG-Law師匠の『ゆるゆり』評に「わが意を得たり」という表現を見つけたので、引用させてもらおう。「重ね芸」だ。この作品はネタの積み重ねで魅せるのが図抜けて巧いのだ。
 前半に書いたが、コウがやにわにパンツを開陳したところで、さっぱり嬉しくないし面白くもない。特に意味のないサービスシーンと言えばそれまでだが、即物的かつお下劣で官能の表現としては下の下である。しかし、あれが単なるヨゴレ仕事で終わらないのは、常識人枠であるはずのりんが感化されてパンツ丸出しペアルックをしてしまったり、青葉が泊まりの日にある意味パンツ姿よりインパクトのあるくまった寝袋で逆にコウを驚かせたり、入社一年後にはコウのパンツに何の疑問も感じてなくなってしまったことで「変な会社」の立派な一員になったことが表現されたりと、重ね芸の「フリ」として昇華されていくからだろう。また、話を読み進めてコウのずぼらで大らかな人となりがわかってくると、不思議と「この人は本当にしょうがないな」と少し温かい目で見られるものだ。
 りんにしても、相方(コウ)への愛が重すぎて暴走するいう面だけ見れば、萌えアニメに一人はいる「百合キャラ」の量産型でしかなかった。りんがそんな印象を持たせないのは、まず視野が広くて人間の完成度が高いからだ。ディレクターとして管理の仕事もメンバー個人のケアもそつなくこなして、周囲の人間の信頼も厚い。基本的に穏和で優しいが、問題点はきちんと指摘する公平性がある。どのように小さい善でも賞せざるはなく、同様にどのように小さい悪でも叱らざるはなし、といったあんばいだ。そんなほとんど完璧超人に近い人のに、大好きなコウちゃんが絡むとどうしても冷静さを欠き、子どもじみた言動や大人げない行動を取ってしまう。そういったギャップ、コントラストが巧く表現できているからこそ微笑ましく、嫌味がないのだろう。それと、ただただ彼女を盲目的に慕うのではなく、時には叱咤してお尻を叩き、時にはそっと寄り添って相談に乗る、そういった内助の功があるところもポイントが高い。コウがキャラデザのコンペで結果が芳しくなく、思わず青葉を突っぱねてしまったことで落ち込んでいるのを諭すところなんて、長年連れ添った風格が感じられたぞ(あのシークエンスについては記事の後半で掘り下げる)。
 ひふみにしても、極度の引っ込み思案だがネット上では饒舌という性質はありがちで、単体ではあまり目新しさはない。これもキャラデザ班の蒼々たるぽんこつたちの中で発揮されるから面白く、またひふみにコミュ障な自分を少しずつでも変えたいという思いがあるからこそ、テンプレから変化していくのだ。ときに、みなさんが『NEW GAME!』でもっとも笑ったのはどのエピソードだろうか。私は、りんがコウとひふみとのやり取りからいらぬ深読みと嫉妬をして、ひふみんがそれを取りなそうとメッセで悪戦苦闘する話「#46 苦手な人付き合い」(通称肉じゃがメッセ回)がいっちゃんお気に入りだ。この作品はあまりドッカンドッカン笑いを取っていくタイプの作品ではないが、あそこには腹を抱えて笑ってしまった。あの話の何がよいかって、コウちゃんのにぶちんっぷり、りんちゃんさんの焼き餅妬きっぷり、ひふみんのメッセ上での変なテンションという三者三様の性質が影響し合ってコラボレーションし、それぞれの空回りがさらなるカオスを引き起こしているのがよいのだ。重ね芸の極致と言っても過言ではない完成度だったと思う。
 青葉のひとり言や、うみこの話の長さについても同じだろう。2巻表紙裏のおまけ漫画「くまったくまった」を単体で見ても、正直言ってじぇ~んじぇん面白くないが、社員旅行の回で青葉のあれを「いつも皆に気を使って疲れているんですよ…」(うみこ)「ただの素じゃないの?」(コウ)と変な人の代表格たちが自分らを差し置いて品評しているのはどうにもおかしい。うみこの困った性質も、ひふみがコウとりんのケンカ(という名の茶番百合)を取りなしてへばっているところに、追い打ちの形で被せられるとクスッと来る。
 つまるところ、変ちくりんな人がこれまた変ちくりんな人たちと一緒に生きているという、エピソードの積み重ね(BY『咲-Saki-』)による空間表現が心地よかったのだと思う。そういった空気が表現されている日常系漫画は、自然と評価されていくのだろう。

「青(コウ)いいよね」「いい……」プロ同士多く語らない
 この作品のハイライトとして、新作ゲームのキャラデザコンペで評価された青葉が、逆に全ボツを喰ったコウに刺々しい対応をされてぎくしゃくするくだりを挙げるのは私だけではないだろう。あれはもし、青葉とコウが形式的な先輩後輩であり、青葉が単なる(と言っていいのだろうか)実力差によって責任ある立場に抜擢されたのだったら、話は単純であった。何がこの問題をセンシティブにしているかと言えば、青葉にとってコウはその道を志すきっかけとなった憧れの人で、上司としても尊敬できる人間で(コウにとっては慕ってくれるかわいい後輩で)、同時に同じ会社に在籍するクリエイターとして感性で勝負するライバルでもあることだ。それは憧れの人と一緒に働くことを選んだ青葉の宿命とも言える。そして、芸術や創作というのは得てして、一つのひらめき・発想がスキルの差をひっくり返すことがある(あのコンペはその典型例だろう)。だから単純に実力の結果だと納得できない部分はあると思う。コウには当然クリエイターとしての自負や矜持があるだろうし、誰にだってよい仕事でよい評価をもらいたいという欲求はあるはずで、青葉に思わず声を荒げてしまったことを糾弾は出来ないだろう。コンペの直前に、コウの仕事ぶりを見た青葉の「今までずっと好きな絵だったのに、悔しい……」という想いが書かれていたのは、ちょっとした伏線だったわけだ。さらに深読みすれば、あれは青葉が守破離(しゅはり)の守の段階を超えつつあることも表している。
 コウは自分が若くしてメインのキャラデザに抜擢されて先輩たちと衝突した苦い経験を振り返り、りんのさりげない後押しも受けて、自分が成すべきことを今一度考える。コウの歩み寄りによって二人は元の鞘に戻り、キャラデザインの仕事は青葉がメインで行い、コウがサポートしていく形で進めていくことに決める。大げさな表現かも知れないが、「くやしい」「妬ましい」という感情を超克して、社会人としても、クリエイターとしても、さらなる一歩を進めたのだ。「嬉しいこと悔しいこともぜんぜんぶ 力に変えて前向いた」ことで「限界塗り替えてい」くことが出来たのだ。
 ここで、青葉とコウが二人で出した答えを「しょせんお花畑だ夢物語だ、社会も仕事もそんなに甘くない」と思う人もいるだろうし、「であればこそ、二人は人との巡り合わせに恵まれたことを天に感謝するべきであり、互いに信頼関係を築けていたことを何より誇りにするべきだ」と思う私のような人間もいるだろう。それはもう、甘っちょろいフィクションに対するスタンスの違いや、人や仕事や創作といったものに対する価値観の違いでしかないと思う。

「…私 八神さんには感謝してるんですよ」
「?」
「仕事もたくさん教わりましたけど、いつもさりげなく声をかけてくれて
 それが私… とっても嬉しかったんです」
「昔の八神さんがどんな人だったのか私は知りません
 でも少なくとも…」
「少なくとも今の八神さんは 私の尊敬できる上司です!」

(#25 ステップアップ)


 青葉のコウに対する信頼を端的に表す独白だが、ここは御大の実体験に基づく台詞ではないだろうか。私はフィクションに現実は持ち込まない主義なのだが、この言葉にはうんうんと一人でうなずいていた。そうなんだよ、そのさりげないことこそ人間関係の要であり、人は大人になるに連れて何故かそれが下手になっていくんだよ……。
 これは完全に余談になるが、あのコンペでの衝突のシークエンスが私の心に重くのしかかった理由の一つに、いたるがKeyを退社した一件があった。いたるがインタビューで、退社を決めた要因の一つに、後輩であるところのNA-GAが自分の目標であったオリジナルアニメのキャラデザの仕事を先に取ってしまったことを挙げていたのだが……。
樋上いたるさん、ビジュアルアーツを退社! | アニメイトタイムズ
 私はバ鍵っ子とはいえあくまで作品の信者であり、スタッフの人となりや人間模様は知るところではない。それにしたってアンタ「後から入ってきた原画の人」って……。というわけで、個人的にタイムリーな主題で、いろいろ思うところがある分感慨もひとしおであった。
 もう一つの山場である、会社の宣伝方針でキービジュアルをコウが描くことが決定し、青葉が自分を納得させるために半分出来レースのコンペに挑むところも、胸に迫るものがあった。コンペの数日前とおぼしき深夜に青葉がコウの作品を見せてもらうところは、何を言わせずとも青葉の表情がコウの実力に打ちのめされたのを伝えていて、ストレートに胸を打った。青葉のぼろぼろに泣き崩れる顔も、それでも顔を上げて描ききろうとする屹然とした顔も、真に迫っていた。そしてコウの、泣き崩れる青葉を抱き留める真剣な面持ちや、最後の仕上げに取りかかる青葉を見守る柔和な表情は、彼女らの想いを言葉よりも雄弁に語っていた。コンペの本番の様子がさらっと省略されていたのは、青葉が完膚無きまでに負けたことを表現しているのだと思うが、全力で胸を貸してくれたコウに対してしこりなどあろうはずが無く、二人の表情はこの上なく晴れやかだった。キャラデザのコンペでの諍いを乗り越えて、二人の信頼がさらに強くなっていることを表す素晴らしいエピソードだったと思う。
 『NEW GAME!』はアニメ化された2巻までの内容でも充分に良作のギャグ漫画として認定されると思うが、本格的にシリアスパートにも取り組んだ3巻以降の出来で、もう一つ上の水準に到達したと個人的には思っている。

「一番気に入っているのは」「何です?」「はじゆんだ」
 『NEW GAME!』の美点の一つは、人が人に惹かれるところ、心を動かされるところを説得力を以て描いていることだ。御大が脚本を担当しているアニメオリジナル回の9話でゆんが「ウチが遠山さんやったら、惚れてまうかも~」と言っとったでしょ。あれだよ! ああいうことなんだよ。それは風邪を引いているのに無理をするりんを連れ帰るために自分も早退し、いつものお返しとばかりにまめまめしく看病するコウの姿である。うみこの強引さに困っていたひふみを、いつにない強引さで連れ出して助ける青葉の姿である。青葉がキャラデザの立場に困惑して空回りしているのを察して、普段はお昼を取らないのに食事に誘って親身に相談に乗るひふみの姿である。青葉のことを時にケンカをしてしまうほどに心配していて、バイトの最終日には上司であるコウにしおらしく頭を下げるねねの姿である。ねねの落ち着きの無さに頭を悩ませつつも、着眼点のよさや頑張りについてはきちんと認めて、以後の進路をサポートするうみこの姿である。そして、ムーンレンジャーのイベチケを取るためにサボっていたはじめをたしなめつつ、突き放すのではなく昼食を調達してあげたりイベントの参加を融通してあげたりもするゆんの姿である。はじゆんキテル。
 この作品ほど、カップリングについて「コウりんは原点」「青コウが俺のジャスティス」「僕の見つけた真実は青ひふ」「はじゆんはメガ粒子レクイエムシュート」と気兼ねなく書ける作品もそうそう無いが、その心はこういったエピソードの堅実さに尽きると思う。

私、ねねごん好き! バアァァァァァン
 『ゆるゆり』の感想を読んでもらえばわかる通り、私はドが付くほどの原作厨だ。そんな私でも『NEW GAME!』のアニメはべた褒めするしかない。原作が好きならば絶対に見て損はない、と請け合っておく。私は好きな作品のアニメを見ていると、だいたい演出の過不足や間の表現などが自分の脳内映像と食い違っていていらいらしっぱなしになるのだが、この作品はそういったことがほぼ無かった。原作があまり動きのない形式的な四コマ漫画ということも影響していると思うが、スタッフの手腕と原作愛が一番の要因だろう。
 原作の補完という観点だと、もっとも大きいのはねね、うみこ、葉月といった準主要キャラクターの出番が多くなり、話に絡んでくるタイミングも早くなっていることだろうか(特に葉月)。ねねっちとうみごんのやり取りが増えていたのはよい仕事していたし、ねねの着眼点のよさが強調されていたり、奇っ怪な行動のフォローがされていたりするのもえがった。原作でねねがコウのプリンを食ったのははっきり言って意味がわからなかったが、アニメだと取引先のお中元が余っているから食べてよいというやり取りが挿入されていて間接的なフォローになっていた。葉月がふらふらっと青葉たちのところにやってくるシーンは、毎度毎度エキセントリックさを遺憾なく発揮するのと同時に、ディレクターとして一歩引いた立場から、青葉たちの仕事っぷりから人間関係までをも見守っているのが伝わってきた。イーグルジャンプの「変な人の見本市で困りものだけど、よい人ばかりで働くには悪くないところ」という印象をさらに強めることに成功したと思う。
 映像表現という観点だと、基本的にデスクワークが中心で人の動きがそこまで激しくない分、色んなところに力を入れていると思った。特に印象に残っているのは、若手三人がコウに促されて東京ゲーム展に行くエピソードだ。まず『FAIRIES STORY3』の嘘OPは「誰がここまでやれと言った」という力の入りっぷりで笑った。そして、自分たちの作品のPVで、青葉がデザインしたソフィアちゃんが主人公に守られ、ゆんが作り上げたグロテスクなモンスターが、はじめが付けたモーションでおどろおどろしく動くのを見て感無量になるところ。あそこは動きを得たからこその迫力があり、ひいてははじめたちが受け取った感動が倍増しで伝わってきた。他に何気ないところだと、劇中作の開発画面やデバック画面は本格的に作り込まれていて、見て楽しいだけでなくもっともらしさを演出していた。青葉とゆんが寝坊をして会社まで走る話は、青葉のダバダバ走りが実際の動きを見るとあれだけでちょっと面白かった。それと、最終話で青葉がコウに思いの丈を語り、手をとるのと同時にエンディング曲が入って、二人の髪がドラマチックにはためくところ。あそこで風が吹く必要性も外的要因も無いはずだけれど、ああいったケレン味や遊び心は嫌いじゃあない。
 そう言えば、『NEW GAME!』の知名度を劇的に上げた「今日も一日がんばるぞい!」についてだが、あれの乱用を封印したのはアニメスタッフや原作者の意地だったのかなと。制作の動画工房は『ゆるゆり』の一期を担当したところだと聞いて、「\アッカリ~ン/」のごとく毎週アバンでぞいぞい言うのかと身構えていたが、案に相違してそんなことはなかった。話題性だけでなく内容の充実度で勝負をして、じっさいに(少なくとも私相手には)勝利を収めたことには、心からの賛辞を贈りたい。
 あと、『咲-Saki-』勢としては美少女の作画が最後まで安定していたのは素直にうらやましかった。

まとめ
 結局、突飛なキャラによる日常系ギャグ漫画が「かわいい」「おバカ」だけで終わるか、はたまた面白おかしさ、暖かさ、切なさ、去りがたさを空間表現できるかどうかは、エピソードの確かさと人との関わりに掛かっていると再認識させられる作品だった。新刊のストックが溜まるのとアニメ二期の一報が入るのを一日千秋の思いで待つ。

NEW GAME! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
得能正太郎
B00UYABOQA
NEW GAME! 4巻 (まんがタイムKRコミックス)
得能正太郎
B01IT5TZH6

tags: 百合 
2016年10月10日

更新予定の記事タイトル一覧

CLANNAD -クラナド-考察(今さら)
Keyの総論的記事 アホの子について
麻枝准のギャグを分析する 大喜利
因数分解

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アカイイト レビュー・感想(10周年に間に合わせる)
アオイシロ レビュー・感想(全面的にリライトする)
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スティーヴン・キングの怖さは死の怖さ
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2016年10月01日

『SeaBed』『しずくのおと』 力作同人百合ゲーの紹介

 最近、同人百合ゲーの『SeaBed』と『しずくのおと - fall into poison -』を読んだのですが、どちらもかなりの力作でした。両作品はそれぞれ違った方向性で作り込まれており、ほとばしるパトスと値段を遙かに超えた価値が見受けられました。このような作品がDLsiteで200本ほどしかダウンロードされていないのは損失だ、非合理的だと思ったので、さりげなくステマをしておきます。

しずくのおと - fall into poison - [あいうえおカンパニー] | DLsite Home - 全年齢向け

 ――少女たちを襲う恐怖の水族館

 都内にひっそりと佇む満天水族館。
 真弓と姫乃はある噂を調べにそこを訪れるが、些細なことで喧嘩をしてしまう。
 離れ離れになった二人は、いつしか満天水族館に閉じ込められることに。

 行方不明の妹との再会。
 謎の少女との出会い。
 かつての痛ましい事件の記憶。
 満天水族館に渦巻く様々な想いが真弓へと降り注いでいく…。

 ――そして迫られる救いの決断

 真弓に強いられる選択と決別。
 それはとある少女の未来をも左右することになる。

 運命に翻弄された少女たちが織りなすミステリ・ホラー。
 27のバッドと4つのトゥルー、全31種類のエンディングを収録。



 『しずくのおと』でまず興味深かったのが、サウンドノベル寄りのゲームデザインですね。『弟切草』よりは『かまいたちの夜』に近いでしょうか、ありとあらゆる方法で死ぬのも似ている。プレイの流れは、物語の分岐点で主人公の行動を決定し、いくつものバッドエンドを乗り越えて生存ルートを探し出す……同時に新しいルートが解放されていき、物語はその度に新しい展開を迎える、といったものなっています。最近のギャルゲーはもっぱらキャラクター中心・シナリオ中心で、誰々ルートの並列で構成されているものが主流なので、トライ&エラーで新しい展開を切り開いていく感覚はなかなか刺激がありました。エンディング数はいわゆるトゥルーエンドだけでも4種類あり、即死のバッドエンドも含めると全31種類もあります。作品内容の欄で紹介していることからも制作者の力の入れっぷりが伺えます。
 シナリオの雰囲気も悪くないです。水族館という舞台は海=(異)界のイメージへ繋がり、神秘性、非日常性、閉鎖性といった面でミステリーとすこぶる相性がよいですね。私は『Ever17』をやっていた時を思い出したりしました(ありゃあ水族館ではなく海洋テーマパークですが)。なお、終盤は超展開ゲーマーの血が騒ぎました。
 また、紹介ページやPVを見てもらえばわかるとおり、作品全体のクオリティがかなり高いです。原画と塗りは商業とほとんど遜色ありませんね。背景班もよい仕事をしています。インタフェースも凝っていて、メニューを開くと場面場面に応じたTIPSが自動で表示されるところなんか細かいですね。システム画像やそれを使用したスクリプト周りも頑張っています。
 サークルオリジナルとおぼしきサウンドも、けちの付け所がないですね。BGMはあの曲が飛び抜けて素晴らしい。あの曲ですよあの曲、プレイしたらすぐにどの曲のことを言っているのかわかると思います。主題歌もばっちり完備。んだもんだから、サウンドモードを実装しなかったことについては問い詰めたい。
 ノベルゲームのクオリティを、テキストとビジュアルとサウンドの総合力で解釈するなら、この作品以上の同人百合ゲーは『ととのか』くらいしか私は知りません。


SeaBed [paleontology] | DLsite Home - 全年齢向け
※あらすじにわりとネタバレがあります※

本作は百合要素を含むミステリーノベルです。
物語は三人の登場人物の視点で展開します。

CG枚数/90枚以上
テキスト量/約47万文字

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過ぎ行く時はとてつもなく深い海の底に沈み続けている。
ときに浮かぶあの日の景色と匂いは揺れて泡のように消える。

心療クリニックの精神科医楢崎は、人がものを忘れる仕組みについて研究していた。
人はなぜ忘れるのか、大事なことを忘れない方法はあるのか。
彼女はある患者の心の奥深くを探るうちに、深い深い海の底へと辿り着く。

都内に事務所を構えるデザイナー佐知子は、取り憑かれたようにものを作り続ける。
同僚の心配も他所に、仕事を続けた彼女は心を病み過去の恋人の幻が見えるようになる。
彼女は恋人の跡を追って暗く長いトンネルを見つける。

療養所で暮らしている貴呼は、幼稚園からずっと一緒だった同性の恋人とどのように別れたのか思い出せない。
彼女は恋人に似た女性と出会い、徐々に思い出を取り戻していく。
記憶の扉を開き続けていく彼女は、最後に冷たく静かな部屋へと足を踏み入れる。

それぞれの目的の元、過去を求めさまよう三人が行きつく場所は何処か。
三つの物語は淡々とした日々の中で静かに進行し、やがて同じ場所へと還っていく。


 『SeaBed』は上記作品とは打って変わって、シナリオが主体の作品です。選択肢は全くなしの一本道で、ストイックに脚本で勝負しています。この作品は何を書いてもネタバレになりかねない――公称ジャンルが「ミステリーノベル」であることについて論じても危ないし、三人の主人公について語っても危ないし、正直あらすじを読むだけでも危ない――ですが、47万文字という頭のいかれた分量で、日常は淡々といとおしく、ミステリーは神秘的に、伝えたいことは簡潔明瞭に、脚本が書かれています。

【若干ネタバレあり】
 私がこの作品に対して何より驚異と脅威を感じたのが、心象風景・内的世界といったものを当然に存在するものとして物怖じせず描写していることと、ノベルゲームの特性を活かした叙述トリックをしれっと取り込んでいることです。特に前者について、作者の胆力に盛大な賛辞を送りたいですね。主人公(とわれわれ)が自分の目を通して認識する世界について、語りのテクニックの面でも、唯心論や認識力学といった精神的な部分でも、高度な次元での表現に挑戦しています。
【ネタバレおわり】

 同人ゲームがそういった領域に踏み込んでくる時代になったのか、と驚くことしきりでした。
 また、シナリオとテキストの比重が高いとはいえ、ヴィジュアルノベルの基本要素は手堅く作られています。立ち絵は豊富で、そんなパターンまであるのかと感心するほどでしたし、CGもこの値段帯の作品にしては恐ろしく多いと思っていましたが、作品紹介によると90枚もあるそうです。BGMはフリー素材を使用しているようですが、場面場面に合わせて効果的に使っていると見受けられました。
 あと、誰も聞いちゃいませんが、私は貴呼が好きです。なんですかね、あの圧倒的な存在感は。この子のぶれないキャラクターが、虚実入り乱れる幻想的なシナリオに一本の芯を通していると感じました。
 最後に、百合ゲーとして評価するならば、『SeaBed』に軍配が上がるでしょう。何気ない日常から性的なエモーションまでを丁寧に書いてくれています。全年齢対象の作品ではっきりとリビドーの描写をしてくれているのはポイント高し。あそこにCGがないのはバグじゃないですかね?


 以上、同人ゲームの脅威を感じた二作品の紹介でした。作品の紹介ページや、このつたない紹介文を見て興味を惹かれた方がいらしたら、ぜひプレイしてみてください。
 へっぽこ百合ゲーをフルプライスやハーフプライスといったお値打ち価格で売っている商業ブランドは、恐怖に打ち震えるべきだと思います。

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